本文へスキップ

一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 1056 設計監理料について質問します。

 相談概要 [氏名] I.K
[相談建物予定地] 静岡県静岡市
[職業] 会社員
[年齢] 32
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦 2005年11月1日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 158
[延べ面積坪] 48
[工事請負金額] 2550
[設計監理料] 212
[様態] 注文建築
[施工者] −
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
 相談内容 [家づくりの相談内容]  
設計監理料について質問します。設計士に依頼し住宅を建てる予定です。現在何度かの打ち合わせを行い、設計士との設計・監理契約を結ぶ かどうしようか検討しているところです。

建設計画はやや複雑で、既存棟(離れ)を取り壊し造成後(土盛り)新築。既存母屋との連結(渡り廊下)やEV設置も予定しています。事実上増築のようなものですが、 完全2世帯住宅を考えています。

設計監理料の提示は工事費の8%。見積りで47坪を25,500千円とした場合2,120千円となっています(難易度を考慮したとのこと)。
尚、これとは別に造成計画監理料が92千円となっています。
契約方法は、設計監理委託契約段階で設計料を決定し、以後実際施工業者の見積もりが出た後、工事代金に変動があったとしても設計料は変化しない。というものです。つまり今契約すると2,212千円ということになります。
この場合、仮に希望工事価格よりも実際の工事価格が上がった場合には、設計料に変わりはなく問題ありませんが、当初概算より実際の金額が下回った場合影響が出ます。
悪い捕らえ方をしますと例えば本来20,000千円で建設が可能なものの見積もりを28,000千円と悪意をもって算出し、設計監理料8%として2,240千円取られてしまう可能性があるということです。
この場合正規でいけば1,600千円の設計監理料ですむはずです。周辺に聞きますと、実際の工事代金と当初設計監理料との誤差を最終金支払時に清算するというのが、一般的と思われます。このような契約方法はリスクが高いのでしょうか?またこのような契約方法をとる場合にリスクを回避する方法はあるのでしょうか?長くなりましたがよろしくお願いします。
 yorozuの感想 今回初めてメールします。このような場があることは消費者からするとありがたいです。
アドバイザー 
善養寺 幸子 解説員の善養寺です。

 設計監理を専門業とされている独立された建築士事務所なのですよね?ご自分で良いと感じた方なら信頼されてはいかがでしょうか?工事費が上がった場合は、自分は得をするが、工事費が下がった場合は、自分が損をする。相手と仕事に置いて対等な関係で、自分のために仕事をして貰うなら、工事費が下がった時を心配するなら、上がった時も相手のために、その分を払う覚悟で、下がったら減らす契約をされたら良いじゃないですか?それが対等で正当な関係ですよね?自分だけが得するのは良いが、相手には少しでも得させるのが嫌だとは、虫の良い話しです。

 本来設計業務と言うものは、最終的に工事費が少なくなったとして、1軒の住宅を設計するに最低労する労働力は同じです。予算が厳しく、設計後、業者との折衝をしたり、減額案に合わせて図面修正を行えば、基本作業にプラスして労働が発生します。

ですから、金額が下がったと言え、設計に労したものは減りはしないのです。
そもそも工事費の見積が坪50万円代であったり、設計監理費が8%と言う時点で充分、最低限のところで設計監理費を考慮し、親切にも損する覚悟で追加費の請求はしないなんて言うこの方は、IKさんに疑われている事も知らないで、なんて『お人好しな方』だと私は可哀想に思います。最終的な工事費の価格に応じて、設計監理費の調整を行い、清算するという契約書で契約すべきとアドバイスをしてあげたいです。

 私のところなら、東京という立地のせいもありますが、工事費を70万円/坪以下では見積もりませんし、設計監理費は15%以上ですし、最低設計監理費用を300万円(税抜)としています。この方に比べれば、遙かに高い費用でしょう。その上、工事費の変更に伴って清算すると言う契約書にしています。それが正当な報酬と私は思っています。ちゃんとした仕事をするには正当な報酬が必要です。設計監理費は殆どが技術者の職能費+労働費と言う人件費とも言うべきソフト費用です。計画段階から設計、工事監理、アフターアドバイス。その期間は短くても1年間はあるのではないでしょうか?延々と付き合うことになります。設計監理費の中には、当然、事務所の経費や外注先への支払いも含まれます。それを思えば、212万円と言う金額の内、いくらが騙されて損する額なのかよく解りません。誰か特定の相手のいない状態での一般論として、設計監理費の算定はいい加減だと言われるのなら、何となく分かります。

今回はそうではなく、建築のパートナーとして今後長い付き合いをしていく相手に、すでに会っていて相談もしているのでしょう。作品やプランなど何か魅力があって、その方を選定されたのでしょう?その信頼すべき相手に対し、パートナーが損するのは良いが、自分は全く損はしたくないと言う話しは、自分だったら「そんな身勝手な人の住宅を苦労して設計するのは仕事でも嫌。」と、断るでしょうね。

家づくりに大切なことは信頼関係だと思います。
 ちなみに、工事費の変更に伴い設計監理費を調整する契約にすることをお奨めします。必ず、予定工事費より下回ることはないと思われますので。相手への思いやりです。そこで追加費用を払う器の大きさを見せたら、熱心に良い仕事してくれるのではないでしょうか。
山口 雅克 解説員の山口です。

 設計監理をお願いしようとされている建築士から報酬についての説明はどのように受けましたか。提示は工事費の8%と大まかな金額が分かりやすいように言われたのではないでしょうか。

 設計監理報酬は工事費の割合で決まるのではなく、その建物を設計監理するのにどのくらい手間が係るかを予測して割り出します。大きな建物でも簡単な設計で監理も数回にすれば安くなりますし、小さな建物でも丁寧な仕事を行えば高くなります。

 実際には、建主の望む建物を建主の予算の範囲内でまとめて、造り上げるのにどのくらいの延べ人数が係るのかを予測して提示をします。延べで50人かかりそうだとすると、それに人件費を掛けて経費を加算して算定します。
 その結果、その金額が建主の工事予算の何%になるのかが分かりますが、一般には6〜15%のようです。もちろん仕事の中身や住宅の規模も千差万別です。

 せっかく出会えた設計者ですから信頼してお話をしてみたら如何でしょうか。納得できるまで説明を受けてみましょう。
 私たちが出版した「我が家を手に入れる前に読むQ&A80」にも設計料に関して解説をしています。参考にしてください。
 コメンテーター 
堀住 勝雄 コメンテーターの堀住です。

 二方の解説のとおり設計料、監理料の多くは人件費です。これから取りかかろうとする作業の金額を安く上げる為には手間を掛けないことになります。また、もしご希望どおりの計画で見積もったところ予算をオーバーした場合、それを予算に納める為には並々ならぬ苦労が付きまといます。そうして設計者は自分の報酬を下げる方向の努力を強いられます。どうぞ設計者を信頼して、その代わり貴方の全ての夢や希望をぶつけてください。人生にそう何度も無いプロジェクトのパートナーとして相応しいであるかどうかを見極めてください。特に監理業務は信頼が無い状態では難しいと思います。私も「お客様の信頼が無い」と感じた場合、金額の多寡ではなくお断りしたことがあります。
 事務局から 
  荻原 幸雄 設計監理料は単純に%ということのように言われていますが、そこには根拠が必要です。
図面は何枚くらい描くか、見積りの査定、施工業者選定のアドバイス、確認申請手続き、工事監理にどれくらい現場にいくのか、施工図面のチェック、近隣苦情の対応、検査立会いなど多くの業務があります。例えば8%でも図面が少ない、監理は余り行かないという査定ならば高いでしょう。問題のない必要図面を描き、監理も問題ない範囲まででかけ、全てを問題ないようにこなすとしたら安すぎます。

私は設計監理料はその希望内容に対して、図面や監理等のかかる日数や図面枚数を積算し
その旨で金額を提示しております。
費用は増減することがありますから最後に清算することにしています。
予算は目標です。それに近づけるには両者の協力が必要です。
建築主は予算は希望であります。しかし、夢は通常は予算を超えています。これは当然のことで私達はこれを整理し予算に近づけるように努力しますが、夢は現実に提示をみないと整理できないものです。
通常は提示は予算を超えます。その時点で何を諦めるかを整理し、予算に近づけるものです。
ですから、建築主の意識で予算に近づけるとお考えください。
この整理する作業は夢と予算がかけ離れているほど、設計者は図面変更など多大な労力を必要とします。

設計監理料が妥当かはその内容によるということになります。
また、設計監理契約は委託契約ですから、かなりの部分は信頼して委託するということになります。
わたしは設計監理を依頼するには第一義である安全な家という定義として【誰に命を預けるか】ということに極論ですがなると思います。構造など未熟な設計者、監理ができない設計者だったら、希望のプランができても大地震の時に倒壊したら死ぬこともありえるからです。

わたしは設計監理はそれくらい大変な作業だと思っています。
命を守ってもらうにふさわしい信頼関係が構築できなければ設計監理はどんな金額であっても高いと感じるでしょう。

先ずはそこから見直すことをお勧めします。
【命を預けるに足りる】設計監理者か、設計監理料かを。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 皆さんがおっしゃるように「信頼関係」が一番だと改めて感じております。
一般的に住宅を建てるチャンスは人生に1度もしくは2度程度。
決して多くない機会の中で素人が住宅完成までのシナリオを書くことはとても難しいです。今回私は利害関係が絡まない全く知らない第三者の設計士との契約を考えているところです。したがって数多くの設計士の中からたった1名を選択することにとても慎重になっています。

今交渉している方は、何度かの折衝の中で人物的に問題ないと判断した方ですが、契約金の妥当性について判断することは難しい部分があります。というのも家を建てるのは初めてで、かつ周囲にも設計士に依頼したケースがないため提示された金額が適当かどうかの比較対照がないからです。

こういった方は他にもいらっしゃるのではないでしょうか?実際の工事請負契約もそうですが住宅完成まで費用については不透明感がついてまわります。追加工事の連続で、当初の予定を1割2割上回ったなんて話を良くききます(ハウスメーカーに多いようですが・・・)。

もっと費用の透明性高めることができれば、マイホーム購入に対する消費者の見方も変わるんじゃないかなって思います。
今回の意見を聞いて交渉中の設計士との信頼関係の構築とさらに詳細な打ち合わせを行っていきたいと思います。ありがとうございました。
 その後  
目次に戻る

バナースペース

一般社団法人 建築よろず相談支援機構

〒181-0001
東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

TEL 0422-24-8768
FAX 0422-40-0107