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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 0937 集中検針盤設置について

 相談概要 [氏名] N.H
[相談内容:] 分譲マンションの瑕疵
[居住住所] 青森県弘前市
[相談建物所在地] 青森県弘前市
[職業] 公務員
[年齢] 39
[男性] on
[構造] 鉄骨鉄筋コンクリート造
[引渡し年月日] 西暦2003年12月21日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 12
[延べ面積m2] 4000
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 2700
[設計監理料] 0
[様態] 分譲マンション
[施工者] 建設会社
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 1
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 5
[床面積] 80m2以下
[施工者名] M建設
[販売会社名] S
[設計者名] G工房
[監理者名] G工房
 相談内容 [現象]  
新築マンションに入居して半年が過ぎました。入居以来、マンションの水道料金が高く疑問に思っていました。一般的に集合住宅では親メーターで一括検針するために、水道料金は一般戸建てに比べ割高になります。その料金格差を是正するために、多くの自治体では集合住宅における料金の特例計算の制度を設けていますが、当市では数年前に廃止され、現在は遠隔式集中検針盤を設置することよる戸別検針で対応することで格差を是正を図っているようです。水道料金が高くなる原因を調査したところ、当マンションには集中検針盤が設置されていないことが判明しました。

[業者の見解]
1.集中検針盤を設置しなかった理由をマンション販売会社に問い合わせたところ、「事前に水道部からは何の説明もなく、市の料金計算の特例制度が廃止されたことを知らなかった」との回答をいただきました。
当方が指摘して初めて問題に気付いたようです。しかし、同時期に販売された他社のマンションには集中検針盤が設置されております。

2.きちんと調査していれば水道料金が高くなることは予見できたにもかかわらず、重要事項説明では水道料金が高くなるという説明はありませんでした。この点についても販売会社に問い合わせたところ、「親メーター一括検針方式は全国的に極めて一般的なものなので重要事項では説明する必要はない」とのことでした。

3.この販売会社はもう1件、同一市内にマンションを建築中でもうじき完成予定です。
問題が明らかになったにもかかわらず、そのマンションにも集中検針盤は付けずに、また、契約者や購入予定者に対してもこの問題の説明はしない意向のようです。今後の対応を問いただすと、「市の制度は極めて異例であるので、企業として市と交渉し不公平な制度の是正を求めていく」とのことでした。

[相談内容]
いずれにしても会社に非があることは認めず、市の制度に問題があるとの見解のようです。

1に関してです。
 マンション建設にあたってはその地域の条例・規則を綿密に調査し、購入者に不利益を被らせないようにするのが不動産会社としての責務と思われます。それを怠り、知らなかったで済ませようとするのは法律的に「重過失」に相当するべき問題と思われますがいかがでしょうか?

2に関してです。
 重要事項というものはその物件、地域ごとに変わってくるもので、当市の場合は集中検針盤を設置しなければ水道料金は高くなることは市の条例などを調査すれば分かる事実です。それを十分な調査もせず知らなかった、水道局は何も言わなかったということで、重要事項で説明しなかったという販売会社には明らかな過失があるかと思います。
水道料金は一般戸建て家庭よりも2倍近くの負担になっています。水道料金が高いと言うことは、購入者の購入意識を左右する要素にもなり、重要事項説明に含まれるべき内容と思われますがいかがでしょうか?

3に関してです。
 市に落ち度がない限り行政を動かすことは極めて困難なことだと思われます。交渉が長引くほど当マンション住民の負担は増すばかりで何らかの補償を求めたいところです。例えば交渉期間中は水道料金の不足分を販売会社に補填することを要求しようかと考えていますが、今後の対応につきアドバイスお願いしたいと思います。
 yorozuの感想 相談内容、解説内容ともに非常に詳細でわかりやすく有用なHPです。
これからもご発展を期待しております。
アドバイザー 
樽 一弥 樽です。

各地により異なると思いますが、水道料金は引き込み口径による基本料金に従量制による加算がされていると思います。従量部は使用水量により単価が異なり、多量に使用するほど単価が高いという逓増制となっています。住戸のメーター(子メーター)が遠隔式集中検針盤であるかどうかは検針の利便を図るというものですから、直接に料金に変動があるとは思いません。もし、あるとすれば仰る特例計算の制度によるブレでしょうか。

1.重過失?全くそうとは思いません。そもそも「購入者に不利益を被らせないようにするのが不動産会社としての責務と思われます」は購入者の考え方でしょう。
仮に遠隔式集中検針盤が設備されていたらという思いはあるかもしれませんが、その費用は販売価格に反映されたと思われます。イニシャルかランニングか、選択するのは購入者です。

2.重要事項の説明範囲は宅建業法他に義務つけられており、その説明内容も定まっています。貴殿の趣旨は含まれていませし、重大な過失とも思われません。

3.自ら使用した分の補填を分譲会社に求めることは筋違いだと思います。負担増が耐え難いのあれば、本来の行政に対して運動されるべきです。

いずれにしても、販売会社は水道料金について利益を得ていないし、購入後の責任は自ら負うべきです。
勿論、権利を侵害するとか資産が低減するなど重大な瑕疵についてはその限りではありませんが、水道料金は行政が徴収するものであり、遠隔式集中検針盤の設置如何に関わらず、自身で使用した分は自己責任でしょう。

尚、マンションの場合、戸建てより料金が高くなるのは共用部の料金が含まれているからで、余剰金が発生することもあります。余剰金は一般会計で処理されていると思います。
 コメンテーター 
橋本 頼幸 水道料金が高くなるとの事ですが、どのような計算に基づくのでしょうか?

ご相談の通り、マンションの水道料金の徴収方法は主に二種類あります。
一つは、親メーター一括でマンション全体の水道料金を管理組合から支払い、各戸メーターを管理組合が読みとりそれに応じた使用料を各居住者から徴収する方法。
もう一つは、各戸メーター(共用部分も含む)を水道局が検針し各居住者および管理組合に水道料金を請求し徴収する方法。
前者の親メーター一括方式は、管理組合が検針をした上で各居住者に請求するという手間は発生しますが、一般的に各居住者には水道基本料金を上乗せできるので水道局に支払う費用よりも管理組合に水道料金として入ってくる費用の方が多くなり、余剰金が発生する可能性があります。
後者は管理組合の手間はかかりませんが、余剰金は発生しません。
いずれも長所と短所があります。しかし、そのどちらを選ぶかは分譲会社ではありません。検針をする水道局などの条件さえ整えば入居後に変更することも可能です。

マンション一括メーターの基本料金と使用料、各戸メーターの基本料金と使用料は、使用量が大きく異なるので料金体系も異なります。高くなるかどうかは計算方式によりますが、いずれにしても使用量に対する正規の計算に基づく使用料だと思います。つまり、使った分は払わないといけないものと考えます。予見できたか否かにかかわらず分譲会社にその負担を求めるのは難しいでしょう。

水道料金の徴収システムの見直しを考えられたらどうでしょうか? もちろんお一人では進められませんので、マンション全体の問題として取り組んでみられたらと思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 確かに市の方針としてはマンションには集中検針盤を設置する方向で特例制度を廃止したのだろうと思います。
マンションの設計は工事が着手する数年前から土地の購入、収支、開発申請、基本設計、実施設計、確認申請など、期間がかかります。

ですので、現在建設中でも対応が遅れる場合もあると思います。
確かに先取りした方式のが後々、管理も楽だとは思いますが、技術は日進月歩で数年経てばまた、方式も市の制度も変わるかもしれません。

お気持ちはお察ししますが、今回の問題も交渉するとしたら、管理組合がこの問題を検討して、問題あり、としたときは管理組合でデベロッパーに交渉することになります。
早いほうがいいと思いますので、管理組合の理事会に検討の依頼をしてみてください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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