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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 1024 設計事務所に依頼したい!と思ったが・・・

 相談概要 [氏名] S.A
[居住住所] 東京都練馬区
[相談建物予定地] 未定
[職業]
[年齢] 32
[男性] on
[構造] −
 相談内容 [家づくりの相談内容] こんにちは。

初歩的な質問なのですが、各書籍やインターネットを検索したのですが明確な答えを見つけられないでいるので、ご相談させていただこうと思いました。
どうぞよろしくお願いいたします。
(まだまだ自分の調査が足りないかもしれないですが、何卒よろしくお願いいたします。)

最近マイホームを建てようと家族で話をし、素人考えですが、まずは住宅展示場に行ってみました。
その後、まずは最低限の知識を得ようとインターネットを検索したり、住宅関連本を購入したりしてみました。

そんな中、「建築よろず相談」や様々な設計士の方のホームページ等を拝見させていただき家は「買うもの」ではなく「創りあげるもの」だと思うようになり、私のマイホームは設計士事務所に依頼したい!と思いました。

しかし、会社の同僚と何気ない話をしている時に大きな問題にぶつかりました。
「ほとんどの銀行は完成建築物を担保として融資するので、設計士に依頼して家を建てる場合は自己資金がないと不可能だ!」と・・・

私はというと、土地なし、自己資金なし(親から借りても1000万?)で4000万円台のマイホーム(土地含む)を考えています。

会社の同僚曰く
「私も、設計士に頼もうとしたが自己資金がないので断念し条件付土地物件にした。(しかし、知り合いの設計士に建築ジーメンをお願いした(現場監理者は工務店に拒否された))」でした。
また会社の同僚が相談した設計士曰く「こういった銀行の融資に対する姿勢(建売やハウスメーカー経由以外への融資は完成品に対して担保設定する。)が、住宅購入検討者の選択肢を狭め、欠陥住宅やシックハウスの問題をなくす事を阻害する」でした。

住宅展示場でハウスメーカーの営業に資金繰りの話をすると、銀行から十分融資を受けられる年収ですよという話でした。

しかし、積極的に設計に携わりたい、きちんと作る過程を見守っていきたいという方法を選択しようとすると貸してくれない。

なんか悲しくなってきました。

今まで十分な貯金をしてこなかったのは自分の責任かもしれないですが夢を実現しようとすると、銀行は融資してくれない。

この話は本当なんでしょうか?
もしくは、なんかしら、やり方(銀行融資を得る方法)はあるのでしょうか?

私は、人生一番大きな買い物なので、手間と時間は惜しまないつもりなので何か方法があればご教授お願いいたします。

まとめ:
「土地無し」「自己資金ゼロ」の私が、土地を購入し、設計士に依頼して建物を建てる為に銀行から融資を受ける事は可能なのか?
 yorozuの感想 とにかく豊富な情報量に圧倒されるばかりです。
また複数の設計士の方のコメントが載っていて、非常に公正中立な内容だなと思います。
過去相談を読んでいると、たまに、是々非々のコメントがあったりしてちょっとヒヤヒヤすることもありますが「中立なサイト」なんだな〜と信頼できます。

今回、私がご相談させていただきましたが、私たちの子供の世代、将来に日本でのマイホーム事情が明るくなるようこれからもがんばってください。私は住宅に関しては消費者側なので何かお手伝いができるわけではありませんが、自分の業界、自分の仕事に正義をもって仕事をしているつもりです。トータルで日本の将来が明るくなるよう、私もがんばっていきたいなと思いました。
アドバイザー 
津村 泰夫 相談員の津村と申します。
回答が遅くなり申し訳ございません。

家を手に入れるにはいくらかの自己資金は必要です。
契約をする際に印紙が必要です。
役所への各種手続きにも現金が必要です。
施工業者や設計者に初回の支払いがあります。
施工業者が仕入れるために、また職人さんに賃金を支払うためにいくらかのお金は必要です。大きな工務店であれば金融機関から借人も可能でしょうが、それも金利が発生します。
現実に現金は必要であり、一般的には少なくとも全予算の2割は必要とされています。

一般的な金融機関は土地建物込みで担保設定することを条件としており、土地だけでは貸してくれない場合が多いようです。大手金融機関はおっしゃるとおりでして、欠陥住宅製造に手を貸していると言えるでしょう。しかしいくらかの金融機関ではあなたの話を聞いてくれるところがあります。信用金庫や信託銀行、地方銀行、農協や労金などあらゆる金融機関をあたってみてください。あなたの熱意の通じる金融機関がきっとあるはずです。

金融機関に出向くにも、きちんとした図面などがあれば鬼に金棒です。設計事務所では今までのノウハウを持っているところもありますので、ご相談してみてください。
橋本 頼幸 S.Aさんの会社の同僚のお話「ほとんどの銀行は完成建築物を担保として融資するので、設計士に依頼して家を建てる場合は自己資金がないと不可能だ!」というのは半分あたっています。

銀行は”まだ無いもの(建設前の建物など)”に対して融資をしない、というのは事実です。少し冷静に考えればまことに当たり前の話しなんですが。

では、全く手がないかといえばそうでもありません。いろいろな手がありますが、金融機関によって異なります。たとえば、土地が見つかればそれに対するダミーの図面を用意して融資の総額を確定するという手もあります。

しかし、家を購入したり工事契約したりする場合は、いろんな場面で費用が発生します。工事契約にしても、契約時の着手金はもちろんのこと、工務店の規模にもよりますが、だいたい着手後3回ぐらいに分けて費用を支払うことになります。
その時々に手元に現金が必要です。金融機関でつなぎ融資を受けることも可能ですが、うまく工務店への支払いのタイミングが合うかどうかも気をつけておいた方がよいです。

さて、融資可能かどうかの問題もさることながら、私は一般的にいわれている”頭金は総額の2割”というのは、できる限り用意した方がよいと思います。
融資可能であれば頭金ゼロでも、と思う気持ちは分かりますが、やはり返済のこ とを考えるとなるべく融資金額は少なくした方が良いに超したことはありません。

精一杯融資を受けると返済額は大きく、返済期間は長くなります。その間に育児、介護などがあるかもしれません。つまりお金の流れ(キャッシュフロー)は刻々とかわっていきます。長い目で見たキャッシュフローをしっかり考えた上での融資を受けるようにして下さい。せっかく念願の家を手に入れたのに返済できなく なったでは幸せな生活は送れません。
融資可能金額と返済可能金額は区別するようにして下さい。
ハウスメーカーやマンションの分譲会社は、売らんが為に「あなたの年収ならいくらまで融資可能ですよ。」とは言ってくれますが、キャッシュフローのことは考えてくれません。

最近は金融機関やお金の相談に乗ってくれる人も窓口も増えております。そういったところに相談に乗ってもらうのもご検討下さい。もちろん設計事務所もそういった相談に乗っている事務所もあります。
 清水 煬二 解説員の清水です。

結論から申し上げますとあきらめることはないと思います。
以前土地探しからお付き合いした施主のケースですが、気に入った土地が見つかり、銀行の融資を受けるため、すぐに仮の配置図、平面図と概算見積もりを当設計事務所の名前で提出しました。これで銀行の融資OKをもらいました。家の建築費は設計決定後、再度工務店に見積もり、請負契約書を取り交わして提出することになります。土地の契約時には、融資が決定しなければ契約を白紙にするという、停止条件を付けてもらうことはいうまでもありません。

銀行は、確かに住宅が建って間違いないということが書類でわかれば、その銀行の考え方やご自身の信用状況にもよりますが、融資してくれる可能性があります。
但し、銀行の融資対象や様々な出費、工事の契約金を考えると、親から借りるにしても自己資金は2割程度はないと困ったことになると思います。
建築条件付や建売は価格が安く、ローン契約もしやすい点がありますが、建築よろず相談の書籍を読まれたのでしたら、あきらめずに銀行や設計事務所に相談してがんばってください。きっと苦労して動かれた分だけ、良い住宅になると思います。

ご友人のアドバイスは、正しい面もありますが、それがすべてではなく他にも方法や道があるということです。また、第三者の検査も受けさせない建売や建築条件付の建物を素人が契約するということが、どれほどのリスクを抱えたものになるか、過去のトラブルや相談例を考えると私は絶対にお薦めしません。事情があって建売などの契約を選択される場合でも、最低限、第三者の検査を拒む業者はこちらからことわるという勇気をもって、事前に避けましょう。 
 コメンテーター 
木津田 秀雄  設計事務所に設計の依頼することの意味を理解して頂き心強いです。

住宅とは、必ず建てなければならないものではありません。建築事務所の人間がこのようなことを言うのもおかしいのですが、家を建てなければ生活ができない世の中ではありません。

 家を建てるということを、もう少し広い視野で見ると、人生の中でどのような位置づけになるのか、ハウスメーカーや国の住宅政策に踊らされてはいないかなどを今一度考えてみてください。

 そうすると、自ずと家を建てる条件というものが見えてくると思います。
その姿に自分が合致するまでは、慌てずに腰を据えて構えていてください。
 事務局から 
  荻原 幸雄 事務局 おぎわらの一言

一般的な銀行の目安としてですが、
1)「いくら借りられるか?」に対しては「購入価格の8割まで貸す」が基本です。
土地と建物の総額が4000万円だとすると3200万円が融資限度となり、
自己資金800万円が必要になります。

では誰でも3200万円借りられるのか?ということですが、これは
2)「いくら返せるか?」になりますので、
「年間返済額が年収の20%(年収負担率)以内」がゆとりを持った返済の基本です。(しかし、銀行としては30%〜40%の範囲で限度基準があります。」

税込年収が600万円だとすると20%の場合は120万円が年間返済額となり、月の返済は10万円ということになります。
例えば金利3%で30年返済を考えると、100万円に対して4216円が毎月の返済額ですから
10万円(毎月の返済額)÷4216円(100万円当たりの毎月返済額)×100万円=2370万円。
この条件だと1630万円は自己資金が必要となります。

多少無理がありますが、将来の年収が増えることを見込める方は30%と考えると年間返済額180万円で月にすると15万円
15÷4216×100=3550万円となり、3200万円は借りられることになります。
15×12×30=5400万円
5400-3200=2200万円が利息です。月に61000円が利息です。
約4割が利息ということになります。

もし、利息が勿体ないとして自己資金を貯めることとします。
3200÷(15×12)=18年すると貯蓄できる勘定です。
12年短縮できる勘定ですが、18年後の物価がどのように推移しているか解りませんし、この辺は考え方です。もし、家賃を支払っていると6万円の家賃でしたら、利息を払っているのと同じですから、家賃が利息以上でしたら、購入するという考え方でいいのではないでしょうか。
自己資金といっても自分の貯蓄だけのことではなく、銀行の融資以外のお金のことですから、親の借り入れがあればそれを頭金にすることは問題はありません。

元に戻りますが、「購入価格の8割まで貸す」という意味は銀行のリスク回避の考え方からです。
もし、支払い不能になった場合、担保である建物と土地を処分します。
その諸経費やそれまでの金利分の確保です。
ですから、これは銀行によって考え方が違います。
社会的地位のある方、安定した収入のある方など返済が滞る可能性の少ない方はこの条件は付さないことも銀行によりあります。

ということは結局年収により査定限度が確定するというこになります。
結局、銀行が査定して頭金なしで全額融資する場合もあります。
いくつかの銀行や信金などに確認してみてください。

設計事務所に依頼するにしても頭金がいりますし、施工者と契約する場合も頭金が入ります。それを親の借り入れで払えば問題はないと思います。

銀行の支払いは原則、完成後登記後です。
しかし、これも銀行により、最初に一括の場合もありますし、部分払いに応じる場合もあります。
銀行も昔と違い、特色を出し始めましたので、相談してみることが大切です。

楽しい家造り、頑張ってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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