相談概要 | [氏名] S.T [相談内容] 注文住宅の瑕疵 [相談建物所在地] 広島県広島市中区 [職業] 公務員 [年齢] 47 [男性] on [構造] 木造(その他) [引渡し年月日] 西暦 2006年2月21日 [公庫は使わない] on [性能保証を使用] on [何階建て] 3 [延べ面積m2] [延べ面積坪] 55 [工事請負金額] 3420 [設計監理料] 175 [様態] 注文建築 [施工者] 大工(工務店) [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [18確認申請の為の委任しましたか?] した。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] 無い。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 30 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 30 [施工者名] K建設 [販売会社名] なし [設計者名] 工務店社長 [監理者名] 工務店社長 |
相談内容 | [現象] 現在,基礎工事が終わり,立ち上げ部分のコンクリートの養生期間です。 9/29 第三者機関(H社)及び,瑕疵保証会社(J社)の2社より配筋検査を受ける。 手直しをして,合格 9/30 ベースコンクリート打設(立ち会う) 10/ 6 立ち上げ部分の配筋検査(H社)を受ける。 スリープ付近の配筋の指摘を受け,型枠をはずしてその場で直す。 その際,アンカーボルト,ホールダウン金物もはずす。 10/ 7 午前7時前 本日立ち上げ部分のコンクリート打設予定なので,現場に行ってみるとまだアンカーボルト,ホールダウン金物がセットされていない。 10時30分過ぎ コンクリート打設 その際,アンカーボルトは鉄筋に結束されていないことを確認。コンクリートを流し込んだ後に位置がずれないようにしておいて,アンカーボルトでコンクリートをかき混ぜていた。 ホールダウン金物は結束していた。 仕事の関係で途中の11時過ぎまで見ていたが,すべて終わるまでは見ていない。 10/8 確認のため,現地に行ってみると,ホールダウン金物が垂直に入っていないことを確認。 [業者の見解] アンカーボルトを結束しない理由 この方が,コンクリートがうまく混ざってよくしまる。(そのまま続行) ホールダウン金物のねじれ 心配しなくてもいい。後で充分直せる。(何も対応無し) [相談内容] このような基礎の施工で,果たして大丈夫なのでしょうか。 第三者検査機関H社は,配筋までは確認してくれましたが,打設,アンカーボルト等は確認されてません。 瑕疵保証のJ社に至っては,立ち上げ部分についての配筋検査もありませんでした。 業者の言い分では何も心配することがないとのことですが,私自身が基礎に不安材料をかかえた状況では次工程に進むことがためらわれます。 基礎の最初からやり直した方がいいのか,あるいはその他の方法があるのか,はたま た業者の言うようにこのままでいいのか,判断つきかねます。 迅速で的確なアドバイス,よろしくお願いいたします。 |
yorozuの感想 | すばらしいHPであると思います。 |
アドバイザー | |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 この程度なら問題ないでしょう。コンクリートの上の部分を丁寧に垂直に曲げれば設計上の目的は達成してると考えてかまいません。 アンカーボルトは鉄筋に結束する必要はありません。コンクリートを打設するときに位置がズレないように型枠の上で固定するのは仕様書に添った仕事です。アンカーボルトでコンクリートをかき混ぜていたように見えたのは、コンクリートの流れで傾いたアンカーボルトを垂直にするために上下させていたのではないでしょうか。 業者の見解のアンカーボルトを結束しない理由はやや苦しい言い方と思われますが、実際にはアンカーボルトの位置と鉄筋の位置はミリ単位で綺麗に組み立てられるものではありませんので結束しない方が正規の位置にセットしやすいのです。 立ち上げ部分についての検査は木造の骨組みが完了したときにありますのでその結果を待って下さい。今回の基礎の金物の事で引っ掛かることはないと思われます。 |
清水 煬二 | 解説委員の清水です。 私の考え方の結論から申し上げますと、現時点で基礎のやり直しまでの判定はできません。アンカーボルトやホールダウン金物が無いとか、鉄筋が不足していたなどかなりの問題が発生していなければ、この時点でやり直しを判断することは難しいでしょう。少なくとも土台を敷いた状態、または上棟時でなければそこまでの判定はできません。 ホールダウン金物の傾きに関しても、位置ズレとの兼ね合いがありますので、柱が建てば判断できます。この場合例え垂直に立っていても問題になるケースはあります。 今回は位置が正しければ、ほめられるものではありませんが、現状でも心配するほどではなさそうです。 アンカーボルトに関しても土台を敷けば不都合がわかってきます。今回のケースで、鉄筋に結束していなかったということですが、そのこと自体には全く問題はありません。よく問題になるケースは、コンクリート打設前にセットせず、コンクリートを打設したあとに、手で適当に上から差し込んでいく場合です。このケースでは、後々様々な問題を生じることがあります。 もちろん、正しい位置にセットされているかどうかは、今後上棟時や構造体の検査のときには、あきらかになりますので、そこで注意してください。心配な場合は検査に同行して確認や質問をしてみると、よいでしょう。 |
コメンテーター | |
関口 啓介 | コメンテータの関口です。 山口解説委員、清水解説委員の言う通り、現時点でやり直しを求めるような欠陥や不具合は写真からは確認できません。アンカーボルトの下部の結束は無くても問題ありません。ホールダウン金物が何故このように曲がったかですが、結束したためにかえって曲がってしまったのでしょうか。または固定方法に問題があるようにも見えますが。いずれにしてもコンクリートがきちんと硬化してから、丁寧に台直し(曲げを直す)をすれば問題ないと思われます。 基礎の立上りも高く、写真から見受けられるのは、設計事務所が関わっていないのにしっかりとした基礎だな〜と思いました。監理者が施工者であるため、信用がおけないのかもしれませんが、図面枚数や、打合わせ回数から伺えるのは、工務店の割にはしっかりと設計がなされているのではないかとの希望的観測を抱きます。ご心配であれば、第三者の建築士に現在の状況をご確認頂くと良いかもしれませんね。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 施工としては問題があると思えませんし、許容値だと判断します。 鉄筋の位置は数mm単位では施工できませんし、アンカーボルトと鉄筋位置が接して結束線で止めることはかなりの設計と施工精度がいります。 できないことではないのですが、通常はそれほどの精度を出していない設計や施工が普通です。だからといって構造的な問題が生じない範囲には納まるからです。 コンクリート打設には確かに結束されていれば動きませんが、先ほどの理由により下部は結束できないのが通常ですから、当然、コンクリート打設による圧力によりボルトが斜めになります。また、振動器具でコンクリートを均等にしますのでその振動で傾斜したりもします。それを直ぐにまっすぐに直すことが大切なのですが、その曲がりが少し大きかったという程度です。 柱が取り付くホールダウンは柱の金物と結束できれば大地震の柱の引き抜きには充分耐えるもので、柱のずれにも耐えます。 許容範囲として信頼してよいと思います。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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