相談概要 | [氏名] E.H [相談内容:] その他 [相談建物所在地] 東京都武蔵野市 [職業] 会社員 [年齢] 58 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦 2005年12月20日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 150 [延べ面積坪] [工事請負金額] 2800 [設計監理料] 100 [様態] 注文建築 [施工者] 大手ハウスメーカー パナ・三井等 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。 [確認申請の為の委任しましたか?] した。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] − [設計図面は何枚もらいましたか?] 30 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] >10 [床面積] 150m2以下 [施工者名] M.H [販売会社名] M.H [設計者名] T.T [監理者名] H.O |
相談内容 | [現象] 長方形の土地(4辺の内短辺1辺が4M道路に面している)を兄弟2人で2分割して相続する為、4隅の内の1隅を含み4M道路に面した小さな長方形(兄の既存の家があり居住中)と旗竿地(私)に分け、その旗竿地に対し4月に民間検査機関による建築確認申請済証を受けた後住宅メーカの手により新築中ですが、竣工1ヶ月前の11月末になって役所の建築指導課から私道(竿の部分)への隣家(兄の家)からの庇の出っ張りに対し指摘があり、庇の切除又は私道の拡幅の指導を受けています。私道は地面は2M幅が確保されていますが、高さ2.5〜3Mの位置に庇が25CM程、長さ約6Mに亘り土地境界から張り出しており、即ち私道の上空で1.75Mの幅しかない部分が有ることにな ります。 [相談内容] 隣家がRC造りで単なる切除と言えども容易ではないこと、又閑静な住宅地での工事となり騒音対策等も必要となることから費用もかかる事が想定され、又切除しな くとも防災上実質的な支障は無く当事者である私も合意しているにもかかわらずそれでも費用をかけてでも切除せよとの役所の指導に対して疑問を感じつつ、私もできれば切除しないで解決する方法が無いかと思っています。このままでは新築の竣工はしても検査済証はおりないことになります。建築主としてこの問題にどの様に対応すべきか御教示頂けると有り難く思います。以上宜しくお願いします。 [業者の見解] 請負住宅メーカ担当者による役所との交渉 (建築基準法43条但し書きによる救済措置の適用の可能性打診を含む)の結果では解決へ向けての進展は無く、隣地の土地の管理者との交渉においても私道の隣地側への拡幅は拒否され、庇の切除に対しても既存建物の所有者(兄)の了解が得られません。この様な私道であっても生活上、防災上の支障は無く、また世の中にはより一層条件の悪い状態の土地、家屋が多々見受けられるにもかかわらず今回庇を切除しなければならないのは納得いかないと言うのが所有者の言い分です。 |
yorozuの感想 | 複数の専門家の御意見を併記して頂いており、且つそれぞれが御丁 寧にご回答頂いており大変に信頼感があり参考になります。 |
アドバイザー | |
古賀 保彦 | 解説委員の古賀です。 世の中、建築に関係するもので違法状態であるものも多々見受けられますが、ちょっとの事だからいいだろうと、それを野放しにしておいたのではアナーキーな状態になってしまいます。ご相談の状況では実質的には支障なさそうにも思えますが、指導を行った役所、法律適合の判断を行う立場としてはいいとは言えない内容なのでしょう。 一旦認められたとしても、今後も他にも似たようなケースが出てくるでしょうから、では、庇の出幅や高さや長さがいくらなら良いのか、といった判断基準を設定するのが難しい内容ですので、越境しているものは駄目、と一見杓子定規に思われるような判断をせざるを得なかったのではないかと思えます。 また、土地を分筆された時にすでにお隣の建物が既に建っていたのでしたら、庇とはいえ隣家が越境状態のまま、無理やり2mの接道要件を満たすような分筆・確認申請を行ったものと解釈されたのかもしれません。 自己責任で選択をする、それには、検査済証が出ない事や後々にも庇の撤去指導を受ける可能性もあるという事も受け止めていかなければなりません。 また、万一将来に土地を手放す時には越境の事を解決しなければならないかもしれません。・・とすれば、費用負担等、分筆時の状況に遡る事もあるでしょうけれど、今の段階で庇に手を加えるべく隣家所有者と粘り強く相談された方が結局は良いように思えますが、いかがでしょうか? |
コメンテーター | |
清水 煬二 | 古賀解説委員の丁寧なアドバイスで言い尽くされていますが、建築基準法は、他の法律でもそうですが、単純明快で絶対に守らなくてはいけないと感じる部分と担当者個人の見解や判断で適用を求められ、法律の意味を考えるとこのケースでは納得できないと感じる場合があります。 私の感覚では、今回のご相談のケースは前者でこれから新築をするのであれば単純明快、絶対に守らなくてはならない部類だと思います。 2M以上の接道が義務付けられているのは、ご存知のように火事の場合の消防車の侵入や災害時の対応などが主な目的のはずですが、問題がないとお感じになるのは、現時点でのご自身だけの判断で、将来的にも問題が生じないとは考えられません。 他にもっと問題のある家があるのに、なぜ自分だけがとお感じかもしれませんが、その方たちも検査済証は受け取っていないでしょうし、もし受け取っているなら現在問題にもなっている発行した検査機関が見落としたということです。 今回は当然悪意もなく、全く知らなかったことで驚かれたでしょうが、悪徳不動産屋さんの建売での話ですが、結果的に違反建築になることはわかったうえで、たくさんの家が建てられるように分筆を悪用した例などもあります。 但し、ご本人が本当に問題ない、この指導は間違っていると感じ、庇も壊せないなら、検査済証がなくても通常は何事もなくお住まいになれるのが現状です。検査済証に固執しなくても、結果的にですが自己責任で判断できるわけです。 多くの方がそうであるように、もし将来売却や引越しを余儀なくされることになった場合、検査済証があると仲介の不動産屋さんや買い手が違反はないと誤解することになります。検査済証は、その時点での法律で違反はありませんよというお済付きですから、今回はこれが発行されないことは当然で、残念でしょうが発行できないと言っている役所の判断を受け入れるか、庇を壊すかの選択しかないようです。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | お気持ちはお察しします。確かに兄弟での敷地分割です。 当事者がよければということは感情的に理解できますが、もし、当事者が良くても、将来、売買した場合には第三者に迷惑になることにもなります。 兄を説得して引っ込めてもらうしかないのではないでしょうか? 今回の問題はハウスメーカーの見切り発車。民間検査機関の土地確認の怠り。に原因があります。 現在は民間機関にだされたものは自治体がパトロールして立ち入ることが多くなっています。 安易な民間機関の確認処分が招いた結果でもあります。 完了検査済み証が発行されないと思いますので、弁護士と相談の上、今後の対処としてください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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