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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 0940 中古住宅の傾斜について

 相談概要 [氏名] U.H
[相談内容:] その他
[居住住所] 埼玉県日高市
[相談建物所在地] 埼玉県日高市
[職業] 主婦
[年齢] 52
[女性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦2004 年07月13日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 30
[工事請負金額] 1500
[設計監理料] 0
[様態] 建売り住宅
[施工者] 大手ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] −
[監理者を選んだのは] −
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] -
[確認申請の為の委任しましたか?] -
[確認申請書お持ちですか?] -
[検査済証は有りますか?] −
[設計図面は何枚もらいましたか?] 2
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?]
[床面積] −
[施工者名] T不動産
[販売会社名] TR
[設計者名]
[監理者名]
 相談内容 [現象]
傾斜している中古住宅についてご相談します。昭和62年築の中古住宅を今年の6月26日に購入しました。この住宅を購入するにあたり、三度ほど見学をし決めました。そのときは全然気がつかなかったのですが、越した日、つまり 7月13日の夜十時頃に家についたのですが、台所がなにか北側に傾斜しているような感じがし、中身の入っている500mlのペットボトルを台所の南側より北側の壁側に転がして見たところ、コロコロと転がって行ってしまったのです。家族全員でこれにはおどろいてしまい、近くの親戚にすぐ飛んで行きゴルフボールを借り、リビング、廊下など転がしてみたところ、すべて南側より北側にころがるのです。

そして、すぐその夜、不動産屋に連絡をし、次の日に家に呼び出し見せたところ、やはり驚いていました。不動産屋はこの家の仲介をする際、目視で外見を見ただけで,欠陥がないので仲介をしたそうです。その週の土曜日に売主のM氏夫妻と不動産屋を呼び問いただしました。M氏夫妻は住んでいて全然気が付かなかったと言うのです。ゴルフボールが転がるところをみせても、全然きがつかなかったの一点張りでした。

リビングのドア・2階の各部屋のドアもすべて傾斜している北側に自然に開いてしまいます。引き戸なども、空いた状態で自然と傾斜している北側に閉まってしまうのにも気がつかなかった、しまいには、傾斜の方向に自然に開くドアに対してこれはこれで便利なモノですよねとおっしゃっていました。売主がウソをついているほか無いと思います。一応、この日に売主負担で住宅保証協会に家の調査を依頼することになりました。

その結果は、キッチンが北側へ12/1000 ダイニングが北側へ21/1000 2階廊下北側へ22/1000 後はもろもろ北側へ傾斜しているのが数字として結果がでました。 この結果は売主、不動産屋にも行ってます。 解約を売主に不動産屋をとうし伝えたところ、自分たちはなんの支障もなく住んでいたし、契約上ではなんら責任にはないので、解約には応じないと言うのです。22/1000という数字は、1mにつき2cm傾斜しているということだそうです。この1mにつき2cm傾斜というのは、建築の際の傾斜の規定を大幅に上回っていると同じに、脳神経的にも悪影響が出るとの事でした。

住宅の傾斜というのは、見えない瑕疵にはあたらないのでしょうか?
最近、関東での地震が多く、震度1程度の地震でも、かなり揺れている感じがします。宮城県の仙台市の直下型の地震も経験していますし、このような傾斜している住宅が地震に耐えられるかどうか毎日不安です。なによりも、傾斜していることでの精神的影響・身体への影響を考えると不安でなりません。
どうか、ご相談にのっていただければ幸いと思います。

[業者の見解]
TRの担当の方は、売主に多少の値引きをしてもらい、住宅を売りに出し、傾斜している事実を別の買主に伝えた上で売却したらどうですか。と、おっしゃっていました。そんな事はなんの解決にもなっていない気がします。
また、造成をしたT不動産側は、造成が20年以上前ですが日高市に許可をとってやっているので、問題ないといってます。

[相談内容]
売主は契約上責任はないと言うが実際傾斜しているので、契約解除をしたい。なるべくなら、大事にせず決着をつけたいと思うのですが。私どもは、あくまで、契約の解除、契約時支払ったお金を返金していただくのが目的です。が、売主の方に責任を果たして頂けないようであれば、方法を考えるしか、ないと思っております。
私どもも建築・住宅の専門的な知識が全く、このような問題をどのように考え、解決したらよいかわかりません。
どうかよろしくお願いします。
 yorozuの感想 お忙しいとは思いますが、どうぞよろしくお願いします。
アドバイザー 
清水 煬二 解説員の清水です。

これだけの傾斜があれば、歩くだけで気づくのではないかと思います。

今回のように一般人が売主の場合、売主の瑕疵責任の期間は3ヶ月と短いので、早急に書面で手をうっておくべきです。

傾斜については、「1000分の6以上で瑕疵の疑いがある」とされていますが、原因を特定しなければなりませんし、厳密な線引きはありません。

また、中古で現状引渡しということも問題を曖昧にしています。

原因は、地盤沈下にあるような気がします。
造成は問題なくても、地盤の堅さと基礎の施工方法に問題があれば傾きます。

仲介業者は大手ですから、中古住宅にも瑕疵保証が付いているのではないでしょうか?

今回の内容は、瑕疵に該当する確率は高いので、仲介業者に保証が付いているなら強くでるべきです。
付いていなくても、責任を感じてもっと買主側に立って交渉してもらうべきです。

転売は、損をしますので、その分を買主と仲介業者が負担するなど実質的に損をしないように交渉して良いと思います。

傾きの原因を特定することや、手直しの費用を算出するなども必要ですが、現在の内容なら、ズルズルいきそうな状況に感じますから、 解約や損害を負担してもらうよう、早く、強くでて良い内容ではないかと思います。
氏原 毅士 氏原解説委員です。

 1000分の22はどこから見ても異常でしょう。補修で解決できるとは到底思えません。

売主がこれを知らないはずがありませんし、販売業者にも当然責任があるはずです。
 費用がかかるかもしれませんが法的手段も視野にいれ、対策を練る必要を感じます。

 再販ははっきり言って不可能です。傾いた家が幾ら安くても買う人がいるでしょうか。

原因や結果を明示し、売主としての責任を果たすようにすればするほど買主は遠のくはず。
 法律家の力を借りなければ解決しないと思います。
 木津田 秀雄 木津田解説員からの解説です。

 同様の事例で裁判になった事があり、私が調査に関わりました。その建物はRCの4階建てでしたが、20/1000の傾きでした。
 事前の下見では荷物が多くて、足の踏み場も無いくらいで購入者も気がつかなかったそうです。
 同行した仲介業者は台所で傾いているのではと思い、空き缶をおいた所転がったので、その旨を指摘して重要事項説明の傾斜等の欄に「2階台所床」と記入した上で2階の台所の床が腐って傾いているようなのでリフォームが必要ですねという説明をしていました。
 売り主は裁判では、下見の際に傾きを説明したと言っていました。

 判決は、売り主の説明がなかったことを認め、また仲介業者の調査が不十分であった事を認定した上で補修費用相当額の支払いを命じています。現在高裁で係争中です。

 この判決からすると、今回の相談のケースとは異なるとは言え、売り主が気がつかないという事はちょっと考えられません。また仲介業者の調査義務(どこまで認められるか分かりませんが)や説明義務について、どこまで争えるか難しい事案ではありますが、泣き寝入りというには、どうかと思います。

 仲介業者の重要事項説明に記載がないようですので、ちょっと調べれば分かった事でも、知らなかったというだけで、重要事項説明に記載しないでも良いという事にはならないと思います。説明義務がある仲介業者も含めた交渉が必要かと思います。 
 コメンテーター 
橋本 頼幸 清水解説員の解説の通り非常に難しい状態になっています。
中古物件は「現状渡し」という原則があり、U.Hさんも何度か見に行っていると言うこともあり、「見て買った」という事実があります。
今後の対応ですが、「補修」という方法も視野に入れてはどうでしょうか?
清水解説員と少し意見は異なりますが、傾きの原因を特定し、補修の費用を算出する方法もあると思います。場合によっては、その補修費用を売り主と仲介業者に負担してもらうという方法もあります。

買い取りや契約破棄よりも売り主や仲介業者も安くすみ、応じやすいかもしれません。
U.Hさんが納得する方法を捜してみて下さい。
いろいろと大変だと思いますが、ご健闘をお祈りします。
 事務局から 
  荻原 幸雄 以前、よろず調査でも同じ状況の方がおりました。
購入時には売主も住んでいて、意外と日本人は遠慮して、気づかないこともあるようです。
また、その建物も大手ハウスメーカーの分譲地で、大手の施工会社が造成したのでそんな状況は先入観としても想像していなかったのかもしれません。そんな環境も今回は同じケースのようにも感じます。
その建物は検査済証がありながら、地盤の高低差が現実と図面と違い、道路斜線などは怪しいものでした。
その場合は大手ハウスメーカーの瑕疵期間でもあり、床だけメーカーが無償修理し、売主の多少の値引きと次の方に大手不動屋の手数料は無料にて告知して販売されました。

今回もこのような形で対応することができるのではないか?と思います。

尚、このケースの時はわれわれも売主がこの事実を知らないとは思えませんでしたが、「認識がなかった」という一点張りです。欠陥を抱えた家を告知して売らなければならないのですが、残念ながら告知すると先ずは売れることがないので、問題はない。認識がない。で逃げるケースも多くあります。わたしはこれを売り逃げといってますが、この売り逃げの建物をつかまされないために、購入には第三者の建築士を立ち会わせるのがいいと思います。

この時大手不動産も認識がなかったといい。しかし、彼らは本能的に瑕疵をみないようにしようとする行為をします。何故なら、そのことを知ることにより商いに影響するからです。よく、大手不動産だからと安心している方がおられますが、その信頼は簡単に崩れ去るものです。

中古の瑕疵補修は現実は範囲がすごく限定されていて、ほとんど効果がないものです。
不動産売買は現状有姿が基本です。
ですから傾斜も認識して購入したという結果になってしますのです。また、傾斜は隠れた瑕疵ではなく表れている瑕疵だからです。

契約解除は相手があるものですから、何らかの妥協点も見出せないと解決は難しくなりますので、先程の例を参考に解決を図ってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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