相談概要 | [氏名] M.M [相談内容] 注文住宅の瑕疵 [相談建物所在地] 愛知県一宮市 [職業] 会社員 [年齢] 30 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦 2007年8月20日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 146 [延べ面積坪] [工事請負金額] 2050 [設計監理料] 0 [様態] 注文建築 [施工者] 大工(工務店) [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [18確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] 無い。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 3 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 10 [施工者名] MH [販売会社名] MH [設計者名] Y建築設計事務所 [監理者名] Y建築設計事務所 |
相談内容 | [現象] 着工まで色々と親身になってくれた業者でしたが・・・ ・ベタ基礎の配筋確認したのですが、ベース筋D10が一部@400あるところがあった。 ・ほとんど@300だったが砕石とベース筋のかぶり厚さが30mmのところがあった。ほとんどスペーサーにて60mmあったが。 ・重ね継ぎ手が所々40dとれていないところがあった。 上記3項目の是正のお願いをしたが、行き違いでベース分のコンクリートが打設されてしまった。 [業者の見解] 管理不十分で本当に申し訳ないと謝罪し、念書を持って来ました。 書面は以下の通り。 念書 M.M様 基礎に関して今後15年間何か問題がある場合MHが責任を持って補償致します。 平成19年4月18日 MH有限会社 代表者名 社印捺印 [相談内容] ・構造上問題ありませんでしょうか? ・念書の形態は、これで後々問題が出たときに効力があるのでしょうか? |
yorozuの感想 | この様な相談先があると心強いと思います。 |
アドバイザー | |
関口 啓介 | 関口と申します。 まず念書の件は、コンクリートの調合強度やその他基礎の仕様、地耐力等が不明ですから、なんとも言えませんが、15年間は恐らく問題は発生しないと思われます。 鉄筋のかぶり厚が不足していると言う事は、コンクリートの中性化が早く進み、耐久性が劣る事につながります。かぶり厚不足は建築基準法を満たしていない行為なので、それを不問にする代わりの念書であるならば、その事を踏まえて十分に内容を吟味されると良いかと思われます。 工務店の管理不行届きもさる事ながら有名無実の監理にも問題があります。地盤調査はされたのでしょうか。監理者不在の現場体制では今後もなお不安と言わざるを得ません。 確認申請に監理者として名前を記載しながら監理を怠っているの事は違法性があります。記載の監理者とよく話し合って監理業務をして頂くよう求めてください。その際費用が発生するかもしれませんが、無料の業務はありません。監理者を置くのは建築主の義務でもあります。 ただ監理者が工務店の下請け業務をしている場合、監理者として責任をきちんと履行できるかどうかは疑問が残ります。 そのあたりもご確認頂き、信頼できる監理者に依頼される事が望ましいでしょう。 |
藤井 修 | 名古屋の藤井です。 基礎の瑕疵担保責任の義務は10年間ですが15年に延長すると言う念書ですね。 「基礎に関して今後15年間何か問題がある場合MHが責任を持って補償致します。」 とありますが、基礎の下の地盤の耐力は大丈夫ですか、もし耐力が不足していれば基礎に問題が起きる可能性もあります。それらを含めての補償になるのでしょうか、判断がつきかねます。 又、べた基礎底版の鉄筋のかぶり厚不足ですがコンクリートの状態にもよりますが、大方の鉄筋は基準を満たしているようなのでさほど問題は無いように思います。 |
コメンテーター | |
畔上 廣司 | コメンテータの畔上です。 関口、藤井解説委員ご指摘のとおり、現時点では念書や補償について協議する状況にないと推察いたします。配筋の組立不良や構造耐力上の問題以前に、先ずは「基礎設計データの確認」が先決でしょう。 建物基礎の設計は、地盤調査結果等に基づき、地盤の地耐力の検討や構造設計が行われているかのチェックが必要です。従って、基礎設計と納得できなかった一部施工不良の疑問については工務店さんに確り説明していただきましょう。 なお、建物は今後8月末まで工事施工が進行することになると思いますが、このままでは工事監理者不在の違法性も問われます。幸い施工・販売会社である工務店さんの対応は良さそうですので、設計・監理者の建築設計事務所と共に十分に話し合っては如何でしょうか。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 問題点を整理します。 1)今回の問題は程度が漠然としておりますので、工学的判断はできません。 2)現場管理(施工者の図面確認)と工事監理(一般的には設計者の現場での図面と照合確認)がどちらも抜け落ちているということが原因です。多分、工事監理は形骸化している形だけのもので、実態はしていないのでしょう。 ということは、施工者の現場管理だけだと、ここがすり抜けると、建築主が確認する以外には道がありません。 しかし、建築主には現実、どんなに勉強しても工事監理者の知識には程遠いので、一部しか、確認できないでしょう。 相談者はそれでも、よく勉強していると思います。継ぎ手が40dというのはなかなかなものです。 ただ、建築主のチェックも限界がありので、コンクリートの配合確認、強度確認、生コンクリートの時間的打設確認、 型枠確認、開口補強筋確認、アンカーボルト位置、定着確認、鉄筋定着確認、地耐力確認、砕石、捨てコンクリート確認、養生確認、など、多岐に渡ります。これらも確認しましたか? 3)念書については意味があるのでしょうか?何か問題が発生しても、施工瑕疵の不具合と因果関係をどのように証明するのでしょうか? 何かあった場合は施工業者は因果関係はないと言い張られたらどのように対処するのでしょうか? 念書は法的な拘束力がありますが、それと、今後の不具合の因果関係を証明しなければなりません。そのようなこころの準備が必要だと思います。 4)Y建築設計事務所の工事監理として何を監理したのか、確認しましょう。監理していないから、このようになります。 独立した設計事務所の場合は工事監理において、照合確認した後でないとコンクリート打設は許可しないので、打たれることはありません。 この点から、Y建築設計事務所は下請け事務所ではないか?と推察されますが、確認申請上、工事監理者として届出してあれば、責任を問えます。 今後も心配なので、何を監理したのか?確認する必要があります。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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