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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 1072 小屋裏の換気ガラリを閉鎖したが・・・。

 相談概要 [氏名] A.M
[相談内容:] その他
[相談建物所在地] 福岡県小郡市
[職業] 公務員
[年齢] 42
[男性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦 2006年
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 57
[工事請負金額] 4000
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] -
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] −
[設計図面は何枚もらいましたか?]
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?]
[床面積] −
[施工者名] Sホーム
[販売会社名] Sホーム
 相談内容 [現象]
 内断熱ですが、天井断熱ではなく、屋根断熱で建築中の家の相談です。
切妻屋根なので、最初は大きな換気ガラリ(妻換気口)が施工してありました。
しかし、大きな換気ガラリが両側についていたら、天井断熱している意味がなくなると思い、指摘したところ、「それはそうですね。では、完全に塞ぎましょう」と小屋裏は密閉されました。
でも、今度は全く換気がなくなるので、それはそれで梅雨などの時の湿気などが心配で夜も寝付けない状態です。

[業者の見解]
業者も天井断熱の経験があまりないらしく正直わからないようで、「屋根断熱材を販売している北海道のメーカーに問い合わせてみたけど、密閉しても心配はいらないそうですよ」というだけです。

[相談内容]  
初歩的な質問で申し訳ありませんが、屋根断熱で施工する場合、(部屋ではない)小屋裏部分の換気はどうすべきなのでしょうか? 換気ガラリをつけるとせっかく断熱している効果が著しく落ちるような気がしますし、密閉すると北海道ではいいのかもしれませんが、湿気の多い九州では結露やカビの心配があります。

部屋との換気も考えるのですが、小屋裏壁の断熱材(ロックウール)の粉が部屋に巻き散るような気がしてあまり気がのりません。しかし、建築はどんどん進んでいっているので、どうするか決めなければなりません。こんな大事なことを施主にまかされても頭を抱えるばかりです。家は2×4で、2Fに勾配天井の部屋とホールがある関係で天井断熱ではなく、屋根断熱となりました。本当に夜も眠れない状態なので、ご回答よろしくお願いします。
 yorozuの感想 たいへんすばらしいHPだと思います。
ただ、今回、実際に相談する前に検索で同じ質問がないか探そうとしたのですが、検索機能でヒットするのはキーワードの周辺の文章と大きなページだけで、質問番号がわからないので、探すのに非常に時間がかかりました。
できれば、検索機能でそのキーワードが載っている質問番号が判明すると便利だと思います。
アドバイザー 
木津田 秀雄 相談員の木津田です。

 屋根断熱にしているということは、温熱環境の面からすると、小屋裏は室内になります。その考え方からするとご指摘の通り換気ガラリを取り付けることは意味がありません。かといって完全に塞ぐのも不安とのことでのご質問ですが、実際に普通の室内でも完全に塞ぐ訳ではありませんから、室内と同様の換気が確保できるようにすれば問題はないかと思います。

 次世代省エネ基準では居室について0.5回/時の換気量を確保するようにされています。すなわち、次世代省エネ基準の家でも、換気による熱の漏出をその程度は見込んでいます。ですから、小屋裏においてもこの程度の換気が確保できるような配慮があればよいかと思います。具体的には自然換気による手法より、24時間換気扇などでコントロールする方が現実的かと思います。
山口 雅克 解説員の山口です。

 屋根断熱で天井に断熱材がないのですから、小屋裏は熱環境的には室内と考えてください。AMさんが言われるように、小屋裏の妻壁に換気ガラリをつけるのは理屈に合いません。
 ガラリを密閉したとしても小屋裏は室内と天井材1枚を隔てただけの同じような環境になるだけですので諸々の心配はいらないでしょう。

 詳細な図面や現地の状況がわかりませんので、メールでのアドバイスに限度がありますが、場合によっては更に天井にも断熱材を入れる事をお薦めします。
 断熱材には外部からの寒暖の侵入を防ぐのと室内の冷暖房を逃さない役目がありますので、天井にも設置するのは有効です。

 設計施工のようですが、施工者に知識不足がみられるようなので設計内容を第三者の専業の建築士に見てもらうのも良いかも知れません。断熱の範囲や換気流れなどを検討してみて下さい。
久米 能子  兵庫県の久米と申します。

 妻側の換気口というのが屋根の断熱材より室内側に設置されているのならば、おっしゃるように、それはふさぐのが正解だと思います。

 一般に、「換気」といえば、人が過ごす室内の空気の質を良好に保つための換気をさします。その意味の換気は、通常窓をあけて通風を取ったり、換気扇(換気扇を設置するならば、同時に給気口を設けなければなりません。)をまわすことによって行われます。けれども、今ご相談されているのはこの「換気」のことではありませんね。
 
 一般に良く見られる住宅の妻側の換気口は、そのような室内の換気のために設けられているものではなく、建物の構造部分である木部(柱や梁など)を結露などから守って湿潤させないための「通気」のためのものです。
 2階の天井を屋根なりに勾配のついたものにしたにもかかわらず、通気のための妻側換気口だけは、天井を平らに張る、普通の小屋裏のある切妻の建物の場合と同じように残っていたのでしょう。それでややこしくなったのだと推測します。

 ご心配の「結露・カビ」というのは、壁の中に隠れている木材の結露やカビのことでしょうか。それならば、この「通気」が必要となります。

 壁の中の通気を取るのには、断熱材の外側に通気層を設けなければなりません。ということは、屋根の場合は、断熱材と屋根材の間に通気をとるということです。おっしゃる「屋根断熱」というのがどのような仕様になっているかがわからないので細かいことは申し上げられませんが、もし、小屋裏の通気を取られるのならば、どのような仕様であっても、断熱材の外側(屋根ならば上側)に通気ができるようにしてください。

 北海道の断熱材メーカーが「塞いでもかまわない(換気口は不要)」といった真意はわかりませんが、もしかすると、福岡は温暖地なので、とくに通気は要らないのではという意見だったかもしれません。壁内や小屋裏の結露は冬季の外気と室内の気温の温度差が大きくなるときに激しく起こるので、温暖地ならば不要という考え方かと思います。
 けれども、温暖地といえども、住まい方によって室内から発生する水分量はさまざまなので、小屋裏の通気は設置するほうが良いと思います。

 断熱材の取り扱いは簡単ではありません。不注意な施工を行うと、かえって建物を傷めてしまうことにつながることもあります。少し立ち止まってよく検討し、納得してから工事を進められることをお勧めします。1,2週間工事を遅らせることと、一生悔やまれる家を造ってしまうことを天秤にかければ、今このとき少し時間をかけることは大した損失ではないはずです。 
 コメンテーター 
善養寺 幸子 コメンテーターの善養寺です。

 屋根断熱をして小屋裏換気口は必要ないという北海道の業者の見解は従来の小屋裏換気の意味からすると正解です。小屋裏換気については室内の換気量より多く取るので、この換気口を塞がないと、屋根断熱を入れた意味がなくなってしまいますし、小屋裏に入った冷気によって、ことによると天井が結露を起こすと言うことも考えられます。塞ぐのが良いでしょう。

 ただ、気を付けなければならないのは、屋根断熱の気密性能です。北海道の業者は、高断熱高気密の技術を熟知していますから、そう言う点では、屋根断熱をして、屋根の断熱層に室内の空気が流入しないようにキチンと気密層が出来ているという前提で、小屋裏換気口が必要ないと言っているのだと思います。そこがちゃんと施工されていない状態で、ただ単に小屋裏換気口の議論だけしても結露+カビ(屋根は夏に極端に熱くなるので結露だけのカビによる腐食は考えにくいです。雨漏りはともかく。)の問題は別のところにあります。

多分、小屋裏換気口の意味が解ってない方ですので、高断熱高気密の基本も分かっていないとすれば、当然、屋根断熱+気密はされていないでしょう。今すべきことは、屋根の断熱の内側にキチンと室内の空気(湿気を帯びた空気)が入らないための気密工事を行うことです。その上で、小屋裏と室内を繋ぐ室内側との換気口を設け、天井裏も室内側にしておくことが良いかと思います。

 ただ、九州に内側の気密工事の出来る技術を持つ業者さんがいるのでしょうか?断熱材がビニールパックされているから気密が出来ているなんて馬鹿な回答をされないか心配です。気密すべきは断熱材の入っている空間全体と室内の空気との間です。断熱材そのものだけではありませんので、騙されないでください。

 ちゃんとした知識のある人に見て貰った方が良いかも知れません。九州だから温暖地だからと甘く見ない方が良いと思います。福岡は結構、暑くて寒くて、台風もあってですから、過酷な環境とも言えます。
 事務局から 
  荻原 幸雄 善養寺委員の解説は気密を前提にしての回答ですので、ご注意ください。
全ての建物が気密であるべき前提で解説されていますが、そんなことはありません。
地域、風土、構造、外壁、内壁、屋根、基礎、の仕様によって総合的に判断すべきことだと思います。ご注意ください。

屋根断熱といってもいろいろな方法があります。それによってアドバイスが違います。
例えば外壁に通気層を設けた場合で防水透湿シートならば湿気はそこから抜けますので換気口は不要といっていいのですが、シートがアスファルト系ですと換気は必要となります。これも取り合いが施工方法、設計方法によって違いますので、結論を出すときは、図面や現地を建築士にみてもらって判断してください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 こんなに早く専門の先生方からアドバイスいただけて感激しています。
本当にありがとうございました。

 通気に関しては、壁は防水紙の外側に、屋根は遮断ルーフに通気層があり、棟換気口から排出されるように一応なっていますから、私としてはあくまでも、「部屋ではない小屋裏空間の換気」について質問したつもりです。先生方のアドバイスをもとに考えた今のところの結論は、屋根断熱に加えて居室の天井には天井断熱も施行し、小屋裏に関しては24時間換気を給気口と排気口を各1カ所のみ設置し、万が一に備えるというものです。もちろん、部屋側からの湿気対策としての気密工事もできちんと施工してもらうつもりです。

 これで完璧かどうかは自信ありませんが、工事を進めなくてはいけませんので、とりあえず前進したいと思います。本当にありがとうございました。
なお、相談の文章中、何カ所か「屋根断熱」とするべきところを「天井断熱」と書いてしまっていてわかりにくくなっていたことをお詫びします。
 その後  
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