相談概要 | [氏名] T.K [相談内容] 売建住宅(建築条件付建売住宅)の瑕疵 [相談建物所在地] 奈良県大和高田市 [職業] 会社員 [年齢] 35 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦2005年11月16日 [公庫使用] on [性能保証を使用] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] [延べ面積坪] 34.06 [工事請負金額] 1650 [設計監理料] 0 [様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅) [施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [18確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。 [確認申請書お持ちですか?] 無い。 [検査済証は有りますか?] 無い。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 1 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 2 [施工者名] XXコーポレーション [販売会社名] XXコーポレーション [設計者名] M [監理者名] M |
相談内容 | [現象] 設計図では出隅1階柱の柱脚、柱頭に20kNの引き寄せ金物(ビス止めホールダウン使用)とあり、その真上の2階柱(通し柱ではありません)の柱脚には、羽子板ボルト+スクリュー釘50とあります(N値計算による)。現場で2階柱脚に金物がつかないということで、1階柱頭と2階柱脚を1本のホールダウンボルトM16でつなぎ対応しました。1階柱頭には20kNのホールダウン金物、2階柱脚には15kNのホールダウン金物を使用しています。 強度上問題があるのではと思い、現場監督、設計者に2階柱脚の金物を20kNのものに変更依頼しました。 [業者の見解] 告示1460に基づいたN値計算(構造計算)をした上で全ての金物を決めています。1階の柱と2階の柱の引き抜き力は当然違う為、この度の位置は図面に指示の金物でOKで、現場サイドで良くなるようにホールダウンを使用しており問題ない、とのこと。 また、出隅も通し柱でなくとも問題ないとのこと。通し柱、同等補強金物は、VまたはT型のプレート取付でOKです、とのこと。 [相談内容] 1階柱にかかる力20kN未満が2階柱脚の15kNの金物にかかると思うのですが、 設計士の言うとおり大丈夫なのでしょうか?また、法的には問題ないのでしょうか? また、通し柱については、建築基準法施行令第43条の5に通し柱でない場合は、同等の耐力を有するように補強すれば良い旨、ありますが、同等の耐力を有するように補強とは具体的にはどのような補強でしょうか?今回の設計士の言う補強でよろしいのでしょうか? |
yorozuの感想 | 大変参考になります。回答者の方の身元もはっきりしており、回答も明確で信頼があります。昨今の欠陥住宅等の問題にはなくてはならない存在だと思います。また、無料ということもあり、相談者にとってはこの上なくありがたい存在です。 |
アドバイザー | |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 設計図では「出隅1階柱の柱脚柱頭に20kNの引き寄せ金物(ビス止めホールダウン、2階柱の柱脚には羽子板ボルト+スクリュー釘50」は告示で言うチ、ホになります。 現場での「1階柱頭と2階柱脚を1本のホールダウンボルトM16でつなぎ、1階柱頭には20kNのホールダウン金物、2階柱脚には15kNのホールダウン金物」は告示で言うチ、トになります。 2階柱脚は設計のホよりも2ランク上のトを使ったと言うことです。ですから、問題ないと考えて下さい。 |
清水 煬二 | 解説委員の清水です。 結論としては、山口解説委員の説明にあるように考え方に問題はないと思います。 考え方の前提として1階の柱脚と柱頭は同じ引き抜き力がかかると考えます。2階の柱脚と柱頭も同じですが、 通常は1階とは異なります。2階の方が加わる力は小さくなります。1階は2階の荷重まで支えているからです 。 通し柱を使用しない場合は、このようにボルトでつないで同等とみなされるので、考え方や工事方法に問題はないと思います。 金物の種類を求める方法は、木造2階建ての場合は大き く分けて3通りの方法があります。 ひとつは、建築基準法にそれぞれのケースに応じて文章で定められたものがあり計算することなく金物を定めていく方法です。 もうひとつは、ここで述べられているN値という簡単な計算を使って金物を求めていく方法です。 最後は、3階建て以上の場合に使われる、いわゆる構造計算という方法です。 後になる方法ほど詳しく正確になり、金物も一般的には弱い金物で済むケースが多くなります。今回のN値の計算に間違いがなければ、その考え方は認められます。 但し、詳細な構造計算を行うとN値より大きな金物を必要とする計算結果が出る部位も少ないですがあるようです。 また、構造計算が正しくても現実に正しいかどうかは不明ですが、否定するには納得できる根拠を示してあげる必要があります。 大切な住宅ですから、どうしても気になるようでしたら、今なら費用も僅かで2階柱脚の金物を20KNのもの に実費を負担して変えてもらうことができます。業者の面子もありますので、無償でというのは難しいかもしれ ませんが、相手の言い分を認めた上で有償でとお願いすれば、無償で行ってくれる場合もあります。 |
コメンテーター | |
阿部 重幸 | 御主人の心配は御もっともと理解できますが、問題はないと思われます。 建物の形状や高さがお話しの中では解りませんが、木造の場合水平力はX.Y方向どちらかが、風圧力の方が大きくなると思いますが、私共の経験から言えば2階建の建物で隅柱にHD−N20の金物が必要に程引き抜き力が掛るのでしょうか。 又、当然2階の柱にも引き抜き力が架りますが1階に比べると半減されるのではないでしょうか。 あまり心配であれば施工業者の言われる、構造計算を見せてもらえば各柱に架る応力がわかると思います。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 結論としては心配はいりません。 お考え方が逆です。 地面が建物を引っ張るのではなく、建物が地面を引っ張るのですから 2階の柱が1階の柱を引っ張り、1階の柱は土台や基礎を引っ張るのです。 ですので、2階の柱が15KNならば1階の柱頭は15KNでOKで、 1階の柱脚は20KNでよいのです。 今回の誤解は元々の設計が「2階柱の柱脚には、羽子板ボルト+スクリュー釘50」よりは15KNは安全側ですから、現場での納まりなどでの変更は賢明な監理としての判断だと思います。 よく勘違いされるのですが、 監理は図面と現場を照合することだけではありません。 現場を見て適切な納まりを判断することも大切な役目です。 信頼できる現場だと思います。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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