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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No. 0957 施主支給の場合、引くのは定価か?仕入れ値か?

 相談概要 [氏名] I.S
[相談内容:] その他
[居住住所] 神奈川県座間市
[相談建物所在地] 神奈川県相模原市
[職業] 会社員
[年齢] 45
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦  2005 1 年 末 月  日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 111
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 1600
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] リフォーム会社
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 2
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 5
[床面積] 110m2以下
[施工者名] S
[販売会社名] 同上
[設計者名] MT
[監理者名] KT
 相談内容 [現象]
少しで費用を削り引越し費用や引越し後の諸費用に当てようと考え、システムバス、トイレ、キッチン、洗面台、玄関ドア等の施主支給をしようと思い、建築業者に「こちらから支給しますので、定価分を建築価格から引いてください」と申し出たところ、「引くのはかまわないが定価では無く仕入れ値(卸価格)で引くこととなる」と言われました。

住宅の価格は材料定価と施工価格で請求されているものであり、施主支給の時は仕入れ価格で引くというのはおかしいのでは無いかと思います。もし、そうであるならば、施工価格以外の材料全てを支給しても、その支給された全材料の仕入れ価格(卸価格)との差額を建築業者は何も材料費がかからずして手に入れるという不条理が発生してしまいます。

[業者の見解]
50万円のシステムバスならば、当社は0.5掛程度で仕入れている。それなので、施主支給されても25万円しか差し引くことはできな無い。

[相談内容]
一般に施主支給の場合、建築価格から差し引かれる金額は定価なのでしょうか?それとも、その業者が仕入れる仕入れ価格なのでしょうか?
住宅の価格は仕入れ値に利益(施工費は別)を上乗せして建物の価格にしているのであり施主支給の際、定価では無く、仕入れ価格(卸価格)を差し引くというのはおかしいのではないでしょうか?
 yorozuの感想 いろいろなケースがあり参考になります。
アドバイザー 
星 裕之 星解説委員

見積書が材料定価+施工費で作成されていたのでしょうか?それであるならI.Sさんの「住宅の価格は材料定価と施工価格で請求されているものであり、施主支 給の時は仕入れ価格で引くというのはおかしいのでは無いかと思います」という主張にも一理あります。

もっと身近な例を考えてみましょう。カー用品スキー用 品などの技術を要する店では、製品持持込で取り付けの場合、取付けを拒否されたり、店頭に掲示されている取付料が割増になるのが一般的ではないかと思います。建築だって同じではないですか?モノを販売する際にはマージンを載せますし、取り付けの技術料も別途で見ます。更には施工不良のリスクも価格に付加されるでしょう。施主支給にする場合、製品が不良品であった場合の責任の所在、取り付け時・取り付け後のリスク・施工手配を考慮すると拒否されても仕方のないところです。工務店入値(卸値)程度を値引する形で落ち着くならかなり良心的な部類に入ると思いますが・・・。
清水 煬二 清水解説委員

値段の高い商品を支給にして金額を抑えるということは良い方法でもあり、内容により私も行いますが、責任の所在などでトラブルこともあり、高額な商品であればあるほど実施には注意が必要です。

今回の場合は、業者のもともとの見積が定価プラス工事金額という内容になっているのでしょうか?通常は、既製品の場合は値引きがあり、そこに工事費を加算して見積額になっているというのが普通です。既製品を定価で請求というのは、特殊なメーカーや商品でなければあまりないことだと思います。

例えば、ユニットバスなどの定価が100万円だったとしましょう。
これを40%値引きして工事費として30万円加算して、工事費込みでも定価より安い90万円で見積もりが入っているなどということは珍しくありません。

このケースでは、定価の100万円を引くと、業者は工事を無料で行い、さらにISさんに10万円差し上げることになってしまいます。

ですから、見積もりがどうなっているかによりますが、定価を引けというのは、値引きされている場合は、一般的にはおかしいということになります。

さらに商品代金の見積額が60万円なら60万円を差し引いてもらえば良いわけですが、これは業者によって対応は変わると思います。支給を拒否する業者もあれば、管理費や経費を要求する業者がいてその金額も業者によって異なるのが実情です。

支給品や分離工事に関しては、私が設計監理をしていても、本体業者には僅かですが、手数料を支払うようにしています。
理由は、工事手配、図面等による指示、メーカーや職人との打ち合わせ、現場管理などの手間はもちろん、工事中や引渡し後の責任などがあるからです。

業者が仕入れ値を引くというのは、もともとの原価の部分ですから、理屈としてはおかしいことを言っているのではありません。50万円で仕入れたものを60万円で請求しておいて、支給したら50万円しか値引きしない、10万円を工務店が何もしなくても儲けることになるではないか、とお考えですね。

ですが、100万円のシステムキッチンが工事中に傷が付くこともありますし、工事に関して手配もして受け渡しまで責任を負うわけです。実際に余分に仕事が発生しているわけですから、その経費分と仕事に対する利益の上乗せは、金額の大小は別にして理屈は合っています。

分かりやすい例で簡素化しますと、キッチン工事があったとして、工事としては給排水の工事代金が20万円だけだったとします。
システムキッチンの定価は、豪華なもので500万円だとします。
見積は、商品を30%値引きして商品込みの見積代金が370万円だとしましょう。業者は商品代金でも利益を得ているからこの工事を行いたいと思います。これをシステムキッチンを支給するから20万でやってくれと言われたら、工務店は受けるでしょうか?

20万円で工事を請負、僅かな利益から500万円の商品についての工事打ち合わせや手配、管理、責任を負うわけです。
諸経費や仮説工事を別に計上している見積もりも多いので、ここまで単純化できないこともありますが、分かりやすく言えばこのようになります。

施主支給するなら370万円の見積から業者の仕入れ額270万円を引いて、100万円なら行いますというのは、正しいと断定はしませんが、おかしいとは言えません。これは、どこまで値引きするか話し合いと交渉で決まることです。両者が納得するか、納得できない金額なら、他の業者からも見積をとって比較すれば良いでしょう。
業者によっては、「支給品は大いに結構」という業者もいて、っと大幅に安くしてくれる場合もあります。

工事そのものがなくなるのであれば、見積からすべて引くのは当然です。
このケースで350万円を引いてもらうには、事前の工事内容をメーカーと相談するかメーカー施工図から読み取り、細かく工事業者に指示して見積してもらいます。
業者の工事が完全に終わって引渡しを受けたあとにISさんが、直接メーカーの業者を入れて設置工事や接続などをしてもらうのです。
契約前にそのことを伝えればおけば、工事内容の指示は別にして、その金額交渉に関しては簡単にできると思います
 氏原 毅士 氏原解説委員

 支給品で減額するのは「契約書に当然に添付された見積書」の当該項目の材料費のみです。
支給するとしても施工は業者に頼むわけですから、施工費はそのまま残ります。
 更に見積書に、メーカー・品番・価格などが記載されているはずですが、当該工事項の最後に出精値引きが有る場合などはこの割引割合を元の単価に戻し、減額とします。(工事額から値引きが有る場合です)

 今回相談は減額でしたが、追加も同じです。建材は購入するルート によって割引率が当然に変わります。
 数万に及ぶ材料が全て定価で積算されていれば別でしょうが、支給品を定価減額要求する事は無知としか言いようがありません。(お気の毒ですが)

 全て定価で見積もりされているなら、いわゆる坪単価で200万を超えることもあるのではないか思います。業者レベルにもよりますが、年間に大量に購入する業者よりも一生涯に一度しか購入しない顧客の方の値引きが大きい事はありえません。
 支給品は、よほど仕入れルートが強力でない限り施主支給品より業者購入価格のほうが断然安いはずです。

 重ねて記しますが、業者の肩を持つわけではありませんが、定価の減額は絶対にありえません。
 契約書の図面と見積書に記載された価格を確認してください。
 これが無いはずはありませんよね。 
 コメンテーター 
藤井 修 各解説員が言うように工事請負の見積もりは定価ではありません。
それぞれの建築施工者で材料の仕入れ値も違えば手間賃も違います。
I.Sさんの工事価格は契約書に添付される見積書に記載されている金額ですから、施工者はそれを根拠にして材料費などを減額することになります。
 事務局から 
  荻原 幸雄 金額の差の問題がでるところから、工事明細は出ておりますか?
出ている場合はその記載方法が材料+手間+管理料を含んだ金額が通常は記載されています。
これは日本の風習で、私どもも材料と手間は分けるべきと主張していますが、なかなか直らないのがこの業界なので、当面はこの手間を含んだ金額が記載され続けるでしょう。

ここでいう手間は職人の手間です。

例えばユニットバスを支給する場合、取り付けも依頼するのではないかと思います。
この場合は職人の手間と材料費は省けます。ただ、現実として搬入する場合の設置場所や工程、搬入時期の調整など管理は省けませんのでその分は残ります。

ですから管理費を除いた金額は見積から減額されます。

今回の相談で定価で表示されていればその金額から管理費を差し引いた金額になります。
定価で見積しているのに仕入れ値を引くというのは成り立ちません。

図面の仕様、見積明細をご確認ください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 この度は早速のご回答ありがとうございます。
色々と参考になりました。
現在、Net上では施主支給サイトがかなり多くなってきております。
また、業者見積もりよりも安いことも確かです。
時代の流れでこのような形が増えていくのではと思います。
今回初めて家を建てるにあたり、建築業界、不動産業界の複雑さといいますか、不透明さというのが改めて感じております。
施主、建築業者がお互いに透明性のある家つくりができることを願っています。
ありがとうございました。
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