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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 0991 プレカットの間柱の不必要な切り欠きは問題ない?

 相談概要 [氏名] M.Y
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 三重県度会郡
[相談建物所在地] 三重県度会郡
[職業] 会社員
[年齢] 28
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦 2005年4月30日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 35
[工事請負金額] 1984
[設計監理料] 30
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 3
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 5
[施工者名] W建設
[販売会社名] W建設
[設計者名] W.K
[監理者名] W.K
 相談内容 [現象]
現在、家を建設中ですが、トラブルに悩まされています。高校時代お世話になった先輩W建設から、仕事をさせてくれとの依頼があったので、お願いすることにしました。(本来は弟が大工をしていますので、弟の勤めるO建築にお願いしようと思っていましたが)先輩ということで、信頼してお願いし、施工 (内部の造作のみ弟が施工するとの条件で)管理をお願いしました。

建前も終わり、弟が中の造作に入ろうとしてまず、通し柱が隅に無い、梁の部分にホールダウンが無いと指摘しました。またプレカットにもかかわらず、弟の指摘より、本来必要の無いところに、間柱のカキが異常に多く、向こうの工務店の大工が施工した、サッシを入れる部分のカキの間違いもあり、私自身、木に余分な傷があるのが納得いかずに、入れ替えをお願いしたたが、受け入れてもらえず。何を言っても受け入れてもらえず、工事は7割以上進む状態です。

[業者の見解]
通し柱・ホールダウンについては、建築確認申請はおりて入るから問題無いとのことでした。管理者は一度も見に来ることなく、間柱のカキの間違い、サッシ部の間違いについては、人間だから間違いはある、許容範囲との答えで、こちら側の入れ替えは全く受け入れてもらえませんでした。

しかも弟は管理者から『大工ならお前が説明しろ』とまで言われました。自分が何度言っても『お前は先輩の言うことが信頼できないのか』とまでいわれました。弟も工事を仕方なく進めています私が何度かお願いしたら、やっと管理者が見に来てくれ、家族の前で説明するとのことでしたが、答えは、上記と同じでした。

何度お願いしても話しになりません。その後、社長(施工者)より電話があり、『ワレは何をガタガタ言うじゃ!客なら客らしくしろ!』とまで言われました。私たち夫婦にくわえ、家族も心労でどうにかなってしまいそうです。

[相談内容]
最初にこちらが指摘した事は、上記の答えで本当に済ませれるのでしょうか?管理者はこちらがお願いしにこないというのでいいのでしょうか?私たち夫婦にくわえ、家族も心労でどうにかなってしまいそうです。

まぐさの位置間違えの切欠き


隅柱が通し柱になっていない。


間柱の切込

 yorozuの感想 一生で一番高い買い物ですので、泣き寝入りしたくなく、どうにかしたいと思い、ネットで色々検索したりしてようやく相談できる所が見つかりました。消費者には本当にありがたいです。宜しくお願い致します。
アドバイザー 
山口 雅克 解説員の山口です。

 いわゆる、工務店の設計施工で造り手が設計監理者でその仕事に納得が行かない相談です。

直ちに確認申請書を取り寄せ(Wが渡さないのであれば申請した役所か民間の確認業務を行っている会社に正本があります)第三者の専門家に現場でチェックをしてもらいましょう。 工事内容に不適切な部分があれば直ちに工事を中止して是正の方法を探りましょう。構造体に関しては金物の補強で済むと思います。通し柱に相当する補強の仕方もあります。梁の間柱欠き込みや、柱 (サッシ横)のマグサ欠き込み程度はとくに問題はないと思われます。この点も合わせてチェックをお願いしましょう。
清水 煬二 解説員の清水です。

監理者が工事業者と一体ですからこういう問題がどうしても起こりやすくなります。業者が親戚や知り合いだから、信頼できるからということと工事が満足でき るかどうかは別問題です。在来工法の2階建て以上でホールダウン金物が必要ないというのは、特殊な設計や工法でなければ考えにくいです。建築確認申請時に指摘されない、チェックされないことはありますが、だからといって無くて良いとか正しいというわけではありません。

通し柱が無い場合は、金物の補強をして同等にするという方法があるようですが、この業者が行っているのかどうかはわかりません。間柱の欠き込み程度は心配ありませんが、写真のように、柱部分の窓台などの欠き込み間違いはせめて埋木をするとかなどの対応策を提案してくれればいいものを、今回の一番の問題は、ご心配の内容事項よりも、業者の態度や対応、考え方にあるように思います。文面だけで読む限り、ひとことで言えばひどい業者です。少なくとも建て主のことを考えて、喜んでもらおうという姿勢は感じられません。

残念ですがこのまま進んでも、最後まで満足は得られないでしょう。業者が先輩とのこと、何かのつながりや人間関係で強く出れない理由があるのかもしれませんが、文面からの状況では、直接話をしても聞き入れないようですから、第三者の建築士や弁護士などを立てて話し合って工事を進めるべきでしょう。無理であれば、残念ですが今後も我慢して諦めるしかないと思います。
 関口 啓介 関口です。

非常に嘆かわしい事態に、憤りを感じます。願わくならば、施工業者と管理者の良心に基づいて是正される事が望ましいのですが。建築基準法第43条5項では、「階数が2以上の建築物におけるすみ柱またはこれに順ずる柱は、通し柱としなければならない。ただし、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するよう補強した場合においては、この限りでない。」となっております。

相談写真の状態では、
建築基準法に抵触すると思われます。その後、通し柱と同等以上の耐力を有する補強がなされたのか、そのままで中間検査が通ったのか、若しくは中間検査を受けていないのか、行政の建築確認、若しくは建築確認を行った機関に問い合わせて、中間検査を受けていないようでしたら、即時に工事を中止させましょう。管理者責任も当然問われます。中間検査申請を行ったのか、検査を受けたのかご確認下さい。施工者が不誠実な対応を続けるのであれば、建設業法に照らし合わせても問題と考えられます。

是正されないのであれば、建設業の許可をしている行政機関に報告し、第三者機関に調査依頼をされる事が必要と思われます。監理者不在という実情が、このような問題を引き起こしたと思われます。ご自身、ご家族の心労もお察し致しますが、踏ん張って、動いてみてください。大切な住まいです。人任せでは済まされない部分があります。 
 コメンテーター 
星 裕之 窓台を欠き込むだけ丁寧な大工と評価はできますが、皆さんの解説しているように現行法規を遵守されているとはいいがたいようですね。所詮大工は大工。
現場管理者(工務店)や法的技術者(建築士)ではないのです。このままでは施工上問題のない部分もおかしく見えてきてしまいますよね。大工さんにとっても同じ。ちゃんとやってるところまで、怪しまれてしまうと疲れてしまいます。ここは第三者をいれて一度リセットしたほうがよろしいいのではないでしょうか。
 事務局から 
  荻原 幸雄 家造りの基本は先ず、設計者を選択すべきであると思います。
誠実な設計(意匠・構造・設備)を図面化していれば明細な見積りも取れますし、工事の曖昧さもなくなります。

世間では設計者を選択するという意識はほとんど認識にも及ばない現状があり、施工会社に依頼することが多いことになりますが、多かれ少なかれこのような状況にあることも多いのが現状です。

今回はたまたま、大工が弟さんでしたので、身内として、正直な話をしてくれたことで、状況が発覚したものと思います。弟さんに聞いてください。他の仕事でこのような状況を見たことがないか?あると思います。通常は使われている身として黙殺してしまうのが現実です。

話は戻りますが、建築確認申請図面と違うと思われます。
直ちに行政に通し柱の件を確認してください。
指導してくれるはずです。この場合は同等の効果のある補強をすることになります。
隅の柱を通し柱にする理由は2階の水平力をこの柱でも踏ん張れるようにするという
ことと、引き抜きの大きくなる場所だからです。水平力は実際は筋交いがこれを負担するので、引き抜きにどのように対応するか?という補強になります。

柱の切り欠きは気になるでしょうが、実際はホゾなど沢山切り込みが入ります。
通し柱の切り込み(梁に隠れているので見えませんが)は梁の取り付け前の掘り込みをみると断面が1/3程度しかないものです。
プレカットなどは土台も梁も吐き出しでも間柱用の切り欠きを造ってしまいます。
いいことではないですが、これで駄目になるものでもありません。要するに設計に余裕をみて切り欠きも考慮した設計にしてあれば問題はありません。その点は確認が必要です。

知り合いだから安心ということは正しい選択ではありません。
人間として家を造るとは住む人を守るという大切な心を持った設計者を選択することです。

教訓として頑張ってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 こんばんは、Mと申します。

今回は、お忙しい中、山口様・清水様・関口様・星様、おぎわらさま、御丁寧に有難うございました。
工事のほうですが、施工会社とは契約をここまでで中止し、後は弟に任せるという方法で進めています。

強度の方ですが、弟の提案によりダイライトを貼って(こちらが負担)強度を確保してもらいました。
やはり工事よりも、今までの建設会社には腹が立っていますので、行政を含め、第三者等も考えながら、なんとかして行きたいと思います。

皆様のおかげで、気がだいぶ楽になりました、本当に有難うございました。
 その後  
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