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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 0944 高気密高断熱と中庭の家は

 相談概要 相談概要 [氏名] H.K
[居住住所] 東京都練馬区
[相談建物予定地] 東京都三鷹市
[職業] 教師
[年齢] 59
[女性] on
 相談内容 [家づくりの相談内容]

土地を購入したので、これから家を建てる予定ですが、工法にまよっています。『「いい家」がほしい』(松井氏)とか「家を建てるなら」(兼坂氏)「外断熱が危ない!」(西方氏)などの本を読むと、素人の私にはどれがいいのか、ただ迷うばかり。

絶対的な希望は「温度差のない家」と「中庭のある家」。今の家は木造在来工法で、20年前に建て、つくりはしっかりしていると思いますが、とにかく夏暑く、冬寒いので閉口しています。外張りなのか内張りなのか、ツーバイフォーなのか、在来なのか、充填なのか、ソーラーサーキットなのか……工法が先決です。

松井氏も兼坂氏もモデルルームをおもちなので、見にいこうかと思う反面、設計管理を建築家に、施工を工務店にと思っているので、両氏のように、工務店を経営しているところのモデルハウスはだめかと思ったり……。

「わが家を手に入れる前に読むQ&A」をよんでも、建築士さんによって意見はいろいろですね。また、高気密高断熱にした場合の設計の問題点についてなど(たとえば中庭のある家は、外気と触れる部分が多いので効果があまりないとかいうこともあるかもしれません)、ぜひご意見をうかがいたいと思います。
 yorozuの感想 土地探しを始めてからずっとお世話になっています。
一度とても気に入った土地があり、決めかけたのですが、高圧鉄塔がちかいことにきづき、すぐこちらの相談コーナーで検索しました。
参考になるご意見があり、けっきょくその物件はパスしました。
とてもていねいに答えてくださっている印象をうけました。
アドバイザー 
善養寺 幸子 解説員の善養寺です。

どれが良いかはと言えば、どれでも良いのではないでしょうか。それぞれ良いところもあり、劣るところあるでしょう。一長一短です。
先ず、工法ありきではなく、トータルで考えていくうちに、その物件に対するベターな工法が決まってくるように思います。私の所でも高断熱高気密の住宅を作っていますが、外断熱が主流ですが、その他にセミ外断熱と言うか、充填断熱と外断熱の組み合わされたような仕様のものも作ったりしました。

いずれの工法でも、そのための性能の意味がしっかりなされていれば良いかと思います。高断熱をすれば→結露を起こしやすくなる→だから気密をしっかり作る、ただそれだけのことです。
「外断熱はあぶない」を読んでも、特別危ない内容などなく、充填断熱でも充分高性能な住宅は作れると、書いてあるだけで、タイトルは売りを狙ったにすぎません。
私の所では、鉄筋コンクリートはもとより木造も外断熱を主流に設計していますが、理由は気密施工が単純なので、未経験の施工業者にもちょっと教えれば出来る。と言う利点と、施工不良が起きて結露が生じたとしても、断熱(結露が起こる場所)が、主要構造の柱や梁と離れているので、本体に影響しにくい。直すのも外壁側だけで直せると言う、監理者としてのリスク回避の為に、外断熱にしています。

だから、設計施工業者で施工監理に絶対的に自信があると言う業者なら、充填断熱での高断熱高気密でも良いのでは無いでしょうか。まあ、そう言っても建築は人の手で作るもの。蒸気の果てまで徹底できる施工精度が作れるかは個人的には疑問ですが。

中庭が問題になるかは、トータル性能の問題だと思います。中庭が必要かどうかも良くは判りません。ただ、私は良く中庭プランを設計してしまうのですが、今のところ、それがダイレクトに熱環境へのクレームになった件はないので、高断熱だから中庭は駄目と言うことはないでしょう。
それと熱環境を良くするのには、ただ、断熱出来ていれば良いというわけではありません。夏のこと、冬のこと、換気、通風、蓄熱、そして効率の良い場所へベストな設備を入れることも重要です。

健康を考えて、温熱環境を検討されているのなら、シックハウスも重要な課題です。
法的に規制されているから安全というわけではありませんので、2×4の様な合板+防蟻処理剤ベタベタハウスで良いのかも検討すべきでしょう。
工法を決めて建築家に持ち込むより、それを含めて相談できる家作りのパートナーを捜された方がよいでしょう。求めるものが性能であるなら、その知識がない方では結局の所、しっかりとした監理は出来ないでしょう。
色んな方と話をしてみるのが良いでしょう。
阿部 重幸 解説員の阿部です。

自分の思いのこもった家を建てる為に、知的な資料を集め傍らにおき、読みあさることが、貴方の家作りをたすけるだろうか。又、どんな資料や先行する思いにたよらず、素手のままで家作りにかかった場合、貧弱なものになるのではないだろうか。
貴方は現在、目的を前にして、岐路に佇んでいるのではないでしょうか。

そして今日のように多くの情報が駆け巡る中にあって、膨大な資料と、思いとが消化不良を起こしているのではないでしょうか。家は土地に付く物です。土地の諸条件に拠って自ずと、工法や間取りが決まるのではないでしょうか。工法や間取りは一長一短があるものです。すべてがベストな物はないと言っても決して過言ではないでしょう。貴方の場合、貴方の思いを良くアシストしてくださる建築家と出会うことです。そうすれば貴方の思いのこもった家がきっと出来るでしょう。家作りを楽しんでください。
 コメンテーター 
新垣 正清 自分の意を汲み取ってくれる、設計士を探す努力が先決なのでは。
優先順位を決めておくのも大事なことです。
 事務局から 
  荻原 幸雄 どの工法も一長一短であることは事実です。それぞれ、得意とするものは必然と、強調することになるものです。得意とするものはデメリットは述べません。
ですから、それに対峙する本を読む。しかし、おれぞれのメリットデメリットがかみ合わないから消化不良を起こす原因ともなります。

ソーラーサーキットもいい面も沢山あります。剛床確保ができない。ファイアストッパーにはならない。シロアリにやられたときには薬剤駆除した場合は機能が停止してしまいます。
外断熱の場合は理論としてはこれに優ものはありません。しかし、仕上げの振動による挙動の保持、シロアリ対策、人為的放火に弱い。などあります。
逆に在来工法はこれらのデメリットは余りないといっていいと思います。
このように進化はよいものは沢山ありますが、デメリットも付随しているものなのです。
大切なのはメリットを主張するだけの本や人物は偏った説明であり、リスクを含む説明、即ち、アカンタビリティーができていないということになります。

このリスクを同時に説明することが出来る人はやはり施工者では難しい点だと思います。
お感じになっているのはそこのところでしょう。

できることなら、どの人物がアカンタビリティーをちゃんとしてくれるか、を理解して依頼することが望ましいとおもいます。

中庭にかんしては確かに表面積が増えるので、効率は落ちるとも考えられますが、プライバシー確保、防犯などを総合的に考えればそれらを超えた素敵な我が家になります。それは数字で表せない、人としての感覚の喜びです。

そんな感覚的な喜びがいかに家を造る上で大変な作業かはご理解いただけると思います。
数量的な作業は本当に簡単なものですが、感覚的な喜びを与えるのはそれだけではできません。

是非、感覚的な喜びの家を造ってください。
こんな楽しい生活はありませんよ。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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