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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 1116 建替えかリフォームの選択か?

 相談概要 [氏名] H.K
[相談建物予定地] 兵庫県神戸市
[職業] 自営
[年齢] 56
[女性] on
[構造] −
[引渡し年月日] 西暦    年  月  日
[公庫は使わない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 120
[延べ面積坪] 40
 相談内容 [家づくりの相談内容]
現在60坪の土地に築42年の2階建て木造建築約100m2があります。私がすぐに住むつもりではないため、賃貸にしようかと思っていますが、耐震補強をする全面のリフォームでミサワホームで見積もって戴くと1700万円になり、別の工務店では、これくらいで新築の見積もりを出してきており、リフォームにするか建替にするか迷っています。建替新築が1700万円では安すぎるのか、賃貸にするには新築でないと不利なのか。

新築よりフォームの方が縁側や床の間があり、昔風のよさが出るのではないかと思ったりしていますが、工務店の方では、昭和39年ごろに建てられた家には、高い金額でリフォームするほどの価値も無いといわれ迷っています。なにかアドバイスお願いします。
 yorozuの感想 各社により余りにも金額が違うので混乱しいる時にこの様なよろず相談のサイトを知り感激です。
アドバイザー 
橋本 頼幸 解説員の橋本です。

なぜ異なった見積が出てきたのか考えてみましょう。
お尋ねのハウスメーカーの見積にしても工務店の見積にしても、見積というものをどうやって作ったかと言うことを考えてみてください。

建築工事では見積をするために元となる図面や書類は、設計図や仕様書などと呼ばれています。これは、料理を作る際のレシピといえるでしょう。どんな材料をどのぐらい使ってどのように加工・調理していくかを示すのが、設計図やレシピの目的です。

見積を比較する際に、きちんと設計ができているか、つまりレシピが決まっているか(どんな材料をどのように使うのか)を示した上で、各業者に見積をしてもらわないと、比較検討できません。
きちんと設計ができている、ということは、HKさんが「どうしたいか」ということが決まっているということにつながります。逆に言うと、どうしたいかが決まっていないと結局迷うことになります。

「おなかが空いたから何かを食べたい」という要望では、フランス料理の得意な人は「フランス料理がいいですよ」といいますし、ファミレスの店長なら「うちの店なら何でもできますよ」と言うでしょう。「どのようなものをどう食べたい」という明確なレシピを示さないと、比較することは困難です。

補修がいいのか建替がいいのかは、建物が今どんな状態にあるのか、それをHKさんがどうしたいのかを考えて決める必要があります。それがHKさんだけでできない作業であれば、設計の専門家(レシピを作る人)に相談されることがよいでしょう。フランス料理のコックやファミレスの店長を連れてくるのは、HKさんの気持ちが固まってからでも遅くありません。
山口 雅克 解説員の山口です。

 東京オリンピックのころ建てられたモノなのですね。その後の維持管理具合と震災時のダメージはどのくらいあるのでしょうか。その辺りを詳しく知りたいところです。

 いずれはそこに住むつもりで賃貸にする為に新築並みのコストをかけるのは考えものです。安い金額で貸せる程度の簡単なリフォーム(住宅設備程度)に納めるか、現状のままで貸しておくのはいかがでしょうか。自分用に新築するまでの採算を考えたものにしておくのです。安いものでもそれなりに借りたい人もいますから。(変な人はごめんですが) リフォームと建て替えで大差がないのであれば、これからの建物の寿命を思うと結論は見えてきます。新築でも今の建物のような古き良き時代のデザインや工夫は可能ですから。

 リフォーム業者や工務店でなく設計監理専業の住宅に慣れた建築士に現地を診てもらうのをお薦めします。
 堀住 勝雄  堀住です

 HK様の目的は何でしょうか、この不動産から利益を上げる目標がお有りなのか、または当分の間維持できる費用が出れば良いのか、これを検討、決定して下さい。

FM(ファシリティーマネージメント)から考えれば最小の投資で最大の利益を得る方法を模索しなければなりません。P/L(損益計算書)B/S(バランスシート)を作って試算すべきでしょう。
地域の実情がありますから一概には言えませんが全面リフォームではなく、最小の耐震補強と設備更新程度で、安い家賃設定という選択肢も検討の余地があると思います。
例えば400万円の投資で相場の7割程度の家賃という試算は成り立ちませんか。

http://www.asahi.com/housing/diary/

この方のように古い家でも生活を楽しんでいる方もいらっしゃいます。
 コメンテーター 
久米 能子  コメンテーターの久米と申します。

 色々な意見が出てきましたね。建物に対してどういう視点に立って見るかで、HKさんが既に相談された工務店をはじめ、各解説委員のように、考え方は変わるものです。まず、HKさんの考えを書き出してみるなどして整理してみましょう。

 私は、当面利用方法の無い建物なら、堀住解説委員の言われるような改修が良いように感じます。
 建替えたあとは、当然固定資産税もあがりますから、維持経費も変わってきます。また今、昭和ブームという流れもあることを考えると、古い建物に安い家賃で住むことに魅力を感じている人は少なくないように思います。借りてから、家主の承諾を得て、自分でリフォーム(表面の仕上程度)させてもらっている人も居るくらいです。建替えはいつでもできますが、壊したものはもう手に入りません。古い家屋の木の匂いや風情を、私は愛おしく感じます。

 ただ、人に貸す以上、人命は守れる建物にしなくてはならないと思います。ですから、最低限の耐震補強は必ず行ってください。地震の際、建物は壊れても人の命は守れるように。

 一方、ご自分たちがじきに住まれる計画があるのならば、新築もよいでしょうし、リフォームの道を取るにしても、予算が許す範囲でできるだけのことはしましょう。ただ、お金をかけてリフォームをしても、リフォームには限界がある場合があり、新築と同等の耐震強度が必ず確保できるわけではないということは憶えておいていただいたほうがよいでしょう。
 事務局から 
  荻原 幸雄  いづれ住む土地であるかもしれませんが、解説委員の説明のとおりどのように考えるか?そして、どれが貴方も満足できるか?です。

現在は漠然とコスト比較をしているだけです。それぞれは自分の得意分野を説明しているだけですから途方にくれますよね。彼らの仕事は客観性よりも得意なことを売り込むことにあります。
私たち独立性を確保した建築設計事務所は得意なことは客観的に説明できる点にあります。
さて、整理しましょう。

1)賃貸として貸す間取りや仕様は住宅として住む家とは違う。ということです。
当然、コストを抑えること、メンテナンスを容易にすること。ハードな使い方に耐えること。
2)賃貸と決断した場合は最小限の耐震補強と不具合の部位だけにして、コストバランスを考慮する。堀住解説委員が説明している通り、400万円程度で賃貸の場合出費を抑える。

その後、貴方が住む場合は再度、リフォームを施し、自分の住まいとしての要望を入れる。
3)建替えを考える。この場合は賃貸と貴方が最後の住みかとするプランのバランスに矛盾することも多いので、その後のリフォームが必要になるかもしれません。

わたしからのアドバイスとしてはハウスメーカーのリフォームも工務店の提案も今回の場合は否定的です。400万円程度の最小限の耐震補強リフォームとして、賃貸とすべきです。

その後、ご自分が住まうときに、その時に体の健康状況、資産状況、家庭環境、住まい方の思考方法を総合的に判断して、再度のリフォームをするか、建替えるか判断する。できるだけ、リフォームで対処して欲しいと思います。

これらのライフステージを考慮しつつ段階的なリフォームをする場合は客観的なアドバイスをもらえる設計事務所に依頼することをお勧めします。安全安心そして、楽しく暮らせる最後の住みかになるよう願います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 よいアドバイス有難うございました。
私も阪神震災後、屋根瓦、外壁等 手を加えましたので、本来は最低のリフォームで賃貸したいところですが、駐車場が無いと借りる人がないとか築40年の家を借りる人がいるとは思えず新築にした方がよいという気分になっていました。
建築士に現地の調査を依頼したく思っています。
 その後  
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