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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 0962 居室が納戸申請に変わったが・・・

 相談概要 [氏名] M.Y
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 愛知郡
[相談建物所在地] 愛知県日進市
[職業] 消防職員
[年齢] 42
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦 2004年12月初旬日
[公庫使用] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 143.25
[延べ面積坪] 43.33
[工事請負金額] 1950
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 中堅ハウスメーカー;S×L等
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 2
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 7
[施工者名] CH
[販売会社名] CH
[設計者名] 不明
[監理者名] 不明
 相談内容 [現象]
1 「居室(和室)」が 、無断で「納戸」として、確認 申請、検査終了

 北西側の8畳和室が確認申請書上は「納戸」として申請され検査を終了したことを引き渡し直前に現場監督より知らされた。設計事務所の計算ミスから和室の窓の面積が不足していたため、施主に連絡のないまま勝手に「納戸」として訂正され申請されていたとのこと。役所の検査員は、一見して通常の和室であるのを見て確認を取ったそうだが何とか検査は終了したとのことである。

 建物は、内装も含めてほぼ完成しており、窓面積を増やすとすれば、建物を壊すほかはない状態である。なお、社内的には「施主(私のことです。)に窓面積を増やすように説明したが、理解を得られなかったためこのようになった」として、設計担当から現場監督は説明を受けたそうである。なお、手元にある図面には、「和室」とあり「納戸」の表記はなく、またそのような説明を設計担当者から私が受けたことは一度もない。ちなみに問題の和室には、居室に必ず付いている「壁付き換気扇(VOC対策用)」が設置されている。

2 外構を造ると勝手口のドアが開放できない。

 建物西側にはRCの高さの2メートル擁壁があり、擁壁に沿って、擁壁上にアルミ製フェンス(ブロック積みあり)を外構として設置する予定であった。そのため、西側にある勝手口ドアを90度開放
できるよう、建物と擁壁間の通路幅を十分に確保し、勝手口ドアは90度開放できるように工事する旨を、図面に記入してもらっていたが、完成後チェックすると、開放されたドアが擁壁上まで届いて
いるため、フェンスを設置できない状態となっていた。ドアを90度まで開放できるようにするには、フェンスを造らずにおくか、フェンスを造ってドアが45度位した開かないのを我慢するかしかない状態である。

[業者の見解]
1 私に説明をしたとか(窓を増やすことに)納得が得られなかったと言っている。展示場の責任者(店長)は、ともかく調査をするので待ってほしいといっている。1週間たっているが、回答はまだない。

2 ともかく待ってほしいといわれており、具体的な回答は1週間たってもまだない。

[相談内容]
1 実際は、居室として使用する和室を、確認申請書上は納戸として検査まで受けているが、今後支障はないでしょうか。
なお、本建物は住宅金融公庫の融資を受けております。また、業者負担で窓を増やした場合でも申請書上は、納戸となったままですが問題ないでしょうか。また、業者、設計事務所との対応について、アドバイスがありましたらお願いいたします。

2 ほとんど完成された建物を、勝手口ドアが開放するように移動することは不可能です。業者に対して、どのように対応していったらよいでしょうか。担当者は、擁壁ぎりぎりにフェンス用の穴を開けて、フェンスを設置すれば良いと言っていますが、擁壁の強度上問題が生じるように思いますがいかがでしょうか。業者への対応方法等アドバイスをいただけたら幸いです。図面には、「勝手口ですが、現状ヨウ壁より内側に構造物を作らない限り、90度開閉に問題ありません。」と記入されています。よろしくお願いいたします。



 yorozuの感想 他の相談記事を拝見して、誠実かつ詳細に回答されていると感じました。これからもかんばってください。
アドバイザー 
山口 雅克 解説員の山口です。

 窓に関しては現状の窓で使い勝手や明るさで不満がありますか?
どうでしょう。特に問題がないとすればそのまま使って行くのが得策です。居室なのに納戸であるのは合点がいかないでしょうけれど・・・採光の計算に関しては緩和規定がありますが、その緩和を適用しても採光面積が不足したのでしょうか。再度検討してみて下さい。以外とOKなのかも。

 金融公庫や確認申請上の事で問題になることはないと思います。
売りに出される時には気にされる方もいらっしゃるかもしれませんが・・・ 勝手口のドアはあとどのくらいで90度近く開くようになるのでしょうか。フェンスを建てなければ希望する分だけ開くようですから、フェンスの形状を変えてみましょう。既製品のフェンスの柱は普通通りに建てて、その外側にネットを取り付けることができませんか。 既製品のままでは支障があるなら特注品にしましょうと言う考えです。現地の詳細が不明ですのでこの程度のアドバイスですが何とかできると思います。交渉してみて下さい。
関口 啓介 関口です。

1、居室を納戸として申請された件ですが、建築確認申請上の室名は、実際の使用用途を絶対的に制限すると言うものではありません。
また、公庫等の扱いについても問題はないでしょう。ただ、そのいきさつについて納得できないのはごもっともです。なぜ、採光面積が足りなかったのか、正直な説明を期待したいところです。説明が理解できて、暮らしの上で窓の面積に支障がなければ、現状では致し方ありません。また、法規上有効な採光開口が採れるのか、どうすれば可能なのか、窓を大きくしたところで無理な場合もあります。
また、壊してやり直したところで汚く、不釣合いな大きな窓ができる事も考えられます。

2、勝手口の開きの件ですが、まず、何故その距離が確保できなかったのでしょうか。建物位置(境界線からの距離)は、施工前に、確認されてますでしょうか。擁壁のフェンス支柱孔をずらすのは好ましくありません。真ん中に孔があっても、ひび割れが発生しやすい箇所ではあります。山口解説委員の言うように、支柱位置はそのままでフェンスだけをずらす事ができれば良いのですが。また、現 状のままフェンスを取り付けないでも生活に支障がなければ、付けずにと言うのもありえますが、2mの高低差では、危険です。監督員と外構工事屋さんと、知恵を絞ってクリアできる取り付け方法、製品を探してみて下さい。いずれも、現段階で容易に直せるものではありません。落ち度は施工者側にあるように読み取れますが、責めるばかりではなく、より良い解決方法や、提案を一緒に模索して下さい。
 コメンテーター 
堀住 勝雄 室名について、虚偽の確認申請を是認する訳ではありませんが残念ながらこのような申請は数多く行われています。M.Yさんのお立場上認めにくいかもしれませんね。現状で計算上どの程度の採光不足なのかを確かめて下さい。仮に1.9平米必要なところが1.88平米になっているという程度なら作り直しによるダメージを考えると是認されるほうが得策と思います。勝手口の問題も含め、不本意とは思いますが者業との妥協点を話し合いのうえ金銭的な補償で解決されるほうが良い場合もあります。
私達がこのHPで主張している詳細な図面と現場監理が欠かせないことの好例ですね。
 事務局から 
  荻原 幸雄 居室でも納戸申請をする方は多くいると思います。
マンションのチラシでも納戸やサービスルームとして販売しております。
(これは合法です。申請も販売も納戸やサービスルームとしておりますから)
通常は隣地境界より距離が足らないのが原因ですが・・・。
建築基準法では換気、採光、排煙など最低限の基準が定められておりますが、この最低限のことが、確保できなかったということです。

問題は建築主に採光などが最低限の確保ができなかったということを説明しなかったことです。原因としては単に申請が外注事務所でうっかり確保する窓面積にできなくて、申請上で指摘されてそのまま納戸に変更した可能性があります。もし、窓面積が構造的に大きくできるのであれば、変更することは可能です。しかし、関口解説委員の話にありましたが、変更はきれいにできなことも考えられますので、リスクもあります。

それを指摘しても『建築主の為にいいものを創る』という信念がないのですから「こんなものです。」といわれて不満が解決するとは限りません。
(職人がいい腕をもっている場合は職人がこの精神をもっているので、この場合はきれいに仕上がります。しかし、左官、塗装、サッシ、大工などの職人全員がこのような意識がなければならず、残念ながらこの偶然を求めるほど日本の職人制度の教育や賃金支払いはされていません。)

先ずは、何故、建築主に伝えづに納戸にしてしまったか?という不誠実な態度を説明してもらってください。その説明によっては変更してもらいましょう。

2については
これも何故このようになったか?という説明を求めることです。
設計ミスなのか?建物の配置を間違ったのか?敷地が狭かったのか?
設計ミスなのか?施工ミスなのか?です。

その上で、フェンスの変更で対応できるのか?開口部の形状変更で対応できるのか?
(親子のような形でできるか?引き戸では?など)
その後は配置の変更で対応できるか?(構造的な検討は必要です。)を検討して方向性を見出してください。

今回の問題の基本は『建築主の為にいいものを創る』という基本的な意識が低いことが原因です。これは残念ながら現在の建築業界のシステムではこの意識を高めるのは難しい環境にあるといえます。ですから多くがこの意識をもちません。
この意識の保持には建築主、設計、監理、管理、職人の全ての意識が全て揃わないといけません。

建築主は『建築主の為にいいものを創る』という意識は自分のためですからほっといても持ちます。建築主の責任は『街の為にいいものを創る』という意識が大切です。
設計者は『建築主の為にいいものを創る』という意識を一番感じる立場であるべきです。
このためには建築主と意志の疎通が大切です。
監理は管理(現場監督)に図面の意味を説明し、建築主の要望を現場に反映、確認することが大切な仕事になります。
監督(管理)は監理者の説明によりその意志を職人に伝える役目です。
これも大変重要な役目なのです。
職人はこれらの指示のもと、単にこなすことなく、いい腕を見せる環境を与えることです。
職人が建物を造ります。建築主の意識が職人を動かす。この流れが機能して
『街にとって建築主とって初めていい建築が創れる』ということになります。

解決策はこの意識が高ければ見つかると思いますので、がんばってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 アドバイスを頂きました、M.Yです。
お忙しい中をご丁寧なご回答、本当にありがとうございました。

本日、ハウスメーカーより代替案の提示がありました。
和室に350×1200の飾り窓を2個追加、勝手口を5センチ中に入れるとのことです。
先生方のアドバイスを参考に一度折衝してみます。

なお、今回のミスは、設計担当職員のミス(配置寸法の訂正忘れ)とごまかし(和室窓面積が不足しているのは、確認申請書提出前に気づいていたが、当方に伝えることができず、納戸のまま提出するよう、設計士に指示していたそうです。)

展示場責任者の店長と現場監督は、平謝りに謝って、代替案は誠意を持って施工する旨を当方に伝えておりますが、当事者の設計担当者は反省の色ひとつなく当方への謝罪もありません。会社の体質も相当問題(この職員は、他の客とも何度もトラブルを起こしているとのこと。)ですが、設計担当の替わりがおらず、店長としては、どうしようもないとのことのようです。

私も妻も、店長及び現場監督については、人柄も誠実で大変気に入っており、あまり、本件を大げさにして、この二人に被害が及ぶことも望んでいません。また、せっかく完成した家を壊すのも心理的にいいものではありません。

そこで、先生方のアドバイスのとおり、和室については、建物を壊すことなく、他の部分で補償してもらうこと(日当たりはそんなに悪くありません。窓不足分はわずかでありました。)、勝手口については、フェンスの施工で工夫する方向にしたいと考えております。

先生方のご回答のおかげで、方向性がはっきりしました。結果がでましたら、後日報告させていただきます。

ありがとうございました。
 その後  建築よろず相談室 解説者、コメンテーター、相談員の皆様

以前、相談を差し上げ、アドバイスを頂きました、愛知県のM.Yと申します。
業者との話し合いが終了し、対応が完了いたしましたので、大変遅くなりましたがご報告させていただきます。

1 納戸と申請されていた北西側和室について

 (1) 原因
    隣地との北側空地距離を変更したため、窓面積の不足が生じ、和室が納戸になってしまうのに、当初は気づかなかった。その後の下請け設計事務所の指摘により確認申請前に設計担当者は認識していたが、施主(私のことです。)に告げると叱られると思い(!)そのまま申請するよう設計事務所に指示していた。
店長及び現場監督は、確認申請書の返却後、この変更に気づき、設計担当者を問いただしたが、「施主への説明、了解済み」との設計担当の回答に納得していた。

 (2) 業者の回答(対応)
   本来あってはならないことで、非は全面的に業者にあるとの回答。窓面積を増加するため、改修プランをいくつか提示。工事は大工、現場監督等当家の建築に携わった業者で行い、強度計算等については、設計事務所が施主(私)が納得するまで何度でも行うとのこと。窓面積の不足は、約0.2平方メートルであり、実際上はほとんど影響がなかった。
 意匠上の希望については、当方の指示にしたがうとのこと。
 また、別途店長、設計担当者がお詫びと説明に来るとのこと。

(3) 結論
  私も妻も完成した家を壊すのは精神的に苦痛であるので、代替として倉庫を造ってもらうことにしました。当初は、当家を作った大工さんが2日間ほどで木製、家と同柄のサイディング張りのものを製作するとのことでしたが、当方はそこまで大げさな倉庫を望んでいませんし、市販のアルミ製のものの方がメンテもいらないため、6万円ほど(これ以上のものは設置面積の関係で大きさ的に無理)のアルミ製倉庫を設置してもらうことにしました。

2 外構を造ると勝手口のドアが開放できない。

(1) 原因
   これも、設計の図面訂正忘れが原因ですが、基礎工事前の現地合わせのとき、設計担当は欠席で、現場監督とのみ調整しました。擁壁、勝手口間の寸法について、再度念を押したのですが、設計担当は現場監督に「図面どおりで問題なし」と回答していました。
 現場監督も勝手口ドアと間隔の確認をすれば、基礎工事前に訂正、修正も可能であったと思われます。

(2) 業者の回答(対応)
   これも、業者に全面的に非があることを認め、勝手口を5センチほど内側に入れる工事をするとのことです。当然、壁を壊すことになるわけですが、意匠上の希望やその他の工事についての希望は全面的に聞いてくれるとのこと。

(3) 結論
  これも、和室の窓と一緒で、完成した家を壊すのはいやだったので、外構業者を呼んで、勝手口ドアがあくようにフェンスを設置できないかを検討させました。通常のブロックを擁壁の一番外側に積み、その上に特定メーカーのフェンスを立てれば勝手口を90度開放しても、4センチの余裕があるとのこと。
 この西側フェンス設置費用を業者が負担することとなりました。(25万円位)

 結果は、以上です。
 先生方に相談したおかげで、一番ベターと思われる対処方法を見つけることができました。本当にありがとうございました。

 今回の一件で、このホームメーカーへの信頼は全くなくなりました。この設計担当者は、以前と変わらずこの営業所で仕事をしております。
 お詫びにくることは当方が断わりました。なぜなら、こんな問題を起こしておきながら、当人はあまり事態の重要さを認識していないようで、こんな担当者と会ってもまた不快になるだけだと思ったからです。低価格のホームメーカーでしたが、工事そのものはかなり満足のいくものでしたが、やはり人材不足は否めず、この設計担当者が退社してしまうと、愛知県東部の設計は担当者不在になってしまうため、解雇もできないとのことでした。

 このような信じられない回答をもらうたびに、妻と二人あきれていたのですが、それが低コストの要素の一つだと思って、妻ともどもあきらめました。家そのものは、良い(と思われる)のですから。

最後になりましたが、相談室でご回答いただいた先生方のご健康とますますのご多幸を心より祈念いたしております。
本当にありがとうございました。
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