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一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 1109 暴力的なお客の仕事について

 相談概要 [氏名] H.E.
[相談内容:] その他
[相談建物所在地] 埼玉県
[職業] 建築業手伝い
[年齢] 31
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦 2006   年 10 月  日
[公庫使用] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 40
[工事請負金額] 二千数百
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] −
[監理者を選んだのは] −
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] -
[確認申請の為の委任しましたか?] -
[確認申請書お持ちですか?] -
[検査済証は有りますか?] −
[設計図面は何枚もらいましたか?]
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?]
[床面積] −
[施工者名] E
[販売会社名] M工務店
 相談内容 [現象]
私の家は小さな工務店ですが、今回注文で家を建てたのですが、お客の対応が悪すぎるのです。

最初に入金されるはずのお金の公庫も手続きを自分でやるといって、やり方を間違えたらしく、最後にしかお金が下りなくなってしまい。
また、別の方でやることになり、支払いが遅れていますし。
本を見ているらしく建ててから一月も経っているのに今だサッシの種類も決まらず、断熱材も金は無いけど高いのにしてくれとか無理難題を押し付けてきます。
サッシを決めてしまわないと仕事が進まないと言ったところ、逆切れされて家の棟梁の胸倉をつかんで殴りかかられそうになりました。

他の方が寸前で止めてくれましたその場は収まりましたが、うちもこれ以上このような暴力的な人の仕事はしたくないので、何とか解約できないかと思い。土建組合の弁護士に相談しましたが、胸倉をつかまれて罵声を浴びた程度では解約できないといわれました。
今度は止めないで殴られた方が良いとも言われました。
正直ひどい弁護士だと思いました。
何とかよりよく解約できる方法はありませんでしょうか。

こちらは、暴力的な上に何事においてもぐずぐずして決まらないうえに10月までには終わらせてくれと無理難題ばかりではやっていく自信がありません。
家は、小さな工務店で今までこのようなひどいと人とは会った事がありません。
何とか今までの手間とかかった費用を確保できて、解約できる手段はありませんか。
どうか、小さな工務店をお救いください。家の父親も困っているようで、こちらも心配でしょうがありません。
とても困っています。よろしくお願いします。
よい知恵をお貸しください。

[業者の見解]
今だ謝罪もありませんし。
紹介人によれば穏便に続けて欲しいと言っています。
一度決まったと思ったらまた、これがいいあれがよいと、なかなか決定しない事が続くようなので、仕事が出来なくて空いてしまうこともあります。
なにか言うと逆切れされたのではこちらも仕事にならない上に恐怖や精神的苦痛で参ってしまいます。
このままでは、手間代とかも赤字になりそうですし、なんと言っても暴力的な人の仕事は避けたいです。

[相談内容]
相談したいことは、上記にも書きましたが、今までかかった手間代は確保できながら、解約をしたいです。
これ以上暴力的な人とは精神的にもやっていけるか心配ですし恐怖心を持ちながらでは仕事に集中も出来ません。
何とかお願いします。
 yorozuの感想 お客様の相談が多そうですが、建設業者もひどい仕打ちを受けてることを書いて欲しいです。
悪徳業者に泣く人もいれば、その逆で悪徳な客に悩まされる建築業者もいるということを知ってもらいたいです。どうぞ妙案をお聞かせください。よろしくお願いします。
アドバイザー 
橋本 頼幸 解説員の橋本です。

ご相談の内容は、設計監理者を入れずに「工事請負契約(公庫融資付き)」をしたと考えてよろしいでしょうか?
となると、きちんとした契約書や請負契約約款というものがあると考えます。それらがあれば、契約書・約款に基づいて解決をはければいいでしょう。
契約である以上、建築主(契約書でいう甲)と施工者(同乙)は対等な立場で契約をしています。対等である以上、甲にも乙にも中止権・解除権が設定されているはずです。その約款の中に以下のような文章はないでしょうか?

---引用---
第○○条 乙の中止権・解除権
(1)つぎの各号の一にあたるとき乙が相当の期間を定めて催告してもなお甲に解決の誠意が認められないときは、乙は、工事を中止することができる。
a甲が前払または部分払を遅滞したとき。
b甲が正当な理由なく第12条(3)、第22条(4)または第23条(2)による協議に応じないとき。
c甲が工事用地等を乙の使用に供することができないため、または不可抗力などのため乙が施工できないとき。
d前3号のほか、甲の責に帰すべき理由により工事が著しく遅延したとき。
(2)つぎの各号の一にあたるときは、乙は、この契約を解除することができる。
a前項による工事の遅延または中止期間が、工期の1/3以上になったときまたは2ヵ月以上になったとき。
b甲が工事を著しく減少したため、請負代金額が2/3以上減少したとき。
c甲がこの契約に違反し、その違反によって契約の履行ができなくなったと認められるとき。
d甲が請負代金の支払能力を欠くことが明らかになったとき。
(3)前各項の場合、乙は甲に損害の賠償を求めることができる。

第○○条 解除に伴う措置
(1)この契約を解除したときは、甲が工事の出来形部分を引きうけるものとして、甲・乙・丙が協議して清算する。
(2)甲が第25条(2)によってこの契約を解除し精算の結果過払があるときは、乙は、過払額について、その支払をうけた日から法定利率による利息をつけて甲に返す。
(3)この契約を解除したときは、甲・乙・丙が協議して当事者に属する物件について期間を定めてその取引・あとかたづけなどの処置を行う。
(4)前項の処置が遅れているとき、催告しても正当な理由なくなお行われないときは、相手方は代わってこれを行い、その費用を請求することができる。

---引用終---

この文言は当方が用意している約款を引用しましたので、公庫申込みの際に添付されている約款やいわゆる民間連合(旧四会連合)の約款と少し文言や条文の番号などが異なるかと思います。

ご相談では「支払いが遅れている」とのこともありますし、「支払い能力を欠く」ことが明らかであれば、それを基に契約書に基づいた中止・解除が可能だと思われます。
また、約款には「解除に伴う措置」も決められていると思いますので、それに基づいて、出来高部分を精算することが可能です。

ちなみに、この約款の”丙”は、監理者を示します。
ご相談の内容では、設計監理者が入っていないと推測されますが、設計監理者とは単に工事中の出来不出来をチェックするだけではなく、とかく悩みがちな建築主に適切なアドバイスをして、予算やイメージの共有をすることで工事がスムーズに進むように取り計ることも大切な仕事です。

そのような設計監理者の役割も是非認識して下さい。
久米 能子 解説員の久米と申します。

 確かに、HEさんの言われるように、建築のトラブルで泣いているのは施主ばかりとも限りません。
 素人、という言葉をふりかざす施主さんも中にはおられるようです。
 具体的にどうしてよいのか、個別のアドバイスは私もこのような相談に関わったことがないので難しいのですが、下記へ一度ご相談なさっては如何でしょうか。一般消費者ばかりでなく、施工業者さんからの紛争申請も中立の立場で扱う、と聞いています。
(紛争処理が終わるまで、工事一時中止などの書面手続きについても漏れが無いよう、訊ねておきましょう。)

●住宅紛争処理支援センター
http://www.chord.or.jp/johou/gaiyou/p4.html
http://www.chord.or.jp/


 紹介者の方は穏便にと言われているようですが、だからといって、施主さんとの間には入って特に何か具体的な力を貸してもらえるようでもないのであれば、公的な機関へ頼る以外に無いでしょう。
これまで築き上げた人間関係は最も大切にしなくてはいけないことのひとつであるとは思いますが、しかし、それを重視する余り、結果、自分自身が取り返しのつかない大変な損害を被ってしまっては元も子もありません。どこで見切りをつけるべきか、気持ちの線を引いて進んでください。

 建築に限らない話だとは思いますが、重大な問題が起きたとき、縁故や紹介というものの重みと自分自身が大切にするもの(家という財産、仕事という生計の糧など)との重みを長い目で比較し、行動することが重要と感じます。頑張って解決なさり、今後さらに良い仕事を続けていかれるのを応援します。
 コメンテーター 
木津田 秀雄 コメンテーターの木津田です。

 なかなか難しい方のようですが、橋本解説委員の言うように契約に基づいた解除請求を弁護士やADRなどを通じて行ってみてはどうでしょうか。
 契約に約款などを添付されていない場合にどのような判断ができるかは具体的に弁護士に相談するなどしないと難しいかと思います。

 いずれにしても、このまま工事を続けることで被害が拡大するようでしたらきちんと整理をする必要がお互いにあるように思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄  残念ながら「素人」という衣を武器にする建築主は稀には存在するようです。
そして、多大な要求をして、最後は問題がないのに「イメージが違う。納得できないので、工事金額を値引け」という輩です。

このような人は後々、頑張っても、エネルギーを吸われ、職人の意気高揚を妨げるもので、その結果頑張っても、よいものができなくなる場合もあるでしょう。その結果、その要因が建築主にあるのにも関わらず、建築主はそのことを不満に値引きを要求してきます。
この場合が想定できますので、ここは、弁護士に相談し、解約が可能であるか?契約書、工事進捗状況など、説明し、確認する必要があります。

また、都道府県の機関で建設工事紛争審査会というものが存在し、今回の場合のように紛争が存在する場合はそこに申し出て解決する方法もあります。
これに懲りずによいものを造るという職人の気概は失わないで頑張ってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 今回は、相談に乗って頂きありがとうございます。
明日にでも父に見せて相談しようと思います。

今、工事は中断した状態です。
いまだにサッシも決まらず入金もないようです。
弁護士に頼むような事を言っていますが、親もまだ迷っているようであまり進んでいないようです。
明日これを見せて相談してみようと思います。

私は、大工仕事はしたことがあるのですが、契約については親がやっているので、分からない部分が多いので説明が至らないところも多いと思いますが、相談に答えていただきありがとうございます。

住宅トラブルの本などを見てみましたが、お客さん主体の話ばかりで今回のケースに似ているものは無く困り果てていたところです。
ありがとうございました。
今後ですが、展開がありましたらお知らせしますので、
よろしくお願いします。
 その後  
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