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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 1090 近隣マンション建設の不安

 相談概要 相談概要 [氏名] F.J
[相談内容:] 近隣のトラブル
[相談建物所在地] 静岡県焼津市
[職業] 無
[年齢] 58
[女性] on
[施工者名]  A工務店
[販売会社名] A工務店
 相談内容 [現象]
どこに相談したらよいかわからず 困っていたところサイトを見つけたので該当する相談かよくわかりませんが、宜しくおねがいします。

 用途地域第一種住居地域 建蔽率60% 容積率200% 敷地500坪にA社が、14階建マンションを建てるという説明会が2月末ありました。
その後 3月末説明会がありました。その際 住民側から敷地一番北側に真ん中から移して欲しいという要望がでました。北側が瀬戸川という川なので 土手への影響からできないとの回答でした。そのご 住民から地盤も悪いところなのでボーリング調査の結果も公開して欲しいという要望もでました。

 結局 十分な説明が得られないまま次回に持ち越しになりました。そのご連絡がないので自治会長を通じて聞いたところ RC構造からSRC構造に変更になり説明会も5月始めという回答でした。ここは、東海地震の危険地域であり 我が家も耐震補強を済ませたばかりです。家屋調査 ビル風の調査など要望していますが、なかなかよい回答がありません。 その上、 住民に言われたから構造変更というのも納得いきません。

4メートル道路を隔てた斜め向かいが敷地の端になります。近隣の民家への影響が心配です。
市へも相談にいきましたが、このままでは 違反はないので建築確認も出てくればおりるそうです。(確認は焼津市へ出してくれるようお願いし一応承諾)業者の不誠実な態度も気になります。

 よきアドバイスございましたら どうか宜しくおねがいします。(周辺住民10軒ほどしか強い関心を持っていないので専門家の方をお願いするにも経済的に困難な状態です。虫のよい相談ですみません。)

[相談内容] 
地盤の悪いところにそういう建物が建設された場合の周辺民家への影響が一般的にどの程度かんがえられるのか、もともと風の強いところなので風の影響など 業者と建築協定を結ぶに当たっての条件(家屋調査など)をどの程度お願いできるかたたき台になるものをお教えいただければさいわいです。
宜しくおねがいします。
 yorozuの感想 とても頼りになるとおもいます。
アドバイザー 
津村 泰夫 解説員の津村です。

近隣でのマンション建設、お悩みだとおもいます。
法的に問題のない以上どうしようもございません。ただねばり強く交渉するしかないと思われます。有利に進めるにはいくつかの条件があります。

1、周辺住民が一致団結すること

2、資金を集めること

「・・地域の環境を守る会」などを作り、会費を徴収し、運営資金を作ること。出来る限り多くの住民に集まってもらう。そのなかでマンションが建った場合にどのような具体的な問題が発生するか、整理し、要望書にまとめて分譲主・建設会社などに提出します。

マンションが建った場合の問題点は、日照、プライバシー、落下物、ゴミ収集、駐輪・駐車、ビル風、眺望、電波障害、工事中の騒音振動・車両通行、それと家屋損傷などの問題があると思います。
ビル風については大阪で勝訴判決がありましたが、超高層2棟建った場所で、データーを集めての結果です。

家屋損傷ですが、事前調査範囲としては、杭などの掘削深さと同じ水平距離の範囲までが通常の調査範囲でしょう。軟弱地盤であればその1.5倍が必要です。
資金が集まれば弁護士や専門のコンサルタントに相談も出来ると思います。
費用をかけて運動を取り組めば相手も無視は出来ないはずです。
 コメンテーター 
古賀 保彦 コメンテーターの古賀です。

 地盤の性状と位置関係によっては、工事中の振動が付近の民家に伝わって、壁に亀裂が生じたりする事がありますが、事前の予測や因果関係の証明が難しいです。ですから、トラブルも抑える意味でも工事着手前に家屋調査を行うという事を交渉に盛り込まれるのは妥当な事です。

住宅の内外で既に老朽化その他の原因で生じているひび割れ等の計測・写真を残しておき、工事完了後に生じたものと区別がつくようにしておきます。地盤が軟弱で地下水位が高い地域であり、地下水の移動に伴う地盤沈下が懸念されるところでは床レベル測定も加えた方が良いでしょう。

 風の影響ですが、高い建物の足下では隅角付近で風速が強まる傾向にあります。どの程度の強風が吹く地域なのか分かりませんが、一般的には14階建ての高さでそれが日常生活に大きな影響を与えるものかどうかの判断は難しい様に思います。強風時に以前とは違って民家の屋根が剥がれる等の実害が生じた場合には調査・協議を行う旨を協定に入れてもらうとか、隅角付近の風を和らげる為の植栽等の工夫をお願いしてみるのも良いでしょう。

 計画マンションと周辺の民家との位置関係はそれぞれの民家で異なるでしょうから、不安点や要望の内容もそれぞれで異なってくるのものです。住民がまとまって動くためには、各人に共通の問題と個別の問題を整理しながら交渉されると良いです。

 また、相手方も事業ですし、法の範囲内での計画であれば中には対応が望めない問題もある事でしょう。不安点やご要望が相手方に伝わり、それらが全て解消されれば言うことはないのですが、住民側で優先順位をつけて進める事も必要になってきます。

 交渉の内容・方法については津村氏の解説にポイントが示されていますので、これを参考にして交渉がうまく進むように頑張って下さい。
 事務局から 
  荻原 幸雄 交渉には妥当性が大切です。
それもなるべく主観的なものでなく客観的なものが必要です。
「両者にとって街並みを勘案した場合の最良の方法は何か?」という点から交渉することもあるでしょう。マンションでも建築のプロが設計したとはいえ、それよりもよい形態がある可能性はあります。
その形態が両者の利害が一致すれば形態変更の可能性はありますが、両者が一致しない形態変更の要望はそれに資する代替案が無い場合は法律の範囲であればかなり難しい、現実的でない要望となってしまいます。

マンションデベも近隣に誤解の無い説明の努力は必要だとは思いますが、構造が変っただけで不安になる気持ちはわかりますが、合法の範囲で建築するのですから構造計画は任意です。
地盤が悪い場所に建つ場合のマンションでは杭が所定の強度のある地盤まで現場打ちコンクリートを打設する。そこまで掘削し基礎を直接指示させるなど方法はいくつかありますが、地盤は表層は悪くても20mくらいで支持層があることも多いのでマンション耐力的には心配することもないでしょう。

問題は古賀コメンテーターが述べているように、工事中の振動、粉塵、音、工事関係者の車の搬入、 竣工後の杭などによる地下水道の流れの影響、地下水位、風害、日影、視線などのプライバシー、住民の車などの音、住民来訪者の車の確保などいろいろあります。
通常はデベは配慮しつつ計画していると思いますが、それらを自分たちでも検討することも大切です。
一定の範囲は家屋調査はデベも対応するのが通常ですので、対応してもらえると思います。
近隣住民と建築協定などたたき台を作って提示する方法もありますので、建築士、弁護士、行政に協力してもらい、協議のたたき台として作成することをお勧めします。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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