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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No. 1087 ソーラーサーキットによるシロアリ被害について

 相談概要 [氏名] OK
[相談内容:] その他
[相談建物所在地] 神奈川県海老名市
[職業] 会社員
[年齢] 46
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦2004年 4月10日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 33
[工事請負金額] 2500
[設計監理料] 20
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。
[確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 1
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 10
[床面積] 200m2以下
[施工者名]  K・J
[販売会社名] 同上
 相談内容 [現象]
2年前(04/4)に新築、昨年暮れごろに玄関内側の横木部分がシロアリに食われていることが判明。現在、シロアリ被害について施行側が調査中。家は、カネカのSC:ソーラーサーキット(外断熱)工法で建てており、SC工法では薬剤の対策が難しいことから、平行してSC工法推奨のターミメッシュ対策をすることで話を進めています。

当初シロアリ対策については、断熱材料などシロアリに強いものを使っており、また、これまでの実績でも問題ないのでとの説明であった。

[業者の見解]
シロアリ対策については、1年ほど前から、ターミメッシュ対策を施工時義務付けられている。(自分の家は2年前)シロアリ対策については、これをやることにしたいが、費用については、後からやる費用が約100万かかるが、壁などの取り壊し費用はこちらで負担するが、新築時の費用50万を支払って欲しいと言ってきている。

[相談内容]
こちらとしては、1年でシロアリに食われるのは、基本的なミスでは無いのかと主張しているが、施工側は、シロアリは出るときは1年も10年も同じという。
このケースの場合、施工側の責任や工事費用などの妥当性について教えて頂きたい。
 yorozuの感想 このようなHPがあることは非常に助かります。これからも色んな相談できるHPを有効に活用させていただきます。
アドバイザー 
清水 煬二 解説員の清水です。

白蟻の被害についてですが、保証書にはどのようになっているのでしょうか?保証期間5年とか明記されていれば、問題なくすべて無償で対応してもらうべきだと思います。
発泡系の断熱材を白蟻は、食べながら進んでいきますので、外断熱の場合は、寒冷地など以外の地域ではその対策を考えておかなければなりません。

多分考えていてのことで、通常は問題なかったということでしょう。たまたまそうなってしまったのだ、現在は新しい工法を義務付けられていて問題はないということなら、逆に言えば今までにやはり弱点があったということです。

土台などを檜材やヒバ材にして、防蟻剤を使わない場合、白蟻が発生するというリスクもあるのですが、健康上気になってリスクを負って使用しないという選択肢などもあります。どのような話し合いと契約、保証内容になっていたのかでも、両者の言い分は変わってくるでしょう。
フランチャイズ制の工法でしょうから、本部にも打診してみてはいかがでしょうか。
木津田 秀雄  最初に契約書での内容を確認される事が必要です。基礎断熱工法では、断熱材を地中に埋める事から非常にシロアリに対して無防備になります。
それまで被害がなかったのは偶然に過ぎません。シロアリは目の前にあるものをどんどん食べて進みますが、断熱材の中は暖かく居心地も良いようです。

 基礎断熱の場合の防蟻方法については、数年前から話題になっており、何の対策も取らなかったとは、どちらかと言うと驚きです。基本的には、業者が補修費用の全額を持つべきだと思いますが、契約書に該当の記載がなければ、契約とは別に訴えを起こすなどしなければならない可能性もあります。
 いずれにしても実態としての被害があり、当初の設計・施工に問題があるわけですから、補修費用の半分を負担する必要はないと思います。
 コメンテーター 
古賀 保彦 コメンテーターの古賀です。

 技術が一般化するまでには、時として様々な不具合や反省を伴う場合があります。もともと寒冷地向きの工法が、比較的温暖な地域にも摘要されるに至り、それまでになかった問題が表に出るになったのでしょうか。思いもしなかった被害で出て初めて、対策を講じるというのもおかしな話かもしれませんが、技術にはそのような側面がついて廻ります。

 とはいえ、解説にありますように、既に問題として話題になっている事であれば、それに気づいて事前に対処する事は提供者の努めでもありますし、また、保証期間が定められているのであれば、補修義務もあります。

 ただ、解決していく上で、対策として新たなものを付加する事については、その費用が契約時の費用に見込まれていなかったという点や不具合のある箇所を補修する以上に費用負担がかかるという点も考慮すべきという考え方もあるかもしれません。解説の様に契約・保証内容上は難しい側面も含まれていますが、被害が出た部分をその都度補修を繰り返すようではその費用負担も膨大になりますし、見えない所で深刻な事態が進んでいたらもっと大変な事です。ですから、先方も根本的に解決する方法を提案しているのだと思います。

 被害の状況が調査中との事ですので、対処方法も変わってくるかもしれませんが、より大きな被害に繋がらないよう頑張って交渉して下さい。
 事務局から 
  荻原 幸雄 手前味噌になりますが、「我が家をリフォームする前に読むQ&A80」にシロアリの詳細な説明がありますので、読んでいただくと参考になると思います。

以前、わたしの事務所に来所されてクライアントがこの工法が気に入っていて当方の説明に取り入れたいとのことで、その可能性と工法のメリット、デメリットを調べました。
メリットはご存知の通りパンフに書いてありますからよいのですが、私たちは常に裏読みする習性があり、考えうるデメリットを考えてみました。
勿論、捕らえ方によりますが、私がクライアントに説明したのは

1)シロアリ対策としてのターミメッシュがあるが、この施工を入念にしないとシロアリは進入する可能性がある。
2)コンクリート打ち継ぎを入念に施工しないといけない。
3)ターミメッシュは細かいので埃が付きやすく、まめに清掃しないと換気量が落ち性能が発揮しない。
4)当方は木造3階建てで規定されている剛床を木造2階でも確保するべきであるという信念より、梁と床が離れる剛床とはいえない在来工法は採用しない。
5)フランチャイズなので施工単価が比較できない。(1社しか見積りは取れない)
6)詳細図面を設計事務所には発行しない。

などの理由を説明し、独自の提案をしたことがあります。
OMソーラーもそうですが、シロアリは交通事故のようなものです。
いつ家に来訪するかわかりません。来た時にどのように対処するかですが、来た場合は薬剤処理するしか方法はありません。ソーラーサーキット、OMソーラーとしての機能は停止しますし、しなければ薬剤は家全体に拡散するからです。

そのリスクを説明しないことがほとんどだと思いますが、これは通常に家でも事故なので起こりうることです。
しかし、通常の場合は床下と居住部は床で区画されて基礎の換気口から排気されるので、通常に家はそれほど、機能停止にはならないのです。
高性能のメリットには低性能でもシンプルな工法に負ける場合があることは長年の日本の風土で培われたメリットもあることを理解することも大切です。

建築だけでなくメリットは説明しますが、デメリットは説明義務はないので、難しい問題です。
話し合いで解決するしかないのではないでしょうか?
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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