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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 1095 分譲マンション施工中のコンクリート不具合?

 相談概要 [氏名] KS
[相談内容] 分譲マンションの瑕疵
[相談建物所在地] 神奈川県
[職業] 会社員
[年齢] 32
[男性] on
[構造] 鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)
[引渡し年月日] 西暦2006年9月30日
[公庫使用] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 10
[お住まいの階] 7
[延べ面積m2] 90
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 4000
[様態] 分譲マンション
[施工者] 建設会社
[マンションの総戸数] 100戸以下
[施工者名] DS
[販売会社名] DH
[設計者名]
[監理者名]
 相談内容 [現象]
現在建設中の契約済マンションの建設現場を見に行った際、隣の建物から丁度4階部分のコンクリート打設状況が見えたのですが、構造部分である柱に大きなジャンカがいくつもできており、また壁面や化粧柱についてもジャンカや欠損が多数ありました。

[業者の見解]
施工主は我々が写真を見せるまで、これだけのジャンカが発生していたことを知りませんでした。「隅々まで確認はしていなかった」とのことです。写真について社内でご検討頂いた結果、以下の回答を頂きました。

・耐震等級を上げる為に通常より鉄筋の数が多く、コンクリートの水比率も低いため、通常よりはジャンカが発生しやすい状況ではある。

・ただ写真のジャンカは確かに世間一般的なものではなく、現場の施工管理の品質に改善の余地がある。建設会社を再指導する。

・ジャンカが発生した場合はポリマーセメントペーストと無収縮モルタル材を用いて補修している。
これらの材料はコンクリートより高い強度・耐久性が証明されているので問題ない。
 「ポリマーセメントペースト」:NSメンテペースト(日本化成社製)
 「無収縮モルタル材」:パッドミックス(トクヤマエムテック社製)

なお、本物件について売主が謳っているポイントを以下に記します。
・耐震等級2の躯体構造(建築基準法の1.25倍)
・100年耐久コンクリート(水をセメントの55%以下に配合:24N/mm^2)
・スパイラルフープ+閉鎖型フープとダブル配筋
・建築基準法プラス最大20mmの鉄筋かぶり厚
・コンクリート厚−建物外壁:150mm、戸境壁:180〜300mm
・建設住宅性能評価書取得予定

[相談内容]
施工主は、写真を見て素直に作業・管理の品質が悪かったことを認めて建設会社の指導を約束してくれましたが、我々としては、すでに打設が完了している低層階部分に関して、本当に施工主の言っている補修方法で耐震強度・防水・防音等で設計通りの品質を実現できているのか非常に心配です。

特に、柱の表面上にあれだけのジャンカがあるということは、柱の内部にもジャンカが埋まっているのではないかと不安になります。
写真のような状態が一般的に見てどれくらい悪いレベルなのか、また今回の販売会社の対応が、現在取り得る最良の策なのか、第3者としての専門家のご見解を頂きたいと思い、ご相談させて頂きます。
何卒、お力添えの程よろしくお願い致します。










 yorozuの感想 契約をしたものの、建設が進むにつれ不安な点も出てきましたが、知人に建設関係者もいないため、売主の意見を鵜呑みにせざるを得ない状況で非常に不安な日々を送っていました。
本HPの存在を知り、藁にもすがる思いでご相談させて頂きました。一般論ではなく、具体的な写真を見てコメントやアドバイスをいただけるので信頼できると思いました。
同じような悩みを持つ方々の参考にもして頂けると思いますので、素晴らしいサイトだと思います。よろしくお願いします。
アドバイザー 
山口 雅克 解説員の山口です。

 写真では既にジャンカ部分は除去してあるようですね。御心配のことと思いますが、内部の鉄筋が露出していませんので深さとしては深刻なレベルまでは達していないと思われます。

 建物外壁のジャンカは構造耐力よりも漏水に注意を要します。柱部分は建物全体として考えると余力の範囲としてとらえていいと思われます。
 この程度であれば、業者が提案している方法でよろしいのではないでしょうか。

 参考までに:売主が謳っているポイントのなかの「建築基準法プラス最大20mmの鉄筋かぶり厚」は外壁等は含まず、柱や梁のことを言ってるのだと思います。若しくは、仕上げ打放しの20mmを加算しているのかも知れません。
津村 泰夫 解説員の津村と申します。

 写真を拝見しましたが、ジャンカのレベルは山口解説員が述べたように大きな問題のレベルではないように思われます。また補修方法も建設会社提案の内容でよいでしょう。ただ、内部の様子がわかりませんので、もしご心配であれば、内部の空隙の状態を検査確認する方法がありますので、要求されてはいかがでしょうか。

 分譲主が知らなかったということですが、監理者による監理が全くなされていないとおもわれます。きちんと工事監理をおこない、監理報告をさせるよう要求されることです。

 まだ完成していないマンションにおいて購入者を募集し、一定集まったのであれば、購入者で建設組合を設立し、購入者自ら選んだ監理者を選定し、工事監理されることを提案します。そうすれれば本当に安心の住まいづくりが出来るでしょう。
 コメンテーター 
星 裕之 コメント担当の星です。

耐震偽造事件によりマンションの構造欠陥についての不安が増えているようですね。きちんとした設計が行われていても、現場はそのとおりいかないものです。それを監査・検討するために監理者がいるのですが、マンションの場合、購入者が施主ではなく、事業主が施主であり、本来なら購入者の側にたつべき監理者より発注者・販売者の権限が強くなりがちです。マンションの抱える根本的な問題が耐震偽造事件で露呈しているのです。購入者が建設組合を設立するのは理想ですが、まだまだそのようなシステムに移行できないでしょう。ですから、きちんとできていないものは安くても買わない。相場より安いものは買わないという選択眼をもってください。
 事務局から 
  荻原 幸雄 これが全体的にあるのか?部分なのか?確認する必要があります。
補修が効かない状況ではありませんが、余りにお粗末な出来栄えです。
デベにも、監督にも、コンクリート打設職人も、全く、魂が入っていないと思います。
コンクリート打設は入魂です。それがよしあしに現れるものです。
わたしはよく監督に叱ります。「自分の家族が住むと思って施工しろ!」と。
他人が住むからと考えた途端に魂は入りません。

自分の家のように全てに魂を入れるのが建築に携わるプロだと考えます。
雑な施工であることは否めませんが、部分的なものであれば、提示方法でよいと思いますが、
正式には精密な調査をすることが大切です。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 連休明けでご多用と思われる中、かくも迅速かつ丁寧なご回答を頂き、深謝致します。
今回目に見えた部分だけでも、深刻なものではないとわかり、とりあえず安堵致しました。また、これまでの監督内容に問題があったとはいえ、指摘後の業者(施工主)の対応にごまかしや自己正当化もなく、現状としては最大限に誠実な対応をとって頂けていたことが分かり、それも今後の安心材料となりました。

業者に対しては、『もの作りに携わる現場ではどの業界でも、妥協を許さない厳しいリーダの下での仕事は、やっている時は苦しいが、最後に全員が納得できるものを作り上げた暁には、全員が自分の仕事に誇りを感じ、"もう一度こんな現場で一緒にやりたい"と言う充実感を共有できるものである。是非今後はそういう現場にしていって頂きたい』とお願いしておきました。
今後も、現場に足を運んで、現場の整頓状況や作業員の方の動きなどから、現場の緊張感をチェックしていきたいと思います。

もし目に見える成果があるようでしたら、ご報告させて頂きたいと思います。
荻原様の仰るように、現場の緊張感やプロ意識というのは、会社の知名度や法規制等に関わり無く、顧客・監督者・リーダの中にプロジェクトに惜しみなく情熱を注ぎ続ける人間がいるかどうかで決まると思います。私の携わるシステム開発の現場でも全く同じです。
昨今、失望させられる事件が相次ぐ一方で、皆様のような方々がいらっしゃることを知り今回は本当に救われました。

垂直分業が進んだ建設業界でも、このサイトを支えていらっしゃる皆様のような、理想を持って情熱を注ぎ続ける方々がリーダとなり、緊張感と充実感に満ちた現場で若い技術者を育てて頂きたいと切に願ってやみません。
この度は本当にありがとうございました。
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