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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 1160 費用は負担して漆喰にしたいのだが、対応してくれない

 相談概要 [氏名] K.N.
[相談内容] -
[相談建物所在地] 大阪府池田市上
[職業] 主婦
[年齢] 38
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦2007年3月
[公庫使用] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 86
[延べ面積坪]     27
[設計監理料] 0
[様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅)
[施工者] 建設会社
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 16
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 3
[施工者名] D建設株式会社
[販売会社名] D建設株式会社
[設計者名] O
[監理者名]
 相談内容 [現象]
 写真を見て頂いての相談内容とは違うので、写真はありません。お願いします。

[業者の見解]
[相談内容]
契約前の話の中で、私や子供がアレルギーがあるのでビニールクロスはしないで下さい。内装は、漆喰にして頂きたい。と伝えておりました。追加料金です。と言われたので、足らずは自分達で塗ります。とも伝えていました。

建築士の方は、「営業のものにも塗らせたらいいですよ〜」と話していました。
着工してからの話では、「珪藻土ですね。」といつの間にか話が変わってきていて、「違います。漆喰ですよ。」と伝えなおしました。早くから見積もりをお願いします。と話していたのですが、「とにかく高いし、割に合わない。部屋がボロボロになる。すぐに亀裂が入る。来年になったら飽きて嫌になる。やめたほうがいい。漆喰にするなんて信じられない。」とかいろいろ言われ、「エコクロスはどうですか」「追加料金も少なくすみますよ。」と。

では、「エコクロスと漆喰の見積もりをお願いします。」というと、エコクロスのみの見積もりで、漆喰は口頭で「60万円位です」だけでした。最終的には、やはり漆喰にしたいです。と伝え、しっくいの内容も詳しく教えて下さい。と伝えました。数日後建築士より電話があり、「工務店が「漆喰はできない。特にあなたの家には出来ない。」と言っている。工務店もあなたがたにいい思いをしていないようですね。」と言われました。

「うちはもともと漆喰と言っていましたし、施主の意見は聞き入れて頂けないのですか?」と言うと、「お宅は施主じゃないですよ」「…。」電話では話にならないので、2月4日(日)に話し合うことになりました。はじめから、漆喰は考えていなかった業者側に怒りを感じています。また、私どもの性格をとやかく言うこと自体も考えられません。この先、話し合いがうまくいくのかも不安でいっぱいです。着工からも、いい加減な仕事ぶりが情けなく、現場に足を運ぶのが億劫になるくらいでした。漆喰は譲れない気持ちでいます。

どのように対応していけばいいのかを、どうぞ教えて下さい。
よろしくお願いいたします。
 yorozuの感想 悩んで悩んで、ここにたどりつきました。ほかのかたがたの切実な問題もとても人事には思えません。どうか、良い日本の姿となりますようにお導き下さい。
アドバイザー 
橋本 頼幸 解説員の橋本です。

KNさんが、契約の形態(売買契約か請負契約か)をどのようにされたかによって判断は変わりますが、相談時の記入は「建築条件付き建売住宅」ということを元に判断すると、一般的には、土地を先に売買契約で契約をしてから、3ヶ月程度で大まかな間取りを決めて、坪単価いくらで建物の金額を決めて、非常に簡単な請負契約をしたものと推測できます。
しかし、「建築条件付き」ということですので、工事業者を選べるわけではなく、工事業者の指定する仕様が基本になっていると思われます。

さて、契約前では「壁は漆喰で施工すると依頼していた」とのことですが、その内容は「契約書」の中で明記されているでしょうか? 明記されていないとなると、変更のオプションに対応してもらえるかどうかは、施工者次第ということになります。施工者が対応できないということであれば、KNさんがその工事を強要することは契約上できないと思われます。契約書の中できちんと明記されていれば、施工者は当然施工しなければいけません。

本来は、そのことを契約前に口約束をするのではなく、契約の中に明記することが必要です。

しかし、終わってしまったものは仕方がないので、これからの対応についてですが、施工者ができないと言うことであれば、壁を下地の段階で工事費の精算をして、他の工事についてもすべて完了させた上で、建物の引渡を受けて、その施工者との契約を完了させた後に、ご自身で漆喰を施工してもらえる業者を探し依頼するという方法があります。

その課程で、KNさんが現在の施工者の契約内容をチェックしたり工事費を精算することや、後の施工者を捜すことなどに協力できるような専門家(設計事務所)に依頼する方法はあります。ご自身の状況に合わせてご判断ください。
星 裕之 解説員の星です。

壁に使われる自然素材は、1年以内に必ずヒビがはいります。暮らし方によってその度合いは違いますが、現在の建築基準法では仕上げの割れについては2年間の保証をしなくてはいけません。
ですから、施工者は漆喰のような特に多量のヒビが予想されるものは避けたがります。珪藻土やエコクロスでしたら、ヒビも少なくて済みます。それを心配して漆喰をさけているのでしょう。施工者・建築主との信頼関係が崩れている状態で漆喰をつかうことは無謀に思えます。
久米 能子   解説員の久米です。

 自分の家を建てる段になって、初めて建築の業界(現場)に直接触れる人はかなり多いのだろうと思うのですが、その方々の多くが、投じるお金の大きさに比べて手続きや工事の成り行きがいい加減だという印象を持たれ、よろず建築相談のようなところへ大いに悩んでご相談に来られます。

 ご自分の家には当然のことながら、皆さん、並々ならぬ思い入れがありますし、また、私は設計事務所を始める前はメーカーに普通のOLとして勤めていましたので、建築業界の仕事のされ方と、それまで自分がいた会社(非常にきちんとした会社でした。)の仕事のされ方とにあまりに大きなギャップがあるのを見て大変驚いて憤慨した記憶がありますので、K.Nさんのお気持ちは少しわかるような気がします。

 しかしながら、現実には、私が個人的に見て「きちんとしていて良い工務店」と思われる工務店は、確かにあるにはありますが、まださほど多くは無いように思います。だから私たちはそういう中で、譲れることと譲れないことをふりわけながら、折り合いをつけて仕事をせざるをえません。

 これが改善されれば言うことはありませんが、どこの世界でも、玉石混合しているように、どんなに誰が頑張っても、全ての工務店が善意に溢れて誠意に満ち、積極的に良心的な仕事を行うようになることが不可能であろうことは、K.Nさんにもお分かりになるでしょう。だから私たちは、消費者である施主に勉強してもらい、家つくりを後悔せずにすむようになって欲しいと願って、このようなサイト運営に協力しているのです。

 お嘆きのお気持ちはよくわかりますが、他の解説委員が述べているように、もし、漆喰仕上のご希望を契約書に盛り込んでいなかったとしたら、残念ながらK.Nさんの落ち度もあるといわざるをえません。勿論、お話通りの成り行きだとすれば、不誠意な担当者と工務店だというのは確かでしょう。

 しかし、同時に「(建築条件付)建売」の限界もあります。私たち設計事務所が施主さんのご希望をきいて家を設計するのにかける時間は、半年程度。それに工事が半年程度。この期間の違いから考えても、建売住宅に多くを求めることができない(ある部分、行き違いも生じやすい)のもご理解いただけるでしょう。

 今、工事はどこまで進んでいるのかわかりませんが、橋本解説委員の言われるように、仕上だけ残して、仕上の分を代金から差し引いてもらい、漆喰の施工はご自身で別に手配されるのが良いでしょう。そんないい加減な工務店に、無理やりなんとか漆喰の施工を約束させたとしても、どんな施工をされるのやら、信頼できますか?信頼できない相手に要求をすることほど無意味なことはありません。どこまでいっても、不安がつきまとうでしょう。

 古来からの本物の漆喰がひび割れるというのは確かですが、今はほんの1〜2%程度の樹脂を混合することによって、ひび割れを殆どおこさないと漆喰商品(カルヌーヴォ・日本プラスター)も販売されています。色も大変多様ですし、欠けにくいものです。また、完全100%自然素材にこだわられるならば、ホタテ壁という商品が100%自然素材で、昔からの漆喰に比べるとかなりひび割れがしにくいものになっています。(ほたて貝の粉末を混入することによってひび割れを防いでいるようです。)
 もう少し、樹脂が混ざっても良いならば、日曜大工で施主さんが施工されやすいように加工された商品も幾つかでています。

 それでも、何れの商品を選択されても、左官による壁の仕上は、水を使う性質上、収縮は必ず少しは起こります。ひび割れは起こさないものの、柱と壁の取り合い部分にわずかに隙間が生じたりすることは経年で起こりえます。
 ですから、自然素材を選ばれるときは、そうしたことも味わいと受け止めるつもりで選択してください。
 おそらく、その工務店は、K.Nさんにそうした収縮を認めてもらえないのが怖いからそのように発言しているのでしょう。

 4日(日)は、あっさりと、クロスは不要だからクロスなしで受け取りたいので契約金額からクロス分を引いてほしいというお話だけされてみて、ほかの事は話されないほうがうまくいくのではありませんか?落ち着いて頑張ってください。 
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄  建設会社の対応悪さと技能不足を感じます。
設計の建築士も外注事務所のようですが、対応はいい加減なものですね。
下請け設計者としてまるで家づくりに魂を感じられません。

漆喰も下地処理をきちんとすれば問題はないのですが、昔の家と違って現在の木造は材料の乾燥時間を入念にとらない為に、往々にして木造の収縮により変形し、それが力として壁仕上げに影響を与えます。
これが亀裂が起こる原因でもあります。

亀裂を起こさない為には乾燥した木材が不可欠になります。
勿論、漆喰を塗る調合、左官職人の腕にもよります。
これらが全て調和するときれいな漆喰壁が出来ることになります。

想像ですが、施工業者の建物はこの乾燥材が使われていないと思われます。
そうすると、久米解説委員が説明した材料でも亀裂は起こることでしょう。
それを承知して、漆喰の施工を拒絶しているものと思われます。


契約の中で図面の中に漆喰が仕上げ表で謳われていれば、施工者は拒絶はできません。
しかし、口頭だけですと、契約は成立していると理解しますが、それを証明しなければならず、通常は水掛け論となり、事実上、難しくなります。ですので、設計図というものは大切になります。

できれば第三者の魂のある建築士に依頼して現場をみてもらい、漆喰の可能性とメリット、デメリットを確認し、別な業者に施工してもらうことも選択肢としてあると思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 荻原様、この度はお忙しい中メールが届かずお手数をおかけ致しました。ありがとうございます。

荻原様をはじめ、解説委員、コメンテーターの皆様、アドバイス本当にありがとうございます。
皆様方のおっしゃるとおり、契約書に明記しなかった事は、私共の落ち度です。。。

4日の話し合いの内容を書かせて頂きます。
建築士の方がいきなり「で、どうなりました?」ときつい口調から始まり、私共が「是非漆喰でお願いしたいのですが。」と伝えると、そこからは喧嘩腰で内装の話とは全く関係のない私共の性格のことやら、あなたのとりようが悪いやら、私が火曜日に業者の留守番電話に「建築士の方と大至急連絡が取りたいので電話を下さい」と入れたにもかかわらず、その後連絡がないままでいた事に対して「どうして木曜日に電話をしてこなかったんですか!!」…等たくさん言いたい事を話され、冷静に話せない状態となり、営業の方が仲裁に入り、建築士の方は退室をされました。

営業の方には、今迄の経緯をお話させて頂きました。
なかでも、こちらはこれから家を建てるので、隣家と窓の位置が重ならないようにして頂きたい。今住んでいる家で、隣の家の窓が同じである不都合を話させて頂き、今から建てるわけだから避けて下さい。と何度も何度もお話をさせて頂きました。
建築士の方は「そうなんですか〜そんな話は初めて聞きました。わかりました。大丈夫ですよ」と言って下さいました。窓の位置が知りたいので立面図を下さい。と言っていたにも関わらず頂いたのはもう手直しが出来なくなってからでした。
私共が「これで大丈夫ですか?」建築士「大丈夫ですよ」と言ってました。出来上がると…窓の位置は隣と一緒でした。しかも両家とも寝室…。「これでは、お互い窓を開けられないじゃないですか」建築士「シャッターがありますよ。夜は閉めますよね」「シャッターに取り付けられる庇が売ってますよ」と心無い言葉でした。そんな事もこんな事もいろいろとあってので、内装に関しては、きちんとして頂きたいという気持ちで一杯でした。

最終的には、
@タナクリームでの施工の見積もり
A60万位と話されていた漆喰の見積もり 
B現状(石膏ボード)のままで設備を整え引き渡す場合はクロス分の返金があるかどうか。 
C漆喰用ボードに張替え、設備を整え引き渡す事が出来るかどうか。 
D他の業者を入れてもいいのかどうか。 

となり、営業の方が、火曜日までに見積もり等を上げ連絡します。となりました。…木曜日まで待ちましたが連絡がなかったので、金曜日に電話をしました。建築士とまだ話をしていないので、土曜日に連絡します。との事で、今日営業の方が@漆喰(タナクリーム)の見積もりのみを持ってきて下さいました。私共はきちんとして頂きたいので、よろしくお願いします。と頭を下げたのですが、うちとしては、これで言ってほしい と言う事でした。
明日2月11日(日)に営業の方と現場で話すことになりました。(営業の方も窓の位置を見たいそうです。)その時に、内装なしで設備を整えて引き渡して頂きたい事とその分の返金をしてほしい事を話してみようと思っております。
また、お知らせさせて頂きます。
 その後  
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