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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 1113 地盤沈下の保証はできないと言われているが?

 相談概要 [氏名] A.S
[相談建物予定地] 長野県諏訪市
[職業] 医師
[年齢] 34
[男性] on
[構造] わからない
[引渡し年月日] 西暦    年  月  日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 43
[工事請負金額] 3400
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 大手ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
 相談内容 [家づくりの相談内容]
全国でも有数の軟弱地盤である長野県諏訪市に土地を買い、住宅を建築予定です。
地盤調査の上やはり軟弱地盤であり、地盤改良が必要となりました。メーカーにて推奨された地盤改良をしても、広域地盤沈下地域であるため、いわゆる品格法における主要構造の補償ができないといわれました。
地盤が悪いのでどのような対策を立てても、リスクを確実に下げることができず、補償した場合の採算がとらなくなるから、地盤沈下に基づく構造体の異常に対して補償ができないといわれました。
すなわち建築後10年間で起こる構造体の異常についてもメーカーが一切補償ができないといわれました。

従って契約の際は、構造補償できない旨の契約書を交わすとのことです。品格法で守られる範囲内で地盤によって適応外となってしまうことがあるのでしょうか?
補償のない上で有償な地盤改良をし、さらに不同沈下が発生した場合には有償となるのであれば消費者としては納得しがたいところでありますが、法律的にはいかがなものなのでしょうか。

すなわち、メーカーが言う所の地盤に関連する構造体の不具合が通常補償期間内10年の間すら保障されないというのが合法的なことかどうか、またそうだとすれば消費者としてどのような別の保険なり、補償なりをかんがえていけばよいか教えてください。
 yorozuの感想 検索が難しいのですが、ワード検索みたいなものはできないのでしょうか。
アドバイザー 
藤井 修 解説委員の藤井です。

品確法は新築住宅の構造耐力上主要な部分(基礎、壁、柱、屋根、床、小屋組、土台、筋交い等、仕上げ材などは除く)と雨水の浸入を防止する部分(屋根、外壁、外廻り建具の取り付け部分など)などに瑕疵がある場合10年間は保障の対象になります。
その場合、地盤の状態にかかわらず適応されます。
契約で保障期間を限定したとしても品確法で定められた箇所の瑕疵担保責任は10年間義務づけられています。
現実の問題として建築に見合った方法で地盤の補強は可能でしょうから、十分に検討することです。
清水 煬二 解説委員の清水です。

藤井解説委員の述べているように、地盤の不具合によるものでも、構造体に関しては10年間保証しなければなりません。それが、品格法です。ですから、そのハウスメーカーの述べていることは矛盾しています。特定の地域全体が除外されるということは、無いはずです。
契約書にどう書こうが、それは認められないはずですが、その特記事項を書いた解約書にサインをしてしまうと、認めさせるにはあれこれと裁判などを行うことになり、面倒になるはずです。
そこまで企業のエゴをむき出しにして、建て主に押し付けてくるメーカーとの契約は、余計なコメントかも知れませんが、お止めになった方が良いでしょう。
構造体に関して10年も保証できないようなメーカーであれば、そこで建てる意味がないと思います。

地盤改良に関しては、本体業者経由で第三者の保証が付かないのであれば、私の事務所では、地盤業者に直接依頼して、必ず第三者の保証が付くように行っています。
地元の信頼できる建築士などに依頼し、地盤改良の専門業者経由で損保会社の第三者保証が付くかどうかを確認してください。
堀住 勝雄  解説委員の堀住です

 大手ハウスメーカーとありますが特定の1社のみ決めて話し合われていらっしゃるのでしょうか。それとも何社かに聞いて各社とも保障できないと言う事でしょうか。

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により瑕疵担保期間10年間は義務づけられており、延長は出来ますが短縮または無しには出来ない決まりです。

もう一つ疑問なのは お買いになった土地は新規に開発されて未だ近所に家が建っていない地域なのでしょうか。もし建っているのなら近隣の家はどのような基礎でどのような問題が起こっているのでしょうか。

 このような困難な地域の場合、誰かがリスクを負担しなければなりませんが、地域なりの有効な基礎構造を施工する業者も存在するのではないでしょうか。時間を掛けて探して下さい。大手のみが技術を持っている訳ではありません。 
 畔上 廣司 解説委員の畔上です。

A.Sさんには、「品確法」をご勉強したご様子、家を手に入れるまでは本当に大変ですね。
専門家でも法律上の解釈について異なる場合がありますが、地盤保証については必ずしも品確法によって10年保証されているものではないと考えられます。以下、解説します。

まず、品確法では10年間の瑕疵担保責任の対象となる部分として、三つの項目を掲げていますが、一つ目の10年間の瑕疵担保責任の対象となる基本構造部分である構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分についてと三つ目の10年間の瑕疵担保責任から除外される住宅については省略します。

では、問題の二つ目「地盤の扱い」について、全文を掲げてみましょう。
「住宅の地盤は、基本構造部分に含まれないが、住宅の設計・施工を行う場合には、その前提として地盤の状況を適切に調査した上で、調査結果に対応した基礎の設計・施工を行うべき義務があるため、例えば地盤が軟弱であるにも係らず、地盤の状況を配慮しない基礎を設計、施工したために不同沈下が生じたような場合には、基礎の瑕疵として本法の対象となる。」 と、記述され、部分的な特定なく明確でないことが分かると思います。

(財)住宅保証機構では最近、「住宅性能保証制度と連携する地盤保証制度」が開始されましたが、この制度は基礎の瑕疵が原因で不同沈下と判断された場合は当然10年保証対象でしたが地盤が原因で不同沈下が発生した場合についても保証対象になったようです。

「品確法」によれば、基礎の瑕疵が原因であると判断されれば瑕疵担保責任を履行する義務があり、地盤に対応した基礎を設計・施工することが求められているわけですが、実際は、軟弱な地盤や切り土・盛り土を行った造成地にも住宅を建てなければならない現状があります。不同沈下の発生は住宅の設計・施工等だけではなく、地盤調査の結果が適切であったか又は地盤改良工事が適切になされていたか、さらに宅地造成が適切であったかなど様々な原因も考えられ、その原因の特定は非常に難しいものでしょう。
つまり、非常にリスクを抱えた地盤保証は「品確法」による基礎の瑕疵対象に連鎖することから、工務店やハウスメーカーも二の足を踏み拒んでしまうのでしょう。地盤保証は基本的に信用信頼ある地域の地盤会社等による発行になると思います。

「品確法」による地盤の保証は。義務や配慮を守っても生じてしまった瑕疵については記述されていませんし、具体例は不同沈下の場合だけです。したがって、堀住解説委員も申し上げておりますように地域の工務店等や複数の建設業者に保証内容を聞いてみること、近隣の状況確認を行なうなど、ご自分の家づくりにジックリと時間をかけて欲しいものです。 
 コメンテーター 
長谷川 明弘 コメンテーターの長谷川です。

解説員の言う通り、地盤での保証が出来ない等のケースは私も聞いた事がありません。
その地盤に対して、かならずなんらかの地盤改良の方法があるはずですので、しっかり情報収集してみてください。もし1社だけに依頼問い合わせをしているのなら、他の建設業者にもヒアリングしてみてはいかがでしょうか?
 事務局から 
  荻原 幸雄 品確法の保証は地盤そのものは保証書には記載されません。但し、取り扱いとして地質調査、設計、工事監理、現場管理が全てに於いて問題なく実行された場合の後に地盤に起因する瑕疵があった場合は保証対象とするようですが、この取り扱いが曖昧になっているのが現状です。

何故なら、地質調査、設計、工事監理、現場管理が全てに於いて問題なく実行された場合は不具合など起こりようが無いからです。このどれか一つに問題があれば保証しないのですから、結局は保証しないといっているのと同義語です。

その曖昧な問題が多々ある為に畔上委員が解説しているように「住宅性能保証制度と連携する地盤保証制度」が開始されました。この制度を確認されるとよろしいと思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 解説委員の皆様へ
皆様大変お忙しいところ詳細なコメントを下さりありがとうございます。
コメントいただいた点に追加しながら書きます。

購入した土地は造成前は田んぼであり、平成17年6月に宅地造成され、13区画あります。
既に1戸は完成して住民もおり、あと2件は建築途中です。建ててあるところがどういった地盤改良をしているかは不明ですが、基礎はべた基礎のようでした。
今のところ建築された建物には目立った異常はないように思えます。また周辺の既存の住宅も著しく不同沈下を起こしていると思われるものはないように思います。
もともと諏訪にゆかりはなく仕事の関係で定住するつもりなので地元工務店はよくわからないため大手ハウスメーカーと交渉してきました。

今回、地盤が悪いことでの基礎など構造体の保証があるかないかにつき問い合わせたのは、S、SH、I、SRの4社です。実際、見積もりなど取りながら本格的に商談しているのは前3社です。
その上で各メーカーの回答ですが、SH、Iの2社(SRもですが)は指定された地盤改良をするならば、地震災害などを除けば保証の範囲内であるという十分納得のいく返事が文書で得られました。
今回、皆様に相談したような回答をよこしたのがSです。

私の同僚も同様にSから今回ご相談したように保証できない旨いわれたとのことです。その方は他メーカーにて40mの鋼管杭による地盤改良を受けたてています。
Sがいうには、関係省庁などにも確認したが、その対応で合法であるといっています。
建物そのものの提案については実際交渉している3社の中で一番よいことから、少し迷っています。試験的に節つき柱状改良なる方法をモニター価格で提供できないか打診していますが、それでも保証はつかないということです。

一方、SHは現時点で地盤調査をしていないものの恐らくは柱状改良となり、その上で保証する。また、Iは地盤調査をスウェーデン式で20mまで施行した上で17mの鋼管杭にて対応し、その上で保証するといっています。
ちなみにHも10mの地盤調査済みで表層改良のみで、その上に鋼製土台を組み、万が一不同沈下がおきたときもこれをもちいて200万円程度で安く傾きを直せるようにするとのことでした。

現実的には保証するといっている2社のうちで契約を考えていますが、地盤改良法も各々異なり、どれを信じていいのかわからないというのが本音です。
メーカーの評判はネット上、書籍でも千差万別で結局担当者によりけりという感じですが、契約前はみんな誠実な対応をしてくれるため、選別が難しいところです。
もう少し熟慮の上、メーカー選定を行いたいと思います。
現時点での状況はこんな具合です。

我が家を手に入れる前に読むQアンドAは熟読して参考にさせていただいています。
さらなる経過はまたご連絡したいと思います。
お答えいただき、少し安心いたしました。
トップメーカーが必ずしも全てにおいて進んでいるわけではないことがはっきりしました。
今後とも宜しくお願いします。
本当に助かりました。
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