本文へスキップ

一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 1103 設計者を信頼するには?

 相談概要 [氏名] KT
[相談建物予定地] 茨城県つくば市
[職業] 研究者
[年齢] 41
[男性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦    年  月  日
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 128
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 2300万円
[設計監理料] 230万円
[様態] 注文建築
[施工者] −
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] -
[確認申請書お持ちですか?] -
[検査済証は有りますか?] −
[設計図面は何枚もらいましたか?]
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?]
[施工者名]
[販売会社名]
[設計者名] MT
[監理者名] MT
 相談内容 [家づくりの相談内容]
土地購入の契約を済ませ、建物の間取りも決まり、いよいよこれから建築確認をとろうという段階で、このまま、M建築士にまかせてしまっていいものか、どうか迷い始めています。
意匠建築の方であり、間取りは気に入っていますが、構造的に大丈夫かどうか、心配しています。

まず、基礎に関してですが、ベタ基礎を反転させたような構造であり、床下がなく、地熱を利用できるので、夏は涼しく、冬は暖かい家になるとM建築士からは聞いています。しかし、床下がないという点で特殊であり、地元の工務店の人からは、湿気が床に上がってくる、コンクリートの下の砕石や土が下がってきて、コンクリートの下に空洞ができる、などの可能性を指摘されています。このような基礎を採用する上での問題点、構造上あるいは施工上、留意する点等を教えて頂ければと思います。

例えば、過去の相談例を拝見していますと、水周りをどうするか、気になります。建物に関しては、M建築士は建材(窓やドアなども含む)をカナダから取り寄せて使います。日本には、住宅に関する非現実的な規制があり、参加できる企業を制限して、実質的なカルテルをくんでいるのが高コストの原因という指摘は耳にしますし、カナダの住宅の質は高いと聞いていることもあり、このこと自体それほど悪いこととは思っていません。ただ、耐用年数が短いパーツなどを輸入するコスト等、メインテナンスを考えると、果たして輸入材を使うのが本当に賢明なのだろうか、とも思います。その他、潜在的な問題点等をご指摘頂ければと存じます。

また、開発許可申請を出す際(我々の土地は調整区域)、建物の配置が、我々がお願いしていたものとは1m程度ずれており、そのことをM建築士に指摘すると、浄化槽や浄化ユニットの設置の都合上、その位置になったという説明をうけました。
しかし、後で、M建築士のスタッフのミスで古い図面を出してしまっていたことが分かりました。また、我々の敷地は広く、衛生面の配慮をしたとしても、浄化槽や浄化ユニットの存在が建物の配置を決めることはなく、いい逃れをされたという思いを持っています。この件に関してM建築士本人からの謝罪はありません。もっとも開発許可申請は取れればよく、配置は最終的には着工してから地縄を張って、現地で決めるというのがM建築士の考えであり、そもそも彼にとっては些細な問題なのかもしれません。変更申請の際の手数料も取らないと言っています。

しかし、それでも問題と感じるのは、今回、地主さんの要請があって、地元の設計事務所・工務店を通じて開発許可申請を出したのですが、その際のやりとりの中で地元設計事務所・工務店に馬鹿にされてしまっていることがあります。

理由は、M建築士のスタッフは素人同然であり、常識的なことを知らなかったこと、また、M建築士が開発許可申請のために出した図面に問題があった(分かりにくい、素人のスタッフが書いた)ことなどが想像されます。これも開発許可申請を重要視しないM建築士の考え方すれば理解することはできますが、施工は地元の工務店(必ずしも開発許可申請をした工務店とは限りませんが)に依頼するわけですから、うまくやっていけるか、心配になります。その他、契約、保証に関しても具体的な説明もなく、心配しているところです。

M建築士は決して悪い方ではないと思います。非常に現場主義であり、我々が土地を買う段階から足を運んで親身にアドバイスをしてくれました。しかし、説明不足なところがあり、それを補う有能な事務スタッフがいません。このような状況だと、我々との信頼関係だけではなく、工務店とうまくやっていけるか、心配になっているところです。この先、どうやっていったらいいか、アドバイスを頂けると有難いです。
 yorozuの感想 住宅会社のホームページを見ると、ベタ基礎だと不同沈下がないとか、物理的に考えればあり得ない話が平気で書かれていたりします。建築よろず相談では、当たり前にように、ベタ基礎でも地盤によっては起こりえると書かれており、建築士の方が客観的に真摯に意見を述べられているという印象を持っています。その他、高気密断熱住宅の問題点、2×4や軸組建築の違いだけで耐震性に差があるわけではないなど、大変参考になります。
アドバイザー 
清水 煬二 解説員の清水です。

 設計事務所?に頼んで、金額も決まって建築確認申請の段階まで進んでいるということは、単に間取りが決まった程度ではなく、詳細の打ち合わせも済んで、工事業者のメドも立っているのではないかと思いますが、違うのでしうか?工事請負金額の2300万円という数字はどこからでてきたのでしょう。もしかして、工事の請負もこの設計事務所が行うのでしょうか?それとも設計事務所が見積もった概算金額の段階で、工事業者の積算の裏付けはないのでしょうか?

 文面からは、仕様や部材などで納得できていない部分が多いような気がします。設計事務所に頼んだのであれば、そういったことは教えてもらい、例えば基礎の方法について不安が除けないなら、通常のベタ基礎で行いたいと申し出て話合えば良いと思います。

 ご指摘の基礎の方法は北米では行われていますが、湿気や水、配管の処理方法によってはメンテナンスの問題も生じることは確かにあり得ます。カナダからの直接の輸入は、日本でも流通している輸入品なら良いのですが、そうでなければご心配のようにメンテナンスや部品交換に費用や時間が掛かり過ぎることがあります。また、カナダの建材といえども、すべてが良い商品ではなく粗悪品もあります。この建築士はそのことを知った上で勧めているのでしょうから、問題はないとは思いますが、輸入品の正しい工事方法をしらない工事業者もたくさんいます。

 すべてはメリット、デメリットがあるので、その両方を知った上で、または説明を受けた上で建築士の意見を参考にして最終的にはそこに住む施主が判断する方が良いかと思います。設計を行う建築士と施主である住まい手との間に、価値観や考え方に大きな食い違いがあるのであれば、頼まない方がお互いのためだと私は思います。

 親身にアドバイスをくれる現場主義の建築士であるなら、施主が不安がっているのに無視してスタッフに任せっ放しということはないはずです。曖昧なままでは、結論も出ません。Kさんの不安な点や迷っている点を正直に隠さずお話され、恐れることなくもう一度よく話し合ってみてください。ご自身が何を選択すべきか、おわかりになるはずです。
阿部 重幸 解説員の阿部です。

 大枚はたいての我が家の新築、ご主人が不安に思われるは最もな事であると思います。しかし、工務店に任せてもやはり同じ不安を持たれるのではないのでしょうか?
又、ご主人は未知の領域に踏み込むのに躊躇されているのではないでしょうか。それは、本当にご自身が頭の中で考えて入るもの出来るかどうか確信が持てないのではないのでしょうか。形がない物には不安は付き物です、不安をなくすにはその原因をさぐり(構造の問題、その他等)、設計士の方とよく話し合いされる事が一番だと思います。

 兎角、他人は興味本位で、色々彼是と言うものです、ご自身もっとしっかりと物事を見つめることが大事です。

 2×4工法は又の名をプラットホーム工法とも言い我が国では、明治末頃に入ってきました。小生が住まう京都には当時建築された住宅が今も残っています。
 話が反れましたが、平ら床の上に2インチ×4インチ〜12インチの部材で構成した、パネル状の壁・床を、釘・金物等で結束し架構していきます。単純で合理的な工法であると思いますが、その反面施工精度が良くないと、色々な不都合が生じる場合がありますので、構造が組み上がった時点でのチェックが大事だと思います。

 2×4工法での基礎は二通りあります、一階の床をコンクリートにしてその上に架構していく場合と、在来工法のように布基礎を作り土台敷き、大引の上に根太を取り付け床を構成しその上架構していく場合と、ご主人の場合は前者になっていると思いますが不安があれば後者に変更はできると思います。

 小生も2×4工法での住宅を何軒か手がけましたが基礎は一般の布基礎を採用しています。なぜかと言えば設備等のメンテナンスを考えれば、より合理的と考えるからです。
 最後にご主人の心労を思いますが、これからが本番です、惑わされずにがんばって下さい。
 コメンテーター 
山口 雅克 コメンテーターの山口です。

 M建築士は親身な方のようですから、解説員のアドバイスのように、あなたの気持ちをそのままお話になったらいかがでしょうか。
 仕事はできるけど話や説明が上手でない人もいますし、誠意をもって作業しているのでお施主様も分かっていて下さると思い込んでいる人もいます。

 ベタ基礎を反転させた基礎のことはキチンとした仕事をすればM建築士の言う通りで、雑な仕事になれば工務店が言うような事は考えられます。納得いくまで話を聞いてみましょう。

 開発の図面と建築の図面では作成時期が違うので、手続き上問題がない程度の場合は多少の食い違いが生じることは良くある事です。(一般的には後で作成した図面がよい計画となります。)大きな心配は無用でしょう。法の枠の中で、竣工までにより良いものを造って行こうとするのが設計者のあるべき姿です。
 事務局から 
  荻原 幸雄 「それを補う有能な事務スタッフがいません。」という所長より有能な人材ならば独立しているでしょうから、通常は所長よりも総括能力が高い所員はおりません。
所員のミスは所長のミス。この点は所長といえども素直に認めるべきだと思います。
ただ、親身になっているのであれば、素直に気持ちを説明したらいかがでしょうか?
人間だから誤解や思い込みもあります。

今回の構造方式もよく用いられますが、一番のメリットは施工費用が安くなることにあります。
この場合の注意点は表面地盤がよいことが最大の条件です。
通常はなかなかありません。また、デメリットは配管などの埋め込みが長くなる可能性もあり、設備配管位置を短くすることや外部に露出することなどで解決する方法はあります。
湿気についてはそれほど心配はないと思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 ご回答有難うございます。忙しい本業の傍ら、このような相談に応じて頂くのは並大抵のことではないと思います。返事は頂けないかな、とも思っていただけに嬉しいです。
その後の経緯に関しては、後日、ご報告させて頂きたいと思います。

清水様、
コメント有難うございます。
情報が不足していました。
設計事務所に頼んでいます。現在、基礎設計の段階です。いろいろ不安に思うことが出てきたので、実施設計に関してはストップをかけています。したがいまして、工事請負金額は基礎設計を基に仕様を”中の上”くらいにした時のマックスの金額ということでM設計士から聞いていたものを書きました。ちなみに外構費は含まれていません。
設計事務所は設計監理のみですので、工事請負はしません。そういうわけで、工事業者の積算の裏づけはないことになります。工事業者に関しては、地主さんとの関係があって、開発許可申請を出してくれた業者にまず打診すると思いますが、私自身との考え方が合わないので、頼むことはないと思いますので、そう意味で目処は立っていません。M設計士は知り合いの業者がいると言っていますが、具体的に聞いていません。
仰る通り、水やガス配管のメインテナンスを考えると、やはり通常のベタ基礎か布基礎がいいような気がしてきました。

阿部さま
私の精神状態まで考慮頂き、有難うございます。
構造と性能保証(メインテナンス)を住宅の最も重要な要素と考えていますので、仰るように、工務店に任せてしまうのも我々にとっては勇気のいる決断です。偏見でしょうか。。
工法に対して、今の場合、ベタ基礎VS反転ベタ基礎、2×4VS軸組みで、M設計士と工務店は完全に意見が分かれます。正直、どちらを信じていいか分からないという面もあります。阿部さまも仰っているように、すべてのことにはメリット、デメリットがあり、ひとつひとつのメリットを生かし、デメリットを低減するデザインをすること、いい施工をすることが工法の違いより大事だろうと想像しています。しかし、誰がそういうデザインができ、施工ができるのか、素人が見抜くのは難しいです。

山口様
コメント有難うございます。
私もものづくりをする人間として、法律の範囲内で、隣近所に迷惑をかけない範囲で、最後までいいものを作っていくのが本来という考え方はよく理解できます。今になって思えば、開発申請時の図面と建築確認の図面は多少違っていても構わないことが分かりました。しかし、最初、工務店の人は、配置を1mでもずらせば、開発許可申請を一旦取り下げて、申請しなおす必要があるかもしれないと言っていたのに、この前聞いたら、建築確認の時に3mくらいでも修正できると、言を左右にしたという事情もあります。

荻原様
HP運営ご苦労様です。
自分で家を建てようと思い、初めて、気がつきましたが、建築士は医者と同じくらい、健康な人にとっては、医者以上に重要な責任の重い職業であると気がつきました。しかし、その割りに、情報が不足しており、このようなHPは大変参考になります。
基礎に関してですが、反転ベタ基礎には表面地盤がいいことが条件とは初めて知りました。M建築士からは地盤の悪いところ(我々の土地は盛土をして数年ほどです)でも、この基礎なら大丈夫と聞いていたので。。もっとも地盤が悪い場合は対処法があるということは言っていましたが、具体的には聞いておりません。皆様のご意見を総合すると、ベタ基礎がいいようなので、その方向で行こうと思っています。

どうも有難うございました。非常に参考になりました。
 その後  
目次に戻る

バナースペース

一般社団法人 建築よろず相談支援機構

〒181-0001
東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

TEL 0422-24-8768
FAX 0422-40-0107