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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 0934 完了検査を受けるのであれば追加工事費?

 相談概要 [氏名] E.Y
[相談内容:] 建売住宅の瑕疵
[居住住所] 大阪府大阪市東淀川区
[相談建物所在地] 大阪府大阪市淀川区
[職業] 自営業
[年齢] 29
[男性] on
[構造] 鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)
[引渡し年月日] 西暦 2004年 12月 25日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 3
[延べ面積m2] 104.53
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 2121
[設計監理料] 0
[様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅)
[施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] -
[検査済証は有りますか?] −
[設計図面は何枚もらいましたか?]
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?]
[床面積] −
[施工者名] S都市開発株式会社
[販売会社名] Hパートナー
[設計者名] S
 相談内容 [現象]
現在銀行ローンの仮審査も通り、間取り、設備の打ち合わせを行っております。
間取りに関しては決定して、建築確認申請を行うという事で、後は内装クロス決めと、これまでの追加工事費の見積もりを出して貰い、承諾すれば本契約⇒着工となる所です。

ところが、確認申請は提出するものの完了検査を受けるのであれば追加工事費で50万円ほど追加になると言われました。換気システムは付いている物の、ボード厚を15ミリに変更し、窓ガラスも変更しなければならないとの事です。
また、建築確認費として本体価格以外の諸経費として50万かかると言われています。

[業者の見解]

[相談内容]
相談したい事なのですが、

@物件の販売価格というのは建築確認費から、完了検査までの費用を含むものではないのでしょうか?
A建築物完了検査は実情として受けていない物件もあるという事は耳にしますが、今回の様に必要であれば別途 工事費50万円必要ですというのは、個人的に詐欺に近いと感じています。

打開策として
 
 1.追加費用は払えないし、
@で建築確認費を払うという事になっているので確認申請⇒完了検査までの工事費を含み、その費用で行うよう交渉する。
  
 2.完了検査は受けない。

 3.追加工事費を支払い完了検査を受ける。

 の何れかかな?と思いますが、1.の案以外はどうしても納得できませんのでそれで交渉しようと考えています。
 この場合個人的に交渉するよりも専門の方(建築士or弁護士?)に相談する方が良いでしょうか?
 また、他に打開策等考えられるでしょうか?
 yorozuの感想 皆さん書いてらっしゃいますが、こういったHPがある事で随分助けられます。
アドバイザー 
久米 能子 久米です。

 完了検査を受けるために、ボード厚や窓ガラスを変えなくてはならない、という業者の話がどういう意味かおわかりでいらっしゃいますか?今、施工業者は、初めから建築基準法違反をしようとしている、ということです。着工するその前から、違反すること前提で家を建てようとしているのです。
 それは、いつもそうやって手を抜いているのか、それとも、今回はEYさんのご予算がなくて、仕方なくそうしているのかは分かりませんが、違反を前提で建築計画を立てて見積を出しているという説明は受けておられますか?

 もしも、その説明を受けておられるのならば、完了検査を受ける=違反はしない、ということで、方針の変更なのですから、追加の費用を請求されても仕方ないでしょう。
 そうでないのならばそんな、はなから違反を前提に話をする業者に大切な家の建築を託すことそのものを、やめられるべきだと思います。法規を守らずに仕事をすることに、何も問題を感じていないような相手ならば、そんな人たちに対して、誠意を求めるほうが無茶というものでしょう。

 EYさんがおっしゃるように、完了検査(必要ならば中間検査も)は受けて、完了検査済証も受け取り、それから竣工、引渡し、というのが当然であり、それらに対して費用を請求されるとすれば、検査申請費用の数万円(審査機関によって少し金額が異なります。)だけのはずです。

 完了検査は実情として受けていない、とういうのは、結局、違反しているから受けられない、ということで、そういう人たちは皆、違反建築物に住んでいる、ということです。
違反建築物に対する世の中の受け止め方は、この頃は一昔前と違ってだんだん厳しくなってきており、中古物件の売買の際も、融資をする銀行は、違反かどうかを調査することが多いのです。もうそろそろ、工務店も施主も、違反は、土地が狭いから、予算がないから仕方ないなどという考えを改めなくてはなりません。
その業者さんも、まだなかなかそういう意識になれないところのようですね。

 予定の施工業者を信用するかどうかは、EYさん次第ですが、これから家を建てるのですから、よく考えてみましょう。そうして、やはりそこでこのまま施工を始めたいとお考えならば、信頼できる設計事務所に監理(といっても詳細図がなければ限界がありますが。)を依頼するほうが無難ではないかと思います。

 ご予定の建物は鉄筋コンクリートと書かれていますが、鉄筋コンクリートはいわば現場での手作りのようなもので、施工には大変注意を払わねばならないものです。大阪と兵庫県では、県条例でコンクリート施工要綱を出していて、一定の規模以上の鉄筋コンクリートの建物に対しては、不良なコンクリート工事が発生しないよう、県で指定の研修を受けた人が施工管理(または工事監理)を行うように推奨しています。
 EYさんの家はその規定の規模にはならないかもしれませんが、基本は同じですので、そのような意味でも、良い施工業者を選択し、工事監理者を置かれることをお勧めします。
津村 泰夫 津村と申します

国土交通省は昨年2月24日付けで各金融機関に対し、「完了検査」の受けていない物件に対して融資をしないよう通達を出しています。そのため融資の受けられない場合があり、その後転売する際にも不利と思われます。増築や用途変更の際にも「検査済み証」は必要です。
先日、民間の確認検査機関で伺ったのですが、「完成検査を受けていない物件は、価値は7割程度であろう」と述べていました。

詳しい状況がわかりませんので、以上をふまえて交渉してみてください。久米解説員の回答どおりだと思います。

せっかくのマイホームですが、納得出来ない業者であれば、契約解除も考えられた方がよいと思います。
そのような際に不利な状況とならないために建築士や弁護士に相談されても良いでしょう。
 コメンテーター 
樽 一弥 常識として建物には建築確認という制度があり、所定の検査を受けることが義務つけられています。
確認申請は現行法に適合しているか、検査は申請通りに施工されているか、そして検査済証は申請通りに完工したという証左です。施主としては当然に合法的であって、施工者が意図して法に違反することは企業倫理としても疑問をもちます。ただ、実情としてはいまだに検査済証を取得しない建物が多く、津村解説員が金融機関への通達を紹介してくれている状況です。

問題はEYさんとメーカーとの当たり前の感覚の違いにもあります。お二方の解説員のコメントは建築士として当然な姿勢だと思います。が、次に良い設計者や施工者に巡り合うかと言えば、誰にも分からないでしょう。
さらに言えば、遵法と言っても形式的な満足と実質的に満足しているのかは別で、審査側も主事によって解釈や判断が異なることもままあります。
決して、はなから遵法精神に欠けたメーカーを擁護している訳ではありませんが、検査というものが時に施主の事情もあることを思えば、メーカーも今までは遵法精神に疎い施主があったのでしょう。

メーカーに対してEYさんの当たり前な遵法精神を伝えることはされましたか?
50万円の内訳は検査料と直接工事費の差額でしょうか?
追加費用の額から想像するに躯体であるとか基本的なことは満足しているようですので、50万は適法にするための工事代金と考えたらいかがでしょうか。もちろん、販売価格というのは建築確認費から、完了検査までの費用を含む。という事からすると、腹立ちはありますが、そもそも仕様が変わるということも事実です。他の業者にしても最初から含んでいるかいないかの差額でしかありません。

EYさんが法は守るべきものだということを伝え、その費用を負担することで希望に適う住宅ができるなら雨降って地固まるにならないでしょうか?
弁護士や建築士に委ねるとしても、これから工事を進めるならば問題を大きくするだけだと感じます。
無論、もう信用できないのであれば、話し合いの余地はありません。即時に契約解除を行うべきですが、それなりの負担は必要で差額では納まらないように思います。

大きく事を構えるのではなく、身近な建築士などに同行してもらいながら施主、施工者共々監理意識を持続されることが良いと感じますし、その結果、メーカーが法意識を持つならばEYさんの住宅はEYさんだけじゃなく、社会に寄与することにも繋がります。
 事務局から 
  荻原 幸雄 建築条件付ですから設計監理契約を締結していると思います。
現在は設計図の作成段階ですから、違法とは別に違法でない部分を削り、合法にすべきです。通常、設計者は違法の誘導はしませんので、先ず削るべきは構造を除いたそれ以外の部分です。
キッチンのランク、トイレのランクなどです。

完了検査を受ける受けないとはこれ自体は関係はないでしょう。
50万円予算がオーバーしているのならば支払うか?何かを削るか?です。業者の順番の説明が逆のように思います。

業者は法を守る意識は低いようで、あとで検討したら、落ちがあったので説明に「完了検査を受けるなら」となってしまっただけのように感じます。

相談者も条件付を理解していないように思います。
条件付は3ヶ月以内で工事請負契約前ならば、白紙に戻せますので、納得できなければ解約をすべきです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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