相談概要 | [氏名] K.O [相談内容] 売建住宅(建築条件付建売住宅)の瑕疵 [相談建物所在地] 神奈川県横浜市中区 [職業] 会社員 [年齢] 34 [男性] on [構造] 鉄筋コンクリート造(PC構造) [引渡し年月日] 西暦2005年 8月 30日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 3 [延べ面積m2] 88.99 [延べ面積坪] [工事請負金額] 約1800 [設計監理料] 約315 [様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅) [施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。 [18確認申請の為の委任しましたか?] した。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] 有る。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 約15 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 3 [施工者名] 株式会社 H [販売会社名] S [設計者名] 株式会社 I [監理者名] 株式会社 I |
相談内容 | [現象] 三分のショートアンカーを打ち込んで、コア抜き用ドリルをボルトで取り付けたらその重みだけで剥落したコンクリ壁です。 建物の構造は、一階RC、二、三階木造在来工法です。 [業者の見解] コンクリート強度試験で強度は確認済みだから、どうしてこうなったのか分からない? 鳶もコンクリ業者もこんな事初めてだから、分からない。 どうやって復旧するのかは、相談します。 との事で話が止まっています。 [相談内容] 一階部分RC、二、三階が木造在来で家を建てた者です。 引渡しから、まだ10日ほどしかたっておらず、残工事も残っており引越しもまだすんでいません。 そこで、一階部分にエアコンを取り付ける段になり、施主の自分が、手配してエアコン業者に取り付けを依頼しました。 その際、冷媒管などを通す穴を一階RC部分の壁に空けるため、コア抜きが必要となり、エアコン業者に「ドリルを取り付けるため、建物外側に一箇所だけ三分のショートアンカーを打たせてほしい」との注文を受け承諾しました。 少し現場を離れていたら、エアコン業者が血相をかえてやってきて、「大変です、ショートアンカーにドリルをボルトで固定したら、壁ごと剥落して落ちちゃいました」との事。 すぐに確認に行ったら、写真のように直径20センチほど、すり鉢状にコンクリの壁がはがれ落ちていました。 自分も現場作業の仕事をしているので、経験から三分のショートアンカーがこんな簡単に剥落する事などありえない。と考え、どんな作業をしたのかとエアコン業者に聞いてみると、「普通にアンカー打ち込んで、ボルトでコア抜き用ホールドリルを取り付けただけで、その重みでボロッと壁が落ちた」との事。 紛れも無く強度不足と思い、施工業者に確認したところ、コンクリート強度試験成績表を持ってきて、 「平均値25.9N/mm3出ているから問題ないはずだ。エアコン業者の使った機械の型番と作業内容を教えてくれ。」という意見でした。 自分は、一階RC部分のコンクリ圧入時に仕事で立ち会えず、業者にお任せしていたのですが、工事が進む内に設計監理会社のずさんな対応が目立つようになり、不信感が募りました。というのも、最初の打ち合わせ時に、 「土地とセットで建物業者が決まってますが、プラン変更受け付けます。」との対応に合わせてもらい、「玄関扉を友達に作ってもらいたいのだが、建築基準法的には大丈夫ですか?」 と確認したところ、そこの社長が「大丈夫!完了検査済証とらなければいいだけです!まったく法律的にも問題ない! あるのは固定資産税の免税が受けられない事くらいだ」 との意見だったので、安心して?友人に発注していたところ、着工後3ヶ月ほどして自分で建築基準法を確認したところ、完了検査を受けないことは、全然大丈夫でないことを学び、会社に対して文句を言って、完了検査を受けろと催促したら、なんとその時点で中間検査もすべて受けていない事が発覚して無理やりでもいいから検査受けろ、と社長に催促したところ 「制限速度30キロの道を31キロで走ったようなもんで、大したことじゃないのに・・・お施主さんは素人だからよく分かってないなあ!」 との見解でした。あまりにも酷いので、電話でかなりきつく叱り付け、なんとか完了検査まで受けさせた始末でした。 そんな事なので、コンクリの圧入時もきっと適当にやっていたのではないか?(まさか水なんて混ぜてないだろうな?)と勘ぐってしまいます。 コンクリを圧入した時期は6月中旬でした。 型枠も床スラブも規定日数をちゃんとクリアーしてから外していたので、工程的には確認していたのですが・・・ とにかく、設計監理会社はいい加減なので、施工会社に確認させたら、強度試験はパスしてます。こんなこと初めてだから分かりません。とにかくエアコン業者がどんな工事したんでしょう?の一点張り。 ちなみに、成績は「21-18-20-N」でコンクリは「普通」。材齢28日で平均強度25.9N/mm3でした。 結果として、施工業者とエアコン業者のどちらのせいでこうなったのか、どちらの費用負担で直すのか?また、もし強度が足りなかったらどうするのか?など、具体的に決めなければならない事の責任が、たらい回しになり始めてしまっています。 そんな業者ばかりなので、自分で強度を測ってみようと思い、大手レンタルメーカーよりシュミットハンマーを借りてきて数値を測ったところ、圧力強度には確かに問題ない数字がでました。 数値は平均RO33.7からRO38.7の間で、材齢補正をしても平均21.6N/mm3から27.8N/mm3 ほどなので、ほとんどコンクリ成績表と釣り合います。 しかし、引っ張り強度までは測れないので、はたして本当にコンクリ強度があるのか、いまだに不安です。 それとも、本当にたまたま、運が悪かっただけで、ちょうどその部分だけコンクリが弱かったのでしょうか? こういった事は、よく起こるのでしょうか? 建築物のコンクリート強度検査は、結構費用も掛かるようなので、現状では受けるのは難しいのですが、やはり保険だと考えて数十万の出費でも建物診断を受けたほうが良いのでしょうか? まだ、引越しすらしていないのに、こんな事では先が思いやられます。 なんとか、よい解決方法をお教えください。 |
yorozuの感想 | 今回、我が家を建てるのに非常に役に立ちました。 もっと早くに、このページの存在を知っていたら、失敗せずに済んだ事がたくさんあるので、残念です。 |
アドバイザー | |
清水 煬二 | 解説委員の清水です。 写真では正確な深さがわかりませんが、鉄筋も見えていませんし、アンカーを打ち込んだ深さより浅い廻りのコンクリートの表面上の剥がれのように見えます。そうだとすれば、この剥がれ自体は補修すれば大丈夫だと思います。むしろ、後からエアコンの配管のためにコンクリートに穴を開けるほうが心配で、本来は工事時にスリーブを入れておくべきでした。後から穴を開けるときは、鉄筋を切らないように注意したいものです。その方が影響は、はるかに大きいですから。 ご存知のようですが、コンクリートの強度については、既になさったシュミットハンマーで簡易に測定できますし、どうしても心配ならコア抜きなどで調査もできます。 この情報からの私の個人的な感想ですが、コア抜きをしてまで調査する必要は、まだない気がします。費用が心配であれば、設計監理費も充分払われているようですから、その監理者と業者にも相談して負担してもらうとか、将来的な不安に対して一筆もらっておくなどの方法も考えられます。コンクリートの強度は、引っ張りよりも圧縮が大切で、引っ張り強度は鉄筋が大切です。工事中に正しく鉄筋の配筋がなされていれば、この引っ張り強度は通常は問題ないでしょう。 水セメント比だけでなくコンクリートの打設までの時間もコンクリートの品質に影響しますので、そういった点がどうだっかた調べることができれば良いのですが、再度スリーブを開けるなら、設計監理者や業者も立会いのもとで、同じ方法で同じ職人さんに穴をあけてもらってみてください。 |
本郷 成史 | 解説委員の本郷です。 アンカーを打ってコンクリートが剥離したとのことですが、いくつかの原因がありそうです。 1. アンカーの深さが浅かったのではないかと思います。そしてこの部分の壁筋が離れていて、剥離方向の力に抵抗できる距離に、鉄筋が無かったのではないかと思います。 2. コンクリートの骨材分布が悪かったのではないかと思います。スランプの大きいコンクリートを打設したために、粗骨材が少ないモルタル分の多いところに、アンカーを打ったのではないかと思います。 3. コア-抜きの作業を急ぐあまり、大きな反力をアンカーに与えてしまったのではないかと思います。 以上のことが考えられると思います。また、これらの3つの事が重なって発生したようにも思います。 |
木津田 秀雄 | 解説員の木津田です。 写真も拝見しました。 確かにコンクリートの表面がはく離した状態のようですね。 鉄筋コンクリートは引っ張り力を鉄筋で、圧縮力をコンクリートで負担する工法ですので、コンクリートの引っ張り力にはそれほど期待はできません。しかしドリルの重さだけで、このようなはく離が生じるとも思えません。 写真では上にコアを抜いた孔があるようですが、さらに他の場所にアンカーをして作業は行ったのでしょうか?そうであれば、そちらの方のコンクリートは問題がなかったということになります。 するとこの部位だけの問題になってくるのかと思いますが、コンクリートの表面を見る限り、特に異常には見えません。 他の場所でははく離しないで、ここだけではく離を起こしたのであれば、 逆にエアコン業者のコア抜きの際に、ドリルに力を掛けた(体重を掛けたとか)のではないかとも思います。 コンクリートの強度試験は、コンクリートを規定の容器にいれて、養生したものを破壊して検査しますので、実際の建物のコンクリートの強度ではないため、注水などをして強度低下があっても、強度試験の結果だけでは分かりません。 せっかくコア抜きしたのですから、そのコアを圧縮試験で壊してみれば、シュミットハンマーでの検査より精度の高い検査ができると思います。 もう少し調べてみなければ、コンクリートの異常かどうかは分かりません。いずれにしてもきちんと補修をしておかなければ、極端にかぶり厚さの薄い部分が残ってしまいます。 |
コメンテーター | |
阿部 重幸 | 写真の状況でしかわかりませんが、本郷解説員が言われるようにアンカーの打ち込みが浅かったのではないでしょうか、それでコアドリル本体の荷重と穴あけ時の反力でアンカーに負担がかかりコンクリートが剥離したと思います。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | コンクリートは圧縮に効かせるものですが、新しい材料ではある程度引っ張りに耐えるものです。通常はこの程度でアンカーが剥奪するものではないと考えます。 原因は解説委員の内容がありますが、強度試験もどのように確認したかですが私どもの場合、1階がRCの場合は第三者機関に試験を依頼し、生コンクリートミキサー車が到着したら、その最初のコンクリートを採取し、スランプ、塩分量、空気量、等を確認し打設します。この業者がサンプルを採取し、その後強度試験をすることになるのです。 安価なやり方ではこれらの試験を生コン業者に依頼する場合があります。 この場合は発車前にサンプリングするので、到着時点とは多少違うことになります。 この場合の1番の問題は到着まで時間がかかり、採取時と打設時では大きな開きができることが考えられます。生コン業者の運転手にはコンクリートに無知な方も多く大気中に生コンを回すのを止めたり、硬くなったコンクリートに勝手に水を混ぜる(ジャブコンという)者もいたりで、私たちは監理するときに伝票で発車時刻などを確認したりします。 ですので、生コンクリートの荷卸し時点で検査したか?確認することが大切です。 強度は今からでも確認はできますので、強度を確認し、問題がなければ、アンカー深さ不足が考えられます。 何れも、冷静に対処してください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | とても丁寧な対応と、詳しい解説をいただき、誠にありがとうございます。 その後、各業者の方々と調整が付きまして、施工業者に左官屋さんを呼んでもらい綺麗に治していたただき、一件落着しました。 当初は大変な不安にかられて相談いたしましたが、解説員の皆様のご意見をいただき、また施工業者からも詳しい成分検査表や強度試験表などをいただき、こちらも一安心いたしました。 このホームページは、よく参考にさせていただいておりましたので、今回家を建てるときに大変助かりました。 とても良い企画だと思いますので、長く続けていかれることを心より応援いたしております。 |
その後 |
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