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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 0967 外構が建築協定に違反したが・・・

 相談概要 [氏名] HO
[相談内容:] 近隣のトラブル
[居住住所] 兵庫県川西市
[相談建物所在地] 兵庫県川西市
[職業] 会社員
[年齢] 31
[男性] on
[構造] 鉄筋コンクリート造(壁式構造)
[引渡し年月日] 西暦 2004年10月1日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 52
[工事請負金額] 2700
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 大手ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 8
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 10
[床面積] 200m2以下
[施工者名] Pホーム
[販売会社名] Pホーム
[設計者名]
[監理者名]
 相談内容 [現象]
S不動産が分譲している分譲地を気に入り、P(ハウスメーカー)にて家を建築することとしたが、住宅貸付金の関係上、PがS不動産より当該土地を一旦買い取り、Pより土地を購入するとともに、建築請負契約を交わした。

当初は、外構まですべてPにお願いするつもりで、市への確認申請や、S不動産へ地区協定で定められた計画図面等を届け、承認を得て工事着工した。
その後、外構については、Pの提案がいまいちだったこともあり、Fという業者でお願いすることとなった。

現在、家の引渡しも終わり、外構工事もほとんど終えているが、隣人よりS不動産および自治会長へ、当方の前面道路部との境界に設置しているコンクリートブロックが、一部6段積まれており、2段までと定められた建築協定に違反していると通報があった。
外構業者がかわったことをPはS不動産へ届けていなかったため、S不動産はPへ隣人から通報があったことを連絡し、Pは外構工事をしていないことから当方へ連絡があったもの。

当該部分の工事は既に終えていることや、工法についてはきっちりと行われていることをS不動産が確認した後、当方としては、協定の違反は認めるが、全面を6段積みにしているのではなく、デザインの関係上一部を6段積みにしているだけであり、何とか現状維持でお願いさせていただきたい旨申し出たところ、S不動産も了解してくれ、隣人の方へ当方、P、S不動産でお許しを申し出た。

しかし、隣人は、工法等が問題なのではなく、協定を遵守しない姿勢が問題であるとの主張で、再度自治会長に申し出られ、自治会長から、今後の方向性についての聞き取りを受けた。
その中で、自治会としては住民の通報があった以上、放置するわけにはいかず、隣人を納得させるためにも、何時までに改修するかという返答を求められた。(心情的には同情してもらえるが、立場上やむを得ないという感じ)

[業者の見解]
P 土地売買の際に、外構工事をする際ブロックは何段までという詳細な説明はしていないが、協定書のコピーは渡している。改修されるかどうかは当方が判断することで、一切の責任はないと主張
F 建築協定があったことは知らなかった。そのような取り決めがあるのなら施主から申し出てもらわない限り把握できず、工事も終わっており責任はない

[相談内容]
1点目 
改修するには費用がかかるが、費用負担は当方が全額すべきものではないと考えてる。
Pには土地の売主として、説明不足であったことや、外構工事をFが行うことは知っており、家の基礎高等で現場監督とFが何度も打ち合わせし、外構図面も受け取っていたことから、注意すべきところをしていなかったという過失がある。

Fには、地元の大手外構業者であり、近隣の工事も行っていることから、プロとして、建築協定の確認等は当然行う必要性があり、それらを怠ったこと、および、施主に確認すら行わなかったこと、そもそもブロック6段積みはFが提案してきた内容であったことから過失がある。

当方は、施主として建築協定を確認しておくことを怠ったと言う過失があると、3者にそれぞれ過失があり、その割合に応じて改修費用を出すべきと考えますが、どうでしょうか。
ちなみに、Pへの支払いは登記費用のみ、Fへの支払いは、工事がまだ完全に終わっていない(本問題が解決するまで中断)ことから全く行っておりません。

なお、Fとは、工事についての契約書は交わしておりません。何度か交わすように申し出たのですが、「うちはそこまで細かくしてないから」と言われ、工事見積書だけで工事を開始してしまいました。

2点目
このまま放置していた場合、協定書によると裁判所へ判断が持ち込まれるようですが、強制撤去されたり、訴訟費用は全額当方が負担するようなことにはなり得る可能性があるのでしょうか。
当方としては、建築協定の趣旨は地区の景観を守ることにあり、要塞のごとくブロックで敷地を囲っているわけではなく、デザイン面で一部ブロックを高くしている部分があるのみであり、クローズ外構の周囲と比べてもオープン外構の当方が、景観を乱しているとは考えにくく、できればこのまま残置したいと考えています。 
 yorozuの感想 それぞれの専門家が、的確なアドバイスを出されており、行き詰った相談者が次の一手を考えるのに、非常に役に立つサイトと思います。
アドバイザー 
木津田 秀雄 相談員の木津田です。

 建築協定とは、その地区で決められた建築基準法に基づくルールです。
 6段積みの状況が分かりませんが、ルールに違反している以上、但し書きなどがない限り従う必要があります。各自が勝手に「これは景観を壊していない」と判断する余地はないと思います。定めらた条件の中で良い設計を行うのも技量のうちです。ルール自体が良いかどうかは、また別の話だと思います。

 これを機会に建築協定の内容の見直しを行うと言うような議論が起きれば、そもそも建築基準法が想定した建築協定の姿なのでしょうが、残念ながら そこまで市民社会が熟していないというのが実際のところかと思います。建築協定はS社が開発時に申請したものだと思いますが、本来は住民が自主的に行うものです。しかし既得権を放棄してまで街並や景観を考えられない人もいて、既存の住宅地ではほとんど成立していません。今回のような新興住宅 地において、街並の整備を強制するために作られているものが殆どです。
そのような経緯もあって、ルールの杓子定規な当てはめが行われているのかとも思います。

 施工者は建築協定を知らなかったとのことですが、新興住宅地において建築協定や分譲時のルールがあることは珍しくなく、知らなかったと言うよりそこまで厳密に適用されると考えなかった(HOさんが違和感を感じなかったのと同様に)のだと思います。
 近隣からの連絡が自治会にあったとのことですが、同じような形を拒まれたことがある方かもしれません。

 誰がどの程度の負担をするかは別ですが、HOさんが考えておられるように一定の負担割合で建築協定に合わせたデザインで再工事を行うべきかと思います。
山口 雅克 解説員の山口です。

 3者各々に過失があったと考えられていることは問題解決にむけて賢明なことだと思います。又、建築協定の主旨も充分に御理解いただいているものと思います。
 ただ、あくまでも地域の環境を維持して行くための決めごとですから、HOさんの現状が主旨に沿ったものだと考えられても、その内容は遵守して行かねばなりません。

相談の内容からは隣家などと比べて開放感があるようですので、今一度建築協定の中身を細かく読込んでみては如何でしょうか。記載されている文章だけが全てではありませんが、第三者の建築設計専業の人に見てもらうのもいいでしょう。

 ブロック6段以下の記載もどのような表現なのでしょうか。見通しのきかない塀を1.2m以下にすることなのか、ブロック自体がいけないのか、他の物であれば許されるのか検討をしてみてください。
 建築協定の主旨に沿ったデザインであれば他にも方法がありそうです。模索してみましょう。

 施工者のFに関しては、設計施工ですからプロとしての説明責任が生じますので過失の割合は多いのではないかと思いますが、よいアイデアで少ない費用でのやり替えを提案してもらいましょう。
 隣家とは長いおつき合いもありますので上手にクリアーしていかれることを望みます。
 本郷 成史 本郷です。

建築協定は守らなければならないと思います。

 工事着工まで、計画を現場に表示します。当地域の様に建築協定があるところでは、たぶん建築計画を表示していれば、地域の担当者がそれを見て、何らかのアクションを起こさなければならないと思います。しかし、今回はそれらがなされていなかったようです。確認申請提出前に、役所で調べれば建築協定があれば判ったと思います。確かに計画時に設計者と、地域の方々双方のミスと思います。しかし、これらを追求したところで、解決は難しい事と思います。これを許せば、今後これが標準となります。また、ブロックを3段以上積みたかったお宅もないとは限りません。残念ながら、今後決められた建築協定を遵守して、住み良い街づくりをするため、やり直しをせざるを得ないかと思います。費用の負担に関しては、法律家の意見を参考にせざるを得ないと思います。 
 コメンテーター 
清水 煬二 改修費用は、幸い支払いを済ませていないので、業者と話し合っていけば、HOさんがお考えのように全額を支払うことなく、一部負担程度で決着は付けられるでしょう。

2点目の強制撤去や訴訟費用を全額負担というのも、余程のことがない限りそこまでにはならないでしょう。

しかし、これからの近隣とのお付き合いやコミニケーションは毎日の快適な生活において、非常に大切な要素だと思います。
これらを含めて住まいというのがあるのではないでしょうか。

建築協定の文面に違反されているのは事実でありHOさんの過失でもあります。
現状のままで済ませたいということと、建築協定の内容の解釈と現状を比べての疑問があれば、近隣に納得して頂くためにHOさんがその解決に全力で動く必要があり、費用も時間も労力も惜しんでいては解決できないため、かなりの覚悟が必要でしょう。

3人の解説委員のコメントを参考にされ、問題解決となることを願っております。
 事務局から 
  荻原 幸雄 よろずでは何度も説明しておりますが、確認申請は建築主が提出する義務を負っています。しかし、現実は専門的知識がいりますので、委任状をもって代理人を選定してその業務を依頼することになります。
その依頼者はPです。

Pが提出した確認申請には当然、外構も記載されていたと思われます。
この部分は建築協定範囲の地域は検査機関もチェックします。
外構もこの時点では合法だったと思います。

しかし、その後P提案が気に入らなく、Fに依頼したのですから、Pとは工事請負契約上は外構は別途になったのですから工事そのものの責任はないと思われます。
しかし、確認申請を委任されたPは図面が変更されることを知っていたのですから、代理人としてはこれを守るべく、建築主に説明すべきだったと思われます。
Pの主張は協定書は建築主に渡しているということで、この責任は全うしていると考えているようです。
しかし、Pは確認申請の代理者ですから、外構の請負はなくなったけども、代理委託は存在しているのですから外構も合法にすべき義務が存在すると思われます。

Fに関しては心情的には「プロなのだから」と考えるかもしれませんが、法的な問題は別問題だと思います。結局「プロではなかった」わけですから、その業者を選択した貴方自身の問題ではあります。

結論としてPの監理者は図面が変更されることは理解しているのですから、そのことを建築主に確認する義務はあったと思われます。この説明義務としての過失はあったと思われるわけですが、ブロックの問題は建築主とF業者とで実行したのですから、建築主とFで解決するしかありません。

ブロックは撤去するしかないでしょう。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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