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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

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No. 1091 分譲マンションですが 購入後4年半で不具合

 相談概要 [氏名] KM
[相談内容] 建売住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 大阪府
[職業] 会社員
[年齢] 38
[男性] on
[構造] 鉄筋コンクリート造(その他)
[引渡し年月日] 西暦 2003   年 08 月10  日
[公庫使用] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 11
[延べ面積m2] 70
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 2480
[設計監理料] 0
[様態] 分譲マンション
[施工者] 建設会社
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 0
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 分譲のため0
[施工者名] A
[販売会社名] M
[設計者名] MK
[監理者名]
 相談内容 [現象]
はじめまして。理事のKMと言います。(被害者宅は同じマンションの住民の方です)
11階建ての分譲マンションですが 購入後4年半で1102号室のバルコニーの手摺壁とパラペット取合い部にクラック発生。そこから階下の1004号室(10階)に水漏れが発生し1004号室のバルコニーが水浸しになります。
1004号室のバルコニーも上げ裏クラック有。エフロが発生しています。

[業者の見解]
施工者Aの調査結果として
1004号室バルコニーの上げ裏が白華及び水漏れしている。上階の1102号室のバルコニーは 手摺とルーフバルコニーのパラペット取り合い部に軽微なひび割れと白華が発生。
要因は手摺とパラペットのコンクリート断面の違いによる乾燥収縮に伴うひび割れと考えます。

対策 ひび割れ部に Uカット+コーキング処理を施し、石調タッチアップ塗装を行うことを提案します。

見解 24ヶ月点検時に同様の指摘事項があり、補修を行っています。内容としまして上階のパラペットクラックから漏水と確認し、パラペットの止水補修を行っております。
・今回の不具合要因は上記のとおり、24ヶ月点検で補修した部位とは異なり24ヵ月後経年より発生したものと考えられます。

今回の申し出におきまして アフターサービス規準に基づき「部位:バルコニー現象:亀裂」の項目に該当し サービス期間の2年を経過しておりますので有償扱いとなります。

[相談内容]
上記にも書きましたが 24ヶ月点検時に 別の箇所で同じ不具合が発生しており製造欠陥の可能性を疑っています。
VTRやTVと違い 一生の買い物(大金)です。こんなに簡単に壊れてもらっては困ります。こんなに続けて発生していることから 今後も多発する懸念があります。
また アフターサービス規準とは きちんと建築した場合の事であって製造欠陥がある場合はこの規準は適用されないと考えています。

友人の建築士に相談したところ 「バルコニーは2年で対象外だが4年そこそこで壊れるのは欠陥を疑う」との事で相談させていただきました。

私は 施工者Aの製造欠陥と見ています。会社でマンションを購入した方で 雨水如きで数年で水漏れが発生している方は皆無ですので。
画像は月曜以降にお送りさせて頂きます。お手数をおかけしますが よろしくお願いします。











 yorozuの感想 言い方は悪いですが 建築士に対する信頼度は今底です。どうしても疑ってかかります。いきなり訴訟をせずに見解を聞いてからと思い相談させて頂きました。建築トラブルのコーナーは非常に参考になりました。3年前にこのコーナーがあればよかったのに。。。と思う今日です。結婚して家を買う仲間に教えてあげたいと思っています。
アドバイザー 
橋本 頼幸 大阪の橋本と申します。

KMさんは2003年8月に引渡を受けておられるようですから、ちょうど2年半を超えたところですね。
クラックが発生して漏水がおこった、というのは残念ながら非常によくある話しです。私は分譲マンションのこの手の相談を何度も受けていますが、相談を受けたほとんどのマンションで発生しています。いろいろと原因がありますが、ほとんどが書かれておられたように「乾燥収縮」によるものです。

一方、鉄筋コンクリートは工法の特性として「乾燥収縮」は多少発生します。逆に言うと、「乾燥収縮」がおこっても問題が生じない(漏水などがおこらない)ように技術的な工夫をすることが可能なものです。その補修方法や対策はそれぞれの状況によって変わりますので、写真を見せて頂いた範囲では提案された補修方法が正しいかどうかの判断はできません。

次に、アフターサービスや補償との関係ですが、当然各分譲会社に「アフターサービス規準」があり、それに基づいて各所有者が購入しているわけですから、その内容に準じることになります。ただし、そのためには、24ヶ月点検の時にどの箇所をどのように補修したのか、今回発生した問題はその建物の中でそこだけなのか、などをきちんと整理しておかないといけません。
また、施工者の見解を受け取っておられるようですが、マンションの場合は、本来管理組合や各組合員と交渉すべきは分譲した業者であり、管理組合や購入者は「施工者」とはなんら契約関係はありません。従って、分譲業者の「公式な見解」を受けとっておく必要があります。

これらのことをふまえて今後の方針をまとめると以下のようになると考えます。

1.アフターサービスで補修をしてもらった範囲(特に共有部分)と補修方法に関する問題点の整理

2.現在起こっている問題箇所以外に問題箇所はないかどうかの確認

3.1の問題箇所と2で調べた箇所をまとめて分譲会社に申し入れ、分譲会社の見解を確認する。

つまり、これまでの分譲会社の対応は問題なくされてきたのか、今回問題が起こった箇所を補修すれば全ての問題は解決するのか(新たに発生しないのか)、などをきちんと整理しておかないと、その場その場の対応にしかなりません。

これらの進め方は大変専門的なことになります。もちろん、マンションの理事会などで対応することは不可能ではないでしょうが、なかなか難しいと思います。
分譲マンションの特徴や特殊性などを十分に認識した上で、適切な対応をすることが大切です。理事会で取り組むもよし、しかるべき専門家に相談に乗ってもらうのもよし、それは管理組合で決められたらよいと考えます。
 コメンテーター 
星 裕之 コメント担当の星です。

建築士の信頼が底ですか・・・。
厳しいご意見ですが、建築には極めて深い知識が必要です。一級建築士なんて資格は建築業界では中学校卒業程度の知識があるという証明でしかないのではないかと思います。その中学校程度の知識もないものがマンションの企画をし販売をしているのです。また、設計監理・施工管理を行ったことがなく、建築士の資格さえないものが専門教育機関で教え、県庁・市役所で建築指導を行っているのです。一般住宅とちがいマンションは商業ベースでつくられているものです。

ですから、アフターサービス基準を厳格に運用せざるをえないのです。橋本解説員のコメントのように理事会で取り組むと共に管理会社の建築技術担当者と良く話あって良い解決方法を導き出してください。
 事務局から 
  荻原 幸雄 建築士の信頼が底というよりも建築士が弁護士と同様に個人資格であるにも関わらず、デベや施工会社やハウスメーカーの社員であることでの実質的、個人資格の独立性が保てないということが問題なのです。

建築士は国家資格であることは、どんな利害関係も関係なく、居住する人のために全精力を傾ける資格であると思うのです。その資格が給与という金銭の為にその資格を不安定にしていることは否めません。
それを許している建築士法そのものに問題があると思います。
本当に居住者の利益だけを考える建築士が増えるとしたら、独立しなければなりません。
そうすれば全ての建築士は給与という呪縛から解放されるでしょう。しかし、今度は設計をもらう為にデベやハウスメーカー、施工会社から下請けとして仕事を請けているならば、これまた、給与と同等の拘束力が働き、これも独立性が確保できません。

居住者が直接、独立した建築士に依頼する制度が来ない限り、現在の社会のように従属関係がある建築士では本来の国家資格としてのモラルは保つことは厳しい環境にあるのは残念です。しかしながら、少数派である独立した良識ある建築士はおりますので、それらが評価される時代は来ると信じております。

さて、相談ですが、構造体は共用部分であるので、管理組合とデベとの交渉であるのが筋です。デベと施工会社は契約関係にあるのですが、管理組合と直接やり取りするものではなく、デベと協議することが本来のあるべき姿です。

以前漏水した部位と今回の部位が同じであった場合は瑕疵期間は延長するものですが、その因果関係を証明しなければなりません。デベ側の見解はある部分だけで止めようと考えるのが必然ですから、その場合は第三者の建築士が入ることが必要となります。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 この度は ご回答を頂きありがとうございました。
 「建築士に対する信頼は底・・・」と厳しい事を書きましたが全ての建築士がこうであるとは思っておりません。

 一部の方がこう言うことをした為に 全ての方に疑いが・・・と言う一般論を言わせて頂きました。
 事実 うちのマンションでも 住民から「構造設計書」を取り寄せて 第三者に解析依頼せよ!との声が上がりました。

 やはり一生の買い物だけに そうなるのも仕方ないと感じます。
 回答を下さった皆様の様に 真剣に取り組んでおられる方も多くおられる事は存じております。
 理事会では 大阪府建築士会などに 調査を依頼しようと言う方向に向きつつあります。
 皆さんからも 専門家に・・・との記載がありました事から私からも 理事会で提案させて頂きます。
 あと ベランダのひび割れなどの保証が2年とは存じませんでした。
 購入時 10年と聞いていたので てっきり全てが10年保証と思っていたら 今回の事故でいきなり ベランダは2年・・・と。
 後出しされても・・・と言うのが正直な感想です。
 「何故 購入時にこの資料を配布しなかったのだ?」と言う点からも分譲会社を問い詰めて見たいと思います。
 こんな何千万するものが たった2年の保証でいいものか・・・とさえ思います。
 ご多忙の中 アドバイスありがとうございました。
 深く感謝しています。
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