相談概要 | [氏名] K.S [相談内容] 注文住宅の瑕疵 [居住住所] 愛知県刈谷市 [相談建物所在地] 愛知県刈谷市 [職業] [年齢] [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦 2005年10月頃 [公庫は使わない] on [性能保証を使用] on [何階建て] 1 [延べ面積m2] 100 [延べ面積坪] [工事請負金額] 1800 [設計監理料] 0 [様態] 注文建築 [施工者] 地場大手ハウスメーカー;地域的な大手産業 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。 [18確認申請の為の委任しましたか?] してない。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] 有る。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 2 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 10 [施工者名] O住宅 [販売会社名] O住宅 [設計者名] [監理者名] |
相談内容 | [現象] ベタ基礎のベースコンクリートを打った翌日大雨にもかかわらず立上部のコンクリートを打ちました。 コンクリートを流し込む前、型枠の中には水がたまっていました。 2日後型枠をはずしました。 最初に打った所はベースと立上部の境目が比較的きれいなのですが、最後の方に打った所は境目がぼそぼそとしたコンクリートになっています。 雨の状況 1日目 ベースコン打設 くもり 1日目は雨は降っていませんでした。 2日目 立上部コン打設 雨 2日目の打設中はずっと雨でした。 現場監督に事前に聞いたところ「多少の雨ならやる」とのことでしたが、私どもには多少の雨には感じられず、傘無しでは1分くらいでびしょぬれになるような状態でした。 [業者の見解] 雨の中コンクリートを打っても問題ないとのこと。 型枠内の水も「コンクリートを流し込むことによって水抜き穴の方へ流れていって抜けるから」という説明でした。 [相談内容] ベースと立上のコンクリートがしっかりとくっついていないのではないかと不安です。ぼそぼそしている部分のコンクリートの強度もしっかりと出るのでしょうか? 基礎コーナー部分 底盤コンクリートと基礎立上り部分の打ち継ぎ部分 |
yorozuの感想 | 素人には難しいことだらけなので、相談に乗っていただける所があるというのはとても心強いです。 |
アドバイザー | |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 ベースコン打設の翌日に立上部コン打設と言うことに疑問を感じます。何故なら、打設されたコンクリートには1〜2日は載ったりしないことが仕様で定められているからです。一般的にはベースコン打設の翌々日(場合によっては翌日)に立上部の墨をだして型枠を組んでアンカーボルトを設置します。それから立上部コン打設となるからです。ベースコン打設前に立上部の型枠やアンカーボルトが設置されている工法なのでしょうか。 立上部コン翌日の打設と言うベースコン養生期間不足はさておき、雨中のコンクリー ト打設はしないのが普通です。多少の雨と言っても型枠内に水が溜っている状態でコンクリートで水を押しながら打設するのも施工仕様としては良くない方法です。ただ、 打継ぎ部分が湿っていることは、乾燥して埃などがあるより良いことですので誤解のないようにしてください。 私もこのような雨中のコンクリート打設を経験したことがありますが、雨水の混合がないように充分な配慮を行っての施工です。コンクリートはセメントと水、砂、砂利などの混合の割合で強度を確保していますのでその配合を変えないようにするのが大前提なのです。 写真の感じでは綺麗にみえますので今の状態で強度を測定してみてはいかがですか。 シュミットハンマーと言う測定器具があります。信頼性は工場検査程ではありませんが全般的な強度の推察には十分使えます。 ぼそぼそしているところは軽微ならそのまま、空隙が大きければハツリとって樹脂モルタルを塗り込んでおくようにしましょう。 |
本郷 成史 | 本郷です。 降雨時のコンクリート打設で、問題になるのが三つあります。 一つは、コンクリートの水セメント比が変わってしまうことです。コンクリートの強度は、セメントと水の重量の比率で決まります。水が多ければ強度は下がります。工場で所定の強度の水セメント比を決めていますので、雨が入れば水がより多くなり強度は低下してしまいます。 雨天の時コンクリートに水が入るところは、アジテーターカー(生コン車)で運んでくる時、投入口を養生していないと水が入ってしまいます。また、コンクリートを流し込んでいる時、雨水がはいってしまいます。これらを適切に養生していないと好ましくありません。 二つ目は、ベース面との打ち継ぎ部に水が溜まっていると、殆ど付着がなくなります。この部分の水によって、接着剤の役目をするセメントペーストが流出してしまうからです。 三つ目は、コンクリート打設後コンクリート面を養生しないと、コンクリートの上部が雨水に洗われ、骨材が出てしまいます。 コンクリートの強度は、シュミットハンマーで調べるのが一般的です。最低家の各面4箇所はしたいものです。ベースとの付着は、コンクリートの強度を確認してから、ガサガサになっている部分、特に白っぽくなっている部分をハツリ取り、補修する事が良いと思います。 |
関口 啓介 | 関口です。 監理者不在の問題点があらわれたケースだと思われます。 山口解説委員も言われておりますが、フーチング(底版)部の打設の翌日に立上り部を打設されているところにも問題があります。浮き型枠でつくってあり、打設工がフーチングに乗らずに作業したとすれば別ですが、それであれば同日に打設できたはずです。 雨中のコンクリート打設は少雨であれば行います。特に立上り部でしたら打ち込み作業時に混入する雨量も知れているため、問題は少ないのですが、本格的な雨であればポンプ車のバケットでの雨水混入や打ち込み時の混入、型枠内の水溜りも問題です。 型枠内の水はコンクリートとの比重の違いもあり、コンクリートが打ち込まれればある一定は型枠外に押出されますが、全てが出尽くしてしまう保証はどこにもなく、危険です。 簡易な非破壊試験器としてシュミットハンマーは有効ですが、平滑でないところではデーターが出ないのが難点です。今回のようにジャンカ(豆板状の巣穴)ができた部分を直接テストする事ができません。超音波非破壊検査が有効ではないでしょうか。 空隙や圧縮強度がわかります。続いてうまく抜けるかわかりませんが、打ち継部分をそっくりコアカッターで抜き、工業試験場で破壊試験をされるのが納得できる方法ではないでしょうか。勿論抜いたところの補修は、きちんとなさって下さい。 現時点では、大丈夫かどうかは試験によって確認するしかありませんので、何らかの試験を行い、強度を確認する事が重要だと思われます。 きちんとした監理がいかに重要か、考えさせられる相談でした。 |
コメンテーター | |
木津田 秀雄 | 雨中のコンクリートは降雨状態にもよりますが、原則やってはいけないことです。 コンクリートの仕上がり状態は写真で見る限り、危ないと感じるものではありませんが両解説委員のいうように、シュミットハンマーで確認をしてもらっておくことで安心感もできると思います。 またじゃんかなどについては、きちんと補修すれば大丈夫ですので、そのまま放置しないようにしてください。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 私たちも工事監理者として打設前日の天気は気になります。 また、朝、確認し、雨天でないことを確認して打設の許可を出します。 本来は工事監理者が打設の許可判断をします。 多分、形だけの監理者であったのだろうと推察します。 しかし、天気予報の確立も80%程度です。 予想が外れて降り出すこともあるでしょう。 その場合には適切な養生判断が大切です。 コンクリート打設前には型枠の表面を濡らします。 これはコンクリートの水分を型枠が吸わない為と、コンクリートの流れをスムーズにする為です。ですから、笠を使わなくても歩ける程度の雨ならば、それほど気にする必要はないでしょう。 質問の1分でずぶ濡れになる雨では打設は中止するべきです。 中止しないならば適切な養生を確保しなければなりません。 本来は天候を見て雨が降りそうならば中止決定。 降らない予定だったが、降ってしまった場合は途中で打設を中止できませんから、適切な養生で対処するしかありません。 質問の打設はコンクリート強度が所定の強度に達しない場合があるので、今から強度を確認することは大切なことです。 部分的なジャンカは簡単に補修できますので、安心してください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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