相談概要 | [氏名] S.S [相談内容:] その他 [居住住所] 東京都墨田区 [相談建物所在地] 東京都渋谷区 [職業] 会社員 [年齢] 41 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦 2004年 12月 31日 [公庫使用] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 120 [延べ面積坪] [工事請負金額] 本体2660万円 (税抜き、この他にキッチン、床暖房、その他追加工事で見込みとして652万円程度) [設計監理料] 上記本体工事に別途工事総額の15%(総額が3000万円以上3500万円内の場合) [様態] 注文建築 [施工者] 大工(工務店) [設計者を選んだのは] 自分で選んだ。 [監理者を選んだのは] 自分で選んだ。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。 [確認申請の為の委任しましたか?] した。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] 無い。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 58 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 15回程度 [床面積] 120m2以下 [施工者名] K工務店 [販売会社名] 注文住宅のためなし [設計者名] F工房 [監理者名]F工房 |
相談内容 | [現象] 2003年8月9日 建築家F工房と「設計監理委託契約」を結ぶ。 設計期間は2003年8月9日から2004年1月末 監理期間は2004年2月1日から2004年7月末日という内容。 設計料は「工事費(新築)に対する設計料率 2000万円 18% 3000万円以上 15% 3500万円以上 14.5% 4000万円以上 14.0%(以後1億円以上の8%まで) 同時に第1回目の打ち合わせ。予算3100万円(本体、設計料、床暖房、キッチン、空調込み)を伝え、家に対する希望を紙にして伝える。 2003年9月1日 建築のための土地(借地ー旧法借地権)購入、毎月の地代は固定資産税の3倍。購入前の土地は事務所が建っており、住宅用ではなかったため住宅用のおよそ3倍。結果として地代は毎月8万円ほど。 この月から地主であるU寺に払い込む。 2003年10月4日 第1プラン提示、その後何回かの打ち合わせの後別プランの提示を求める事になる。 2004年1月 第2プラン提示。木造2階建て、一部1階が駐車スペースになっている部分のみ重量鉄骨。 基本的な構造は「ガラス張り」。断熱材をサンドイッチにしたような構造のシナベニアの壁面にも外側はガラス(厚さ6.8ミリ、網入り単板)を入れるというプラン。窓のサッシガラスも単板ガラス。内側に障子、もしくは外側にスレートで作った雨戸をいれることで断熱性能を発揮させるという設計家の考え。 結露や断熱性能について質問すると、空気の厚みもあるので「大丈夫」との答え。この答えを信頼することにした。 2004年4月頃 K工務店からの概算見積もり(本体のみ)3700万円。金融公庫の構造項目「準耐火」を「木造(耐久性)」に変更、鉄骨材の高騰からなるべく鉄骨を使わない(ラセン階段など)のべ床面積を縮小(-15平方メートル)をして再度見積もりを出すことに。 2004年5月頃 K工務店から2回目概算見積もり、2790万円 2004年6月12日 K工務店と「工事請負契約」を締結。 2004年7月14日 本体工事最終見積もり(2660万円、税別) 2004月7月15日 着工 2004年9月4日 床暖房について設計家推薦の(株)N(蓄熱電気式)と契約。当初50万円から80万円と設計家がいっていた床暖房だが、Nの担当者の計算により蓄熱体増やす必要があるとのことで結局110万円となる。 2004年9月12日 上棟式 2004年9月24日 K工務店より床暖房の設置のための根太工事などに14万7千円(さらに別途捨て張り代かかる(見積もり未定))という見積もりが設計家経由ででてくる。 2004年11月5日 金融公庫中間検査 本体工事に入らない別途工事としてはキッチン、床暖房、空調、家具工事(大工工事は込み)、照明、空調工事旨の説明は設計契約時からあったが、設計料を算定する「工事費」 の中身については詳しい説明がその時はなく、その後2004年6月頃、私たちの質問に対して別途工事についてもかかる(キッチンは他のオリジナルキッチンメーカー(S社)に、また床暖房は専業メーカーである株式会社Nから納品してもらうことになっていたが、それぞれの業者との打ち合わせがあるため、キッチン、床暖房についても設計料を算定する「工事費」に含まれる旨説明があった。その時にはそんなものなのかと説明を受けた後、異議を唱えることをしなかった。 2004年9月下旬 F工房により電話 構造計算費用25万円を既に払って頂いているが、設計変更にともなって再度計算しなおしたため構造計算をお願いした会社より(実名知らず)再度の請求20万円があった。全額は難しいと思うので半額の10万円を払ってほしいとの話。一応了承。しかし個別10万円の請求書はでないとのこと。不服ながら10万円振り込み。 2004年10月14日頃 こちらからF工房へ電話連絡、すると向こうから新たな追加工事ついて相談受ける。「壁をガラスで覆っている部分の中で、北面と西面の壁面については、やはり結露の心配があるので、ペアガラスを入れるように工事を変更したいので、見積もりをとらせてもらいたい」とのこと。基本的な部分での大きな変更に驚くも、見積もりをとることは了承。 2004年10月31日 打ち合わせ。建築家Fの助手であるIさんが主に家具工事について打ち合わせ。建築家F自身はいるものの、打合せの部屋には現れず。ペアガラスの追加工事について概算費用を尋ねるが50万から100万ぐらいかもしれないし、とにかく見積もりがでないと分からないとのこと。 2004年11月10日 メールにて再度ペアガラスの見積もりについて質問。 2004年11月12日 返事未だなし。 [業者の見解] 設計料の算定に設計家が直接設計しているわけではないキッチンや床暖房など設備にもかかるのは、各業者との打ち合わせがあるためであるとの説明があった。 壁面のガラスをペアガラスにする事については最初に電話での説明があっただけ。その際は、内側のガラス面に結露の心配があるとのこと。 特に心配な2階LDKの北面と西面をペアガラスにしたいとの説明であった。その後、メールで詳しい理由を聞くが、まだ返事がない状態です。 [相談内容] 質問1 当初2004年7月中の入居と3100万円(設計料、その他キッチン、床暖房などの別途工事含む)の条件でも住宅建築は可能とのことだったので(口頭だけですが)、設計監理契約を行ったのですが、少なくとも6ヶ月は遅れそうです。12月までに入居しないと来年4月以降も1年間地代を毎月8万1000円ほど払い続けなくてはなりません。(固定資産税の評価替えは毎年1月1日現在です) 万が一、12月末までに工事終わらない場合、工務店との間では、書類上引き渡しを行っても良いとの口約束をしましたが、法律上そうしたことは可能でしょうか。融資は金融公庫と会社の共済会(資金源はM銀行)です。また、万が一建設が遅れた場合、工務店との契約書(住宅金融公庫監修の契約書)の中では違約金の欄を空欄のままに契約してしまっています。また建築家との契約書のなかには期間はめいじしていますが、「期間内に完了するように最善の努力をする」としか書いておらず、罰則規定がありません。 これから、12月末までに工事が終わらなかったときの、取り決めを設計家、工務店と相談できる余地はないでしょうか。 また工事の遅れに伴う金銭的な支出(現在の家賃ー11万5千円と来年4月からの家賃超過分およそ67万円分)について、設計家と工務店に相談する余地はありませんでしょうか? 質問2 設計家が設計を担当していないキッチンや床暖房、オーディオ配線も規定の15パーセントの設計料を払わなくてはなりませんでしょうか。きちんと最初にその部分を質問していなかったのもいけないかと思っていますが、どうでしょうか。 質問3 壁面のガラスのペアガラス追加工事ついて、は設計家の良心ともいえるのですが、この時期になってからということもあり、住宅設計の基本的な配慮不足からだと思っているのですが、この費用を設計家に全額、または半額負担していただくよう相談するのはおかしいでしょうか。工事費用の一部でも負担が難しい場合、せめて設計料の算定からははずしてもらいたいと交渉したいのですが、どうでしょうか? |
yorozuの感想 | こうしたホームページがあるのは大変ありがたい。どうしても情報が不足しがちな建て主にとって、救いとなります。 |
アドバイザー | |
樽 一弥 | 樽解説委員 > [相談内容] 質問1 ・書類上での引渡し−引渡し自体は法律に左右されません。 屋根・壁等が出来上がっているならば形式上、可能と思われます。 ・金銭的な負担を求める−契約内で明示していない以上、法律上は難しいです。 相談されるのは自由ですが、受け入れてくれないのが普通だと思って下さい。 > 質問2 設計家が設計を担当していないというのと、関与していないというのでは全 く意味が異なります。例えば、既製品などはその設計を担当していません。 増加の多寡は分かりませんが、関与(監理)する業務が増加したのであれば 必要でしょう。 > 質問3 壁面のガラスのペアガラス追加工事ついて、は設計家の良心ともいえるので すが、この時期になってからということもあり、住宅設計の基本的な配慮不 足からだと思っているのですが、この費用を設計家に全額、または半額負担 していただくよう相談するのはおかしいでしょうか。 おかしいです。 あたなの住む住宅の性能を上げる為の費用です。本末転倒では。 仮に当初から含まれていれば100%支払い、途中からだと100%ではないとい うのは理屈に合いません。 逆バージョンは、120%出すので・・どうしても・・・というものでよくあります。 施主が希望すると追加で、業者がいうと能力不足により負担をというのは あなたが選んだ建築家の方も間尺に合わないでしょう。 途中からでも、問題に気づいてくれたと考えたらどうでしょう。 (不足を素直に認めるというのも建築家の資質の一つでしょう) この際という訳じゃないですが、一生の住まいですから、目先に囚われず、 鷹揚にしっかり建てられる環境を創って下さい。いい勉強をされました。 |
久米 能子 | 久米と申します。 ご相談を拝見すると、工事が遅れただけでなく、設計期間も予定よりながくなったようですね。 その遅れの原因がどこにあるのかはわかりませんが、率直なところを設計事務所に一刻も早くご相談されてはいかがかと思います。 工事の遅れによる地代の負担増については、それを少しでも軽くするために設計監理料については設計事務所に、また、工務店にも一部負担を相談してみても良いかと私は思います。 契約書に記載が漏れたことで、断られる可能性は十分にありますが、肝心なのは、まず相手と膝を割って話をすることです。特に設計事務所はあなたの代わりに工事監理を引き受けている相手です。そのような相手とは、契約書という書類でつながる以前に、信頼関係でつながっていなくてはなりません。正直な気持ちを話すことが臆されるような相手ではこれからも大変でしょう。 ただ、樽解説委員が述べているように、工事費用(ペアガラス)の負担を設計事務所に求めるのは筋が違うと思います。予算が合わないのならば、負担を求めるのではなく、建物の仕様を変更するべきでしょう。 また、工務店には今後の工期を再度検討してもらい、12月末までに竣工する工程表がかけるかどうか確認しましょう。 竣工をまたずして引き渡しを受けることは事実上は無理だとおもいます。(手直し工事が残っている程度ならばできると思いますが。) 引き渡しをしなくても、一部を「仮使用」させてもらう、ということはできますが、建物は依然工務店のものですし、いろいろとややこしい問題も発生しやすいので、けじめのつかない半端なことはおすすめできません。 それよりも、12月末までに引っ越し(引き渡し)ができない場合の遅延金について、はっきりと改めて取り決め、書面を交わしてください。契約書について不明があれば、その点もこれからでも明確にしましょう。 設計事務所の設計監理料の決め方についてですが、それには一応のガイドラインは昭和54年に当時の建設省告示及び住宅局長通達というものがあります。しかし、明確に規定されたものではないので、現実には設計事務所で各々のやりかたを取っている状態のようです。 きちんと見積もりをあげる事務所もあれば、説明を簡単にしかしないところもあるということです。 設計監理料に対して設計事務所の説明が不足したのならば問題ですが、その見積もりや契約について、事前にきちんと確認をされなかった責任はご自身にもあるとお考えください。追加の構造計算費用に対しても、請求書もでない(領収証もでないのでしょうか?)というのはずいぶんおかしな話ですが、それをそのまま了承されたのもまた、大変におかしな話であると思います。それほどまでに、その建築家を信頼されていたと言うことでしょうか。 その信頼が継続できますか? ご自身でもお気づきのように、信頼関係を構築し直す必要があるように思います。 そのためにはとにかく、まず直接、話し合いです。 |
コメンテーター | |
藤井 修 | 請負契約書に工事期間が記入されていれば、工期が守られない場合、理由によっては契約違反なので賠償の対象になりえます。また支給品までも設計監理料の対象になるかどうかは久米解説員の言うように事務所により判断が違いますから良く話し合って取り決めるより方法はなさそうです。 ペアガラスについて、、建物の為により良い方法を提案するのは設計者として当然のことで追加分は施主負担となります。いずれにせよ工期や工事費については工事関係者とよく話し合ってやりくりするしかないようです。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 設計終了予定が2004年1月末ですが、この時期に第二プランが提出されているようですね。 当然、この時点で終了しないことは了承されているものと理解します。 プランは設計者が期限があるからと勝手に進めることはできないもので、プランを進めながらクライアントに了承されるまで続けることになります。 2004年4月頃には設計は終了しているようですが、1月末に拘るならばその旨を告げ、予定が過ぎた場合は解約する旨を伝えるべきでした。 当然、クライアントの細部の承認も迅速を要します。 しかし、このような状況ですと現実はクライアントも理解しないまま了承し、後で後悔することも考えられますから、お互いの意志の疎通は大切です。 工事途中で設計期間の話をするのはおかしなことです。 設計終了予定が2004年1月末には終わらなかったという事実は知ったのですからその時点で両者の話し合いで方向性を見出すべきでした。 工事の工期の延長の場合は遅延金の条項があると思います。無ければ民法の規定に従います。 ただし、設計変更の延長は認められません。また、設計変更はクライアントの同意なくしては行えませんので通常は認められないと思います。設計者の責に帰すものはこの限りではありませんが・・。今回はこれに該当するかは微妙だと思われます。 質問2については 設計料の算出は単に工事費の%で決めている方と、私のように図面作成枚数、工事監理回数、見積精査、もろもろの内容を記載し、枚数や日数に人件費、技術料、経費を足してその明細を提出します。そして、それが予定工事費の%になることを示しております。 今回の場合は根拠の明細はないものとお察ししますが、%の場合は今回の疑問を持つ方も多く、キッチンが既製品ならばなお更ですね。150万のシステムキッチンを15%なら22.5万円が追加の設計監理料は確かに納得しづらいことですね。 ただ、これを設置する場合、設計ではこれと関係する廻りの仕上げや収納などの収まりの検討をするための図面は作成しますし、工事監理には給排水、ガスなどの設備の位置確認既製品の品質の点検などもします。ですからこの点も踏まえて話し合いで解決してください。 質問3の場合 そもそも設計段階のクライアントの質問に「空気の厚みもあるので「大丈夫」」と設計者は説明したとのことから納得できないというのは理解できます。 工事費負担は論外であると感じますが、設計料算定から全てを外すことは、熟考して必要と判断した場合の提案ですから、それを考慮して、算定を半額にしてもらうことで交渉されたらいかがでしょうか? これも話し合いになろうかと思います。 いい家にするのには設計監理者も最後まで建築を愛する気持ちがかかせません。 陶芸を創るのに少しずつ粘土の形を調整し、また、置いて眺め、また、調整する。 この繰り返して同じ茶碗でも全く違う茶碗になります。茶碗の場合は焼いて失敗したと思ったら壊して新しくチャレンジできますが、建築は高額でそんなことはできません。 それゆえに設計監理者は神経過敏になるほどの神経をすり減らして悩みます。 試行錯誤を繰り返してやっといいものができるのです。 そのエネルギーが無くなると、その家には魂が入りません。ただの家になります。 そのテンションを維持するためには設計者もクライアントも努力が必要です。 そんな素敵な家にするために前向きな調整をしてください。 よりよい家になることを祈ります。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | 早速のご丁寧な回答、まことにありがとうございます。 それぞれ、お忙しい中で、ご回答をいただいた事を考えると感謝でいっぱいです。 率直なご意見と回答で、少し自分を取り戻すことができました。 皆さんのご意見を伺いながら、冷静に振り返えると、自分たちとして 至らないところや、反省する点もあるかと考えています。 今回の件は、おぎわらさんの次の言葉に集約されていると感じました。 >そのエネルギーが無くなると、その家には魂が入りません。ただの家になります。 >そのテンションを維持するためには設計者もクライアントも努力が必要です。 早速、建築家の方と話し合いの時間を持つことにいたしました。 素直な気持ちで、また前向きな考えで相談をしてきたいと思います。 この件については、竣工後、経過を含めてご報告させていただきたいと考えています。 |
その後 |
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