相談概要 | [氏名] A.F [相談内容:] 注文住宅の瑕疵 [居住住所] 山口県 [相談建物所在地] 山口県宇部市 [職業] 医療関係 [年齢] 32 [女性] on [構造] 木造(2X4工法) [引渡し年月日] 西暦2005年 8月 31日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 125 [延べ面積坪] [工事請負金額] 2550 [設計監理料] 40 [様態] 注文建築 [施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業 [設計者を選んだのは] 自分で選んだ。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。 [確認申請書お持ちですか?] 解らない。 [検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 1 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 4 [床面積] 130m2以下 [施工者名] D [販売会社名] D [設計者名] [監理者名] |
相談内容 | [現象] 本来、梅雨前にサッシを入れ、外壁処理をし、雨への対策を完了させるということだった。(契約書には記載無し)着工後、工事が遅れ気味であったが、6月の空梅雨に支えられて何とか6月20日にフレーミングを終え、アスファルトシングルの屋根工事が6月25〜26日頃に終了し、これでサッシを入れて防水紙を張ってくれれば何とか安心と思ったが、サッシ等の資材がアメリカから入港するのが7月半ば過ぎだとこの時点で告げられ、しばらく工事はストップという。 その後6月下旬から雨が続き、この時点でぬれない様にすべきではないかとたずねた所、何もしないのが一番だとの回答で、家中水浸しの日が続いた。近隣の同じ工程の2x4住宅では、いち早くサッシが入れられていない部分などにシートが張られていたので、本当にこれでいいのかと問いただした所、翌日窓枠に あたる部分にだけシートが付けられた。施行会社が県外ということもあり、シートも張ったら張りっぱなしのまま、雨が上がった日にも剥がされることがないまま、現場を見に来てくれる様子も無く、家のあちこちには水たまり(シートの破れ目、防水が不完全な煙突部分やベランダからの吹き込みによる)、家の中に直に置かれた資材の周りはぐしょぐしょ、という10日間が続き、とうとう家中がカビだらけの状態になってしまった。 外壁を覆う合板は、1階、2階の立ち上がりからぐるりと1メートル程と軒部分から下に50セ ンチ程がカビによる変色を来し、屋根の垂木、1階天井付近の角材などに、びっしりとカビが生えた状態。2週間前までピンクのきれいなダグラスファーの家だったのが、今では遠目に見ても緑のうす汚い家、という感じである。 [業者の見解] カビについて告げてから4日ほどたって、ようやく今日現場を見に来て、窓を覆っていたシートを剥がした。とにかく乾かすとのこと。このようなカビについては経験が無いようで、言うことが二転三転し極めて曖昧。”カビは良性のものだ”と言ったり、意味を問いつめれば”専門家ではないので分からない”と答えたり。当初は合板の変色部分がカビであるということを認めようともせず、ではここに顕微鏡を持って来てカビかどうか一緒に見てみましょうよ、と提案すると、”確かにカビですね”と認めるといった様子。とにかく検討させてほしいとのこと。カビの広がりを何とかおさえて欲しいと頼んだ所、とりあえず次亜塩素酸をまくとのことであった。 [相談内容] 値次亜塩素酸で表面のカビを処理することは適切なのかどうか。(すでに同意したものの、より適切な薬剤はあるか)また、カビの生えた木はほとんどが取り替え困難な構造材だと思われるので、対症療法的な案を提示してくると予測されるが、表面のカビを処理し、乾燥させれば、このまま工事を続けても木の耐久性や健康への影響に問題が無いのかどうか。こちらとしては、特に変色やカビのひどい外壁合板を取り替えてもらいたいのだが、ルーフィングやバルコニー部分の取り付けが終了した状態でそれが可能なのかどうか。また、このような構造材に生えたカビへの一般的な対処法を教えてほしい。 何せ家については素人なため、わらをもつかむ思いで、こちらにご相談させていただいております。 その場しのぎの担当者の話をそのつど鵜呑みにしてきたこちらにも非があり、また、家自体はぜひとも完成させたいので、業者との関係悪化は避けたいと考えております。よって、この状態のリカバリーのために工期が大きく遅れても仕方が無いと覚悟はできており、場合によっては、一部金額を負担しても良いと思っております。どうか良いお知恵をご教授下さい。 |
yorozuの感想 | 行間がやや狭く、文字がやや小さめなので、少し読みづらく感じる。太字よりも文字色を変えるほうが見やすいのではないか。 |
アドバイザー | |
津村 泰夫 | 津村解説委員のアドバイスです。 本来は現場に近い監理者を選定すべきでしたね。 カビの専門家ではありませんが、次亜塩素酸は一般的に使われているようです。カビの発生した直後ですので、カビを取り除けば強度的な問題はないでしょう。放置すれば木材が高野豆腐のように軟らかくなってしまいます。カビ処理をおこない、乾燥後完全にカビのにおいなどがしなければ問題ないと思います。 あと、雨水が木材に浸透し、変形した部材があれば取り替えてもらいましょう。水分やカビの消えない部材も同様です。構造材であってなおさら交換すべきでしょう。きちんと交換してくれない業者は良心的とは言えません。対応がスムーズに行かない場合は、だれか建築士に入っていただき、適切に指示することは必要と感じます。 |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 対応の良くない業者さんで御心配の事と思います。参考までに、私の監理する現場ではカビは認めていません。何故なら、仕様書の木材の品質の項などでカビの発生し た材を使用することを認めていないからです。 相当の注意を払っていても少し発生することがありますが、少々であれば薬剤による除去を承諾していますが、大量な場合は材の取替を指示しています。ましてや、カビの発生した材料などは直ちに屋外の別の場所に移動させています。 今回の相談の内容ですと相当なカビの発生と思われますので薬剤での処理がどの程度いき渡るのか不安が残るところです。変色やカビのひどい合板などは取り替えて貰っても良いのではないでしょうか。できれば、第三者の専門家にも見てもらうといいでしょう。 カビの発生は木材の腐朽にも関係しますし、ダニとの関係も言われていますので充分な配慮が必要です。 |
コメンテーター | |
木津田 秀雄 | 少量の雨で構造用合板が駄目になる事はありませんが、内容を読むかぎり再利用できるかどうか不安が残ります。2×4は合板が命ですから、この部分に腐朽菌が付くと構造耐力がなくなります。 カビ取りにしても、枠材との間などには塗布できませんし、万全ではありません。 相当の取り替えが必要と思われますが、実際には検分しなければ判断できません。 もし、このままカビ取り等で処理を行うという事になれば、必ず半年後、1年後に床下や壁内(物入れの後ろに点検口を設けるなどして)を点検するように覚書を交わしておく必要があると思います。半年後、1年後にカビが生じて入れば、部材を取り替えるという内容にしておくくらいの覚悟がなければ、施工者もカビ取りだけですましてはいけないと思います。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 次亜塩素酸ナトリウムはカビの細胞を破壊し、分解しながら漂白してくれます。 エタノールは御存知の通りで、カビの酵素活性を阻害し、ダメージを与えますが、漂白はしません。通常大量だと前者であろうと思われますが、健康には未知数です。 後者はご存知の通り、問題はないと思います。 過炭酸ナトリウム系では効果は次亜塩素酸ナトリウムほどの漂白効果はないが安全性はそれよりは高い。しかし、次亜塩素酸ナトリウムが環境にどれほど悪いかはなんともいえませんが、洗剤や殺虫剤などにくらべるとほとんど無視できる範囲と考えている専門家もいれば、害があると考えている専門家もおります。 現在でき未知数であるという結論ですが、では出来るだけ、カビの付いた材料は取り替えてもらい、残りはエタノールで滅菌処理することをお勧めします。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | アドバイスありがとうございました。 メーカーと現場で話し合い、交換可能な部分は交換してもらいました。合板も変色していた部分のほとんどを交換しました。取り外した木材を削ってみたところ、カビの侵入は表層だけであるものが多かったので、交換不可能な部分については、表面を削り、エタノールをかける、ということになりました。(次亜塩素酸はアレルギー一家である我々にとって望ましくないということになり、使用しませんでした) また、特にカビの多かった屋根裏部分については、石膏ボードの一部に点検口を設け、今後定期的にチェックすることにしました。今後、十分に乾燥させて、含水率検査も行う予定です。現在、カビによる不具合が生じた時には責任を負うという内容の文書を準備してもらっています。さらに、菌が残ることへの不安がありますので、オゾン滅菌器(病室や手術室で使用するような機械)による室内燻蒸を、断熱材を入れる前に行うことを検討しています。 今回の不手際以降の対応は早く、真摯な態度で臨んでもらえたので、一応気持ちは落ち着きました。メーカー側もこのような事態の経験が無く、当初困惑していたようです。全てをメーカー任せにしてしまい、家族の中での統一した意見をその時々で出せなかった自分達の責任も痛感しました。今後、メーカーの担当者だけではなく、現場の方とのコミュニケーションも十分に取りながら、完成まで一つ一つ良く考えようと思います。 |
その後 |
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