相談概要 | [氏名] S.N [相談内容:] その他 [相談建物所在地] 愛知県新城市 [職業] 公務員 [年齢] 45 [女性] on [構造] 木造(2X4工法) [引渡し年月日] 未定 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 60 [延べ面積坪] [工事請負金額] 800 [設計監理料] 0 [様態] 注文建築 [施工者] 大工(工務店) [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [確認申請の為の委任しましたか?] してない。 [確認申請書お持ちですか?] 無い。 [検査済証は有りますか?] 無い。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 1 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 4 [床面積] 70m2以下 [施工者名] 株式会社R [販売会社名] 株式会社R [設計者名] 不明 [監理者名] 不明 |
相談内容 | [現象] 周囲に家の無い山林の中に建てた、築14年になる家のカーポート,デッキ・ポーチ部分と,庭に使った枕木など、木部分の痛みが激しかったため,庭の改修を思い立った.ついでに、家とカーポートを近づけるためガレージとその2階部分のホビールームも建築することにした. 趣味の部屋や庭にするため,面白い施工例をさがしていたところ、たまたま見つけた完成見学会で、好みに合った施工をしていたのがRだった。 何度か見学会に行き,社長とも話をしたところ趣味が合ったようなので、具体的な話に入った.当初は簡単な小屋程度にしようと思っていたのが,プランを練るにつれ、欲が出てトイレ,簡単な流しをそなえた離れ的な計画になった.最終的に外構400万、建物800万、合計1200万という見積もりになった. どんぶり勘定の見積もりで,建物、外構などの項目ごと一式いくらというものだった。仕様書なども無く,どんなランクの材を使うのかも一切不明のものだった。図面も簡単な間取り図のようなものだけだった。外構については、「現場あわせ」といわれ、それでも、何度か会った社長の、細かいお金は気にしなさそうな人柄と施工例が気に入り,細かいことは言わないから、いいものを作ってくれるよう頼んだ.途中変更については,大きい予算枠の中でつじつまが合うように、取りやめた部分と追加の部分がつりあうよう調整するようお願いしておいた.施主側としては,きちんとした図面が無く、詳細がわからないので、施工前にはどうなるのか事前に了承を取るように言っておいた.「建築確認は,しなくてもいいから。」と言われた. 問題は建て方工事が始まってから噴出した.いろいろあったが、事前に了承を取らずに全く趣味に合わない安っぽいもの(蛍光灯、錆びたアングル)をつけられたこと、特注のキャットトンネルを社長の独り善がりの考えで施工されたため、全く使い勝手の違うものが出来上がってしまっていたこと、猫が遊ぶための梁を付け忘れられたこと,肝心のデッキが、斜面で、湿気の多い場所であるにもかかわらず、束石を建てずにパッキンだけ当てて、束柱を斜めに切って据えてあるだけの基礎だったこと,(固定なし)など、毎日のようにクレームを電話やメールで送らねばならなかった. しかし勝手にいいかげんな工事を進めるやり方は改善されなかった。その上,期日を守って支払いしているにもかかわらず.「シンクはこんな感じのものを」などと言うと,「お金を追加で出してくれればつくけど」「お金が無いからつきません」と言い始めた.建て方工事が始まる前に,家に隣接する山林に、全く打ち合わせにも見積もりにもない、コンクリの園路を社長が作っていた.施主への了解も取らずに進めていたので、他の社員も「面白がってなんか始めたぞ」と言っていた. 今までの例から,面白い工事に関わるとどんどん社長が口を出していろいろ変更があるらしい。その工事も,社長の頭の中では追加工事で計上したつもりであったらしい. 「何を根拠にお金がないというのか。」そんなに無いと言うなら、「詳細な見積もりを作ってよこすよう」言ったが,それも回答が無い.見積もりで計上されているガレージの棚(15万円)にいたっては,ある日家に帰ると日曜大工で1万円も出せば出来るような、錆びたアングルと板切れで作ってあった. 最終支払いの400万円は引渡し時なので、自分なりに、見積もりから削除した工事や、納得の行かない工事について計算し、納得行かない工事部分の直しと、値引きを考慮した最終請求額を計算するよう要求した.のらくらと回答を避けていたが,「このままでは会社の信用を失う」旨の言葉も添えて手紙をメールで送ったところ,手直しは応じている。請求は今後出される予定である.引渡し期日7月31日はとっくに過ぎている. しかし、建築確認申請もしてなく,社長の信頼も失われた今,建物と工事全体に対する信頼が揺らいでいる. 今となっては,いいかげんなものを作っても建築確認申請をしなければばれないから、という目的であったとしか考えられない. [業者の見解] 上記の交渉は、現場監督のIと、契約社員であり社長の信望の厚いKによって進めることが出来た.社長は、面倒なことから逃げるタイプの人間のようで,監督に「もう金のことはいいからぜんぶ施主の良いように直して早く終われ」と言われ,ようやくI監督の采配で工事が進められるようになった.また社長が切れて「もうやめだ!引き払え」と言われないように,「怒らせるようなことは直しを全部やってからのほうがいい」ということで、建築確認申請の請求は工事終了後にしようと思っている。 業者の見解と言っても,社長が誠意ある対応をしないので、話も出来ず,何を考えているのかは不明です. [相談内容] 建築確認申請請求をしたほうがよいかどうか。 建築確認申請を請求した場合、図面などの書類作成費用は別途請求されるのか. その請求は妥当なのか. 建築確認申請をした場合考えられるメリットとデメリットは何か. 契約書に、瑕疵があった場合の対応が明記してありません. 対応を要求できますか. 契約書の注文者 甲は配偶者のS.T.なのだが、 署名はわたし S.N.になっている。 これでもちゃんとした拘束力のある契約書と言えるのか? このように一事が万事ずさんな会社です. このような事例の場合, 以後施主であるわたしはどのように行動を起こしたら一番支払いを少なく出来るでしょうか. 趣味の庭や、愛猫とすごせるホビールームを楽しみに工事を依頼したのに 「金が無い」だの、 やりなおしを命じられる大工の不機嫌に付き合わされたり, 夏休みに遊びたいから間に合うように、と頼んだのにいつまでもぐちゃぐちゃの工事現場であったり、 慰謝料を要求したいくらいなのですが. 安易に社長の人柄を信じて工事を依頼した私もあさはかであったとは思いますが, 始めは調子のいいことを言って だんだん金をせびるヒモみたいになってきた社長は詐欺師と同じだと思います. どうか適切なアドバイスをお願いいたします. |
yorozuの感想 | 事例が多く載っていて,かなり参考になりました. 専門知識も得られましたが,工事を発注する前にここを見て勉強しておくべきでした… |
アドバイザー | |
藤井 修 | 名古屋の藤井です。 まず、法律は守られた方が良いのではないでしょうか、そもそも確認済証がなければ工事はできません。 工事がほぼ完了した後での確認申請では内容によっては仕上げ、換気など大きな手直しが必要な場合があります。 工事について設計図の不足や仕様書が不十分ではお互い、使用する材料に認識の差が出るのは当たり前です。 しかし錆びた材料を使うなどは言語道断とも言えます。 工事費の残金が未払いということなので、納得できない工事内容や工事期間の延長などを条件によく話し合って対処されるのが良いと思います。 |
久米 能子 | 久米と申します。 まず、確認申請のことですが、本来確認申請はしなくてはならない規模のように思います。10平米以上の増築は確認申請を行わねばならないからで、ご相談の内容から10平米は超えているであろうと推察いたします。 法によって決められていることを、今更、メリット、デメリットでするかしないかで判断に迷うご相談というのは、不思議に思います。確認申請が必要な工事規模であるならば、議論や迷う余地などありません。法律で決められたことを守らねばならないのは、小学生でも良く知っていることです。 契約書の内容が不備であることで工務店を責められていますが、そういう契約書で契約されたのはSNさんご自身でしょう。不備の責任は、半分はあなたにあるはずです。 つまり、この仕事を、そのような適当な契約書で図面もろくにないまま工務店に依頼された以上、工事もいい加減でいきあたりばったりで当然ということです。図面もちゃんと無いのに、どうやって明細を出すのでしょうか。そんなことが可能なはずはありません。出してきたところで、何の信頼もない明細でしょうし、それが正しいかどうかもチェックすることも誰もできませんから、明細の提出をさせること自体、もはや、殆ど無意味です。 手直しには一応応じているとのことですから、忍耐して、時間がかかっても、よく話し合いながら最後まで進めるか、あるいは、この工務店にこれ以上お金を払いたくない、また付き合いたくない、というのであれば、切りのいいところで工事を止めて清算し(勿論、その清算にもかなり労力のかかる話し合いが必要でしょうが)、いっそのこと、残りはまた、別の業者に依頼することです。 確認申請については、その工務店でできなければ、今からでも他の、建築士の資格を持っている人に相談して行ってください。 着工後ではありますが、役所は確認申請について相談にのってくれるのではないかと思います。本来は、着工前に出すべきものですが、完了していないのですから、手続きをする余地はあると思います。 あるいは、まずSNさんご自身が役所の建築審査課へ出向いて、ことの状況を正直に説明し、確認申請をするよう、工務店を指導してもらってもよいでしょう。申請をしないで着工してしまっていることは当然問題ではありますが、これからでも改善しようとしている人に対しては、相談にのってくれるはずです。但し、法に適合していない部分を是正しなくてはなりませんから、そのための新たな工事が発生する可能性はあります。 法律上の問題だけでなく、確認申請をきちんと行っておかないと、SNさんの大切なお家の価値も評価されずに結局、将来損をすることになります。 尚、その際の申請のための書類作成の費用は、当然、SNさん持ちです。申請者はSNさんご自身なのですから、当たり前です。 また、よく認識していただきたいのですが、仮に施工業者がめちゃくちゃな工事をして、法律違反をしていたとしても、最終的な責任は、建築主にあります。法に適合するよう、確認申請を行ってその申請に合致した工事内容を完了させる義務は建築主にあり、現に、お金を払ってそのような工事をさせているのは、建築主のSNさんだからです。 素人であって、専門的なことはわからないという理由で、当然施工業者の責任もありますが、建築主の責任は免れません。 ご相談のような工務店は、まだまだ沢山居ます。本人たちは昔から、契約書なんてなくても、適当に仕事をしてお金をもらってきたので、自分のやり方が悪いとはなかなか気づかないようです。自分の落ち度について理解さえできない人たちに、物事の筋道を立てて責めても、全く通用しません。 施工業者の選択は、本当に慎重にしなくてはなりませんが、しかし、それもなかなか難しく、そういうために、建築主が一人で悩まずに済むよう、私たち設計事務所が居ると思っていただきたかったものです。 |
堀住 勝雄 | 解説委員の堀住です 確認申請について 工事が始まってからの確認申請は基本的には不可ですが役所に相談すれば救済措置が無いわけではありません。確認申請は建築主であるSN様ご自身に義務づけられているのです。 瑕疵に対する要求について 住宅品質確保促進法、建築基準法の範囲で要求できます。材料の善し悪し、好き嫌いは補償されません。最低限度の構造強度、雨漏りなどの使用上の不具合などが対象とされます。 契約書の効力について 書類がどうあれ、例え口頭のみでも工事契約は有効と見なされるでしょう。 今後の対応について 対応は二通りあると思います。一つは早急に工事ストップを掛け現在までの掛かった金額を払って解約することです。後を引き受けてくれる業者を探すのは大変困難です。 もう一つの方法は工事金額の増額は無いことを宣言してI監督さん主導で工事を続行してもらうことです。こういう方は話のしかた(持ち上げ)によっては金額以上の仕事をしてくれるかもしれません。どちらかを決めて文書で通告して下さい。損害賠償は結果として具体的に金額で表せる損害が発生しない限りは難しいでしょう。 |
関口 啓介 | 関口と申します。 建築確認申請については、新城市役所にお問合わせ頂いた方が良いかと思われます。 都市計画区域外であれば、建築確認申請は不要の規模となります。 ただ、その場合においても工事届けは出して下さいと言われるかと思われます。 都市計画区域内であれば、建築確認申請が必要となります。堀住解説委員の言うように行政の指導に従って手続きを進めて下さい。 契約内容の不備については双方に責任があるようにも思われます。 「お金がないから」は何をもってそのように言っているのかわかりませんので、今からでも明細を出して頂くべきでしょう。 建築行為とは現場での単品で手づくりの部分も多いため、全てを図面や明細に網羅できるわけではありません。 出来うる限りの事を事前に図面や明細に記述してあっても不備はあり、問題もおこりうるため、殆どない状態ではトラブルになるべくしてなっていると言っても良いかもしれません。 一度仕切り直して、行政手続の件、工事金額の件等、お話し合いをされると良いかと思われます。 |
コメンテーター | |
津村 泰夫 | コメンテーターの津村です 担当者のパソコンの調子が悪く、対応遅くなり申し訳ございませんでした。解説員の皆さんのアドバイスを参考にしてください。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | なんとなく人柄で、全てが曖昧なまま、進めたようですね。 確認申請を無視する業者に人柄がよいはずがありません。何故ならば、法的義務も果たせないで、どんな人柄と判断したのでしょうか?そもそも、確認申請は建築主が提出するものです。 知識は無くても法制度はそのようになっております。 いい人に見えたとしたら、きっと貴方の目に別な要素が働いて、本来の見方を狂わしたのでしょう。 それが何かを再度反省をして、行政に確認申請の届出を出すべきです。 そして、目を再度拭き取って、曇りの無い目で再度、進めてみてください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | ていねいなご回答くださった建築士の皆様,ありがとうございました。 その後,知り合いの設計士(都市部)に指摘してもらった瑕疵部分の数々は直させ,基礎がずさんだったデッキも束石を付け直し,補強しました。 未施工の90万円ほどの減額要求にも応じ、請求書を作成してきました. 保証書を作ってきたので別の設計士(地元)に相談に乗ってもらったところ,R社にしてはよくできた保証書だとのことでした。 R社のIが 「これはどこかの会社のパクリなので確かな内容だと思う.どこのパクリかは社長は教えてくれなかったが・・」と言って持ってきたものなので,内容は通常の保証書であるらしいです。 ただ、設計士が言うには保障期間を超えたあたりでないと瑕疵が現れない場合が多いし、逃げようと思えばのらくら逃げられる文面であるから.保証書は役に立たないことが多いという話でした. なので、支払いをする前にきちんと納得の行くようにしてもらうことが大事で,お金はなるべく払わないでおいたほうが良いとのアドバイスでした. R社はお金さえもらえばあとは知らん顔だと言う、この辺の業界では常識の話のようで,R社の名を出したら「悪いとこにはまっちゃったね」と気の毒がられました。 業界内だけでなく、悪徳業者の名はどこかで公開して欲しいものです・・ 建築確認申請に付いては, その設計士(地元)の話ではこの地区は都市計画区域外であるので確認申請義務はある要件(特殊建築物など)以外は提出義務は無いとのことでした。 本宅を大手工務店で建ててもらった時も, 「ここは無指定地域なので、わらぶき小屋でもなんでも建ててよいです」と言われました. 関口様のお話に従い,市役所の都市計画課の担当者に話を聞いたところ,上の設計士の話どおりでした. 計画区域外では、法の規制はないかわりに建築主の自己責任ということでしょうかとたずねると、まあそういうことになるとの話でした. ちなみに、確認申請にしても,役所が保証をするわけではなく,建築をすると言う届出を文字通り確認したと言うだけであるとのことでした. 本宅を建てた時は金融公庫を利用したので検査がちゃんとしたものだったと思います. 現金払いでは、物置小屋を建てるのも豪邸を建てるのも、この田舎では同じ扱いになると知って驚きました. そうした場合,確かな施工をしてもらうにはちゃんとした設計士かちゃんとした会社を選ばねばなりません. 何を基準に選べばよいのか素人にはわかりません。 今回いろいろ学びましたので次回はきっちり管理してくれる設計士と腕の立つ工務店で施工したいものです. |
その後 |
〒181-0001
東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号
TEL 0422-24-8768
FAX 0422-40-0107