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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0972 一生に一度、後悔の無いように進めたい

 相談概要 [氏名] NM
[居住住所] 愛知県稲沢市
[相談建物予定地] 岐阜県養老郡
[職業] 主婦
[年齢] 30
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦    年  月  日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 50
[工事請負金額] 3000
[設計監理料] 300
[様態] 注文建築
[施工者] −
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] -
[18確認申請の為の委任しましたか?] -
[確認申請書お持ちですか?] -
[検査済証は有りますか?] −
[設計図面は何枚もらいましたか?] 25
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 10
[施工者名]
[販売会社名]
[設計者名] SK
[監理者名] SK
 相談内容 [家づくりの相談内容]
建築士による、設計監理をお願いするため、建築事務所を探し、約1年をかけて、平面図、展開図等の検討を重ね、詳細設計にこぎつけたところです。その為、確認申請はまだしておりません。施工業者もこれから選定するところです。
義父の名義の土地の上に新居を建てる事になっています。場所は四方を全て田に囲まれ、3年程前に田を埋め立てたところです。南北に38m、東西に20mほどある土地の一番北に建築予定です。
義父は建築士に依頼する事に猛反対し、それを押し切る形で話を進めてきましたが、詳細設計に入ってきたので、平面図、CGによる完成予想図等を見せました。
そこで、お前たちに嫌われてもいいから、ここだけは直せという話がありました。

それは、二階南東部に設けられた物干しは台風時の南東の風を受け危ないからやめよ。ということと建物中央部に位置する通し柱の脇に洗濯機を配しているが、湿気を呼び、柱がダメになるから場所を変えよとのことでした。

これを設計者に相談したところ、素人的な発想で、無視するわけではないが、不安過剰の内容である事、また、建物に対する常識は人によりずれがあること。なにより、現状の設計内容は完成度が高く、予算的にも厳しいので、この状態で何とか納めあげたいとの返答でした。
そこでご相談したいのは、義父の言っている事は本当に素人的な発想と片付けてよいものなのかという事です。

私たちとしては設計者を信頼し、現状の形でいけるのであれば、GOサインを出したいのです。しかし、義父は当初から建築士に依頼する事に反対しており、また、自分自身が家を建てた際に、業者にだまされた経験をもつため、私たちが設計者から聞いた話をそのまましても、お前たちは言い包められてだまされているんだ。といった風にしかとってもらえず、おそらく、設計者から直接話を聞いても取り合わないのではないかと思います。
そこで、第三者のご意見を伺い、自分達の気持ちをぶれさせないようにしてから、義父を説得したいと考えています。

問題の二階物干しですが、屋根が寄棟になっており、中央より南が物干し、北が二階トイレと階段室となっています。
物干しの西はホールになっています。ようするに、屋根が南東からの風をはらむ事になって危ないというのが義父の言い分です。実際、集落の中ほどにある義父の家の南東の部屋の天井は台風によるのぼり水によるであろう水の後が地図を書いています。建築予定地はさえぎるものの全く無い土地ですので、話を聞くと不安にはなります。屋根の材料は、ガリバニウム合板を予定しています。物干し・トイレ・階段室部分のみ寄棟で、この西側に二階居室の屋根が切妻で日本瓦で葺く予定です。

通し柱は、ダイニングと脱衣室の間にあり、洗濯機には風呂水ポンプで風呂の残り湯を使う予定です。また、水道の配管はさや管ヘッダーシステムを使う予定です。

一生に一度の大仕事ですので、楽しく、後悔の無いように進めたいと思っています。宜しくご助言いただきたく、お願いいたします。
 yorozuの感想 以前から設計監理を分離した形態で家づくりをしようと、このHPは覗かせて頂いておりました。
まさか自分がご相談する事になるとは思っておりませんでしたが、こうしたところがあることで、素人も知識を得、また、安心してよい家づくりが出来るのではと思っております。
ただ、相談と解説の部分、大まかなカテゴリーで(相談の窓口が分かれているように)くくられていると、より見やすく、読みやすくなると思います。
ともかくも、役立つページの一つです。今後ともご活躍ください。
アドバイザー 
樽 一弥 こんにちは 樽と申します。

>>義父の言っている事は本当に素人的な発想と片付けてよいもの
>> なのかという事です。

建物には古くから言われつづけているものがあります。家相などは典型的なもので、地方毎に伝えられたものもあります。
そして多くは生活の中から得た知恵であり、いくら設備や技術が発達しても伝えられた歴史には勝てないものです。
南東の風を受け危ないというのも、柱(昔なら大黒柱でしょうか?)が水気を嫌うというのも、理屈より経験則で仰られているもので、十分に説得力のあるものと思います。

また、完成度が高いというのは間取りだけでなく、様々なものを背負い込んで初めて完成度が高いと思いますし、予算と完成度は異なるものです。

説得するというよりも、理屈で推し進めることに疑問を感じますので、周囲の人も含めてより満足できるものをさらに検討して下さい。
氏原 毅士 氏原です

 私なら、という前提ですが設計打ち合わせの際は「現場での変更は工事費に直接間接の影響があるが設計時点では図面修正だけですよ」と話し合いながら進めていきます。

 また例えが悪いかもしれませんが、家相見のセンセイが無理な注文を出す事も稀ではありません。
 無視するなら家相見などに図面を届けなければ良いのにと思いながら設計変更・・言いなりではありません・・をすることもあります。

 要するに、気がかりな事を持ち越さずすぐに解決を図る事が大切と言う事です。
 素人判断?的な意見とは言え、信念を持って言われる意見には素直に耳を貸し、上手い解決法を探り、気持ちよく新築を祝ってもらえるようすべきかと思います。
 洗濯機の位置や、物干しを変更しても建築の価値には差はないと思います。
 建築設計とはそういった損な役回りの仕事です?。
 藤井 修 名古屋の藤井です。

建築は出来てしまうと工事費に影響しますからあまり大きな変更はできません。設計時点であれば変更は大丈夫です。
それに家族みんなが納得してこそ幸せな建築ができると思います。
特に住宅は理屈で計れない部分が多くあるものです。
お父様の意見を取り入れ設計の変更をするのが懸命のようです。 
関口 啓介  関口です。私も一言

私は岐阜ではあまり仕事をしたことがありませんが、名古屋では台風時の南東の風は最も注意すべき風です。渦の風向きと、進行方向が重なり加速度的に強くなる事もあると思います。
ただ、台風時以外の夏場の風も、南東方向が多いのは観測資料からも明らかです。
気候的条件を理解したうえで、そこにあえて造るのか、そこしかできないのか、他にも検討ができるのか、再考してもよいかとは思います。

建物中央の通し柱脇に洗濯機があるから注意せよとは、さすが年長者とも思えます。
全体の中でそこでしかありえないのであれば、技術的に湿気を回避する事もできると思われます。
素人の戯れ言で一蹴できない、重みを感じます。 
 コメンテーター 
大内 彰 手相や家相なども経験則的な要素が多いと思います。ですから、本人はその謂れを理解していようがいまいが(今回のケースは理解されている)その言に耳を傾け、それに従うという判断もあると思いますが。私は技術屋なのでその問題点を解決し、かつその不安を取り除くように安全率を通常の倍にするなどの配慮をして納得してもらうよう努力することを選ぶと思います。但し、それにはコストも掛かるのでそれに見合う建築空間が確保できる場合に限ります。

解説者の皆さんと共通している認識としては、本人は勿論のこと関係者の理解を得て進めることが望ましいということだと思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 風土環境を考慮し、なるべくそれに無理がない家にすることは大切なことです。
風土的な観点から指摘してくれる義父の意見も大切なファクターであります。
貴方の要望も重要なファクターでもあります。
これらが統一した案があれば見つける努力は必要だと思います。
しかし、折衷案で妥協してもつまらない家になります。
そこで第一に貴方の要望が入っているであろう現在のプランに対して義父がいう意見にどのように説明できるか?ということが設計者には問われております。
「素人的な発想」と切り捨てる前に、貴方が義父に説明するように、易しく説明をすべきだとは思われます。

「屋根が南東からの風をはらむ事になって危ない」という意見は力学的には根拠があります。
しかし、正確には「通常の建てかたより風圧が増す」ということであり、しかるに、構造的な配慮が重要になるということになります。筋交い等の耐力壁を適切に配置し、その風圧に対処する方法を力学的に検討する。これを設計者は貴方に説明すべきかと思います。
また、風による雨水の吹き上がりの可能性も事実です。それを考慮してサッシなどの漏水対策の根拠をしっかり説明すべきだと思います。

湿気については確かに義父の見解の通りですが、これも正確には通風のない場所での湿気は良くないということであります。風通しのよい場所か?雨などの時にも窓を開けられるように配慮されているか?窓を開けられな時はそれに変わる換気扇がついているか?給気口はあるか?などを考慮し、十分対応は可能と思います。

要約すると通常の建てかたよりも配慮を要する建物であり、その配慮された根拠を貴方達も理解していない。若しくは設計者が説明できていないというところだろうと思います。
設計者がこの点で具体的に構造的、雨水対策にどのような配慮をしているかを正確に確認してから義父に説明して納得してもらえたら良いと思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 この度は、樽様、氏原様、藤井様、関口様、大内様、荻原様とたくさんの皆様から、丁寧なご回答を頂き、ありがとうございました。
 このメールを送信した後、設計者と直接お会いして話をしました。
 
氏原様が「現場での変更は工事費に直接間接の影響があるが設計時点では図面修正だけですよ」とおっしゃった通り、設計者からは、時間さえかければ、図面修正は可能であること、現場が進んでいく上での変更は工事費に影響があるだけでなく、丁寧な仕事をしてくれる業者さんほど、変更に対する不安から、工事が進まなくなる事がある。という話がありました。

 施主である私たちのほうが諸事情でここ2.3ヶ月の内に施工業者と契約を結びたいという事があり、変更するための時間があまりありません。また、今の間取りは、家事動線を考慮して出来上がっているため、どこか直しが入ると、何かを諦めなければならないといった状況です。

 現在の設計は、構造計算ソフトで公庫仕様の30%増しほどの耐震性を持っていること、パッシブソーラーを取り入れたいという想いから、窓の位置、断熱方法等、検討した積み重ねの上に成り立っています。
そういった点でも、完成度の高い設計となっているのではないかと、私たちも考えています。

 物干し台に関しては、一階のサービスヤードに干すことも可能ですが、それには私が抵抗感を持っています。
今後、共働きになるであろうこと、極力、干し物がみえないようにしたい事、等の理由からですが、このことを義父に理解を示してはもらえませんでした。義父とは同居の予定はありませんし、これから生活していくのは私ですので、ここは極力譲りたくないというのが本心です。
また、家事動線から一番近い位置の物干し台ですので、場所を変えるのは目からうろこの新展開が無い限り、難しいと思います。

 計算では計れないようなことが台風の時には起こると言われるのを承知で、何とか物干し台を残す方向でいきたいとの想いから、また不安材料を残さない方がいいということで、物干しを強風のときに閉じる事の出来るような方法がないか、模索する事にしました。(例えば、雨戸を設ける等。)

> しかし、性格には「通常の建てかたより風圧が増す」ということであり、しかるに、構造
>的な配慮が重要になるということになります。筋交い等の耐力壁を適切に配置し、その風圧に
>対処する方法を力学的に検討する。これを設計者はあなた方に説明すべきかと思います。
>また、風による雨水の吹き上がりの可能性も事実です。それを考慮してサッシなどの漏水
>対策の根拠をしっかり説明すべきだと思います。

 萩原様のこのご指摘には、私達の理解不足があるとも考えられます。そうした説明はあったのですが、なにぶん素人ですので、数字を基にこれを第三者に説明する事ができません。
 根拠となる資料の提出を求め、私たちが説明を出来るよう理解を深めたいと思います。

また、洗濯機の位置に関しては、家の外に出すようにといった話もあったのですが、それは受け入れるのは困難ですし、今の位置より換気、通気が確保できるということで、脱衣所へ移す事にしました。
 
 今回、ご回答いただき、私たち自身、もっと図面に対して理解を深めていかなくてはと改めて思いました。
私たち自身がきちんと説明の出来るようにすることが先決と感じた次第です。配慮の必要のある建物であるという認識に建てた事は大きなものでした。
 義父の言った事も、そこに住んだ事の無い私にとっては、得がたいアドバイスですので、これからの設計変更がそれに答えたものになっている事を期待しているところです。
 周囲の理解を得ることで、施工業者さんにも気持ちよく仕事をしてもらいたい、家族皆で新築を心から喜べるものにしたいと思います。
 
 上記に書きました件で、補足のアドバイスがありましたら、幸いです。
 解決に至りましたら、またご連絡したいと思います。
 今後もなにかありましたらご相談させて頂くと存じます。その折には宜しくお願いいたします。

 ありがとうございました。
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