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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

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No. 1020 大引きの組み方は?

 相談概要 [氏名] T.M
[相談内容] リフォームの瑕疵
[居住住所] 富山県富山市
[相談建物所在地] 同上
[職業] 会社員
[年齢] 40
[男性] on
[構造] 鉄骨造(ブレース構造)
[引渡し年月日] 西暦2005年 8月10日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 3
[延べ面積m2] 240
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 1200
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] −
[監理者を選んだのは] −
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 4
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 5
[施工者名] (株)S工務店
 相談内容 [現象]
改築工事で2階床組みをしてあるが、大引きが105x50の横使い(断面の弱い方向)でピッチが1000mmくらいと粗い。(公庫基準を調べると90x90の910mm以下)束も1000mmくらいのピッチで下に木片をひいてある部分があり木片に加重が集中する気がして不安。

[業者の見解]
仕上げが薄いので90x90が入らなかった。105x50でも問題ない。束下の木片は束の高さ不足のためだが、特に問題はない。

[相談内容]
上記の床組の状態で、将来問題が発生する恐れはないでしょうか?木造と違い天井裏でメンテするなどの作業ができません。
(これ以外の工務店の対応などには、概ね満足しています。)



 yorozuの感想 素人は施工者に「こうゆう物です。普通です。」と言われれば、ほとんど引き下がるしかない。プロが広く相談にのってくれる「建築よろず相談」は大変助かります。また、過去の相談内容も多いに勉強になり助かります。
アドバイザー 
山口 雅克 解説員の山口です。

 まず、床の強度を説明します。御指摘の大引に関してですが、公共住宅標準詳細設計図集(コンクリートスラブに木造床を設置する場合)によると大引は40×90(85)横使い@900でそれを@900でスラブに固定する方法も記載されています。ですから、大引のサイズと方向では問題はないと思ってかまいません。

 ちなみにこの方法は我が家でも採用していますが何ら問題ありません。(築18年)
 今回、不安に思ってある元々の原因は床組の選定です。2階のコンクリートスラブから床仕上げまでの高さに対応する束を使っていない訳ですから取り替えるか、横に追加して設置してもらいましょう。

 束は木材の上に設置しても問題はないかもしれませんが、鋼製束はコンクリートの上に設置することが前提となっておりますので、本来の使い方とは違うのです。
堀住 勝雄 堀住解説委員の解説です。

考えてみましたが山口さんの回答で充分ではないでしょうか。
強いて言えば鋼製束の伸縮範囲を越えていたなら適正な物を買いに走るくらいの親切心があってもよかったのではないでしょうか。
 コメンテーター 

久米 能子
 一般的には、TMさんの言われるように、900ピッチで鋼製束を立ててその上に大引きを載せる場合、90角の材が使われます。また、山口解説委員の言われる、スラブに固定する(大引きを直接スラブに固定)方法ならば、半割でも問題ない、というのが一般的な認識ですので、この現場をTMさんが不安に思われるのは無理ないと思います。また、決して丁寧な施工とは言いにくいでしょう。

 しかし、住宅の床の加重を検討しても105×50の横使いは問題はないようです。さらに、鋼製束はコンクリートのスラブの上に立てているもので、建物の構造自体は鉄骨造であることを考えると、構造的な心配は不要だと思います。ただ、おそらく、通常の床よりは、歩くとたわみが大きめに感じられることと思います。

 写真を拝見すると、大引きに平行して、大きな梁のようなものをスラブの上に転がして根太を大引きとともに受けているようですし、場所によっては束のピッチが小さくなっているところもあるようですが、補強のために施工業者が足したのでしょうか?

 大引きの材を変えるとなると大事ですので、ご心配ならば、鋼製束(あるいは代わりの材)を足してやり、束のピッチが細かくなるようにすればよいかと考えます。その際は、山口解説委員の言われるように、直接コンクリートスラブに固定するようにしましょう。束の下に木をはさむと、しっかり固定できないばかりか、将来、木がやせた場合に、床が若干沈む可能性もあると思います。

 あるいは、仕上厚の関係で今からでは難しいかもしれませんが、床に厚めの床板(30ミリ以上)を張れば、それ自体で900ピッチ程度の支持間隔には耐えられる厚みですので、たわみも気にならなくなることでしょう。

 今からできることとして、どのような方策が良いか、施工業者とよくご相談ください。
 事務局から 
  荻原 幸雄 久米コメンテーターの意見のように撓みが少々心配な点ではあると思います。
910mmならば経験上、問題がないといえますが、1000mmだとちょっと粗いと思います。

高さの合う鋼製束を丁重に施工してもらいたいものですね。
工務店と信頼関係が構築されているようなので、これらの意見を確認してみては如何でしょうか。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 返信をありがとうございます。
また、取越し苦労のような相談に詳細な返信をいただき大変恐縮です。
束のピッチと固定方法について「やはり心配」と工務店に相談した所、下に木片をひいた部分や1m以上跳んでいる部分には、補強束を追加してくれました。今度は過剰な束の数になりましたが一応満足しています。

その他の工事内容についても、質問や指摘をすれば納得できる回答なり手直しなりをしてもらっており、工務店の対応には満足しています。
(職人さんによって多少納得いかない仕事などは、いた仕方ない所です。)
実際に適切な工事を施工するのと同じ位、工務店との信頼関係も重要と思いますが、その面でも順調に工事は進んでいます。

公庫のような規準は自分で調べられるのですが、規準以外の仕様になってる場合は、それが適正か?そうでないか?の判断が素人では出来ません。そのような場合にこちらの「建築よろず相談」のHPでは専門家が(しかも複数)見解を教えていただけ大変助かります。

自動車や家電製品、今では保険や株式まで、色々な雑誌やHPで比較検討情報が手に入れられますが、一番高額商品の住宅が、公正な比較検討や納得できる説明を得難いのは皮肉な状況です。

「建築よろず相談」さんのような活動で「建築」が身近な物になり、家電製品を買い替えるように自宅の改築、新築ができるようになれば、潜在的な需要はまだまだあると思います。
これからもHPを継続していただき、手軽で公正な建築市場が発展することをいち消費者として望んでいます。
今回は本当にありがとうございました。
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