相談概要 | [氏名] H.O [相談内容] 建売住宅の瑕疵 [居住住所] 埼玉県さいたま市 [相談建物所在地] 埼玉県さいたま市 [職業] 会社員 [年齢] 36 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦 2004 年 3 月30 日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 104.77 [延べ面積坪] [工事請負金額] 3340 [設計監理料] 0 [様態] 建売り住宅 [施工者] 地場大手ハウスメーカー;地域的な大手産業 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [18確認申請の為の委任しましたか?] してない。 [確認申請書お持ちですか?] 解らない。 [検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 2 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 0 [施工者名] K建設 [販売会社名] HL [設計者名] H.S [監理者名] わからない |
相談内容 | [現象] 外壁の亀裂(ひび割れ)についてご相談いたします。 外壁の構造は、サイディング通気工法で、3×10(尺)無塗装板防火サイディングボード(ニチハMT100F)12mmをビス又は釘留めしてあります。目地に沿ってクロステープを貼り、下地処理には、セメントとフレッ クスコートを1:1で混合し壁面に1mm程度の厚さで塗ってあります。仕上げは、ベルアート(SK科研・アクリル樹脂エマルション)にフレックスコートを加えたものを1.5mm〜2.0mm程度でパターン付けし一回塗りです。 最初の亀裂は、入居後1ヶ月程で現れました。場所は,外壁西側でサイディングボードの目地に沿って発生し、亀裂幅は2mm〜3mm程度です(写真)。その後、西側には基礎の上より目地に沿って亀裂がいくつか発生しました。 すぐに施工業者に連絡をして補修を依頼しましたが、亀裂部分にシリコンのような白いものを注入し再度仕上げ塗料を補修部分に塗る程度の補修でした。 しかし、数日すると同じ場所で亀裂が発生し、今度は補修の際に入れた白いものまで見えはじめ、その後、亀裂部分は朝一番気温の低いときに最大限 (2mm〜3mm)に開き、日中日差しが照りつける時になると少し亀裂が閉じ1mm程度又は目立たなくなるといった事を繰る返しています。 今では、東西南北四面にいくつもの亀裂が目地に沿って発生し、白い液体が染み出ては乾いたような後があったりクロステープが完全に見えるようになってしまった所もあります。基礎の上、サイディングボードとの隙間から覗いて見るとサイディングボードの合わせ目は開き防水効果は無い様にも見えます(写真)。合わせ部分には、反りも発生しているようで若干盛り上がってきているようにも見えます。 [業者の見解] 施工業者は、当初、「外壁の亀裂は木材の乾燥によるもので木材の乾燥が落ち着く2年程度は仕方が無くその都度上から塗ります」と話して話しておりました。 しかし再度詳しい説明を強く求めたら「サイディングとサイディングが重なり合って接合している部分には、サイディング自体にシール材が装着されていたために、コーキングをしていませんでした。亀裂の入っている接合部分のみ塗装を数cm幅程で削り取り、弾性のパテを塗り補修を致します。しかし、亀裂が入っていない部分は家を傷めるのでそのままにしておいた方がいい」と回答してきました。 [相談内容] 補修方法について教えてください。 施工業者の言う通り、亀裂部分のみに弾性のパテを塗りその上に仕上げ塗 料を塗れば再度亀裂の入らない補修が出来るのでしょうか?私にはサイディングボード自体動いているようで、目地処理の補修だけでは問題の解決にならない気がしています。実際に、サイディングボードの張替えから補修を依頼する事は難しいのでしょうか?家を傷める事になるのでしょうか? |
yorozuの感想 | 私は、補修方法や具体的な補修材料のメーカーや名前まで回答していただけると助かります。弾性が良いと言われてもそれがどんな原料なのか、どこのメーカーに何と言う商品であるのかまで知りたいと思います。 |
アドバイザー | |
氏原 毅士 | 解説員の氏原です。 ニチハMT100Fは長辺が合いじゃくり(凡そ1ミリ?)とV目地。短辺はハット型の金属製目地材を使うはずです。短辺は金物の形状から8から10ミリ程度の深目地になると思います。 亀裂(隙間)が発生したとしても、写真のような不規則形ではなく直線になると思います。 ハット型目地金物を用いず、10ミリほどの間隔だけ空けて吹き付け材を施工したように見受けられます。 推測が当たっておれば、この状態でコーキングと吹きつけ補修を繰り返しても意味が無く、再発は防げないと思います。 また、サイディングを縦貼りにしているとしても、木口方向のバックアップ金物が見あたらないのと、合いじゃくりの突合せ幅が広すぎて、目地に吹き付け材が入っているのでひび割れが生じていると思います。 さらにサイディングボードが通気胴縁に固定されていないのではないでしょうか。 |
コメンテーター | |
古賀 保彦 | 亀裂の巾が変わるのは、温度や乾燥収縮によって建物本体や壁下地・サイディングが伸び縮みしているからだと思います。本体に使用された構造材の含水率や資材の水分管理(雨がかり等)による影響が考えられますが、水分によるものであれば収縮が落ち着くまでに時間がかかるかもしれません。 また、メーカーの指定・推奨工法に基づく施工方法であるのか、サイディ ング目地をつぶす工法やその際使用したテープ等の資材が適切なものであったのかどうかも検証した上で妥当な補修方法を考える必要がありますので、具体的な補修方法をアドバイスするのは難しい質問です。 解説・コメントを参考に、設計者・施工者を交えてご検証下さい。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | ニチハでは外装編資料集という施工マニュアルを発行しております。 この資料集は大変詳細に記載されており、外装工事のチェックリストまであり、正しい施工方法を公開しております。 この通り施工されていれば問題は起きない材料です。 このチェックリストを施工者に提出させることです。 この中に何かが今回の施工では間違って施工されていると思われます。 この資料集をみていないのではないでしょうか? ニチハでは大壁工法の場合仕上げ材としてアイカ工業のジョリパットを推奨しております。 今回の仕上げと似ているものとしてはJP-650シリーズになります。 木材の収縮ということですが、構造体ならば内部の仕上げにも亀裂などがおきますが、そのような記載がないことから、胴縁の収縮も考えられます。 しかし、それらよりも写真を拝見すると横目地は写真がないのでハットジョイナーを使用しているか判断ができないと思います。 縦目地は合決りになりますが、写真で見ますと、ここに異物の施工が見られます。 施工業者の「・・・サイディング自体にシール材が装着されていたために・・・」 というのがこれなのでしょうが、そもそも、ここにはこんなものはメーカーでは装着しておりませんし、マニュアルにもありません。 こんなことをしたら写真のように仕上げ材が混入し材どうしの結束が弱くなります。 多分施工者はここにパッキンのようなものを入れて防水対策を考えたのかもしれません。 しかし、ニチハではそのような対策はもともと考えられております。繋ぎの上にソフトクロスを補強しその上にニチハオリジナルの専用弾性目地処理材で処理します。 これも利用していないようです。 写真や相談内容から判断するとニチハの施工基準に全く則った施工がされていないようです。 その場合は全て外装材を剥がして正しいニチハの施工要領で施工する以外にはないかもしれません。 先ずは「ニチハの外装工事のチェックリスト」を施工者に提出していただき、このマニュアルの何を正しく施工されなかったのか?それを確認してから今後の対応をお考えください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | お忙しい中、沢山のご意見をいただきありがとうございました。 まだまだ、ビルダーと補修方法について交渉中ですが、いただいたご意見を参考にしながら最善の補修方法を探して行きたいと思っております。 その後、公的な機関(社)埼玉建築士事務協会に、第三者的な立場から公平な判断をしていただける建築士の方を紹介してもらい、本日来ていただきました。 外壁の亀裂部分及び基礎にいたるまで目視により確認した上で、私どもの手元にある書類と照らし合わせた結果、サイディングの継ぎ目部分に施工上の問題があるとのお答えでした。 ビルダーより提出されている継ぎ目部分の図面と、実際に施工されているボードの継ぎ目の形状が違い、また図面ではV字溝があるのですが実際には存在せず、明らかにボード自体が違い図面通りの施工が出来ていないものでした。 メールで回答いただきました、「サイディングボードの施工がメーカー(ニチハ)の推奨する方法をとっていないのではないか」とのご指摘通りのような気がしております。 この点については、近日中にビルダーとニチハに確認を取り、改善策を出してもらうつもりです。 鑑定結果と具体的な補修方法を内容証明郵便でビルダーに送ることも考えましたが、まずはビルダーの直そうとする態度(?)を信頼し、確実に補修してもらえるように努力して行きたいと思っております。 大変お世話になりました。各先生方にも宜しくお伝えください。 |
その後 |
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