本文へスキップ

一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 1164 地盤について

 相談概要 [氏名] S.H.
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 千葉県船橋市
[職業] 会社員
[年齢] 41
[男性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦2007年 4月30日
[公庫使用] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 99
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 3700
[設計監理料] 0
[様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅)
[施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 4
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 6
[施工者名] Nハウジング
[販売会社名] L
[設計者名] L
[監理者名]
 相談内容 [現象]
初めてご相談します。建築条件付のフリープラン設計の分譲住宅の購入契約をしました。まだ、手付金しか支払いしていませんので、キャンセルしたほうが良いかどうかすごく悩んでいます。
以前の土地の状況が調整池だったことが引っかかっています。埋め立て造成後2年近く経過しており、地盤調査を行い、湿式工法による柱状地盤改良工事も終わり2×4による建築も行われておりますが、一番心配している地盤調査結果や地盤改良工事の内容についても、督促してやっと報告書がもらえるような状況です。
調査報告の考察には、「構造物に直接的影響を与える表層部(盛り土を含む)より不規則的に自沈層の介在が認められ、直接基礎では支持力不足及び圧密変形により長期的には、不同沈下の発生が懸念されます。

対策として地盤補強対策の検討が望まれます」とあります。パンフレットにおいても、地盤の10年補償というのは記載されております。ただ以前の土地が土地だけに、不同沈下や液状化現象が起きないかどうか不安で仕方ありません。不安に思っていることが皆さん同じなのか、分譲地の販売状況もよろしくありません。
今後全区画を販売するために価格の値下げなどが行われ早く契約した人達が貧乏くじを引く気がしてなりません。
また、資産価値としても下落してしまうのではないかということも懸念しております。一生に一度の買い物だと思いますので、あまり時間はないのですが、ご相談させていただきたくどうぞよろしくお願い申し上げます。

[業者の見解]
契約時にも前の土地は何だったのですかとお聞きしました。
「調整池」でしたと正直に教えていただきましたが、「費用をかけてどこよりも強い地盤にしますので」というお話しでしたが、実際には、SS調査をした結果地盤改良工事が必要であったり、地盤調査結果と地盤改良工事の報告書についても、「あまり頂きたいというお客さんはいないんですけどねえ」というような対応でした。督促してやっと頂けたような状況です。

[相談内容]
このまま引き渡しを受けて代金の支払いを行うべきか、キャンセルをしてリセットすべきか相談させて下さい。
4月末竣工予定で、住宅ローンの本申込を行うかどうかも悩んでいる状況です。ただ、キャンセルができるかどうかもわかっていない状況です。代金は引き渡し時一括支払いとなっています。(手付金は支払い済みです)写真は特にないのですが、地盤調査報告書と地盤補強工事報告書はありますのでこちらのカラーコピーを別途お送りすることは可能です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 yorozuの感想 私のように家を購入することを考えている者にとって、とても役に立つ情報がたくさん掲載されておりますのでとても助かります。
私のように知識がない人が発注者側に回ることがほとんどだと思いますので、的確なわかりやすい解説も大変勉強になります。
アドバイザー 
山口 雅克 解説員の山口です。

 元々が池ですから御心配はもっともだと思います。調整池だったときの状況や地盤調査の内容を見てみないとなんとも言えません。

 埋めたり盛土をして2年と言う期間は建物の基礎として考えるには何の役にも立たない程度のもので、見た目の表面は落ち着いいるように見えますが、土の空隙が少し減った程度に過ぎないと判断するのが一般的です。

 現状の地盤高さと調整池の深さや元々の調整池まわりの土壌などの情報と柱状地盤改良工事の深度も工法とあわせて知りたいですね。
 不規則的に自沈層があるとのことですから家の配置と地盤調査の位置関係も知りたくなってきます。
 心配を払拭するには、構造の専門家に依頼して判断を仰ぐのが裁量の方法だと思いますが、それでも地盤改良工事が適正に行われたと言う前提での判断にならざるをえません。

 柱状地盤改良が建物の全般に施してあって、支持地盤までの深度が確認できれば良いのですが、池を埋めた土がどのようなものであったのかも知っておきたいですね。
大内 彰 大内です。

まず、地盤調査報告書は地盤改良を行う前のものなので改良が必要という結果になっていても不思議ではありません。改良工事が適正な深さまで行われているかということが最も重要なことです。

埋土の種類によっては必要な耐力が得られない場合もあります。改良工事を計画した会社が現状を理解して改良体を設計しているかかどうかが問題です。

地盤改良工事の報告書も必要ですが地盤改良の計算書の内容(改良体の強度、地盤の強度、長期、地震時について検討がされているか)が過不足無く適正であるかを確認する必要があるでしょう。
それが確認できない場合は長期に対してのみの「10年保証」に期待するしかなくなります。
また、現段階で契約を解除できるかどうか、違約金がいくらかかるのかということも契約書に書いてあるはずなので確認して下さい。
畔上 廣司  解説委員の畔上です。

S.Hさんの不安やご懸念は我が家を手に入れる前にご尤もなお話しでしょう。
結論から申しますと、販売会社の対応や説明に今一説得力が無いように感じられます。
地盤と基礎に不安要素を抱えながらの購入は控えた方が賢明かと考えます。埋立て以前の土地の形状等、当時の状況を知らない消費者にとって、業者より示された地盤調査報告書や実施された地盤改良工事、地盤10年保証付きパンフレット等に頼らざるを得ないのが現状ですが、せめて納得できる説明をして頂くことが重要です。

地方自治体や土地開発業者などこの頃は、適当な開発地域が少なくなってきたことで、沼地や湿地帯を闇雲に宅地造成化している実情もあるようですが、地盤の改良工事や補強工事等がどんな立派なパンフレットで説明されていても実際の工事が適切に行われていなければどうにもなりません。

大内委員の解説にもありますが、何処から運搬されて来たのか埋土の種類によっては必要な耐力が得られない場合もありますし、地域周辺、地元の方々が回避する分譲地には何かしらの問題や事情があると考えても不思議ありません。
なお、手付金を支払い済みであることからキャンセルにも不安な点があるようですね、契約書の内容や地盤保証等の詳細について、トータル的に交渉を行なう場合、素人判断では難しいかもしれません。場合によっては専門家に立ち会ってもらいましょう。 
 コメンテーター 
善養寺 幸子 コメンテーターの善養寺です。

盛り土であっても、地盤改良の方法によっては充分な耐力を確保する技術はあります。

しかしながら、それが信用できないような状況であれば違約金を払っても、解約されることが賢明のように思います。専門家に見てもらっても不安は残るように思います。
不安を抱えた住宅に暮らすことは精神衛生上、良くありません。
そこが良いか悪いかではなく、不安を感じるような物件は購入しないことです。
 事務局から 
  荻原 幸雄 地盤に関しては慎重な判断が設計者としても求められます。
調整池となるとなおさらですね。
ご心配は理解できます。

どこでも地盤調査報告書はもらえないようです。
おかしいですね。不動産業界は、でももらえただけ珍しいことのようです。
私見ですが、本来は分譲業者はSS試験だけでなく、数箇所はボーリング調査をすべきだと思います。
これにより地質のサンプリングを行い、どこまで、地盤改良、若しくは杭にするか構造設計者と協議が必要と思います。

地盤に関しては設計者の判断によりますので、構造設計者は誰で、どのように判断して施工方法を決定したのかを確認することが大切です。

それも出さないとなると不安はありますね。
これらも含めて積極的に開示してもらいたいものです。

地盤に関しては造成工事での地耐力確保していても、建設会社の地盤調査判断は違うものです。

造成工事での地耐力確保の目的は敷地全体として一般的な判断になります。
建築ではその構造、規模、階数、地下室の有無により、建物荷重が違いますので、必ずしも一般的な敷地での地耐力確保ですべての建物が安全であるという保証をするものではありません。
というよりできないのです。あくまで、建築の構造設計者の地盤の耐力判断が必要ですので、ご注意ください。

よろず調査の経験でも、造成開発業者の地耐力確保した土地で建設業者が建築し、不同沈下が発生し、造成業者は「建設会社の過失を主張」建築業者は「地盤耐力確保の記載があるのに、耐力が取れていない造成会社に問題があると主張」しました。このようなことにならないためには第三者の構造設計者の設計判断が必要だということがわかると思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 いつも大変お世話になっております。

大変お忙しい中、荻原先生、山口先生、大内先生、畔上先生、善養寺先生より的確なアドバイスを頂きまして誠に有難うございました。深く御礼申し上げます。

地盤調査し地盤改良工事を行った会社にも確認したのですが、地盤については二重三重の手当てをしているのでというコメントをいただいたので契約通りに引き渡しを受ける方向に傾いたのですが・・・・
再度契約書を確認したのですが、契約書には契約解除について特に明記されていなかったのですが、重要事項説明書に一方的な解約時には契約金の20%の違約金を支払う旨明記されておりました。解除するにはかなりの金額が必要となってしまう状況です。

契約の解除は大変厳しい状況ですが、申込をさせていただいて一度建築士の先生にご相談しようと考えております。結果によっては、弁護士の先生にもご相談申し上げようとも考えております。

本当に貴重なアドバイス大変有難うございました。一生の買い物ですのでますます悩んでしまいますが、素直にご相談しようと考えております。
いろいろと有難うございました。
 その後  
目次に戻る

バナースペース

一般社団法人 建築よろず相談支援機構

〒181-0001
東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

TEL 0422-24-8768
FAX 0422-40-0107