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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No. 1120 勝手口扉が擁壁に干渉し全開しないのは?

 相談概要 [氏名] H.H
[相談内容:] 建売住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 横浜市磯子区
[職業] 会社員
[年齢] 38
[男性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦2006年8月31日
[公庫は使わない] on
[何階建て] 2階建て(地下車庫有り)
[延べ面積m2] 98(別途地下車庫19)
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 5000
[設計監理料] 0
[様態] 建売り住宅
[施工者] 地場大手ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] −
[監理者を選んだのは] −
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] -
[確認申請の為の委任しましたか?] -
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] −
[設計図面は何枚もらいましたか?] 5
 相談内容 [現象]
 建売住宅の内覧及び引渡し前ですが、勝手口のドアが外のコンクリート擁壁にぶつかり全開しません。
 施工前から売買契約をした買主として、基礎工事が終わった頃にそのおそれを感じ、売主の設計士にその旨問い合せたところ、図面をみながら全開しないことはないと言っていました。
 建物がほぼ完成したので現場確認したところ、やはり全開しません。いったい全体どうなっているか、前出の設計士に問い合せたところ、設計時点ではコンクリ擁壁の積み方によってはそのような可能性も予見していたという回答でした。基礎工事終了の頃の当方の問い合わせに開かないはずはないと言ったのは、コンクリ擁壁がそこまで高くなっているとは当時、気付かなかったからとのことでした。

 当方は売買契約時にドアが全開しないかもしれないとは一切説明を受けておらず、売買契約時にもらった建築確認申請の図面をみるとドアが全開するよう描かれており、そういう物件を買うつもりで契約をしたのだから契約違反だと追及すると、その設計士は、全開するつもりで設計してましたと語りました。

 本件について売主側の対応を求めると、売買契約の頃に対応していた営業担当者が調整に出てきて当方の要望を聞いてきました。

 当方としては、そんな稚拙な設計なら他にも何かあるかもしれないので、安心できる住宅に住むためにはまず第三者専門家にみてもらい安全性を確認し、そのうえで購入の判断をしたいし、買う場合は現在の契約代金で買うことはできない旨希望を伝えました。
また、各種開発や建築に関わる図面等の書類の提出を依頼していたのですが、それを再度念押ししました。
 ちなにみ売買契約時、第三者専門家にみてもらうことについては、口頭ですが、その営業担当者は認めていました。

[業者の見解]
 営業担当者は上のものと相談した結果、第三者専門家を入れることは認められないと伝えてきました。
 また、提出を依頼していた書類については、今後の話し合いということで保留になりました。

[相談内容]
(1)買主には、第三者専門家にみてもらう権利はないのでしょうか。もしくは、売主は、買主が第三者専門家を入れたいという希望を拒否する権利があるのでしょうか。
  また、本件のように、既に売主の不手際があるような場合でも、売主は拒否し続けることができるのでしょうか。

(2)売買契約をキャンセルしたいと判断した場合、勝手口のドアが全開しない点や、第三者専門家を拒否することを理由に、キャンセルできるのでしょうか。
  その場合、契約上の違約金(売買代金の20%)を当方が支払うような事態を回避することができるでしょうか。
  また、オプション施工を依頼しており既に100万円近く支払い、施工もしているのですが、それらの支払いを折衝で取り戻すことはできるでしょうか。

(3)購入してもいいと判断した場合、勝手口のドアが全開しない点や、その対応が不信感を生じさせるものだった点からすると、どれぐらいの売買代金への変更が妥当でしょうか。

以上、よろしくお願いいたします。
 yorozuの感想 自分の身に降りかかって初めて、HPのことを知り、拝見しました。
 建設や不動産の契約においては、知識や情報量の点で、売主と買主は対等ではなく、売主の方が圧倒的に有利です。
 つきましては、藁をも掴む思いの消費者としては、このようなサイトがあること、心強く思います。
アドバイザー 
今井 優子 解説員の今井です。

 勝手口が全開しないことが、この家を購入する決断をした他の要素全てを、打ち消してしまうのであれば、そのことをきちんと説明して、解約されれば良いと思います。
 その際の違約金については話し合いでしょう。
 そもそも建売物件ということですから、初めから勝手口はないものとして取り外し、補修して新たに売りに出すことも出来るわけです。

 オプション工事の代金については、その工事がどのようなものかに拠りますが、一般的なグレードUPであれば別の人に販売するときにも支障はないでしょうから、返金も可能かもしれません。
 しかし、H・Hさんの個人的な嗜好の強い内容だった場合は話し合いになると思います。
 場合によっては、現状復帰(原設計復帰)の費用を請求されることも考えられなくもないのでは・・・・。

 法律家ではないので断言は出来ませんが、勝手口が全開しなくなったことが、それ以上の重大な瑕疵の内在を疑う理由として妥当かどうか、難しいところではないでしょうか。
 あるべきことではないですが、しかし、単純なケアレスミスのような気がします。こう言ってはなんですが、建売の設計なんてそんなものです。

 あなたにとっての、その家の価値が勝手口の不備を差し引いても、購入に値するのであれば、勝手口を引き戸にするとか、前向きな対応策も考えてはいかがですか?その費用を売主が負担すると言うのは筋の通った話だと思います。

 勝手口は開かないけど、不信感はあるけど、値引きしてくれるなら買うというのも変な話だと思います。

 不安を解消すべく、第三者専門家に検査を頼むのは悪いことではないですが、その費用を売主に負担してもらおうとするのなら、売主が拒否するのも無理ないでしょう。あなたが費用を負担して行う分には拒否する理由はないはずです。

 ただ、今の時点で安全性をみるといっても、破壊検査までするなら別ですが、見れる範囲は限られています。
 もし、破壊検査をして、瑕疵が無かった場合は復旧の費用も発生します。

 図面等の提出については、当然の要求だと思いますので、購入するならきちんと提出を受けてください。

 最近は多くの人が誤解をしているように思うのですが、家というのはどんな場合も、その敷地に一つづつ現場で、人の手で作る一品生産品です。
 試作を繰り返し、テストを重ね、不備を改善し完成度を高めて、生産ラインを整えてから生産する工業製品とはどうしても精度が違うのです。
 人の手で作るものですから、「受忍の限度」という尺度も存在します。
 コメンテーター 
久米 能子  コメンテーターの久米です。

 ご相談の、「権利があるかどうか」や、「できるかどうか」の各内容については、何かそれらの可否を判断する基準のようなものがあるとお考えでお訊ねなのかもしれませんが、そういうものは無いと思っていただきたく思います。このような個別のケースについては、物事の筋とお互いの考えの折り合いのつくところによって結論がでることでしょう。

 しかし、結局は、H.H.さんがトータルで判断して、その家がやはり「欲しいかどうか」にかかります。
 これは基本的に初めから内容が決まっている完成された建売物件の売買であり、請負契約を結んでH.Hさんのためだけに行われる建築工事とは別のものだからです。請負の建築工事ならば、問題箇所の対処法を考えて完成してもらって引き渡してもらわねばなりませんが、そういう物件とは根本的に異なることをまずご理解されねばなりません。

 厭だと思えば、違約金を払ってもキャンセルされるべきでしょうし、欲しいと思えば、ご自分の納得の行くように第三者の専門家に検査を依頼すれば良いことです。売主がH.H.さんからの個別の、通常対応していない特別な要求等に応じる必要はないと考えてもそれは当然です。

 今井解説委員も言われていますが、建売物件は所詮そういうものです。お手軽に家が手に入る代わりに、与えられたものを受け取るしかないということです。勿論、品確法の最低の保証は受けられますが、基本的にそれ以上は無理、ということです。
 事務局から 
  荻原 幸雄  (1)買主には第三者の専門家にみて貰う権利は当然、ございます。専門性が必要な建築は建築士でなければ設計も監理できないのですから・・・。
そこで、注文であれ、建売であれ、設計と監理には建築士が必ず存在します。
設計者はその時点では当たらないとしたら、建物の配置がずれたのかもしれません。この場合監理者に経緯を聞くことになりますが、確認してください。先ずは、設計者、工事監理者の説明で納得できない場合は第三者の建築士の見解をお聞きしたいのは当然あるべきでしょう。売主が第三者の建築士の検査を拒絶する権利は当然にあります。ただ、通常は自信を持って販売しているのでしょうから、拒絶することは稀だと思います。
結局、権利は双方にあるのですから、話し合いで権利の主張の調整を取ることになるでしょう。それに納得できない場合は弁護士にご相談ください。

(2)勝手口が全開しないことで、貴方が蒙る損害を精査することでの、その範囲での主張を述べることができますが、全部をキャンセルすることは難しいところです。勝手口を全開にする為には扉の幅を縮める、凹まして扉の位置を替えるなどの方法はあります。その対処でも納得できない場合全部キャンセルは難しく、業者の対応次第です。違約金やオプション費などは話し合いです。これが基本なのです。
権利を主張するのは当然ですが、相手にも権利があるのです。だから、先ずは話し合いで解決する方向を探ることが大切です。
それを拒絶された場合は弁護士の出番となります。

(3)値引きというよりも全開できない場合は先ずは業者は先の方法を提案すると思います。
その中で、扉の幅を狭くした場合の貴方の不具合を査定することになりますし、引っ込めた場合は使い勝手などの査定を勘案して費用が決まるでしょう。
設計者の説明レベルの低さ、現場管理も工事監理もレベルは低いと思われますが、何故ならば、内容的に、初期に対応してれば是正方法はいくらでもあったと思うからです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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