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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No. 1098 1000ガルを越す揺れに耐える家は?

 相談概要 [氏名] I・E
[相談建物予定地]愛知県豊田市
[年齢] 55
[女性] on
[構造] わからない
[引渡し年月日] 西暦    年  月  日
[公庫は使わない] on
[何階建て] 3
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 28
[工事請負金額] 未定
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 大手ハウスメーカー;S・M・D・P・M等
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
 相談内容 [家づくりの相談内容]  
3階建ての離れを計画しているものです。まだ具体的に依頼先を決めているわけではないのですが、地震に強い家を建てたいと思っています。
 ハウスメーカーのパンフレットを見るとどれも地震に強いとうたっており、実験結果などを記載しています。耐震等級も最高ランクのものばかりです。
しかし東海・東南海地震が来た場合は、私の住む愛知県ではかなりの揺れがあると思われ、これらのメーカーがいう1000ガル近くの地表加速度に耐えたという家で本当に倒壊しないものか、不安に感じています。あるハウスメーカーの方が言われるには、1000ガルをこす揺れもあり得るということです。現在私の見る限り、ハウスメーカーの3階建て実物実験で1000ガルを越す揺れに耐えたとするものはありません。

 東海地震・東南海地震は連続ないし同時に起きる可能性があると言われますが、それに耐えうる家は3階建てでは無理なのではないかとも思えます。私の場合、2間半×4間半の細長い家で、窓もある程度広くとりたいとなると2階建ての方が良いのでしょうか。もしくは、重量鉄骨を使えば、3階建てでも十分安全な家が建てられるでしょうか。

 専門的な知識もなく、どこで尋ねたら良いのかも分からず悩んでいました。アドバイスをいただければ幸いです。
 yorozuの感想 大変すばらしいHPだと思います。建築は一生に一度の買い物ですが、相談出来るところがなく、ハウスメーカーに聞いても自社の良いところをアピールするばかりで実際のところが分かりません。弱い立場の消費者の相談役は大変貴重だと思います。
アドバイザー 
善養寺 幸子 善養寺です。

ハウスメーカーで、耐震性能の注文するというのは、不可能でしょう。
そもそも、簡易設計のものですので。それを納得して買うのが、基本です。

どうしても1000ガル以上に耐える建築を望むのであれば、それをオーダーで設計事務所に頼むことです。どのような仕様にしても耐震強度は低くも高くも出来ますので、重量鉄骨がよいとか何とかは言いようがありません。
まあ、1000ガルとはやりすぎかと思いますが、1000年住宅として頑張ってください。
山口 雅克 解説員の山口です。

 法律によると耐震性は確率に応じて最低基準が規定してあります。それに対してどの程度強く設計しておくかが建主や設計者の判断による訳です。

 ハウスメーカーもこの頃の社会情勢を反映して地震に強い事を売りにしていますが、あまりにも耐震性の高い住宅は費用対効果に疑問があるので、現状のような仕様になっていると考えられます。
 どの程度の耐震性を持たせるかの最終的な決断は建主がすることになります。ハウスメーカーが設定している耐震性に満足できないのでしたら、特注をお願いするか設計事務所に依頼して希望の耐震性を実現することになります。

 ただ、上部構造の耐震性をあげることは難しくありませんが、地面より下は難しいのでその辺りを考慮してください。基礎は地盤と一緒に揺れることが前提で上部を設計します。ですから、地割れなどの支持地盤の崩壊に対しては期待ができません。
 このことから、建設予定地も慎重に選ぶ必要があります。軟弱地盤や支持地盤が傾斜している、中途半端な厚さの盛土がなされている、昔から家を建てない方がいいと言われている、など地盤の情報も大切です。
 コメンテーター 
今井 優子  コメンテーターの今井です。

今後30年程度の間に、関東・東海地方に大規模な地震が発生する確率が高いというような発表があったので、心配になる気持ちはわかりますが。
1000ガルを超える地震と遭遇する確立は非常に低いものです。
阪神淡路の震災でも818ガルでした。
耐震性能は上げれば上げるほど、コストも上がっていきますし、開口部の大きさや位置など、制約も多くなってしまいます。

山口解説員の言うように、地盤も重要な要素です。
家に求められる性能は、多岐に及んで、中にはあちらを立てればこちらが立たずといった正反対の要素もあります。
全てはバランスのとり方ですので、あまり一つの事柄だけに突出してこだわると全体が見えなくなりますので、注意が必要です。
 事務局から 
  荻原 幸雄  地震は不安ですね。解ります。だからこそ、設計、監理には細心の注意を払い業務に取り組んでいます。
構造が安定した方法はいくらでもありますが、1000ガルという数値を基本に考える場合は免震構造、制震構造などがいいと思います。

階数は平屋が一番よいです。
しかし、それだけではなく、それが正しく施工されることも重要です。
注意することはお金をかければ確かに耐震性がUPし、寿命も延びます。
問題はそのプランが将来の家族構成や利用勝手に耐えられる自由なプランにすることも家の安心安全を確保することでもあります。

家は耐震性だけでなく、防犯性、防火性、利便性、経済性、など大切なことが全て調和されて価値がでるものです。そんな家を設計してくれる、魂のある設計者を見つけることが何より重要だとお伝えします。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  お忙しい中、複数の方からアドバイスをいただき、大変感謝しております。ありがとうございました。 ボランティアでこのような相談をうけておられることに敬意を表します。 
地震にこだわる事には、それなりの事情もありますが、回答は全体として、まあそれほどこだわる必要はないのではないかといっておられるように受け取りました。
参考にしてこれからの家作りを考えていきたいと思います。 なお、「ハウスメーカーで、耐震性能の注文するというのは、不可能でしょう」 「まあ、1000ガルとはやりすぎかとおもいますが、1000年住宅として頑張ってください」というお言葉は少々理解に苦しみました。
 その後  
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