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一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 1040 設計の買取または白紙戻し

 相談概要 [氏名] IM
[相談内容:] 賃貸マンション・アパートの瑕疵
[居住住所] 宮城県仙台市青葉区
[相談建物所在地] 宮城県仙台市若林区
[職業] サービス業
[年齢] 45
[男性] on
[構造] 鉄骨鉄筋コンクリート造
[引渡し年月日] 西暦    年  月  日
[公庫は使わない] on
[何階建て] 5
[延べ面積m2] 1020
[延べ面積坪] 309
[工事請負金額] 14500
[設計監理料] 0
[様態] 賃貸マンション
[施工者] 建設会社
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] −
[設計図面は何枚もらいましたか?]
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?]
[床面積] 400m2以上
[施工者名] SG
[販売会社名] SG
[設計者名] KS
[監理者名] KS
 相談内容 知人の紹介の業者と自宅の解体の後、賃貸マンションを計画しておりました。お互い紹介という事で契約事項等を交わさずに確認申請まで取るところまで至りました。
竣工予定日まで余裕がないという事でせかされるように解体になりましたが、近隣からかなりずさんな解体であることの報告があり又その対応に不備があり信頼関係が損なわれました。(仮設足場を倒し隣地フェンスの破損がありました。また仮囲い養生の面積の虚偽、申告書には防音シートを使用する記載をしながらの不備、交通誘導員の配置をしていないにもかかわらず事後見積に計上等)

また、当初設計と施工は切り離して考えたいと伝えたにもかかわらず設計監理施工を自社でする形で確認申請をだしておりました。
そこで信頼関係のない業者に監理と施工をしていただく訳にはいかないと考え、現段階での設計の買取または白紙戻しあらたな計画を考えたいと思っております。

[業者の見解]
現時点での清算見積もり

設計費  450万円
測量調査 86万円
解体費  400万円の請求

[相談内容]
今後事業計画遂行するにしても、他の建設会社で現設計を基に進めて行くにしてもいろいろ歪が出る事は目に見えている中での問題点。設計費の価値・妥当性。

白紙に戻したときの設計費の捉え方

事業計画の崩壊に伴う機会損失の捉え方等

教えていただければ幸いです。

自分の勉強不足に反省しつつ、業界の・・・に涙しております。

どうぞよろしく御教授ください。お願いいたします。
 yorozuの感想 このような場を設けていただけてありがたいです。素人一般消費者の心強い”灯台”であってほしいです。
アドバイザー 
清水 煬二 解説委員の清水です。
 これだけの工事を紹介だからといって契約書無しで進めていくのは、あまりに軽率でした。契約書はトラブルになったときに必要になります。さらにその内容が大切ですから、単に契約書の有無ではなく、お互いに細部の内容を確認しあって合意することが必要です。

 支払いの義務がどこまで生じるかは、お互いの過失割合がどこまでかということで決まります。通常の話し合いで決着が付かなければ弁護士さんを入れるか裁判や調停ということになるでしょう。
 金額だけの表示では、内容がわかりませんからそれが値引きされたものなのか、妥当かどうかの判断もできませんので、先方に請求の根拠となる明細をもらうことです。お話のように解約となった責任は業者にもかなりあるようですし、契約書を取り交わさずに仕事を進めたことも業者の落ち度といえます。解約に対して明確な取り決めなどもなかったのでしょうから、ご自身の意見も主張できますし、全額認める必要はないと思われます。

 ご自身として納得できる金額を自分なりの根拠で計算して主張されましたか?
まだであればそれを元に、まず話し合ってみればどうでしょうか。
久米 能子  そもそも、これだけの請負金額の施工に対し、契約書を交わさないで仕事をスタートする、ということ自体、その工務店は「信頼できない」ことが明白でした。
手続きのことなど細かいことは仕事の内容に関係ないと思いがちですが、そんなことはありません。手続きを半端にするのはトラブルの元であるのは当然です。
それを理解していない施工業者は初めから問題が起きる可能性が十分にあると見たほうが良いでしょう。

 また、ご自身も勉強不足を悔やんでおられますが、設計と施工を分けるおつもりならば、打ち合わせは設計側(設計事務所)とすすめて、その事務所に確認申請業務を依頼するのが当然です。工務店と打ち合わせをして、工務店が確認申請準備をするということはすなわち、設計施工をすべて工務店でという形をご自身で認められていることであることくらいは、お分かりいただきたかったと思います。もちろん、契約書なしでスタートすることに了承されたのも問題でした。

 工務店側から請求されている金額は、工事金額や規模から考えると、一般的に設計料としては高い金額とは思えません。ただし、それは、実施設計がきちんとなされていれば、の話です。(その場合は、設計図書等が数十枚はあるはずです。)
また、土地の大きさや解体した建物の大きさがわかりませんので、測量調査や解体費用が妥当かどうかもわかりませんが、木造の建物の解体であれば、よほどの難しい条件でもなければ、坪当たり10万を超えてかかることは少ないでしょう。

これらのことを踏まえながら、請求された金額の根拠とすべての設計図書を提出してもらうようにして、金額が妥当かどうかをご判断ください。必要ならば、建築に詳しい弁護士の方にご相談されると良いでしょう。

 契約の解除の大半は工務店側にあるであろうと思われますが、契約書の規定が無い状態であることから、双方話し合って、既に工務店がかかっている費用の支払い、I.Mさんが契約解除によってこうむるであろう損失の補填、などを決めていくしかないでしょう。

 しかし、建物の規模や構造から考えて、工事金額はかなり安価なものと思えます。丁寧な解体や養生、誘導員費用などを十分に捻出することができるだけの予算ではないようです。初めからきちんとした施工が期待できる請負金額ではなかったことも、トラブルの原因のひとつでしょう。
 星 裕之 ほしです。

まずは背景を整理させてください。
設計事務所に設計をお願いしたのに、施工を設計事務所が行っているとのことでしょうか?ご相談した設計事務所が建設業登録をしていないのであれば、建設業法違反になりますから、相手に非があります。速やかに工事契約を解除すべきです。契約書がなくとも実質契約状態ですから弁護士さん等に相談の上手続きを進めてください。ただし、確認申請書の工事施事届の施工者欄にその事務所の名称が記入されているだけでしたら、施工者未定につき、行政指導で記名を求められ ただけかもしれません。もしそうでしたら、相手に非はありません。

建設会社に設計を依頼したのであるならば、一般的に設計監理が分離できません。
認識不足だっただけで、相手の非を正して契約解除するに充分な理由にはならないのではないかと思います。
不動産コンサルタントに事業計画を依頼されたのでしたら、設計料とは別にコンサルタント料が派生するかと思います。
どのような形にしても、設計に関する設計料算出根拠と著作権の問題についてはお互いの話合いになります。ケースバイケースで相場というものが存在しにくいので、充分話あわれてください。

事業計画の崩壊の伴う機会損失についてですが、理由次第では同様に相手側にも同じような請求権が派生してしまうかと思います。非常に微妙な問題ですのでメー ルでの相談は難しいかと思います。 
 コメンテーター 
橋本 頼幸  清水解説員のコメントのとおり、契約書で大切なのは何かがおこったときにどうするかを書いていることです。トラブルにならなければ契約書が無く口約束でも成り立つわけです。つまり、契約書がなければ何か問題が起きたときにお互い話し合うしかないと言うことになります。一般的にいまIMさんが相談されている、 「白紙に戻したときの設計費」や「予定通り事業ができなかった場合」、星解説員のコメントにある「著作権」などについては設計事務所と取り交わす「設計監 理委託契約書」の中にかかれていることです。

つまり、契約書がないとIMさんが今疑問に思われているところは互いに話し合うしか無いと言うことになります。設計料や相談料などのいわゆる”手間賃”は第三者で査定することがとても困難で、妥当な金額というのは示しにくいと思われます。
IMさんが納得できるポイントを自分なりに整理して、相手業者と話し合いで解決するしかないでしょう。
 事務局から 
  荻原 幸雄 設計と施工を分離したいという根拠は十分なものです。
初心を貫徹して欲しかったものです。
通常設計施工やハウスメーカーは「設計料が高くつくだけですよ。」
と説明し、この理念を覆すことに務めます。

しかし、何故意味があるのか?
1)第三者が介入することで建築主要望の設計メリットデメリットを客観的に判断できる。
(設計専門にしている建築家と自ずと提案能力、デザイン能力に開きができます。)
2)見積りでは同じ図面を数社に合い見積もり依頼し、見積りを比べることで、
自ずと見積りの妥当性が設計者だけでなく、建築主にも容易に比較検討できる。
(見積りの妥当性の確保)
3)工事になれば図面通り遂行するように監理ができ見積りとの仕様も確保できる。
(手抜き工事除去だけでなく、高い品質の移行が監理の目的です。)

ということです。
今回は知人という曖昧な信頼度レベルで判断した物差しがあまりに貧弱でした。

信頼できない会社とは
1)口約束だけで契約書は交わさない。
2)見積りが一式で明細をださない。
3)図面が少ない。(確認申請図面程度)

このような場合はいい建物ができるものではありません。

今回の請求書の妥当性は何をどれくらいしたのか?というのが解らないので判断はできません。
建築士に妥当性を直接図面や見積りなど関係書類を閲覧して弾いてもらってください。

機会損失については実質、この期間に損害を被った範囲や根拠を示すことが前提です。先ずは話し合いをして、進まなければ弁護士介入で進めることになります。

ただ、この程度の会社だと設計提案もどこでもできるような提案だと思います。設計を利用するならば著作権がありますので、相手の交渉の額に近くなると思います。しかし、その設計を放棄すれば実質の費用で対応してくれるかもしれません。

頑張って、初心を貫徹してください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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