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一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0963 隣地の斜面が境界を越えてこちらに土が流れている

 相談概要 [氏名] I.Y
[相談内容:] 近隣のトラブル
[居住住所] 福島県郡山市
[相談建物所在地] 福島県郡山市
[職業] 会社員
[年齢] 37
[女性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦  2005年 4月予定
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 41
[工事請負金額] 2800
[設計監理料] 35
[様態] 注文建築
[施工者] 大手ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 解らない。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 多数(変更後とに)
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 10回以上
[床面積] 130m2以下
[施工者名] MH
[販売会社名] MH
[設計者名] K 設計
[監理者名] 不明
 相談内容 [現象]
現在、自宅を区画整理中の土地に新築中です。
北東の隣地とは50センチから100センチの高低差があります。
(隣地が高地です。)
今までは双方更地だったので、仮の境界杭があるのみで特別擁壁等はありません隣地の斜面が境界を越えてこちらに土が流れている形になってます。(隣地斜面の途中に境界があります。)

[業者の見解]
隣地境界については高地所有の人が土留めをするのが一般的だが、土地についてはMHにて購入、斡旋したものではないので、あくまで所有者同士の話し合いで決めてほしい。ということです。

[相談内容]
今回、私共が自宅を立てることになったので隣地との境界杭を隣地所有者立会いの元に入れてもらい、(12月5日予定)その後隣地所有者に擁壁を立ててもらうことに一度は合意してもらったのですが、急に話が変わり、家を建てるつもりもないし後に売るつもりの土地なので擁壁などは作るつも
りがなく、土が流れて迷惑ならそちらで土留め工事をすればいいと言われました。本来、一般常識では高地を所有のかたが土留め工事をする義務があると聞いたのですがこのような場合どう対処すればよいのか困っています。よろしくご回答のほどお願いいたします。 

なお、もし話がこじれてしまった場合どうすればいいのかも合わせてご回答いただければ幸いです。
 yorozuの感想 ほぼ順調に進んでいた自宅建築の話ですがにわかにトラブルになりそうになってWEBからこちらのHPを見つけました。自宅を建築するにも住宅性能表示制度を使い、しっかりした間違いのないものをと考えてきましたが、もっと早くにこのHPを知っていればよかったと思いました。内容がはっきり詳しく載っているのでこれからもちょくちょく見て参考にしたいと思います。
アドバイザー 
古賀 保彦 古賀です。

 地域にもよるのかもしれませんが、当方の在住エリアでは、境界塀は共同負担で建てるのが一般的な慣習です。ただし、先方が必要としない場合や話し合いがつかない場合には、必要とする側の敷地内に塀を建てる事も多いようですが、塀によってお互いに利益が得られるという状況では共同の考え方が妥当だと思います。
今回の件では、通常の平坦地に設置するような塀であれば、上記の考え方に沿って、相談者側で設置するという事でやむなしとすることもできるのでしょうけれど、それではうまくいかない問題の様です。

・高低差の問題
1mの段差がある場合は塀ではなく擁壁として扱い、上段側に浸透する水や上部に溜まる雨水の排水を計画しなければなりません。擁壁の上段側にも透水層を設ける等の工事も必要になりますので、それを必要とする側の敷地内のみで処理するには、境界線から離さないといけません。それでは、敷地の有効利用度も悪くなるでしょうし、一般の塀に比べて工事費も相当かかるでしょう。上段の方はいずれ売買するにしても、相談者側の擁壁を設けなくて済む分、売買価格に於いて利益を得る形になるのではないでしょうか?そのように、考えるとお互いの負担という形で交渉すべきだと思われます。

・区画整理中の問題
敷地が仮換地の状態であれば、境界付近で堅固な築造物は許可されない場合があります。区画整理事業が完了するまでは、敷地として完全に確定しない「仮」換地となっている訳で、その境界位置が若干変わる可能性もありますので。そのあたりは、土地の売買契約書や重要事項説明書に記載があると思いますのでご確認下さい。

また、区画整理事業組合で、塀・擁壁の取り扱いについてご相談下さい。上記の問題については、施工会社 (ハウスメーカー)に責任があるわけではありませんので、土地を購入された際の不動産仲介会社や、公募による場合は、区画整理事業組合を交えて交渉されるのが良いでしょう。
津村 泰夫 津村と申します

 一般的に区画整理をおこなった土地は、整地をして敷地境界も確定しているはずです。おそらくのり面にて整地したものとしているのではないでしょうか。 土地に高低差があり、下部の方を宅地とする場合で、上部の方が、たとえば宅地とする意志がなく、農地で農業を続けたい場合もあります。基本的には土地の改変は自分の土地内でおこなうのが原則で、このような場合は自分地内でよう壁を設置し宅地にします。隣地所有者は敷地境界線を越えての改変は許可しないことが多いのですが、よう壁工事の際に掘削のための余巾などが必要ですので、許可を得て掘削をおこない、復旧します。また境界杭なども一旦撤去し工事の後復旧します。 

よう壁は構造上一般的にL型になっており、上部の土地を下から掘削して施工するのが容易です。
底盤が上部敷地下部に埋設する構造となりますので上部の方が施工した方が良いという意見があります。この場合でも下部の方の工事協力が必要です。下部に家が建ってしまい、あとから上部側から工事をおこなうのは多額の費用がかかります。 ご相談の件は、のり面のどの付近に敷地境界線があるのかわかりませんが、隣地の方が近々宅地とされるのであれば折半で工事をおこなうという話を持ち出されても良いと思います。また隣地の方の態度が不明で、こちらによう壁を設置させようという疑いのあるが合いは、最低限のよう壁または側溝のみで対応するなど手だてを考えてみましょう。 隣地の方とはこれからも末永く付き合うことになりますので話をこじれさせることの無いように心がけましょう。
 コメンテーター 
堀住 勝雄  現在の隣地所有者が売却予定ということですが擁壁を先行して施工しても売却の時にその費用は回収できるのでは無いかと思います。そのような交渉はできませんでしょうか。区画整理組合に行って地域の状況を聞いてみて下さい。
 話し合いがこじれた場合は法律家の手を借りることになるかもしれません。
 事務局から 
  荻原 幸雄 法面が危険な状況にあれば高台の方が負担するべきものだと思いますが、今回は造成土地の法面なので、危険ということはなさそうです。

境界塀とするのか?擁壁なのかで扱いが違います。
段差に関係あります。塀ならば境界上に構築する場合は両者折半が妥当と思いますが、塀でも擁壁を兼ねたものは土圧を受ける分、高台の方が負担すべきと思います。何故なら、この擁壁なくしては隣地に迷惑がかかるからです。
下の方が擁壁を構築した場合、撤去するのも自由ですが、この場合は近隣よりも自分が被害を被るのですから、理屈があいません。

ただし、今回は近隣が建設することはないようですから、擁壁だけやることはないと判断したのかもしれませんね。
敷地が広い場合は花壇のようにレンガ程度を積んでおいて、植栽を設けることも考えられます。そんな感じで暫く対処できないでしょうか?
どうしてもという場合は植栽の囲いを兼ねたものとして考えたらどうでしょうか?
近隣問題はことを荒立てても難しい点もあります。
発想の転換で対処してみたら如何でしょうか?
相談者お礼状 
 相談者お礼状 お世話になります。
返信ありがとうございました。

各相談員の方のご意見、とても参考になりました。
隣地所有者が、いくら将来は売却すると言ってもやはりトラブルは気持ちのいいものではなく、かといってこちら側で擁壁を建てるという事に納得できずにいたのでご意見を参考に早速土地区画整理組合に相談に行きました。

隣地所有者に擁壁を今建ててもらい、売却時に回収することは出来ないか?等々提案しましたが断られ、結局隣地の方は折半と言う形でも擁壁を設けるつもりはない(売却予定の土地にお金はかけたくない)とのことだったので、区画整理組合の方で今回は隣地ののり面を下げてもらい境界の位置で高低差を無くしてもらい、こちらで応急処置的にコンパネを立てて土が流れてこないようにするということでやっと今日話し合いがつきました。
ただ、自然にのり面が崩れてコンパネが押されてくることは必至なので売却するなら早めにお願いしたと言うのが本音です。

何日も眠れず、わらをもつかむ気持ちで送信したメールに複数の専門家の方たちの分かりやすいご意見をいただき本当に助かりました。ありがとうございました。
 その後  
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