相談概要 | [氏名] T,M [相談内容] 近隣のトラブル [居住住所] 東京都大田区 [相談建物所在地] 東京都大田 [職業] 会社員 [年齢] 30 [女性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦 年 月 日 [公庫は使わない] on [性能保証を使用] on [何階建て] 3 [延べ面積m2] 111 [延べ面積坪] [工事請負金額] 5980 [設計監理料] 0 [様態] 建売り住宅 [施工者] 大工(工務店) [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [確認申請の為の委任しましたか?] してない。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] 有る。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 1 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 0 [床面積] 120m2以下 [施工者名] S建設 [販売会社名] K,LK支店 [設計者名] M建築設計事務所 [監理者名] S建設 |
相談内容 | [現象] 建て売り住宅を購入したいが、こちら側の契約条件がクリアにならず契約できない。 購入希望している住宅は南西角地に建つ。南は6M公道だが、西側は42条2項道路。玄関は西側、車は南側が出口。建物は、西側の私道を4M確保する為に1M位セットバックして建ててある。 西側の私道の使用権や持ち分や登記はこの建物に全くついていなかった為、契約条件にこの私道を利用する権利を認めて欲しいとしたところ、この私道の持ち分は(登記)裏の家のもので、私道利用を認める事が出来ないとの事。 西側の玄関に入るのには、1M弱セットバックした部分を使って出入りすれば、問題ないだろうというのが、 売り主の回答。 42条2項道路は、私道でも誰でも利用出来る道路のはずで、そもそも道路を登記している奥の方の了解を得なければいけないというのもおかしな話だが、この建物が建つ前の古屋は入り口が南にあり、西側に入り口を持っていなかったので、無断使用にあたるのでダメとの事です。 新しく建物を建てるのに、西側を入り口とするならば、私道を使う旨を奥の方に理解を求める必要があったが、全く無断で勝手に設計を行い、勝手に建て始めたので、奥の方はそれならば、絶対に通さないという感情のもつれに発展している。売り主は、使用権を認めて欲しいと言わない買い主に売りたいと主張してきていて、契約する事ができない。 [業者の見解] 西側の私道の利用権を主張しない又は、よく訳の分からない馬鹿な買い主又は、1M弱くらいの狭い通路から冷蔵庫でもなんでも運びますから西側私道は使いませんという方に売りたいとの事。 仲介の不動産屋は、他の物件を紹介するから諦めたらどうかという程度。近隣の方は、私道を利用するという断りもなんにもないのに、黙って、西側私道側に玄関を付けたのはどういうことかと立腹。物件の契約が決まったら、私道の部分とセットバックの部分をはっきりさせるため、現在、裏の方が登記している私道の部分に対し、フェ ンスを回し、事実上通れなくするような方法を考案中だとか。 [相談内容] 1)この物件を購入するには 具体的に何をどうすれば購入できるようになるのか教えてください。例えば、私道の持ち分を半分ずつにして、半分を業者が持つ必要があるのか、それとも2項道路だから誰になんと言われても大きな顔して通れるのか。 2)売り主の業者は 図面一つだすのも渋るくらいの業者です。工務店もなかなか教えなかった為自力で工務店を探し、設計事務所を探し、訪ね歩き、図面や資料を発見、説明してもらいました。そこで、内容的には 問題ないだろうと思い契約をと思っていますが、今度は私道の事でもめて誠意ある対応は一向にしません。こんな業者で、アフターケアなんかのメンテナンス対応など大丈夫か少し不安です。 |
yorozuの感想 | 回答いただけるという仕組みであれば素晴らしいと思います。 |
アドバイザー | |
久米 能子 | 解説員の久米です。 42条2項道路として建築基準法上認定されるために、TMさんが購入しようとしている土地も1Mセットバックして協力しているのですから、当然のことながら、西側に玄関を設けて、西側道路を通行して問題はないはずです。 言ってみれば、ただこれだけの単純なことなのですが、42条2項道路は、個人の敷地の提供のまま、登記は個人所有として道路分も残るため(固定資産の課税はされていないはずですが)、いつまでたっても、「自分の敷地だから自分の勝手に使うのだ」という感覚が消えない人が居て、お話しの中にあるように、提供した部分とそうでないところの間に、フェンスを立てたり、植木鉢をおいたりする人があちこちで絶えません。 42条2項道路の性格上、個人の敷地を互いに提供しあって、道路として使う、というものですから、建築基準法上は道路としてみなされて建築物を建てるための前面道路として扱われますが(そうでもしないと、前面道路のない敷地ばかりとなり、建築ができないのです。)、もとは個人の敷地であったことを考えると、要するに、そこに住んでいる人たちのための道路、ということになりますから、道路の通行規制なども、接道している住民の希望で、ある程度は決まる性格のものなのです。 つまり、近隣が仲良くみんなで使いましょう、という道路なのですが、相手や周囲のことに思いやれず、個人の権利ばかりを主張しようとする人たちにとっては、そのことが理解できずにトラブルに発展することが多いのが現状です。また、そんなつもりはなくとも、何らかの以前からの怨恨などあれば、本当は良い人でも、簡単に「ひどい人」になってしまうものかもしれません。 理屈では、TMさんが使用することはなんら問題ないはずですが、このように感情的な部分が絡む道路なので、不動産会社も臆病になって、過剰なことを言っているのではないでしょうか。(もしかすると、もともと、西側のお向かいの方は難しい方なのかもしれませんね。それを不動産会社は知っていたのかもしれません。) どうしても、その建物を購入したければ、ご自身で西側のお向かいのお宅を丁重に訪問し、自分自身もお向かいも説明不足の不動産会社のせいで迷惑をこうむっていることなどの事情を説明し、いっそ仲良くなって打ち解けてしまえば、問題は解決するのではないでしょうか。不動産会社まかせで仮に強引に通行するようにしたとしても、引っ越してから、そのお向かいの方と大変気まずいことになるでしょうし、間にそのような会社を挟んでいれば、TMさんの意向に反して、不本意な内容を相手に説明されてしまう可能性もあります。そうなれば、もっと大変です。 そこまでされてみて、それでも折り合いがつかなければ、あきらめてまた他の土地を探しましょう。案外、もっと良いところが見つかるかもしれません。土地探しも相性のようなものもあると思います。 どうぞ、お気持ちを楽になさってください。 |
古賀 保彦 | 解説員の古賀です。 問題の私道(建築基準法42条2項道路)と周辺の宅地関係の詳細が不明ですが、奥の土地を公道に接続させるための袋小路となっている例がよく見受けられますね。 相談地が公道に面していて、以前の建物は西側私道を利用していなかったという事でしたら、私道所有者に対して無断で新しい建物の出入り口をを計画したのはうまくなかったです。私道所有者に事前に相談していれば避けられた問題であったかもしれませんが、仮にその時点で断られたとしても建物計画変更等にて対処する事も不可能では無かったでしょうから。 今回の相談で調べましたところ、建築基準法上の道路と民法上の通行の問題は別物として考えなければならないケースもあるようです。例えば、裏の方が自分の敷地側にフェンスを設置しても、逆に相談地側でセットバックしないでフェンスを設置しても、裁判では咎められないような事例もありました。建築基準法の主旨(交通・防災)から考えるとおかしいと思うのですが、民法上の通行権の考え方とには違いがあるようです。 建築士の守備範囲を超える問題でもありますので、歯切れが悪い解説になってしまいましたが、相手方・業者さん側の言い分が間違いとも言えません。ご契約前なので争う事もないと思います。私道を利用しない前提でご契約されるか、ご納得いかない場合は弁護士とご相談しながら進めるべき問題だと思いますので、慎重にご検討下さい。 |
コメンテーター | |
山口 雅克 | 防災を考慮して決められた条文なのですが、一般の住民の方には不満をお持ちの方も多いようです。 敷地前面道路が建築基準法42条2項道路と認定されていないと家が建てられない場合と、今回のように前面道路は広いがその他の隣接道路が狭くて後退しなければならない部分がある場合など色々なケースがあり悩みが多いところです。 私道でも周囲の人が合意の上で道路のように使う場合と、周囲が使わせてもらう場合、今回のように後退した部分はT,Mさんの所有で・・・などなど。 どうしたら気が休まる生活ができるのか考えてみましょう。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 2項道路は 1)基準時に建築物が立ち並んでいること 2)幅員が4m未満であること 3)特定行政庁が指定すること により成立しております。 建築基準法は道路扱いということになります。 また、判例でも一般の公衆の用に供されることが必要とされていますから通行も当然、これに含まれます。 しかし、判例といえども、個別には解釈も異なりますので、堂々とというところまではいかない現実もあります。給排水などの道路の掘削には地権者の同意が必要です。 これは多分6m道路から供給しているものと推察しますが・・・。 相談の図面一つ渋る業者の建物は道路の問題よりもこちらが気になります。 建築物は図面があって始めて成立します。 その設計図を提出しない業者はレントゲンを撮影してレントゲン写真で説明しない医者のようなもので、信頼できる資格はありません。 信頼できる根拠のない建物は購入しないことをお勧めいたします。 建物は耐震診断や建物の売買には今後は重要な査定の要素になります。 それを認識ない業者は建物にも心の注入はないはずで、そんな建物に住んでも幸せに暮らせるとは思えません。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | お忙しい中、ボランティアでご回答頂きまして、ありがとうございました。 一字一句漏らさず、何度も繰り返しどの文章も読ませて頂きました。 そして、主人を初め両親ともよく話し合いました。 3月中旬に契約しようとした時点から、3ヶ月が経ちますが、売り主・不動産屋ともに、私道の権利を確保してから契約しようという意識は無く、宙ぶらりの状態が続いています。 その一方で、売り主は、派手な広告を新聞折り込みに入れて私道の権利の事は全く触れずに、無知な買い主をだまして売ろうとしています。 インターネットにも 情報は流れていますが。 結果は、6/10現在、どなたも契約されていません。 私達は、売り主から 以前渡した、設計図面等一切合切返してくれと催促されています。つまり、私達には売らないという意志表示のようです。 世の中、どの業界でも グローバル化が進んでいる時代に建設業界というのは、ものすごく モノラルな旧世代のやり方が いまだに健在なところなんだと知った次第です。 ただ、その一方で 健全なものの見方で、建設業界を展開して行こうという貴会のような存在は、砂漠の中のダイヤを見つけるように難しく、運営されていく事は非常に素晴らしい事と思いました。 今回の相談結果を頂きまして、現段階では、問題の当家屋の立地条件に、後ろ髪引かれながらも、別の物件を探していこうと 気持ちを切り替えて行こうと決めました。 本当にありがとうございました。 今後ともよろしく御願いいたします。 尚、ご紹介頂きました 本の:【我が家を手に入れる前に読むQ&A80】を早速購入して読んでみようと思います。 ありがとうございました。皆様方の今後のより一層のご活躍をお祈りいたします。 |
その後 |
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