相談概要 | [氏名] J.K [相談建物予定地] 埼玉県さいたま市浦和区 [職業] 会社員 [年齢] 37 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦 2007年8月末日 [公庫は使わない] on [性能保証を使用] on [何階建て] 地上2(地下1) [延べ面積m2] 141.33 [延べ面積坪] [工事請負金額] 2400 [設計監理料] 不明 [様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅) [施工者] 大工(工務店) [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [18確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。 [確認申請書お持ちですか?] 無い。 [検査済証は有りますか?] 無い。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 12枚程度 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 約10 [施工者名] 鰍j工務店 [販売会社名] 鰍j工務店 [設計者名] 鰍j工務店 [監理者名] 鰍j工務店 |
相談内容 | [家づくりの相談内容] 以下のとおり、相談をさせていただきたいと思います。 相談にあたっての経緯は、長くなってしまいましたので、先に質問事項を記載させていただきました。ご検討のほどよろしくお願いいたします。 【質問事項】 ア この工務店が言うように、地盤改良工事については、契約もしない、施工承諾書も交わさない、 事前に詳細事項(仕様など 地盤調査に基づき長さ何mの杭を何本打って・・・200万円など) さえも示さないで、実施してしまうというのが、他の業者も含めたこの業界の慣例なのでしょうか? またそれ自体妥当な見解と捉えるべきものなのでしょうか? イ 工務店への不信感が払拭できないということであれば、 @請負契約を締結せずに、土地売買契約を解除する。 A工務店任せにしないということで、 工事監理者を第三者としてフォローする体制を作る。 住宅性能表示制度などを利用して監理を行う。など いずれかだと思いますが、 Aの場合、その業務を貴相談(室)の先生などにお願いすることはできますでしょうか?(もちろん有料で。) 【経緯】 建物請負契約が締結されない場合に土地売買契約を解除するという停止条件付売買契約(いわゆる建築条件付)に基づき、工務店より土地を購入しました。 現在、建物請負契約を結ぶために、工務店と詰めの話し合いを行っています。 建物請負契約の他に、地盤改良工事(鋼管杭工事)の請負契約(金額200万円)が必要とのことで、見積書を今になって初めて示してきました。 本件地盤改良工事は、既に実施してしまったというのです。 (もちろん本件の契約締結、施行協議(書)・承諾(書)なしにです。) 200万円もするものを詳細な説明(口頭説明、見積書の提出、契約締結、施行協議(書)・承諾(書)など)が一切ないまま実施してしまっているのに、工務店側は、 @土地売買契約に先立って地盤改良工事(200万円)を要することを口頭で伝えたこと A本件地盤改良工事前に「地盤改良工事」と記載のある工程表を渡して、工事に入る旨口頭で伝えたこと以上をもって、施工協議は完了しており、本件工事着手には何ら問題ない という見解を示しています。 当方として、@は非常に怪しいのですが(工務店が言っているだけ)、Aは確かに受領しています。 ただ、それは工程表の紙を受領しただけであって、200万円の本件地盤改良工事(鋼管杭工事)の施工協議を承諾した事実はまったくありません。 当方は、土地売買契約に地盤改良工事という規定があり、本件地盤改良工事がそれに該当するものとして捉えていました。そうであれば土地売買契約締結という合意に基づき実施したものであるので、何ら問題はないと思います。しかし、工務店側は土地売買契約に基づくものではないとのことなのです。 本件によって、当方は相当な不信感を持ちました。 (無権原:何を持って当方の土地に、物件を設置したのか。土地売買契約でも禁止事項として物件の無断設置禁止を規定化しています。) それでも、今回の件の問題をきちんと工務店側で認識し、今後はこの教訓を生かすという担保がなされるのであれば、話しを前にすすめて行ってもいいという判断をしました。 以上から、 本件地盤改良工事については、当方に追認を求めたことになることから、その反省に基づき今後は追認を行わないこととする旨の契約事項を入れて建物請負(本件地盤改良工事を含む)契約を締結する旨協議したところ、工務店側は、そちら(当方)の言い分も今となっては理解できる部分もあるので、今後は常識的な範囲で追認は行わないこととするということで規定化に合意しました。いかし、本件地盤改良工事のプロセスについては、何ら追認は求めているとは思っていないという主張を繰り返しているのです。 その根拠は、以下のとおりです。 @地盤改良工事については、 事前に詳細事項(仕様など 地盤調査に基づき長さ何mの杭を何本打って・・・200万円など)を示さないで実施するのが、他の業者も含めてこの業界の慣例であること Aそれが非常識だと言われてもそちらがそう主張しているだけであって、 工務店としては慣例によるものが常識だと考えていること それが客の不利益につながるなんてことは全くもって考え及ばなかったこと(工務店側からすれば、そちらの方が非常識ですよと言わんばかりの勢いです。) 当方は、200万円もするものを詳細事項説明が一切ないまま、承諾するなんてことはありえないと考えています。「慣例だから」ということをにわかには信じられないのです。 (建物請負契約は、事前に詳細を詰めてから契約しようとしているのに、本件地盤改良工事については、それがなされないということに合理性が見いだせないのです。) さらに、本件地盤改良工事(鋼管杭工事)は、建物の建築確認申請(構造計算にも)には全く含まれていないのです。ベタ基礎として確認申請を行おうとしているのです。 建築確認申請上では、本件地盤改良工事(鋼管杭工事)は何も考慮されていないのです。 それなら、当方は土地売買契約に基づく地盤改良工事に該当するのでは、と主張をしているのですが、工務店側は土地売買契約上の規定はそのような趣旨ではないとのことで平行線ということもあります。 さらに、計画している建物に合わせて杭を打っており、今となっては建物形状の変更も事実上できないという状態になっています。 以上から、当方は工務店に対する不信感が増大している状況です。 今後は追認はしないと言っているものの、「常識的な範囲」というのが大前提なので、そもそもそれがずれているという事実があったことから、今後においてもこのような話しが繰り返されるのではないかと危惧しています。 そこで確認をしたいのですが、この工務店が言うように、地盤改良工事については、契約もしない、施工承諾書も交わさない、事前に詳細事項(仕様など 地盤調査に基づき長さ何mの杭を何本打って・・・200万円など)さえも示さないで、実施してしまうというのが、他の業者も含めたこの業界の慣例なのでしょうか? またそれ自体妥当な見解と捉えるべきものなのでしょうか? 工務店への不信感が払拭できないということであれば、 @請負契約を締結せずに、土地売買契約を解除する。 A工務店任せにしないということで、工事監理者を第三者としてフォローする体制を作る。住宅性能表示制度などを利用して監理を行う。など いずれかだと思いますが、Aの場合、その業務を貴相談(室)の先生などにお願いすることはできますでしょうか?(もちろん有料で。) よろしくお願いします。 |
yorozuの感想 | ユーザー側の立場からの解説が大変参考なります。 我々のような素人にとって、とても有益な情報源です。 |
アドバイザー | |
古賀 保彦 | 古賀です。以下解説です。 質問アについて 建築主の費用負担に関わるものでしたら、建築主に工事内容と費用の内訳を示して承諾を得た後に施工するのが筋だと思いますが、その契約や承諾自体は口頭でも成立します。契約書・施工承諾書等の書面があれば言った言わないのトラブルを避けられますが、法的には必ずしも必要とは限りません。 業界という言葉が何を対象としているのか真意は分かりかねますが、仕事の進め方にしても建築主の考え方にしてもは各者各様ですから、お互いに「普通はこうするだろう」と思っている事を言葉や図書にして確認しなければトラブルに至る可能性は高くなります。 また、「追認」という言葉が出ていましたが、それ以前の話として設計図書・見積りを含めた今の状況を把握しておかなければ、いずれ同様の事が起こってしまうのではないかと思います。 質問イについて A工事監理者を第三者としてフォローする体制を作る場合、この方法は施工会社が以下に対応できるかどうかがネックになります。 (1)第三者監理という方法を受け入れられる (2)監理が可能な設計図書が整備されている (設計図書:監理に必要な設計図・見積明細内訳書等) (3)監理者が行う是正指摘事項について対応できる 尚、(3)で、見積に計上していない問題が生じた場合には、その費用をどうするのか建築主と施工会社間で協議・解決しなければならない事態もでてくるかもしれません。 また、トラブルになっている建築主と施工会社の間に入り、重要な業務を行うのは難しい仕事でもありますから、監理者の業務が円滑に進めていけるように、建築主にはその環境を整える努力が求められます。 A住宅性能表示制度などを利用して監理を行う場合、この方法は施工会社が設計と工事の両方においてその制度に対応できる力が必要であり、また、建築主もその制度内容を理解している必要がありますので、その旨先方にもご確認下さい。 尚、この制度の検査は4回ですから、現場でのチェック回数・時間・密度が、監理者を入れる場合と比べて十分かどうか、建築主が理解した上で進める必要があります。 スケジュールの問題など色々とご事情があるとは思いますが、先方とも良く協議なさってお互いに納得できる方法をお探し下さい。 |
コメンテーター | |
畔上 廣司 | コメンテータの畔上です。 質問アについて残念ですが、古賀解説委員お話しのとおり「契約や承諾自体は口頭でも成立」してしまいますので、この点は言った言わないの千日手になったとして何とも止むを得ないところでしょう。ただ、推察の範囲になりますが、地盤調査の結果、地盤改良工事が必要になり実施された訳であり、性能保証を利用していることからも工事上の誠意は見受けられるようです。 質問イについても、施工会社が第三者監理を受け入れる受け入れないのお話し以前に、工事監理に必要な設計図書類が揃っていなければ監理できませんし、且つ、工事監理者に対応できるような体制の確りした会社でなければ無理な話しでしょう。不信感から監理者が監督に入ったとしても、却ってトラブルになってしまう可能性もあり、せっかくの我が家を手に入れる前に収拾がつかなくなってしまうことも考えられます。 相当お腹立ちのようですが、なるほど建築界に馴染めない契約社会の現実があるやもしれません。兎に角、先方と十分な協議を重ねたうえ、ある程度納得できるところまで話し合って解決策を導き出すことが大切ではないでしょうか。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 言った、聞いていないは難しいところです。 書面で残すことも大切ですが、実は、プロでない一般の方には書面で何を残したらよいか? わからないのが通常です。ですので、あなたが選択した建築士が設計者でない場合は、このような リスクはどんなに書面で残しても限界があることを認識してください。 また、設計図では何が描かれていなければならないのか?それも理解することは至難の業です。 ましてや、見積もりなどみてもほとんどわからないでしょう。内容もそうですが、それが妥当かも判断は難しいものです。 はっきり言えば、あなたが選択した設計者がいない場合はリスクは消えないということはご理解ください。 まして、工事監理する場合には通常はこのような設計図では監理できる図面が少なすぎることがほとんどなのです。 工事監理はしっかりした設計図面と見積書の上で成立するものなのです。 ですから、単に工事監理といっても責任を持つ業務ができる材料がない。ということが実態です。 ただ、現場のアドバイスはできますが、当然、それは責任を持つものではなく、単なるアドバイスにしか過ぎません。 結局は建築条件付は逃げられないようにできているかのようなシステムであると思っています。 ですから、慎重にことを運ばないといけません。 無条件解除するのは厳しいところですが、この場合は弁護士とご相談ください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | 『建築よろず相談』運営事務局 荻原様、古賀様、畔上様 この度はお忙しい中、丁寧な解説・回答をいただき、どうもありがとうございました。お礼とご報告が遅くなり、申し訳ございませんでした。 今回ご説明いただいた内容に関して、私たち素人には納得できない部分も正直ございますが、プロの方からのアドバイスをいただき、大変参考になりました。 その後、工務店と話をし、工務店側にも誠意持って対応してもらえたので、建物請負契約を結ぶことにしました。 家を建てるということは、私達素人にとっては分からないことだらけで、全てのプロセスにおいて、不安の連続です。 このようなプロの方からご意見を伺える機会を設けていただいていることは、本当に心強いです。 これからも是非このサイトを続けていただきたく思っております。 先生方の今後のご活躍をお祈り申し上げます。 |
その後 |
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