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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 0971 これは、設計ミスではと思うのですが・・・?

 相談概要 [氏名] SS
[相談内容:] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 群馬県佐波郡
[相談建物所在地] 群馬県佐波郡
[職業] 会社員
[年齢] 35
[男性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦 2004年12月  日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 112
[延べ面積坪] 34
[工事請負金額] 1550
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 地場中小ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 解らない。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 1
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 10
[床面積] 60m2以下
[施工者名] I.D.H.M.
[販売会社名] YK建物
[設計者名]
[監理者名]
 相談内容 [現象]
図面と壁厚が異なり10センチくらいの壁が、換気システムの都合で40センチになったり、風呂場に階段の上がりの部分が出てしまい壁が斜めにねっており見栄えが悪い。

[業者の見解]
壁厚は換気システムの太いジャバラのようなパイプを通す場所がそこしかないとの回答。階段は構造上しかたがないなどとあいまいな回答しかない。

[相談内容] これは、設計ミスではと思うのですが、自分の思ったようなものに直してもらえるのでしょうか。
 yorozuの感想 専門的なことは分からないので大変助かります。賃貸を出るとき も、家を立てるときも参考にさせていただきます。
アドバイザー 
星 裕之 解説員の星です。

木造住宅の場合、設備配管等は壁内で納まることが多いため、 設計段階では特別な配管スペース等は確保しないことが多いと感じます。壁内で納まらない場合は、現場にて収納等の見えない部分を少しふかして配管を行います。今回は寝室子供部屋等の目立つ場所に配管がきてしまったのでしょうか?

仕上げをする前の段階では充分訂正できたでしょうが、今となってはかなり大掛かりな工事になり、直した後の見栄えも良くないでしょう。機能上問題のない場所であるのならば、我慢されたほうが良いかと思います。

階段下部の壁については、建築関係者なら容易に想像がつく部分です。階段下のスペースを有効に利用しようとすると斜め天井になってしまいます。図面を提示の上打ち合わせしているのでしょうから、SSさんも了解しているだろうということで進めたのではないかと思います。設計ミスというより、SSさんの設計図読み取りが不足していたのではないかと思います。今からまっすぐにする事は不可能です。実は斜めの天井もうまくデザインすれば面白いものになります。どうしても気になるのであれば上手く装飾を施してもらえばよいのではないでしょうか。
久米 能子 久米と申します。

 星解説委員の述べられているように、問題とされているところの、今からの手直しはまず難しいでしょう。すっかり解決するようにやろうとすれば、あちこちにも影響が出て、もしかすると新築の家を半分リフォームするくらい、おおごとになるかもしれません。

 これを「設計ミス」と呼ぶかどうかは疑問です。このことによって部屋が機能しなくなったり、建物の構造や雨仕舞いに問題が出たり、あるいは、SSさんと入念な細かい打ち合わせをしていて、それなのに部屋の形が打ち合わせと違って変わってしまったりすれば、そのように指摘されることもあるかもしれません。

 けれども、ご相談の内容を伺う限り、SSさんの場合は、設計に若干検討が不足して見た目が悪くなったという程度のもの、あるいは業者の説明不足と考えます。でも、大変お気の毒ではありますが、それは致し方ない部分もあるように思えます。受け取られている設計図が一枚だけ、という状況や請負金額が比較的安価なことを考えると、はじめから入念な設計や打ち合わせ(説明)を求めることのできるような工事請負ではないように感じるからです。

 設備の配管はそのためのスペースをはじめからよく検討する必要があります、
階段と天井の取り合いもそうですが、そうしたきちんとした検討を求めるには、きちんとした設計監理を第三者の専門家が行う必要があります。そうでなければ、 一枚だけの図面を元に、細かい部分の納まりは、現場でその都度職人さんたちが考えてやっていくのですから、うっかり納まらないところが出てくるのは当然ともいえます。(設計事務所の設計監理ならば、一般的に図面は数十枚はあるはずです。)

 住まうことに大きな支障が無く、建物の構造にも問題がなければ、それらはそのままにされる方がよいのではと思います。
 コメンテーター 
大内 彰 私たちが普段設計している建物では細かなところまで検討し施主と打合せしながら進めていくのですが、SSさんの場合はそのような形態ではなかったために出来上がってからSSさんが「その事」に気付くということになったのだと思います。SSさんの期待と違った結果になったようですが、ある程度はしかたのないことのように思います。機能的に問題がなければ手直しは要求できないのではないのでしょうか。その家で愉しく生活されることを期待します。 (^_^)
 事務局から 
  荻原 幸雄 注文建築ということですが、設計監理料の支払いは要求されていないようですので、所謂サービス範囲での設計ということになっているのだと思います。

設計料は図面を作成し、その中には意匠、構造、設備などが設計されて図面化されますがこのようなものはほとんど存在しないのではないか?(図面5枚程度はあると思いますが)と思います。特に今回の場合は平面図、展開図、天井伏図、設備の換気配管図が作成してあれば、設計段階でこのようなことは事前に説明できることではあります。

今回の問題はこれらの図面が検討されていないという点にあり、「設計監理料0円では施工者もサービスの範囲ではこの程度は当たり前」と認識している筈ですが、このようなことがサービスでは起こりうるという説明がないことが問題ではあります。しかし、事前にこの説明をすることはほとんどありません。それは設計図面を作成すればするほど、証拠が残り安く上げることが出来なくなるからです。請負会社も本来なら図面を作成するのはやぶさかではないでしょう。しかし、工事費は必ずUPします。それは、規定された仕様、図面があるとその通り施工しなければならず、現場での「儲かるための調整」が出来なくなるために、事前に工事費に反映しないと儲けが出なくなるからです。

1)設計料が発生しない工事は「儲かるための調整」をして利益を確保する。
2)設計料が発生する工事は「見積もり時に利益を確定」しなければならない。
この違いが大きいことを理解してください。

今回は設計料0円→図面サービス範囲で少ない→発注者の意志は図面に反映されない→竣工したときに初めて問題に気がつく。

監理料0円→監理者に支払う賃金もでない。→図面も少なく監理もできない。→
問題点を把握し建築主に説明もできない。

以上を完全に履行するには設計監理料が必要であることを理解してください。
しかし、今回の問題は設計監理の重要性を請負者から知らせて欲しいとお思いになるでしょうが、請負者からこの重要性を説明することは無いでしょう。
ならば、事前にこの重要性に気がついて欲しかったと思います。

結論から申しますと、サービスの設計であった以上、建築主自らその問題を把握することを事前に認識することが大切であったことになります。通常はこれらのことを一般の方が認識することは不可能でしょう。そこで認識できた人は設計事務所に設計監理料を支払っても依頼に来ることになります。これをしない場合は自力で事前把握を勉強してするほかに今回の問題を回避できることはありません。

このような事前把握の注意が建築主にも必要になるという点から、把握できなかったことは残念であろうかと思います。
今回のは設計ミスではなく、設計がそもそも存在していなかった。と考えるべきです。

厳しい回答ですが、話し合いで解決するしか有りません。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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