相談概要 | [氏名]S.S [相談内容] 売建住宅(建築条件付建売住宅)の瑕疵 [相談建物所在地] 千葉県佐倉市 [職業] 専業主婦 [年齢] 33 [女性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦 2006年2月上旬 [公庫使用] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 123.55 [延べ面積坪] [工事請負金額] 1700 [設計監理料] 0 [様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅) [施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] - [18確認申請の為の委任しましたか?] - [確認申請書お持ちですか?] 解らない。 [検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 9 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 5 [施工者名]A.S [販売会社名] [設計者名] [監理者名] |
相談内容 | [現象] 10月23日に基礎(べた基礎)の立ち上がり部分にコンクリートが流され、翌日の24日カメラとスケールを持って写真をとってきました。実際に図ると、12cmの基礎の厚みのうちアンカーボルトを中心に片側が4cmも確保できないのが15ケ所もありました。またアンカーボルトが垂直にたってないものもいくつかありました。 [業者の見解] 「アンカーボルトが中心からずれているものが多いと思うんですが」と聞くと「中心に(アンカーボルトを固定する)鉄筋がきているから多少ずれてしまう」といわれました。 [相談内容] これほどずれていると、コンクリートの強度が落ちてひび割れないか、また、(工場でプレカットされた集成材の穴にきちんと収まらないのでは、もし穴を大きくして木材の強度が落とすのではないか、と心配なのですが、一般的にはこれは許容範囲なのでしょうか。 |
yorozuの感想 | 建築に素人の自分達は自分の家がたつまで当然に不安や疑問が多く、業者に聞いてももっともらしく答えてくれるものの、本当にそれでいいのか、という疑問がただ空しく残ることが多いです。こういう場で専門家の方に相談に乗ってくださると心強くとても有難く感じます。 |
アドバイザー | |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 基礎立上がりの巾が12cmですね。この会社の設計は全てがそうなのでしょうか。 このごろは15cm巾が主流だと思っていましたので、少し驚いています。 基礎立上がりの鉄筋のかぶり厚さは最低4cmですから両側で8cm、鉄筋が縦と横で2cm、あわせて10cmですから余程正確に鉄筋の位置が確保されていないとホールダウン金物やアンカーボルトの位置も写真にあるようにずれやすくなります。 土台は多分12cm角だと思うのですが、アンカーボルトを通す穴は現地でその位置に合わせてあけますので、大きくなって弱くなる心配はありません。 アンカーボルトのズレはコンクリートの強度には関係しませんが、全体的な基礎の強度や耐久性としては問題がない訳ではありません。今回のケースでは微妙な感じの部分がありますね。立ち上りを解体してやり換えるほどのことではないと思われますが、そのままではやや不安ありと言う感じです。 写真では全体のバランスや上部の木造構造体との関係がわかりませんので、第三者の専門家に見てもらうといいでしょう。状況によってはこの程度のままで済ましてもかまわない場合もあります。 |
畔上 廣司 | 解説委員の畔上です。 ご相談のアンカーボルトの据付方法は、コンクリートの打設後に据付けを行なう俗に田植え方式と呼ばれ、手軽で能率よく作業上便利である等、木造住宅専門の中小規模の工務店では一般的な方法として行われておりますが、本当は鉄筋に固定したほうがベストに違いありません。 木造住宅工事の住宅金融公庫基準適合仕様では、アンカーボルトの設置位置や間隔、埋め込み長さ等の維持、また、しっかり固定するように記されていますが、一般工務店程度ではなかなか遵守されていないのが実情のようです。写真を見た限り、一部芯ズレの大きいものが見られますが、斜めになっているボルトはコンクリート強度がでた時点で鋼管パイプを通して真っ直ぐに台直しを行なうとよいでしょう。特に耐力壁用でなければ特別ご心配する必要はないと思います。穴のあけ間違い部分については埋め木措置等が必要ですし、著しい芯ズレ部位については土台添木で補強を行なう等、工務店さんにご相談したら如何でしょうか。 芯ズレは、特に耐力壁両端の柱に近接した部分では、アンカーボルト位置の偏芯は好ましくありませんが、正確にコンクリートかぶり厚さを確保しようとした場合、現行基準法上は布基礎立上り部分のコンクリート幅120mm以上の基準では確保が非常に難しい所です。 計算上は120mm.−アンカーボルトφ12mm.−主筋13mm.−副筋10mm.=85mm.で、両面のかぶり厚を40×2としますと余裕は5mm.ということになりますね。さらに、H.D金物φ16mm. 部分では1mm.しか余裕がありません。 この点等を踏まえ、平成15年以降の公庫基準適合仕様基準では布基礎立上りのコンクリート厚さは150mm.を標準とするという表現に変ってきました。その他、住宅保証機構を利用している場合などでも150mm.厚を指導している様です。 したがって、S.Iさんと工務店の事前打合せや契約内容、設計図書によっても建物の品質や性能が変わってくることになるわけですが、特に基礎に関する構造基準では、地盤、構造種別やその特性等によっても矛盾が生じてしまうケースなど難しい現状があります。 早急な法整備に期待したいところですね。 |
コメンテーター | |
藤井 修 | アンカーボルトの芯ずれは現場では多々見受けられます。施工上固定してあってもコンクリート打ち時点で力が加わりずれることがあります。 その場合、きちんとした処置をすれば問題はおきません。 山口解説員、畔上解説員の解説にある方法を参考に、施工する工務店とよく話あってください。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | アンカーボルトでも被りを確保すべきだとわたしは理解します。 何故ならば被りとは風雪等の保護、火災の保護の目的もあるからです。 写真ではこれが30mmのところが多そうです。 わたしが設計監理者の場合は 1)アンカーボルトの田植えは認めない。 2)基礎巾は150mm以上とする。(通常は170mmとしています) 3)ホールダウンは主要な柱にはほとんど入れます。 (これはN値計算で設計すればこんなに入れる必要はありませんが・・・) 4)以上によりアンカーボルトを含めた被りは充分確保できます。 とするのがよいですが、それはそれぞれの会社の設計の考え方によります。 しかし、最低限度の建築基準法は守らなければなりません。 基準法上アンカーボルトまでの被りの基準はない。 (鉄筋の被りはあります。この場合は40mm) 総合的には駄目という程ではないと理解しますが、これをNGとする基準はないと思います。 基準法上は合法ということなると思います。 最低限度の建築基準法はこれを守れば最低限度の安全は確保できるであろうというもので、これをどこまで上げるかは設計者の判断になるということです。 この工務店は建築基準法を守れればOKとしているということになります。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | はじめまして、私は先日自宅新築のアンカーボルトの件で相談メールを送りましたIと申します。さっそく貴重な意見を頂きましてありがとうございました。 問題の件につきましてはその後棟上まで進んでしまい、やはりアンカーボルトが土台のキワのほうまできてしまって、中には木が割れているものもありました。現在は工事をストップして、今週に業者側の一級建築士が大丈夫かどうか立ち会って確認することになっています。 こちらとしては大丈夫と言われても納得がいかない気持ちでいるのですが、まずは状況を見てもらことが先と思い、何かしらの対策を講じるよう話し合いをしたいと思っています。 対策が決まりましたら後日改めてご報告させていただきます。 |
その後 |
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