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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0995 土留めを兼ねたフェンスの位置は?

 相談概要 [氏名] O.M
[相談内容:] その他
[居住住所] 神奈川県座間市
[相談建物所在地] 神奈川県横浜市
[職業] 会社員
[年齢] 39
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦2005年7月20日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 100
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 1208
[設計監理料] 0
[様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅)
[施工者] 建設会社
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 5
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 5
[床面積] 110m2以下
[施工者名] KS
[販売会社名] MH
[設計者名] 不明
[監理者名] 不明
 相談内容 [現象]
フリープランの売建住宅を購入する契約を結び、家の仕様打ち合わせも終わりいよいよ着工という状態です。土地は1つの土地を二つに文筆し、南側と北側に分けて販売されたものです私が契約したのは南側の土地です。側はまだ契約されていない状態です。契約時は古家のある状態でしたので土地は分割プラン図での確認で契約しました。古家の取り壊しと整地が終わったときに北側の土地が南側の土地より60cm程度高いひな壇とする説明を売主(施工者)さんより聞きました。これは北側は日当たりがよくないので当然のことだと思いましたので特に問題にはしませんでした。

最近、外構についての話をした際に売主(施工者)さんが北側の土地との間のフェンスを敷地境界の中心とし、共用物とするとの説明がありました。平坦地のフェンスなら私も納得したいのですが高低差がある土地の土留を兼ねたフェンスですので後々のトラブルをさける意味からも北側の敷地に入れてもらうようにお願いしたところ納得して頂けません。

[業者の見解]
売主(施工者)さんの説明では共用としておかないとフェンスに何かを立てかけたりするだけでも文句が出たりしてトラブルになるとのことですべての分譲地でこうしているとのことでした。不動産会社の担当者にも相談したところ、最近の分譲地ではフェンスを中央にすることはなく、基本はどちらかの土地に入れているし、ましてや高低差がある場合は必ず高い方の土地に入れないと土留が崩れた際にその補修に関して必ずもめることになるとのことでした。

今回のように共用にした場合、土留めが崩れたりして補修が必要になった場合に本来ならば修復を請求する側の低い土地の人が修復費を持たなくならずそこでトラブルになることが予想されるとのことでした。私もそう思います不動産会社の担当者も売主(施工者)さんへ掛け合ってくれたのですが売主(施工者)さんはこれは当社の規定ですとの一点張りで埒があきません。

[相談内容]
まもなく着工ということもあり売主(施工者)さんとの関係を悪化させたくありません。なんとか売主さんを説得する方法、妙案は無いものでしょうか
土留めは12cmのブロックです。
 yorozuの感想 いろんなHPを回りましたがここしか相談できる場所がありせんでした。
よろしくお願いします。
アドバイザー 
新垣 正清 解説員の新垣です。

私も個人的にはフェンスの設置は敷地の高い側に作らせることができると思っていましたが、民法223条(境界設置権)では土地の所有者は隣地の所有者と共同の費用をもって境界を表示するものを設けることができる。となっており、224条においては設置費用、保存費用についても折半となっています。(法定範囲内の塀に限る)(測量費につては応分)

 当然、土留めを兼ねたフェンスの場合、土圧により、低地側に傾いてくることも予想されない訳ではないが、施工者に安全な塀を構築して頂ければ問題にならないと思います。過大な工事になると、負担も増えることだし、施工者と充分話し合われることをお勧めします。
久米 能子 久米と申します。

 O.Mさんの言われるように、確かに、高低差の大きい土地の場合は、高いほうの土地の範囲内に擁壁を建造することが殆どです。というのも、そのような擁壁(2Mを超える擁壁)には、排水のための孔を開けねばならず、その孔から出てくる水を処理する溝も高いほうの敷地内に収める(自身の敷地からの排水は自身の敷地内で処理)必要があるからです。

 しかし、O.Mさんの土地と隣地との高低差が60センチということですから、この排水処理の必要はありませんし、60センチ程度でしたらば、それほど大きな土圧もかからないはずです。

 従って、おっしゃる土留めがどのような構造のものか(フェンスの足元が、ブロックだけなのか、鉄筋コンクリート製か?)わかりませんが、鉄筋コンクリート製でしっかりしたものならば、それが崩れるということはよほどの地震時などではないかと思います。そういう場合ならば、60センチの高低差があるのとないのとは、その崩壊についてさほどの違いはないことでしょう。

 ですから、新垣解説委員も、土留めが敷地境界中心であっても違法ではないだろうと説明をされていますし、この場合、売主さんと土留めの位置について希望を聞いてもらえないのならば、その位置よりも、構造をしっかりと作ってもらうことを交渉されては如何でしょうか。

 また、その場合、たとえ60センチといえども、その土留めの鉄筋コンクリートは、構造計算を行った、根拠のある構造としてもらってください。
 さらに、敷地境界のポイントを明確に中心に入れるだけでなく、その土留めやフェンスが共有のものであることを土地の売買契約書等のどこかに(隣地の方の契約書にも)一筆足してもらうと、尚、安心かとおもいます。

 住み始めれば、お隣と仲良くしていかねばならず、共有のものがあれば、近所づきあいを良くしようというきっかけにもなるとお考えを変えられてみるのも良いかと思います。
清水 煬二  解説員の清水です。

この仲介の不動産屋の言っていることが正しいアドバイスだと思います。

住んでみると雨水処理で問題が出るかもしれません。
最初は良くても建替えを考える数十年後には、トラブル状態になっているかもしれませんし、北側の住まいに最初入った方が他人に譲渡してからトラブルになるかもしれません。
いずれにしろ、土留めが共有というのは、お勧めできません。

フェンスの基礎としての簡易なブロックは、神奈川県では土留め兼用でも一般的に2段は認められています。60センチ上がるとブロックでは最低3段、通常は5段程度必要でしょう。

久米解説員のコメントにあるように、鉄筋コンクリートの土留めであるか、 鉄筋入りのブロックであれば、よほど隣の家が南側に迫って土留めに住宅の荷重が掛かってこない限り、強度的には一般的に問題は少ないと思いますが、いずれは必ず老朽化します。

問題が生じて困るのは、100%南側の低い方にいるあなたの方でしょう。
そのときに、共有ということでスムーズに話合いが行けば良いですが、境界に関してのトラブルは、お互いの主観的な考え方の違いで生じます。
お互いに納得せず弁護士を入れて何度も話し合っている実例も知っていますが、お互いに言い分があり、お互いが正しいと思っていますから、なかなかお互いが納得できません。
こういったトラブルの元は、購入時に消しておくべきです。

土地の購入時に、ひな壇とすることや土留めを共有にする説明があるべきで、先方の業者に大いに落ち度があります。

その後の話でもO.Mさんが納得したのであればともかく、問題があるにもかかわらず杓子定規に当社の決まりだと業者エゴ丸出しの業者に気を使わなければならない建て主のO.Mさんに同情いたしますが、業者に対して気を使いすぎると、時には問題解決の邪魔になることもあります。

建築条件付とはいえ、この売り主の考え方は完全に建売であり、今後もあなたの家は売主側の考えで工事は進んでいくでしょう。
北側の買い手が決まっていない今ならともかく、決まってしまえば変更要求はもっと難しくなるでしょう。

O.Mさんの考えている妙案とは異なるアドバイスとなり恐縮ですが、この売主の場合は、仲介業者を通じて、 主張すべきは強く主張し続けていかないと問題の先延ばしになるだけで、問題の解決となるには難しいと私は思います。 
 コメンテーター 
星 裕之 清水解説員の回答のとおりお互いが正しいと思って行動しているときほど難しいものはないですね。建築条件付の分譲地とのことですので行政庁に開発許可申請をおこなっていませんか?開発申請をおこなっているようでしたら、境界の位置・敷地の高さ・土留めの種類が記されていると思います。開発の場合そのとおりにつくらなければなりませんから、売主(施工者)の考えている形にしなくてはならないのかもしれません。

トラブルを避けたいのなら契約を解除するのもひとつの手でしょう。建築条件付ですから手付けも含めすべて返金されるはずです。モヤモヤしたものを残しながら買うよりほかの選択を考えてはいかがでしょうか?
 事務局から 
  荻原 幸雄 売建住宅を購入する契約を結びとありますが、購入ではなく建物は請負契約な筈です。
売買契約ならば条件付でなく売買契約なので、解除の場合は手付放棄になります。
間違わないように注意ください。請負契約でも契約が終わっている場合は解除だけではすみませんので、清算ということになります。この部分も御注意ください。

さて、新垣解説委員の民法223条224条は通常の塀を想定しているもので、土圧が過大にかかる場合は費用を折半するということは不合理があると思います。
単なる垣根程度の境界を視覚的に明確にするという行為ならば、この条文の趣旨に合うでしょうが
土圧となると構造的には高低の高い敷地が近隣に被害が及ばないように防ぐ義務がありますから
この場合の擁壁とフェンスを兼ねた場合は本来は敷地内に構築すべきものと思います。

しかしながら、『過大』という判断が難しいところです。
敷地は多少は高低差があるもので、少し高いからと敷地内に設置依頼することも難しいところです。清水解説委員が説明したように横神奈川のようにその目安を指導している都道府県もありますので、この点の目安を自治体に確認してください。

私見ですが、60cmの土圧は過大だと理解します。
民法の規定の想定外のものだと理解しております。
その理由は隣地が極端な話ですが、隣地ギリギリに建物を将来建てたとします。
その場合60cmですと土圧だけでなく、建物の荷重もかかることになり、低い敷地の人はその境界ブロックを撤去できなくなります。
この場合は高い敷地に人はそのブロックで利益を得られますが、貴方は何ら利益を得ることができません。撤去すると隣地の基礎に影響が出る可能性があるからです。

将来、売買で隣地の住人が変わったり、相続が発生し、所有権が移転したりした場合何故、このような不合理が起きたのか境界関係者もわからない場合が多く、撤去に困難になることも多々あります。

健全な境界フェンスは将来いつでも撤去できる状況にしておくことが本来の民法の趣旨だと理解しますので、隣地所有者と土圧以外の荷重をかけないこと。
雨水が浸入した場合は隣地費用で処理すること。擁壁が傾いてきたら、隣地費用で築造し直すこと。などを文章でもらう事で解決してみては如何でしょうか。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 いろいろな見解を頂きありがとうございます
売主(施工者)と交渉を重ねた結果土留めの位置は北側の敷地内に設ける、ということで落ち着くことになりました

ただし、その土留めの施工費を北側と私で折半ということが新たに持ち上がりもめております
こちらとしては売主(施工者)が2つに文筆して分譲した土地ですし標準仕様書には外構費は含まれず、ご希望の際は業者を紹介させていただきますとなっておりました

隣の敷地の土留め費用をこの外構費と考えるにはかなり無理があります
土留めの施工費は土地代に入っているはずだと主張していますが売主(施工者)は別途外構費で折半で負担してもらうと主張してきました
北側の土地はまだどなたも契約されていなようですのでこの折半というのも結局は売主(施工者)と折半ということになりそうです

言い方は丁寧なのですが、フェンスの位置を敷地から外す譲歩をしたのだから費用を持てといっているような気がしてなりません
取れるものはなんとしてもお金を取るというような態度にだんだんと売主(施工者)が信じられなくなってきました

ただこれ以上揉めても大変なので費用によってはのむしかないかと考えています

つくづく家を建てるということは大変だと思います
高額な商品なのに車などの工業製品を買うのと違って売り手の方が立場が強いことに驚いています

見解を下さった皆様本当にありがとうございました
 その後  
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