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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.1161 「雨水による土の流出」に、やや不安

 相談概要 [氏名] S.K.
[相談建物予定地] 福島県郡山市
[職業] 主婦
[年齢] 35
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦 2007 年3  月 31 日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 109.92
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 2880
[設計監理料] 0
[様態] 建売り住宅
[施工者] 建設会社
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 解らない。
[検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 0
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 0
[施工者名]
[販売会社名] U
[設計者名]
[監理者名]
 相談内容 [家づくりの相談内容]
現在建売住宅の購入を検討しています。
「敷地・述べ床面積」「価格」「立地(学区)」「住宅そのものの全て(間取り・色等)」はほぼ100パーセントに近い満足度なのですが、たった一つだけ気になる事があり、契約に至っていません。

地盤に関してなのです。
もともと雑木林だった場所を造成して宅地5区画分を分譲しました。
それぞれの家が南向きに建てられ、北側にはまだ造成されてないままの雑木林が(造成された土地と)同じ位残っています。
私が購入を検討している家はその一番下の段(西側)に当たります。

西側・北側それぞれにRC擁壁・CB土留めがなされています。

そのメーカーさんから提出された検査報告書は「JIO」のものです。
その記載を抜粋します。

「地盤調査報告書」「特記:調査地は山地及び丘陵地の中腹付近の坂の途中に位置した造成更地で、地表部に礫が混じっている状態です。建物の配置が擁壁の底板部及び埋め戻し部上に載ると思われるので、十分な注意が必要だと思われます。
敷地内に法面が見られ、今後雨水等の影響により、土が流出する可能性が考えられるので、十分な注意が必要だと思われます」
「調査敷地:造成以前 丘陵地、地表面 粘性土・礫まじり・砂まじり」

検査での特記事項をクリアしたからこそ、工事が進み完成したと思っていいのでしょうか?「雨水による土の流出」に今後の長い生活を思い、やや不安を感じます。
 yorozuの感想 ここ数日、上記の件で悩み通しだったので、こんなに素晴らしいサイトがあったのか!とパソコンの前で飛び上がりそうでした。
検索でも出やすいし、みんなにどんどん利用してもらいたいです。
アドバイザー 
清水 煬二 解説員の清水です。

造成後に直ちに建てた家は、特に慎重に工事を行うべきですが、擁壁を造る前に地盤調査をするだけでなく、擁壁を造って埋め立てて家を造る前にも盛土になりますから地盤調査をすべきです。
これらのデーターをもとに地盤改良が必要かどうかを検討し、必要がある場合は当然ですが、必要が無い場合でも、その判断で間違い無いという第三者の保証を付けてもらうべきだと考えています。

今回の検討ですが、地盤調査をどの時点で行ったのか、この建物の地盤について、データーに基づいてJIOの10年保証が付いているのかどうかを確かめてください。構造体について第三者の10年保証が付いているかどうか確かめるのは当然ですが、地盤が免責になっている場合があります。

免責になっている場合は、地盤が原因で傾いたときなど、第三者の保証は受けられません。工事会社などが法的にも保証の義務を負いますが、費用が多額になるとその責任を果たしてくれるのか、将来のことですから現時点ではわかりません。

地盤に不安のある物件は、購入をお勧めしません。どうしてもご希望ということであれば、地盤の第三者保証が付いていることを前提にすべきだと思いますので、確かめてください。それが付いていなければ、リスク覚悟での購入となりますので、止めた方が良いでしょう。

雨水の土砂のリスクがあるなら、温暖化の水害が増えていくことを考えるとなお更で、どういう対策をしているかも確かめてください。
畔上 廣司 解説委員の畔上です。

宅地5区画分という小規模開発のようですが、分譲地の傾斜や段々土地の様子や造成状況、周辺の地形等が分かればもう少し判断し易いと思いますね。先ず、日本住宅保証機構(JIO)の新築住宅保証では、地盤と建物を一体的に保証しているようですので、この保証説明書を前もって販売業者さんに見せて頂き確認しておく必要があると思います。

次に、保証の範囲やその保証対象部分の保証期間や現象内容を確認すること、基礎部の保証では、沈下、不同沈下等によるひび割れ、欠損が対象となっています。特に、保証対象外のひび割れや欠損部位についても理解しておきましょう。さらに保証対象外の免責事項も多々ありますので確り確認チェックしておきましょう。

次に、本物件ハウスメーカー提出の地盤調査報告書は造成後のものと思われますが、地盤調査方法や位置、調査時期の確認が必要です。調査試験方法によっては、人工的に盛土された地盤は良いデータが測定されやすいという欠点がありますし、1mを超えるような盛土で造成年数が1年未満の土地などは、土が不安定な状態の試験データということもあり得ます。このように造成地の地盤の判断は難しい場合があります。

造成工事のRC擁壁やCB土留め工事については、その地域の「開発行為等許可基準に関する条例」や「宅地開発指導要綱」等があると思いますので、開発行為許可提出書類の仕様書等に基づいた工事が実際におこなわれているか確認しておくことも必要かもしれません。これも業者さんに見せて頂きましょう。

なお、どうしても不安であれば第三者の専門家に現地を見てもらうなどして決断することをお勧めします。
 コメンテーター 
善養寺 幸子 コメンテーターの善養寺です。

このところ、温暖化の影響での集中豪雨や長雨、地下水位の上昇など、予期せぬ地盤の問題が各地で起こっておりますので、怪しいなら買わない方が無難だと思います。

保証があったとしても、何か事故があれば、色んなことで精神的にも負担を受けることになる貨幣では勘定できない損害が生じます。

特に、揉めると家族内で誰が購入を決断したとか責任問題で内輪揉めしたり、慣れない長い法廷などの争いで、人間不信になり、他方面での人間関係をおかしくしたりする事もあります。
保証があることは重要ですが、何かあっても強く受け止められる大らかな性格であれば良いですが、そうでなければ安全性の確実に高い物を探されることをお勧めします。
 事務局から 
  荻原 幸雄 よく保証があるからと建築でも擁壁、地盤で目にしますが、無条件保証というのは稀です。
保証範囲をしっかり確認しないと、後で、後悔することになります。
通常は保証範囲を説明する業者は少ないと思われます。遠慮なく具体的な現象を聞き、そのことがどこの文章に該当しているのか?を確認してください。その答えがあいまいな場合は保証範囲が明確になっていないということになります。

また、地盤報告書は造成前のものだとすると、その指摘をクリアーしているという判断もできますが、正式には次の流れになります。

地盤調査報告書→構造設計者がそれをもとに支持地盤を決定し、構造設計をする。(構造設計とは構造図面、 構造計算書作成のこと)→この図面を元に行政に開発許可を申請→許可が下りれば造成工事→造成完成。
ここまでが地盤の工事です。

建物は造成後に、建物の配置、形状、構造によって、地盤調査ポイントを確定し、再度、実施することになります。(理想的には ですけど・・・)そして建物の実施設計が始まります。

今回の相談では相談資料が少なすぎて正確な解説ができないという点になっていますので、相談にはなるべく写真をお送りください。

購入する前に信頼できる建築士に現地を見てもらって、資料の閲覧も含めて購入の判断をしたほうがよさそうです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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