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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 1092 断熱リフォームを計画している

 相談概要 [氏名] T.Y
[相談建物予定地] 埼玉県草加市
[職業] 製造業
[年齢] 36
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦    年  月  日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 96
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 0
[設計監理料] 0
[様態] −
[施工者] −
[設計者を選んだのは] −
[監理者を選んだのは] −
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] -
[18確認申請の為の委任しましたか?] -
[確認申請書お持ちですか?] -
[検査済証は有りますか?] −
[設計図面は何枚もらいましたか?] -
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] -
[施工者名] -
[販売会社名] -
[設計者名] -
[監理者名] -
 相談内容 [家づくりの相談内容]
リフォームについても相談できますでしょうか。できるのであれば以下をよろしくお願いいたします。

築18年、在来工法住宅です。断熱リフォームを計画しているのですが、本で得た知識だけではなにかと不安ですので相談させていただきます。
家は埼玉県にあり、地域区分はWになります。家の外壁は内側よりビニールクロス、石膏ボード、グラスウール50mm(上下に口の開いた筒のビニールに入っています)、空気層、ラス板、モルタル、吹きつけ塗装となっており、ごく普通の家の構造と思います。

基礎は布基礎で通気口のあるもの。床下は防湿なしの土がむきだしのままですが、土の状態はまま乾いていると見えます。もぐればかびくさいですが、実際もぐってみたところカビの発生はトイレの床下、和室床の間床下に数点あるのみでした。ただ床下から見える部分のグラスウールは黒く変色していて、これはカビなのでしょうか。触ったところ水分は感じずさらさら状態でした。間壁は通気止めなし、床下−天井へとつながっています。

断熱リフォームの目的は、すき間風をなくしたい、床下のにおいが上がってこないようにしたいことです。断熱は充満断熱でグラスウール、もしくは羊毛を100mm入れたいと思います。
しかしながら通気層のない昔の家で壁内結露がしないかどうか、とても心配しています。

外壁に使われる吹きつけ塗装は透湿抵抗が高いと聞きまして、ならば室内側に防湿フィルムを張ればいいが、施工がどうしても完全にならず、フィルムのすき間からの湿気もれで結露してしまうのではないか。いままでのそれはすき間風で問題にならなかったが今回ではどうか。
あるいは断熱材を50mmにして床下−天井へと壁内通気層をつくったほうが安全なのか。今の家の現状がほぼこれだと思いますが、一部で気流によりグラスウールのカバーが「かさかさ」と音を立てています。ので、あまりこれは採用したくないです。

新築で通気層ありの断熱本はいろいろありますが、中古リフォームを扱ったものがなかったので相談いたしました。アドバイスをよろしくをお願いいたします。
また壁内結露をしているか(したか)どうかを確認する方法は何かありませんでしょうか。リトマス試験紙みたいなものを壁内に入れておき、引き抜くことで結露したかどうかの検査ができるような。結露すると反応し後で乾燥したとしてもそれが残るようだといいと思います。
 yorozuの感想 家の近くに工務店さんがおりますが、相談はしにくいものです。本サイトの存在は非常にありがたいです。本サイトの運営が長く続きますよう切に願います。
アドバイザー 
古賀 保彦 解説員の古賀です。

 改修の場合は既存の工法・納まりによって、多少の制約がでてきます。もちろん、コストを掛ければ解決するものもありますが、改修を選択された際のご予算でどこまでできるかがポイントだと思います。

 断熱改修の目的が、「すき間風をなくしたい、床下のにおいが上がってこないようにしたい」となっていますので、まずは1階床下の通気止め対策が優先なのでしょうが、それによって壁内の通気が遮断され壁内結露が起きるのでは・・との事ですね。

 内側から断熱材の室内側に防湿シート張りを行う場合、床組み、間仕切り壁と外壁の取り合い、構造材の納まり部分等の施工が困難だと思います。新築では工事途中での先張りシートができますが、改修で床を組み替える等しなければ、完全にはなりません。
 となると、防湿シートを完全に施工する事はあきらめ、多少の湿気が壁内に侵入する前提で考える事になります。

 そうすると、断熱材は湿気に耐性のあるものか湿気を遮断する構造のものになりますが、例えばウールは吸放湿するようですが、湿気が入ってくるばかりの状況の場合は逃げ場(外壁側通気層)がなければうまく機能しないと思いますし、袋入りグラスウールの切り口をテープで密閉し丁寧に施工すれば断熱材そのものには支障がないにしても、壁内の湿気の逃げ場がなければ構造材は痛みます。
 こう考えると、外壁を構造材〜透湿シート〜通気層〜外壁材の構成に改修した方が良いとなります。

 断熱や通気は新築の場合でも相当気を使うところですが、改修の場合は新築以上に制約が加わって難しくなります。ご予算の関係でしっかりやれない場合には多少の事には目をつむらざるを得ない場面が出てきますが、コストとの兼ね合いがありますので、見積りができるところと相談しながらご検討下さい。
 また、昔の家はそれなりに良くできていますので、床下の防臭や建具廻り・床・壁・天井の取り合い部分の目張り等で幾分問題が緩和される事もあるのかもしれませんので、その他の方法もお考えになってみて下さい。

 壁内結露の確認については、外壁側の雨掛かり部分でない場所に穴を開けて透明アクリル板を張る等が考えられますが、止水の納まりにご注意下さい。
笠原 歩 解説員の笠原です。

リフォームの場合、性能や仕様よりもコストや工期の方が重要なのではないでしょうか。またコストと効果が正比例とならないこともご理解下さい。

すき間風は、サッシをペアガラス化してコールドドラフトを抑える事により体感的にはかなり改善すると思われます。床下の匂いは床を張り替える事で対応出来るのではないでしょうか。
その際断熱を施せば、床からの冷え冷え感は少なくなると思います。また内壁を工事すると生活上の不都合も発生します。
予算にもよりますが外から外壁全体を覆う、という工法も考えられます。現在の状態をよく調査してより良いリフォームを行って下さい。
 コメンテーター 
星 裕之 コメント担当の星です。

古賀解説員・笠原解説員のコメントに差があるように、多種多様な改修方法が考えられます。断熱材に頼るのではなく、室内を木板貼りにし、吸湿や断熱効果を期待する手もあります。

断熱性能を高めること→気密が確保されてしまうことにより、ホルムアルデヒド等を室内に閉じ込めることにもつながります。ここ5年で住宅に求められる基本性能は極めて高いものになってきています。本であれこれ調べて悩むより、断熱・リフォームに詳しい方に相談されてはいかがでしょうか?
 事務局から 
  荻原 幸雄 断熱性能を高めるという理論と中古住宅の設計された理論と相容れるかということを考えなければなりません。
中古という昔の自然通気の家はそれで性能が確立されていたものです。
そこに新しい理論を挿入したときに、その理論の差により、建物そのものを損ねることにもなります。
その理論の差を埋めれば埋めるほど費用も掛かることになります。

その対極が新築の建替えです。費用をどの程度かけるのか?それによって性能をどこまで出し、その性能によって木材が負の方向に向かわないように細かいところに配慮しなければアウトになるでしょう。また、どれくらいその家を持たせて住むのか?断熱性能以前に構造的にその耐用年数に見合う構造になっているのか?
設備は何年か?など考慮しないと気密をとっても将来はボロボロになるでしょう。
高断熱高気密の高気密には要注意です。将来リフォームする時に気密が壊れたら、悲惨なことになるかもしれません。

機械換気は必須ですので、この換気をどのようにするかも考えなければなりません。
リフォームでの断熱の本が少ないのは理論構築するには建物を入念に調査した上でないと一般論では論じきれないからです。
新築なら理論構成ができますが、既存の建物の理論と新たな理論の融合は簡単に回答できるものではないことはご理解ください。
何れにしてもご自分の判断でなく断熱や構造に詳しい建築士に現地調査を依頼し判断してください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 相談に乗っていただきありがとうございます。
はじめは耐震リフォームを考え、ついでに断熱もと本をいろいろと読んでいく内に結露が原因で土台が腐った家の写真を見つけ、これはへたすると地震よりたちが悪いのではないかと思いとどまって
いるところです。

古賀さんのご意見では
> (防湿施工は)完全にはなりません。
> となると、防湿シートを完全に施工する事はあきらめ、多少の湿気が壁内に侵入する前提で考える事になります。

となるとここは安全をみて壁内通気にしたほうがよさそうですね。
床下−根太の間−壁内外側−天井とはじめは考えていましたが、よくよく考えるとこれだと根太の間に断熱材が入らず、ここで結露してしまいます。
外壁土台付近−壁内外側−天井にしないとだめですね。
このような施工方法があるかどうかわかりませんが、もうすこし調べて勉強してみます。
理想を言えば外壁に新たに通気層を作ることなのでしょうが、予算的にこれはできそうにありません。

尚、結露の確認では紙に水溶性インクで印刷したものをいれて置けば、結露でインクがにじむだろうと思い、これをあらかじめ差し込んでおこうと思います。
みなさまの貴重なご意見ありがとうございました。
経過がありましたらご報告したいと思います。
 その後  
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