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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No. 1123 耐震等級3の家が等級1だったが・・・。

 相談概要 [氏名] N.R
[相談内容:] 注文住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 愛知県豊田市
[職業] 主婦
[年齢] 30
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦  2006年 6月  3日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 43
[工事請負金額] 2300
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 地場中小ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。
[確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 1
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 30
[床面積] 130m2以下
[施工者名] N/U
[販売会社名] TKホーム
[設計者名]
[監理者名]
 相談内容 [現象]
地元のハウスメーカー(K社)にて注文住宅を建て、約2年の月日を経て、この6月に入居致しました。そろそろ火災地震保険に入るため、家の耐震等級を知ろうと思いK社に問い合わせました。もともとK社を一番初めに訪れたとき、モデルハウスにでかでかと「K社では耐震等級3の家が建てれます!」という内容のポスターが貼られており、ホームページにも同様の内容が掲載されていて、営業マンにも事実なのか確認していたので、当然等級3で設計・施工してあると思っていました。ところが、思いもよらず「等級は1です」との答え。驚いて、手元にあった資料やK社ホームページをもう一度見てみると、やはり「標準仕様の家でも等級3」と書かれていました。

[業者の見解]
早速K社に問い合わせると、「あなたの家は等級1です。」とのこと。驚いて設計部にも確認した結果、我が家が標準仕様で建てられていますが、フリープランで建てられているとの理由で等級が1です、との回答。しかし手元にある図面には、はっきり「標準仕様」と書いてあり、ポスターやホームページには「フリープランの場合等級が下がります」などの記載は全く見当たりません。さらに、その後営業マンから「ホームページの記載が間違っていた」とも。我が家としては、いつ大地震が起こってもおかしくない時期に、等級3の家というのに魅かれてK社を選んだのです。

[相談内容]
モデルハウスにも「標準仕様で等級3の家が建ちます」という内容のポスター。ホームページにも同様の内容の表示。しかし、蓋を開けてみれば、標準で建てた我が家はなぜか等級1。これは、耐震偽装や詐欺ではないのですか?K社の対応を見ていて、我が家だけではなく等級1の家なのに等級3の家に住んでいると思っている人は他にもたくさんいそうです。現在K社の対応待ちですが、今後どのように対処していくのがよいのでしょう?ご回答よろしくお願い致します。
 yorozuの感想 いろいろなホームページを見ましたが、無料なのにも関わらず一番丁寧にお答えされているのを見て、メールを送る事にしました。庶民にとってはこういう気軽に相談出来、しかも丁寧に答えてもらえるのはとてもうれしいことです。
アドバイザー 
藤井 修 名古屋の藤井解説員の回答です。

工事契約書の内容で住宅性能評価の耐震等級3の文面はありますか、また口頭でもこの工事にかんして耐震等級3で施工する事を約束しましたか。
そうでなければ耐震等級1で建築基準法を守れば良い事になります。
広告に誤解を招くような表現があっても工事契約とは別問題だと思われます。
清水 煬二 清水解説員の回答です。

今回の場合は、住宅性能表示評価機関の評価を受けていたのでしょうか?
受けていたのであれば、完成時にその書類をもらっているのでその時点でわかっているはずですから、受けてはいないわけですね。
その会社が「ホームページの記載が間違っていた」とハッキリ間違いを認めているのであれば、何らかの対応はしてもらえるのではないでしょうか。
耐震等級は、プランによって変わりますし、そのプランごとに計算をしていかないと正確にはわかりません。

建築基準法に定められた壁量の1.5倍以上で等級3という定義になるのですが、定義の割りに、建築基準法の計算方法とは異なり、甘くなる点が問題といえば問題ではあります。
実際には、建築基準法の壁量の1.3倍程度でも耐震等級の計算方法では、等級3になることは珍しくありません。もちろんプランによって異なります。
家は明るく、風通しがよく、1階のリビングダイニングを広く大きくというユーザーのご希望を優先し過ぎると、間口が狭い場合、壁の量が少なくなって、等級3はもちろん、へたをすると建築基準法さえをクリヤーできないケースもあります。
プランや設計をする人が早く注文を取るため、また打ち合わせ回数を減らすため構造よりも建て主の希望を優先してしまうことは、ハウスメメーカーに限らずどこに頼んでも、残念ながら珍しいということではありません。

現状から耐震等級をアップさせるには、耐震壁を増やすことになります。
一見、同じ間取りでも腰壁や下がり壁を増やすことでもアップさせることができる場合があります。
ですが、耐震等級が3だから安心かというと、一概にそういうわけではありません。
1階や2階の平面的なバランス、1階と2階との上下のバランスによっても実際は耐震性が左右されますが、そういう考慮は耐震等級のチェックにも、建築基準法の義務にもほとんどありません。
また、仮にそのチェックをしていても、構造的に1箇所の柱にホールダウン金物を2本付けなければならないという設計であれば、地震時には柱の接合部分に力が加わり過ぎるため、木材が裂ける場合も考えられますから、安心とは言いいれません。

地震に対する安心感ということであれば、耐震等級という安易なチェック方法だけに惑わされずに、地盤の固さや先ほどの建物のバランスなどを含めて、本当に大丈夫かどうかを、詳しい建築士に有料でチェックしてもらえば良いでしょう。
建替えを要求しても恐らく簡単には無理でしょうから、
その建築士とも相談し、現実的に可能な範囲で、耐震性を増すことができるのであれば、間違いを認めているそのハウスメーカーとの話し合いの場で提案すれば、改善してもらうことができるかもしれません。
実際の耐震性が壁の量以外の部分では、どうなのかも見極めてください。
善養寺 幸子  善養寺解説員の回答です。

最近、日本国民の読解力の低下が問題となっておりますが、その社会問題性の例をあげたような案件ですね。
「K社では耐震等級3の家が建てれます!」“建てれます。”ですので、“られる”希望すれば建てることが可能であるという言葉の意味を表現しています。『等級3しか建てません』とか『K社の建てる家はすべて等級3“です”』いう表現であれば、それ以外に無いという言葉であり、等級3を建てていないのであれば問題でしょう。
「標準仕様の家でも等級3」「標準仕様で等級3の家が建ちます」これも仕様の低い建物“でも”等級3は“可能である”ことを意味しており、仕様と性能を別に表現していますから、性能を標準仕様としているわけではないので問題とは言えないでしょう。『標準仕様はすべて等級3』という表現であれば、標準仕様で等級3は問題となりますが、広告に書かれている言葉の意味を読み違えたとして、それは『耐震強度偽装』にはなりません。

等級3をオーダーしたのなら、それは約束違反になりますが、「そう思っていた」というのは、単なる思い込みの勘違いであり、それは相手側にのみ否のあることと言えないと思います。
法的には、全国どこの設計者、施工者においても性能の注文をすることは可能です。それに応じなければならない建築士の責務があります。仕様が低くても耐震性能を高くすることはプランによっては可能です。ただ、標準仕様で等級3となる壁量の間取りが納得できたかどうかはわかりません。壁が少なくても耐震性能を高くする方法は色々ありますが、その工務店の標準仕様ではなかったのでしょう。

一応、等級1であっても、国土交通省の定める建築基準法に適合した耐震性能なのですから、最低基準でも現行法の耐震基準を満たしています。偽装問題となった物件とは明らかに性能が違います。基準法に適合していれば耐震偽装にはなりません。
何をもって、営業マンが「ホームページの記載が間違っていた」と言ったのかはわかりませんが、上記文書の限りでは言葉に問題のあった広告とは言えません。
消費者の読解力の低さを利用したイメージ広告とも言えるかもしれませんが、巧妙な手口であっても内容が偽りでなければ、これは詐欺広告とは言えないです。 
関口 啓介  関口解説員の回答です。

性能表示をされなくても、最近地震への心配や、地震保険の関係で耐震等級3を求められる方が見えるようになりました。

HPでの表示において、プランや地域、地盤条件等によって、標準仕様においても耐震等級3が損なわれる恐れが説明がなかったのは、ミスであり誤解を招く恐れがあります。
看板に偽りがありと言うわけですよね。そこで藤井解説委員も言うように契約にその事が記述されているか、若しくは口頭でも約束されているかが問題です。実際にどんなプラン、地域、場所においても必ず耐震等級3を同一の仕様で確保するのは困難だと思われます。

保険の事は残念だと思われますが、実際にどの程度の耐震レベルの建物であり、何が問題となって通常等級3のものが、等級1になったのか説明を求められると良いでしょう。 
 コメンテーター 
津村 泰夫  コメンテーターの津村です

担当者のパソコンの調子が悪く、対応遅くなり申し訳ございませんでした。解説員の皆さんのアドバイスを参考にしてください。
 事務局から 
  荻原 幸雄  ポスターだけで入居するまで一度も聞かなかったんですか?
業者も説明不足が重なったことが原因ですね。
また、等級などはいくらでもフリープランでもできますので、業者の説明は逃げの一手という感じがします。

あまりに簡単にポスター、チラシを信じるのは危険です。
不動産業者は誇大広告規制がありますから、ぎりぎりのところで、逃げられるような広告を出します。文字を小さくしたり、曖昧な言葉を使ったり・・・。
今後は業者の対応しだいでしょうが、その対応によって、どのように判断するか?を決めなければならないので、現在のところは業者の回答を待って、その後建築士と弁護士に相談して対応してください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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