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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

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No. 1015 農地の一部を使用貸借して建設する場合に

 相談概要 [氏名] S M
[居住住所] 静岡県藤枝市
[相談建物予定地] 静岡県焼津市
[職業] 主婦
[年齢] 38
[女性] on
[構造] わからない
[引渡し年月日] 西暦2006年12月  日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 36
[工事請負金額] 2500
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
 相談内容 [家づくりの相談内容]
はじめまして。よろしくお願いします。
夫の実家が専業農家(夫は三人兄弟の次男、サラリーマン)で、義父の所有する農地の一部を使用貸借して私たちが居住する戸建て住宅を建築したいと思っています。当該の土地は市街化調整区域の青地農地で、市役所の農政課に相談したところ、以下三つの法的制限を解除できれば、分家住宅が建てられるとのことでした。

1.農振法 2.都市計画法 3.農地法

現在農振法の解除(農振除外)手続き準備中ですが、将来起こりうる以下の問題に気づき、このまま除外を進めて家を建てるべきか悩んでいます。
それは、分家住宅は、私たちの子供、孫など親族以外への転売が困難または不可能で、 仮に属人性のない人への転売ができたとしても、購入者は新たに家屋等を建てることができない、という問題です。

とすると、将来私たちの子供や孫がこの土地に居住できない場合でも、所有を余儀なくされ、固定資産税の支払いを義務づけられ、せっかくの土地がマイナスの資産となりかねません。もし将来このような状態に陥った場合、何か救済措置というか特例措置などはないのでしょうか。

以上よろしくお願いします。
 yorozuの感想 上記の件については、市役所や県の農林事務所にも尋ねてみましたが、皆一様に「しょうがない」と一言で片付けられてしまいました。このサイ トで他の方の相談例を拝見しましたが、いろんな専門家の方が丁寧に回答をしてくださっているという印象を持ちました。
アドバイザー 
堀住 勝雄 堀住です

 転勤、転職などで近い将来、転居が予想されるならばこの土地にお住まいになるのはおやめになったほうが良いでしょう。また経済的に土地代金が負担にならないのであれば他の地域に土地を求めら れることをお勧めします。しかし少なくともお子様の代まで定住されるならば転売の心配までされなくてもと思います。その土地に建てた場合を考えてみると、

・制限の厳しさにより環境が維持される。
・土地代負担が安い、将来は相続により無償となる。

などのメリットもあります。また(あてにはなりませんが)都市計画も希には見直しがされる場合もあります。
以前は法令の運用がルーズだったので闇賃貸借とかの例も見聞きしましたが、現在では救済、特例措置は期待できません。
古賀 保彦 解説員の古賀です。

 お住まいを分家でお建てになろうとしたのは、どのような理由からだっ たのでしょうか?あくまで傍目から思う事ですが、

・ご両親の近くに住まう事で、ご両親、子世帯とも何かと安心である。
・親兄弟が近くに住む事で、親族が疎遠にならずに済む。
・土地代が安価または無償であり、家を所有する時の負担が少ない。

 長くお住まいになるつもりでいらっしゃれば、上記のようなメリットは、その先で心配されている固定資産税等の負担に比して余りあるように思えますが・・。

 一般の土地でも固定資産税等を払い続けたからといって、その費用が資産に組み込まれるわけではありません。あくまで、土地を所有していく為の経費です。将来不要になった際に売却ができなくともその経費を払い続けなければならないのかといった懸念は、その土地を手放す事で解消されると思います。親族に引き取ってもらったり、最悪でも無償であれば引き取ってくれる方もいらっしゃるでしょう。

 その際の資産(土地)を手放すという損失は、子世帯にかかるのではなく、もともとの所有者である親御さんにかかるものです。いずれは相続という形で子世帯に移るのでしょうけれど、ご自身は農家ではありませんから農地のままでは承継できない土地です。

 つまり、ご心配されている資産の損失は、その農地が多少目減りしてでも農家でない息子さんに近くに住んでもらう事に対する、親御さんの期待・安心料との引き替え、といえるのかもしれませんね。
そのような考え方で親御さんのお気持ちも伺いながら再度ご検討なされてはいかがでしょうか?
 コメンテーター 
長谷川 明弘  両解説員も言ってますが、ご自分のご家族の人生設計、親御さんのお気持ちも踏まえて、総合的に考えることをお薦めします。目先の損得だけで考えると農地がらみの場合は、近隣に対しても色々と影響が出る可能性もあります。(稀な話ですが)
 自分たちがどうしたいか?お子さん達にどう生きてほしいのか、親御さん達とのこれから生活する上での距離感等のしっかり考えて検討して見てください。
 難しい判断をしなければならないので大変だとは思いますが、しっかり頑張ってくださいね!!
 事務局から 
  荻原 幸雄 本来の趣旨から考えてみましょう。
農地は本来は住宅を建てる敷地ではなく農業を営む為のものです。
しかし、そこに従事する家族、親族が居住する必要があります。
そこで限定的に許可されている方法が農地に建てられる限定的な住宅です。

この場合、親族や親子からの土地は無償か多少の金額で譲り受けることでしょう。
ですから、代々土地を継続するということが前提条件としてあります。
ご主人が将来、農業に従事する可能性があるならば、そのままでもいいのでしょうが、サラリーマンである点で将来の展望が見えなくなっているのだと思います。
もともと、それはイレギュラーなことなので、当然、心配になると思います。

土地は無償か安く手に入るのですから、将来は同じ条件で返すことで土地の問題はなくなります。子供の代や孫の代で親族関係がどのようになっているかは不明朗です。
代が重なるごとに疎遠になることが多い世の中ですから、将来、引き取ってくれない場合はご心配の点もでてきます。

次の点を考慮したほうがよいかと思います。

1)ご主人がサラリーマンであること。
会社の規模にもよりますが、転勤の可能性は?
将来、辞めたときに、転勤先が遠くになった場合の通勤は?
2)子供や孫に土地を継がせる前提があること。
親は親の代だけで処理する範囲で行動すべきだと思います。
子供や孫も自分の人生があり、自分の選択があります。
負になることは避けるのが賢明だと思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 様々な視点からアドバイスいただきたいへんありがとうございました。
夫についてはほとんど転勤の可能性はなく、農業を継ぐ予定もありません。土地を探して家を建てる経済的余裕はないので、費用の負担軽減が目的で分家住宅を考えました。

堀住さんのアドバイスにもあったように、申請予定の土地は、周囲に工場などもなく、恵まれた環境です。
最近JR線の駅が近くにできたためか、市街化調整区域とはいえ、周囲は徐々に新築の家が増えつつあり、閑静な住宅街といえるような立地です。こういう土地に少ない負担で家を建てることができるメリットを思えば、将来の税金うんぬんを悩むのはばかげているかもしれませんし、まだ子供がいない段階でこ ういうことを心配するのは早すぎるかもしれませんが、やはり子供に(子供がこの土地に住まない場合)不要な足かせはしたくないので、問題をクリアにしてからでないと、家を建てる決心がつかないのが現状です。

その後、工務店さんにきいたところ、都市計画法の運用で、仮に私たち夫婦がこの土地に家を建て、将来やむをえず第三者に転売した場合、購入者は、購入後一年以内であれば古屋を建て直すことが可能である、ともききましたが、どうなんでしょうか。
これが本当であれば、かなり迷いも解けて申請を続行することができるのですが、いろいろ調べましたが、土地計画法のどこ にこういった内容が記されているのかがわからず、まだすっきりしません。
 その後  
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