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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No. 0973 建物廻りの沈下について

 相談概要 [氏名] OT
[相談内容] 建売住宅の瑕疵
[居住住所] 佐賀県小城郡
[相談建物所在地] 佐賀県佐賀郡
[職業] 主婦
[年齢] 33
[女性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦2005年3月
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 40
[工事請負金額]
[設計監理料] 0
[様態] 建売り住宅
[施工者] 地場中小ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] −
[監理者を選んだのは] −
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] -
[18確認申請の為の委任しましたか?] -
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[設計図面は何枚もらいましたか?]
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?]
[施工者名] SK
[販売会社名] SK
 相談内容 [現象]
 現在、2年9ケ月、モデル住宅として利用されてきたものを、 土地共に購入することにしたのですが、不同沈下が起こっているのではないかということでとても心配になり、相談させていただきました。

もともと施工業者の方で地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験)を行っており、その資料ももらっており、もともと水田の沖積低地で深さ−5m付近まで50〜100kg自沈を伴う軟弱な地盤となっています。地盤の自沈層も各ポイントにおいてバラツキのある不安定な地盤となっていますと書いてありました。ただ、建物の基礎部分には139.8mmの小口径鋼管杭を24本うってあり、建物の保証も20年あるということで契約に至りました。現在は手付金100万を払い、売買契約書を交わした状態です。

 まだモデル住宅として利用するとのことで、3月末引渡しの際に残額払うとこことにしているのですが、最近になってよくみてみると、建物の杭をうった以外の部分、水路との境界のコンクリート部分や玄関のポーチや階段部分等にひびがはいり、また、ベランダのウッドデッキの下地のコンクリートが沈下しウッドデッキが浮かび上がっていることに気づきました。電気温水器も沈下してななめになっています。担当者はたいしたことないように言っていますが、ホームページで地盤沈下の記事を見れば見るほど適当な修理ではあとが大変ということが分かりとても不安な状況です。

 契約を交わしてしまっているので、解約は違約金がかかりますが、土地建物込みの売買契約書に「引渡前の毀損」という条項があり、「いずれの責にも帰することの出来ない事由によって本物件が毀損したときは、売主は本物件を修復して買主に引き渡すものとする。買主は、本物件の毀損により契約の目的が達せられないときはこの契約を解除することができる(中略)」という条項があるので、修正と地盤強化を強くいって、出来ない場合は解約できるのかなと考えているのですが・・・。

[業者の見解]
担当者は、あまり大したことではないようにいっています。
電気温水器は水はけのためななめにしている、その他は引渡しまでには修理しますとのこと。建物以外の地盤保証は通常保証外だがアフターサービスで2年は伺うのでその際に何かあったらいってもらえばいいといわれたのですが

修理するとかいってましたが、その方法ははっきりせずあいまいでした。
国の建築許可をとっているので、いざというときは国に訴えることもできるとか・・・。

[相談内容]
 現在の沈下について、どう対処したら今後の沈下も防げるのでしょう。そして、それをどういうふうに業者に言えばいいのか。あとアフターフォローで対処とはいっていますが、なにぶん下手すればかなりお金がかかりそうなので無視されるおそれが・・・念書とかをとっていたほうがいいんでしょうか?それは可能なのでしょうか?

外構の亀裂


雨水接続の不良。


基礎の沈下。
 yorozuの感想 今回のことがあって初めて知りましたが、とても丁寧に回答されていてとても参考になると思いました。
アドバイザー 
清水 煬二 解説員の清水です。

もし、私の事務所にご相談にいらっしゃったとすればこの契約は止めるべきだと私ならハッキリ申し上げます。
もし、このまま契約を進めるのであれば、第三者の建築士に必ずチェックしてもらってください。
鋼管杭を打ったから安心、20年保証があるから安心というわけではありません。

施工不良もありますし、施工が正しく行われていてもこういう軟弱地盤の場合、不同沈下を起こすこともあります。
20年保証が付いていて、後で手直ししてくれることになったとしてもお住まいになっている皆さんは大変な思いをすることになります。
家本体以外の沈下は2年を過ぎても進行していくと思います。
このことでも、長く住む家ですから生活には不具合を感じると思います。

契約をキャンセルすると100万円が戻らないのではないかと心配されているようですが、今の段階なら戻してもらうことも可能だと思います。第三者の専門家に相談してください。
万一、戻らないとしても100万円を捨ててでも、私は契約しない方が良いと思います。
それ以上の苦労をなさると感じるからです。

高い擁壁があり、地盤改良をした建売住宅を契約した方の工事中の検査を昨年行ったことがありました。
構造体の検査のときに既に基礎の構造クラックや不同沈下が発生し、キャンセルすることになりました。
地盤について損保会社のの10年保証もついていました。
購入者は手付金が戻らないかもと心配されていましたが、
解約理由と瑕疵であることを話して、全額戻してもらいました。

また、現在建売購入後8年で地盤沈下のトラブルの調査を行っていますが、工事に至までも大変ですし、工事に入ってからでもご家族は大変です。
とても100万円では割に合わないと思います。

ちょっと私の意見をハッキリ言い過ぎましたが、必ず他の解説員のコメントも参考にして判断して下さい。
そして、第三者の建築士に検査に入ってもらうことです。
山口 雅克 解説員の山口です。

業者の見解にはやや逃げ的な言い訳がありそうです。「国の建築許可をとっているので、いざというときは国に・・・」なんてことはないと思って下さい。「あとアフターフォローで対処・・・」も念書をとっても対応が遅かったりしてあやふやになることは多いようです。

 現在の沈下について、対処して今後の沈下を防ぐ対策を立てるには現地確認と幾つかの資料の検討が必要になりますので、第三者の専門家に見てもらうのが良いでしょう。
 津村 泰夫 解説員の津村と申します

次のことがまず必要です

1、鋼管杭が適切かどうかの確認
2、現況の診断調査

建物部分は杭が打ってあるため沈下しないか、沈下してもわずかであるが、建物周囲は沈下するわけですね。このため弊害として、給水、排水、ガスなどの配管類の破断、屋外工作物の沈下、そのために建物取り合い部分にずれを生じる。ということだと思います。

このような地盤での沈下は一定年でおさまることはなく10年、20年後も沈下が続きます。10年ぐらいで終息するという説もありますが、私の経験では20年経ってもなお沈下し続ける地盤を何度も経験しております。

おそらく3年に一度は外構まわりの補修工事が必要でしよう。いま念書をとったとしても、数年後に無償でそのような工事をやってくれるかどうかはわかりません。工事の際もさまざまな苦労が付き物です。

将来の補修工事負担を計算に入れ、大幅な値引き交渉をされるか、清水解説員が言われるように解約交渉されるのがよいと思われます。 
 コメンテーター 
大内 彰 写真を見るとすでに建物の沈下と周囲の沈下の差が生じているようです。危険な買い物になるだろうと思います。
建物周囲の地盤沈下による不具合について第3者の建築士に相談し、それを元に売主と交渉されるのが良いと思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 どうも営業マンの会話から、真摯な対応をしているようには思えません。

1)「電気温水器は水はけのためななめにしている」
温水器は水平ですか?そうなら基礎は水勾配ですが、基礎が建物の基礎と隙間があります。多分、沈下しているのだと思います。

2)「建物以外の地盤保証は通常保証外だがアフターサービスで2年は・・・」
アフターサービスでやる範囲ではありません。補修は今、やるべきことです。

3)「国の建築許可をとっているので、いざというときは国に訴えることもできるとか・・・。」許可とありますが、建築確認の間違いです。訴えることは出来ません。

図面を法的に確認しただけですので、沈下があったからといっても、責任は施工者、設計者、工事監理者のいずれかに出てくるものです。あくまでも販売会社が責任を持つことになります。
ですから、対応してもらうべきです。

今回の契約は建物と土地の売買契約であります。土地には外構も含まれます。
これらに瑕疵があるのならば、即刻是正してもらうべきです。
しかし、難しいのはどのように設計し、工事監理されたのか?ということです。
これらがキチントされていない可能性があります。

これを把握するには建築士の判断が必要です。
第三者の建築士に建物の調査を依頼して、その結果で判断なされたほうが良いと思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 回答ありがとうございました。
やはりやめた方がいいんですね。
詳しく調べたところ、ウッドデッキ側は3年で13cm、沈んでるそうです。
よく見たら、基礎のよこに陥没ができていて、どうも基礎の下の地盤も沈んで空洞ができているようです。
何でも地盤が横に変移しているとか・・・
かろうじて鋼管杭が家を支えていて、家は今のところ傾いてはいないようなんですが、玄関とウッドデッキは空き缶をのせると東側と西側に動いていくことが分かりました。

かなり気に入っていただけにショックです。
今回は、いろいろな角度からアドバイス頂いて、とても参考になりました。
本当にありがとうございました。
 その後  
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