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一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 1140 園芸屋さんの職業的日照権について

 相談概要 [氏名] H.S
[住所] 東京都練馬区
[職業] 官庁外郭団体
[年齢] 54
[男性] on
 相談内容 [ご意見・ご感想をどうぞ。]
私はマンションに住んでおります。マンションは南南西向きに建っていて前に8m道路があり、道路の反対側では園芸屋さんが約200坪(東西20mx南北30m)の土地で植木の生育販売卸を長年行っています。この園芸屋さんの東隣の土地約90坪(接道東西10mx奥行南北30m)が売られ、ここに鉄筋コンクリート造4階建の1Kx21世帯のアパート建設計画が公表されました。
 当方居住のマンションには景観上の不都合が生じますが、この点は法的に争えないものと思います。
しかし、園芸屋さんは東側の境界付近では苗を育てるために必要な日照が十分得られなくなると思います。
北側斜線規制では、北側の住居に対して受忍限度の想定に基づく日照確保を義務づけるようですが、草木の生育にとっては受忍限度というものはありません。日が十分当たらなくなった場所では園芸屋さんは仕事が出来なくなります。
 このような場合、アパート経営者に対して園芸屋として植木の生育に利用できなくなった日陰の多い面積に対する補償を要求できるものでしょうか?

本来の「よろず建築相談」とは趣旨の違う話で恐縮に存じますが、ご指導など頂ければ光栄に存じます。
 yorozuの感想 なお、現住マンションに入居する前の確認では施工上の不備が多くありましたが、素人が建設会社や販売会社に苦情を言っても相手にされませんでした。そこで「よろず建築相談」にお願いしたところ、千葉県野田市の畔上先生を紹介され、先生立ち会いのもとで不具合カ所の完全な補修を支持して頂いた結果、業者側は素直に受け入れ快適な住まいを得られました。
 改めて畔上先生並びに「よろず建築相談」様に御礼申し上げます。
アドバイザー 
畔上 廣司 解説委員の畔上です。

さて、園芸屋さんの職業的日照権が問題として問えるかどうかですが、ご相談先方の計画建物が4階建ですので、先ずは建築基準法関連法令として、一般の「中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整に関する条例」を確認しましょう。

http://www.city.nerima.tokyo.jp/reiki/reiki_honbun/aa10003901.html

また、計画建物は、集合住宅の住戸数やワンルームマンションの一住戸の専用面積等を基本として地域が定めている指導要綱「練馬区中高層集合住宅の建築物の建築に関する条例」によって、隣接住民への戸別訪問による説明が義務付けられているようです。自治体の条例は指導要綱の内容にそれぞれ相違ありますので注意を要します。

http://www.city.nerima.tokyo.jp/reiki/reiki_honbun/aa10003911.html

併行して、計画建物には「開発行為等に関する事前協議申請」等が必要で、規則による標識等の設置義務があります。(既に設置済みかも知れません。)これには、近隣対策問題などが生じた場合の遵守事項等もありますので、この辺を十分把握したうえでの疑義対応を考えておきましょう。
何分にも、標記について具体的な事例・判例に出合った経験なく、はっきりとは申せませんが、植木の生育状態の現状やデータや将来の生育計画等を提示するなど、園芸店の経済的・職業的な面からの問題点を率直に述べてみる必要性があるかとも感じます。
建築主対応にもよりますが、実態に沿った何らかの説明回答が得られるかも知れません。
 コメンテーター 
関口 啓介 コメンテータの関口です。

アパート計画が公表されたとの事は、練馬区中高層集合住宅の建築物の建築に関する条例に基づく標識の設置義務(建築計画のお知らせ)によるものと思われます。

同条例に基づく説明がこれからなされるものと思われます。そこで具体的な配置図および立面図が示されますので、それを受けて具体的な話し合いをされたら如何でしょう。園芸屋さんの営業補償が求められるかどうかは、具体的に建物による影響を算出しなければならないと思われます。
また、営業補償が受けれるかどうかは法の範疇とも思えるもので、正直判らないと申し上げざるを得ません。この件は園芸屋さんから直接して頂いた方が良いかと思われます。
直接利害のない方が指南したとされると、思わぬ矛先を向けられかねません。
園芸屋さんから相談されたものなのか、園芸屋さんを案じてご相談頂いたものなのかわかりませんが、当事者が直接なさるべきと思われます。
お求めになられるコメントにならずに、申し訳ございません。
 事務局から 
  荻原 幸雄  園芸屋さんの立場で考慮すると、死活問題になることですね。
もともとの日照を得られていたという権利と都市計画で規定された用途地域制限の権限をはかりにかけると回答をするには大変難しいご質問を出されたという難問ではあります。

しかし、都市計画は大切なことです。地域特性を考慮して低層の住居にするのか?
商業地域にするのか?によって地域が突然と変る場合があります。
都市計画に定められた範囲の構造物を建設するのは法の範囲内であれば許容されることになるのですが、これが営業に関わることになると補填等の都市計画法、建築基準法以外の法律問答になりますので、その解釈は分かれるものと思います。

いずれにしても当事者で話し合われる問題で、それが不調に終われば法廷の争いになるでしょう。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  小生の質問に早速先生方からアドバイスを頂き恐縮に存じます。
現住マンションは練馬区HFという、平成13年にN不動産が分譲したものです。
 このマンションへの入居を控え、出来映えに疑問を持ってご相談申し上げたところ畔上先生をご紹介いただき、先生のご指導で不具合箇所を完全に補修できましたこと、改めて先生にお礼申し上げます。

 この度はご多忙中のところを、畔上先生、関口先生、荻原先生にアドバイスを頂き、有難うございました。
 昨日、建設業者が植木屋さんと当マンションの住民1名に図面等を配布して説明していました。各戸のポストにも同じ図面類が投函されておりました。この図面類をそちらにお送りして検討していただくことは無料ボランティアの域を超えてしまいます。
 まずは植木屋さんに、朝を最悪とし時刻により昼過ぎまで日陰が植木屋さんの土地に掛かり移動する状況などを理解してもらい、練馬区に相談しに行くよう勧めてみます。他に近隣住民で相談し、ワンルームに近い(1K)21戸という内容から、周辺の住環境を悪化させるものではないかという点で植木屋さんを後押しして行きたいと思っております。
 
では、今後ともよろしくお願い申し上げます。
 その後  
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