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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No. 1059 分譲マンション施工中の現場確認したが

 相談概要 [氏名] MT
[相談内容] 分譲マンションの瑕疵
[相談建物所在地] 千葉県成田市
[職業] 会社員
[年齢] 43
[男性] on
[構造] 鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)
[引渡し年月日] 西暦2005年12月23日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 11
[お住まいの階] 11
[延べ面積m2] 104
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 4440
[様態] 分譲マンション
[施工者] ハウスメーカー
[マンションの総戸数] 100戸以下
[施工者名] K建設
[販売会社名] DH
[設計者名] 有限会社 K
[監理者名] 有限会社 K
 相談内容 [現象]
今年の12月に引き渡しになる分譲マンションですが、先月、施工中の現場確認をしました。その際にLDの窓3ケ所のうちの2ケ所(1ケ所は南向きのバルコニーに面した出入り可能な窓、もう1ケ所は西側の腰高窓)のガラスが網入りになっているのと、西側に面している洋室の窓すべてと、北側の窓がくもりガラスになっていました。このマンションは2棟構成で、私が購入した物件の西側にもう1棟があります。その他は地方の物件ということもあり、視界をさえぎるものは何もありません。

売り主が作成したパンフレットや図面集には網入りガラスやくもりガラスの表示は一切ありませんし、モデルルームの窓もすべて透明ガラスになっていました。(モデルルームと私が購入した物件はタイプが異なりますが、私の購入した物件は最上階・ルーフバルコニー付きで4面採光が売り主の宣伝文句です。また、マンション全体として眺望を売りにしております。)

売り主の設計者は、LD窓の網ガラスは消防法によるもの、その他は隣接住戸あるいは共用廊下から部屋の中が見えるということでくもりガラスにしたとの説明がありました。現場確認後の打合せで、窓ガラスの仕様については図面集には何の記載もなく、モデルルームがすべて透明になっていたので、購入した物件もすべて透明だと考えていたので、窓ガラスについてすべて透明なものにするように要求しました(消防法をクリアできる窓ガラスはあるはずです)。

[業者の見解]
売り主の見解は以下の通りです。
(1)窓は共用部分なので、私の物件だけを交換するわけにはいかない。
(2)窓の仕様を図面集に記載しなかった売り主にも責任はあるが、それを確認しないで購入した買い主にも責任がある(法務部門の見解)。
(3)窓ガラスの仕様を図面集に表示する義務はない。

[相談内容]
売り主に対して、上記(2)が正式見解であるならば、文書で見解を出すように要求中です。今回、ご相談させていただきたいのは、

(1)上記売り主の主張は正当なものなのでしょうか?図面集にも窓ガラスの仕様を記載しないでおいて、購入者はどうやって判断できるのでしょうか?網入りガラスやくもりガラスだったら、購入しなかったと思います。また、窓ガラス仕様を図面集に表示する義務はないというのは本当でしょうか?
(2)契約書には、軽微な変更以外は共用部であっても売り主は勝手にできないことになっています。( (設計または仕様の変更)売主は、売買物件について法令その他やむを得ない事由により設計変更の必要が生じたときは、軽微かつ専有部分に変更を生じない限り買主の承諾なしに設計を変更することができるものとします。)この窓の件は買い主の承諾が必要ない軽微な変更に該当するのでしょうか?
(3)この窓の件を理由に契約解除をした場合には、手付け金やオプション費用の扱いはどうなるのでしょうか?こちらとしては、買い主の事情による解約ではないので、すべて返金するよう主張したいのですが…。以上、よろしくお願い申し上げます。
 yorozuの感想 シンプルで見やすいHPだと感じました。また、解説者のプロフィールが掲載されているのもよいと思います。
アドバイザー 
津村 泰夫 大阪の津村と申します。私の個人的見解です。

(1)ついて
 おっしゃるとおり、窓ガラス素材などについてはモデルルームなどで確認する以外にないと思われます。ただ窓ガラス素材について図面集に記載義務まではないのでは ないでしょうか。

(2)ついて
 管理組合規約に規定されていると思われますが、一般的に窓ガラスは共有部分です。
窓ガラスの変更は軽微ではないと考えますし、買い主の承諾が必要でしょう。

(3)について
 このへんは売り主とねばり強く交渉する以外にないと思います。
 コメンテーター 
堀住 勝雄  眺望が阻害されてがっかりされていらっしゃるのですね。しかし見晴らしの良さとプライバシーの問題は相反する場合が多く、販売する側は近隣とのトラブルに神経質になり曇りガラスにしてしまったのでしょう。「覗くことは無い」と言っても相手から「見れば見えるだろう」という言葉には反論できないのが現状です。

 透明か曇りかは別にして網入りガラスは建築基準法により義務づけられていますので普通のガラスは使えません、違法建築になってしまいます。
(網の入らない防火ガラスも存在しますが大変高価なので業者は受け入れないでしょう)販売パンフレットにはガラスの種類までは記入されていないと思いますが、閲覧に供されている設計図面には「延焼のおそれのある部分は防火設備(網入りガラス)とする」などと記載されているはずです。

 近隣トラブルのおそれが無ければ 網入り透明ガラスに入れ替えをするくらいは要求できるのではないかと思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 購入したマンションがどのようなものか、当然、購入者側は知る権利があると思います。それは意匠だけでなく、構造、設備についてもです。
私どもがマンション同行調査をするときは先ず初めに、販売会社に実施設計図面を提示してもらいます。必ず置いてあります。ほとんどの購入者はこの図面を見ませんし、 閲覧の要求もしません。これがまかり通っているので、販売会社は求められれば閲覧に供することになりますが、別な場所からから持ってくるところを見ると、できれば見せたくないという思いがあるようです。多少、変更がある場合があり、この時点では是正されていない場合が多いから、誤解を招く場合もあるからです。

その中には建具表というものがあり、図面中にガラスの仕様も記載されています。
フロート網入りガラスt=6.8などです。この場合は透明ガラスですが、型ガラスなどと記載があれば曇りガラスとなります。
この場合は近隣からの要望などがほとんどです。建設する前の事前協議に段階で要求がでるので、それに配慮して曇りにする場合はほとんどです。

網入りの場合は消防法や建築基準法から入る範囲にあるガラスは網入りか防火ガラスになりますが、耐熱強化ガラスを使うことは分譲の場合は皆無だと思います。

問題は販売会社の説明不足だと思います。しかし、現実はそこまで、ちゃんと説明するデベは少ないでしょう。といっても説明責任は果たしているとは思えません。
近隣からの要望で曇りにせざる終えない場合でも曇りのガラスのある住戸にはその窓の位置は説明すべきだと思います。

眺望を大切に考え、人からの視線よりも眺望でゆったりしたい人もいると思います。
貴方がそのような要望があるならば、眺望は無視できないので、耐熱強化ガラスに取り替えてもらうことも要求としてはあっていいと思います。

しかし、そう簡単には応じないのがデベです。
何故なら、一箇所に応じると、全ての応じなければ不公平になるからです。
管理組合はまだ存在していないのですから管理規約は仮のものになります。
最終的には管理組合が成立した時点での共用部分全てが管理組合規約に範囲になりますが、まだ、デベの手中なので、対応は可能だとは思います。

これを理由に契約解除には応じないと思われます。
これは交渉しかないでしょう。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 このたびは私たちの相談に回答いただきましてありがとうございました。参考になりました。コメンテーターの津村様、堀住様にもよろしくお伝えくださいますようお願いいたします。

本件に関する「その後」についてご報告申し上げます。

この間の日曜日に売主(DH)と打合せました。売主からは「こちらの要求については基本的に受け入れられないが、買主の言っていることももっともな部分もあるので、下記の通り、提案したい。」との話がありました。

a) 西側のくもりガラスを私たちの物件だけを交換すると、隣の棟(A棟)と近いことや外観上明らか異なるので、西側のくもりガラスをクリアガラスに交換することはできない。

b) LDの網入りガラスと洋室(1)の北側くもりガラスについては防火仕様の透明な耐熱ガラスに交換する。

私たちの物件だけ窓ガラスを交換することは、他の顧客に説明がつかないが、私たちの言い分(最上階を買ったのに眺望が阻害されるのはおかしい)もよくわかるので、上記でお願いしたいとのことでした。

こちらからは「くもりガラスがどの程度採光面に影響を及ぼすか、また、隣接住戸の距離も考えたうえで判断したいので、現場を見せてほしい。」と要望しました。その結果、それならすぐに見に行こうということになり、すぐに現場に入れていただき、実際に見てきました(売主の営業と設計、ゼネコンの所長が同行)。

確かに、西側については隣接住戸との距離がかなり近いことから、くもりガラスでも仕方ないかなという感じでした。採光面については、物件全体の日当たりが非常によい(最上階には私たちの物件しかないので4面採光)ので問題ないと感じましたが、やはりLDと北側はクリアにしてもらった方がよいと思いました。

ということで、もともと西側は仕方ないと思っていたところもあったので、こちらの要望については受け入れてもらえました。交渉を重ねた甲斐がありました。

この売主(DH)は非常に柔軟で、現場確認をすんなり受入れてくれたり、各種設計変更も受け入れてくれたり(インテリ アコーディネーターもつけてくれました)とよかったと思っておりま す。

最後になりましたが、今回はいろいろとアドバイスをいただき、本当にありがとうございました。今後、またご相談させていただくこともあろうかと思います。その際は、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 その後  
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