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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 1078 中古住宅の不具合について

 相談概要 [氏名] S.D
[相談内容] 建売住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 京都府京都市南区
[職業] 専業主婦
[年齢] 26
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦  2005年 7 月 21 日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 3
[延べ面積m2] 90.72
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 1700
[設計監理料] 0
[様態] 建売り住宅
[施工者] 地場大手ハウスメーカー;地域的な大手産業
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] −
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] -
[18確認申請の為の委任しましたか?] -
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 0
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?]
[施工者名] Rハウス
[販売会社名] Rホーム
[設計者名]
[監理者名]
 相談内容 [現象]
 中古住宅の不具合について
1.窓枠の左下から床にかけてクロスにひび割れがある。
2.ドア枠から天井にかけてのひび割れ
3.窓枠の右下の部分と壁との間に隙間ができている
4・3階の洋室の傾き
5・1階和室の引き戸と枠との間に2ミリほどの三角形の隙間がある。

[業者の見解]  
不具合について心配しないでいいものかどうか仲介業者に相談はしたが、「中古住宅なのでそれくらいの不具合はあるものだ」といわれた。不満があるなら中古住宅は個人間の売買なので、売主訴えるなりして解決してくれという見解でした。電話のみでの対応で、訪問まではしてくれなかった。

[相談内容]
去年の7月に築5年、平成12年3月に建てられた3階建ての木造住宅に入居しました。建売の住宅のようで私道を挟んで同じような物件が両側に7件ずつ建っています。生活していて不便なことはないのですが、最近、ひび割れや隙間など発見してこれが欠陥によるものではないか心配でなりません。

 これらの不具合は3階にある洋室2部屋に集中しています。不具合1、4については私道沿いの部屋で起こっており、ボールを軽く北に転がすとまた戻ってきたり、クローゼットやドアも枠に対して北側に傾いて付いている感じです。私道側の床と内壁の間も均一ではありません。ひび割れは私道側についている出窓の左端から床にかけてあり、長さは55センチほどです。割れているところをさわるとひびの左側が少し前にふくらんでいます。

 2,3についてはもう一つの洋室で起こっていて、ドア枠から天井へのひび割れは15センチほどです。後、私道のほうを向いている窓枠の右端が3ミリほど隙間があいています。また、このドアですが床とドアとの隙間が1.5センチほど開いているのですが、開きすぎではないのでしょうか?

 どの不具合も私のほうは住み始めてまだ半年くらいなのでいつから始まったものかはわかりません。これらの不具合はこのまま簡単な補修だけで済むものなのでしょうか?専門家の方に基礎などを調べてもらったほうがいいでしょうか?また、うちと同じ並びの物件、地元業者さんの話では大工さんによって造りに差が出たとか、後で玄関先に柱を1本足した家があるとかいうことを聞きました。仲介業者さんはそこまで調べてくれませんでしたが・・・

扉の上部の隙間が違う


天井と回り縁との隙間


扉下部の左右の隙間の違い


収納扉も右上と左下の隙間が大きいのがわかる


床と巾木の隙間


クロスの亀裂


天井の隙間


窓枠の下の隙間


縦にクロスの亀裂
 yorozuの感想 無償でこのような専門的な相談ができたり、他の方の相談例など見ることができ、とても参考になります。
アドバイザー 
津村 泰夫 解説委員の津村です。

中古住宅を購入されたということですが、確認申請書や完成検査済み証が無いというのは気になりますね。売り主も持っておられなかったのでしょうか。車を購入するときの車検証みたいなもんですから、家を購入するときには注意しましょう。

 家の間取りなどがわかりませんが、3階部分の中央付近が沈下しているのではないでしょうか。下階に広い間取りがある場合にはよく起きる現象です。

 この時期の京都市内での木造3階建ては違法建築であるケースが極めて高く、法に定められた構造強度を有していない場合が多いようです。従って建物入居前に構造をよく調べ、十分な構造補強をした後に入居することをおすすめしています。断熱材の入っていない物件も多いようですし、排水管も繋がっていないといった物件もありました。
 コメンテーター 
畔上 廣司 コメンテータの畔上です。

津村解説委員後段のお話しは地元地域の住宅建設業界に対するの一般的評価であると察します。

当時、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)は平成12年4月に施行、同時に5月に建築基準法関係法令の大改正があり、建築物の基礎の構造方法や軸組み設置の基準等が補足され、地盤や建物のつり合い軸組み構造計算基準等が強化されましたが、この改正直前時期に駆け込み申請の住宅が多かったとも聞いています。

特に、S.Dさんの住宅は木構造3階建てということもあり、構造上の検討不足も考えられます。相談写真による壁のひび割れや床傾斜や建具建付け等の不具合の存在ははっきり判断できませんが、構造上少々心配な点が残ります。

また、5年前の建物で確認申請書や完成検査済み証が無く、構造計算書や一枚の図面も存在しないとは到底理解できません。再度、売主・施工・販売・仲介会社等に要請されたら如何でしょうか。
信頼できる第三者の建築士に相談するなど、必要であれば現地調査をお願いし、安全について確認チェックしておく必要性があると思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 中古住宅を購入する場合によくあるケースで大変悩ましく思います。
というのは不動産業界では現状有姿というものがあります。
即ち、通常に注意義務を持ってわかる範囲は瑕疵とは言わない。ということになるのです。

今回の問題が購入後に何らかの瑕疵が存在して起きた事象ならば瑕疵として売主に責任を問うことになります。また、契約以前より存在していて、それを通常の注意を払えば露見できたものは売主に責任を問うことは難しいことになります。
しかし、通常は知ったときが初めてなので、購入前からなのか?購入後からなのか?の判断が難しくなります。

この場合は第三者の建築士などに依頼して、現況を把握し、そして契約すれば、以前以降の現象が明確になり、責任の所在がはっきりします。
今回の場合はそれらがはっきりしない以上、話し合いでの解決しかないことになります。

また、よく、仲介業者が大手だから安心していたとかで、選択するようですが、このような場合は大小に関わらず、仲介業者の責任は問えません。仲介業者は売主に書面で瑕疵などを確認書面を提出してもらっているからです。
この書類はあてにできません。売りたい人は知っていても気がつかなかったとほとんどの人が弁明するからです。これは仲介業者の免責のために使われているに過ぎないのです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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